2022年12月4日日曜日

多摩丘陵ハイキング(東青梅駅~霞川城跡巡り~阿須丘陵~加治丘陵)

 首都圏の紅葉も散り始めとなった昼間の短い11月の最週末に、行く秋を惜しみつつ東京と埼玉の里山を歩きました。

東京都青梅市、埼玉県飯能市・入間市の境界にまたがる霞、阿須、加治の丘陵地帯は、初心者向けの登山やハイキングのガイドに必ずと言っていいほど登場しますが、一度も訪ねたことがありませんでした。
かといって、横浜の自宅からの交通機関では片道二時間弱を要するので、ひとつづつ行くのには手間がかかるため、一度にスルー出来れば行ってみようとします。

霞川の北に連なる霞丘陵は、春のツツジで有名な岩船観音からのスタートが定番なのでしょうが、この時期はみどころがないと思い、この区間は霞川の対岸に点在する小さな城跡巡りに替えることにしました。

ここはJR青梅線の東青梅駅から北に数百メートルほどのところにある光明寺の交差点です。
お寺と墓地の裏手の丘が勝沼城跡です。
お寺に向かって左側の脇道を登って行くとある墓地の横を右折して登ると、頂上に立つ高圧線の鉄塔下から東青梅の街が見下ろせます。
短い登りは途中で分岐しますが、どちらを選んでも鉄塔に着くことができます。

街の眺望の背後にある広場が城跡で、かつて本丸だったと思われる100畳ほどの平坦地の周囲が若干盛り上がっています。
教育委員会の表示によると、築城年や築城者は不明で、三田氏の居城であったが永禄六年(1563)に北条氏照によって滅ぼされたのちに、その家臣師岡将影が入り城を改変したため師岡場とも呼ばれ、天正十八年(1590)に八王子城落城と共に廃城となったとのことです。

広場の東側には土塁だったと思われる一段高いラインがあり、その先(写真左側)にも曲輪と思われる平地がありました。

反対側の西は、登って来た墓地への斜面に段差と直線の窪地が切ってあります。

吹上菖蒲園を示す小さな手製の表示に従って、北側から土塁と空堀を横切って下って行くと、冬期間クローズされている菖蒲園がありました。

次なる藤橋城跡に向けて所々に茶畑が残る住宅地を歩きます。
慶友会病院の先で霞川を渡った先で田圃が広がり、高圧線の向こうに小さな丘が見えてきました。

信号を霞川と反対側に右折すると、登って行く道路は城跡を周回するように曲がって行きます。

ほとんど埋まってしまった空堀跡を越える短い園路を登ると、ベンチと四阿のある本丸跡と思われる広場で、青梅教育委員会の説明版によると、東西70m×南北60mの曲輪で、付属する腰曲輪、土塁、空堀等で旧態をとどめているとのことです。
「武蔵名勝図会」(1820)によると、北条氏照に仕えた平山越前守虎吉という人の住居の地なり云々とのことです。

広場の中にかつて神社だったという台座があり、その向こうの北西端が少し盛り上がっているところの樹間からは、霞川沿いの平地の先に霞丘陵と奥武蔵の山並みが見えます。

その一段高い場所と土塁でつながる南西側の凸から中を見下ろすと、何となく周囲を土塁で囲まれた城跡の雰囲気が感じられました。

霞川に沿って更に東へと歩きます。
この平地からは大岳山をはじめとする奥多摩の山並みがどこからも良く望めます。

霞川に架かる歩道橋「いっぽんばし」から北へと折れ、「城の腰自治会館」を埼玉側に行くと、すぐ先の交差点の向こう側に小山が見えます。
あれが次なる今井城跡か?

そう思って小山に近付くと、柵の中に確かに土塁や空堀の様なものが見られますが、

この敷地、周囲を柵が取り囲んでいる上に、立入禁止の表示がされており、ぱっと見、誰も入れたくないオーラが立ちこめています。
柵の細い隙間周辺に踏み跡らしきものは見えるので、出入りする人はいるのでしょうが、それよりも「変質者に注意!!」の看板が目立つところに立っています。

人を拒むオーラの発信源はこの看板でしょうか。
どこか入るところはないものかとウロウロする自分が変質者になったような気分になって来たので、あきらめて退散することにします。

今井城跡の横の道路をまっすぐ登って行った突き当りが都県境で、ここから埼玉県飯能市の阿須丘陵のエリアに入ります。

阿須丘陵は基本的に植林の丘で、林内を作業用の林道が縦横に走っています。

林道は分岐が多く初めて行く人にとっては迷路のようなのですが、「加治・美杉台まちづくり推進委員会」が公開しているウォーキングコースのわかりやすい地図https://as-hanno.s3.amazonaws.com/at/23718b6a2fca3.pdfに打ってある番号と同じ数字が要所に表示されており、迷うことなく歩けます。

林業の森ですが、自然林もあちこち残っており、素晴らしい環境です。

先ずは丘陵の中央部を流れる唐沢川の谷に下りてきました。

県道218号線の阿須交差点近くから乗用車で入って来れる行き止まりの堰堤から、七国広場の方へと急坂を登ってみます。

急坂を終えたところに休憩所なる標識がありましたが、あったのは単なる小さな広場だけでした。

南北に走る稜線に出ると、道はほぼ平坦な林道となり、七国広場に向かう途中に「弥兵衛松」という石碑が立った松の木があり、その先すぐが広場となっています。

この広場の東横(上の写真の右)の凸が225.9mの三角点の「見晴台」ですが、見晴らしはありません。

阿須交差点に向けて下るべく、林道を引き返します。

途中で岩蔵温泉への道と分かれて右へと下って行く「旧上州道」に入ります。

旧上州道は、植林と自然林が交錯する中を、緩やかなアップダウンを経ながら徐々に下って行きます。

道半ばくらいのところからはシングルトレイルとなり、高圧線鉄塔の下を通過すると間もなく、北(左)側に飯能市街の展望が開けて、阿須交差点(県道195と208号の交点)近くに降り立ちます。

長澤寺隣にある218号線沿いの阿須公民館からは、先ほどまで居た林道への車道が伸びています。
そういえば丘陵内は、見かけた台数は少ないもののマウンテンバイク(MTB)が走っており、飯能・入間市民がここから登って行きます。
走行できるコースを熟知していれば、楽しいライドができそうでうらやましいですね。

八高線に沿って公民館から加治丘陵へと向かう県道218号線は、交通量が激しい準幹線道路で、すぐに歩道もなくなります。

走ってくるクルマに気をとられてにいたら、入口の踏切をうっかり見逃して通り過ぎてしまいました。
「ワールドキャリー」という重機屋さんの前にある「きたながさわ踏切」の向こう側が「緑のトラスト保全第六号地(加治丘陵・唐沢樹林地)」です。

踏切を渡り樹林に入ったとたん、県道の喧騒が消えて鬱蒼とした森となります。
すぐに出てくる小沢を消滅した橋跡で渡ったところが、金子神社と金子駅への分岐です。
左側の金子神社へと登って行きます。

金子神社は、事前に抱いていた勝手なイメージとは異なり、深い森の中に立っていました。
左側の径から出てきました。神社を背に舗装道路を下って行くと金刀比羅神社を経てお茶屋さんが並ぶ豊岡街道。目指す桜山展望台は右の林道を奥へと行きます。

林道は分岐ごとに道標が完備していて安心です。

ただ、突き当りで八幡神社へと迂回させようと右下へと導きますが、目指す展望台は東へまっすぐなので、ショートカットしてみます。

まっすぐ先の下は観光バスの大駐車場で通り抜けできないので、少し北寄りに進路を見定めて、雑木林の中を下り、峠の少し飯能側で舗道道路にでました。

続く道路の反対側の登り返しは、さらに数十メートルくらい飯能側に行ったところになにやら踏み跡がありますね。

登って行くと、ハイキングコースの園路にでて、向こう側に桜山展望台の表示があったのでさらに登ると、愛宕神社の祠裏のベンチのところにでてきました。

立派な桜山展望台は、愛宕神社のすぐ先です。

最上階まで登らないと展望は開けませんが、開けた展望は素晴らしいです。

歩いてきた阿須・加治丘陵を振り返ると、左の大山から丹沢主脈、道志山塊・高尾山系の向こうにはうっすらと富士山が見えました。

霞川沿いの平地は茶畑が広がります。

東側は西武線沿いへと丘陵が続きます。

こちらは北の飯能市街です。

一帯は加治丘陵さとやま自然公園として整備・造成されており、施設が点在し、園路にも標識がありますが、現在地を示す番号の系統が3つくらいあるみたいで、持っている地図によっては自分がどこにいるのか混乱することがあります。

なので、テキトーに歩いていると木の階段が出てきたので登ってみると、何とそこは阿須山山頂の三角点でした。
そして、ハイキングガイド定番の飯能の「あけぼの子どもの森公園」に行こうと思っていると、いつの間にか仏子駅へと向かっていたので、そのまま帰路を進むこととなります。

仏子駅への道は北コースを下りましたが、意外とアップダウンがありました。
舗装されているのですが、アスファルトではなく砂利をコンクリートで繋いだ昭和の舗装で、阿須丘陵の林道の方が歩き心地は良かったなあ。

●2022年12月3日(土)
東青梅駅(7:15)→勝沼城跡(7:35)→吹上菖蒲園(7:55)
→藤橋城跡(8:45)→今井城跡(9:25)
→都県境(今井林道;9:38)→阿須丘陵⑧A堰(10:00)
→七国広場・三角点(10:35)→旧上州道→阿須自治会館(11:55)
→きたながさわ踏切・緑のトラスト保全第六号地(12:15)
→金子神社(12:35)→桜山展望台(13:05~15)
→阿須山三角点(13:30)→仏子駅(14:20)

●本日の反省
・あまり計画性が無く、少々だらだら歩きすぎた。
…本来ならば花の時期に歩く定番コースなのに、わざわざ初冬の枯れた時期に都市近郊の平地の歩行距離20km超・累計高度500m。
 定番コースにもかかわらず、唯一のランドマークである「あけぼの子どもの森公園」に行けなかった。というか、どこにあるのかすらわからなかった。

青梅と飯能の中間に広がる地味な丘陵は、クルマで通り過ぎるとあっという間だが、実際に歩いてみると思っていた以上に広く自然が豊かで、まるで北海道石狩平野の野幌原生林に迷い込んだかと思うようなところだった。
木材の産地なので自然林が少ないのは致し方ないが、都市に近接した場所なのにもかかわらず、一旦森に入ると、林業が成り立つような広い土地に人家の途切れた森林が広がっているのに驚いた。

思い立ったらすぐ行ける。 その他の首都圏近郊ハイキングの記録はこちら





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