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2025年8月26日火曜日

むさし野ウォーキング (武蔵野三大湧水池)

 東京の猛暑日は連続6日目、累計では20日となり、あと3日で史上最高となりそうです。

「東京の夏に涼しい場所」をAIに訊ねてみると、屋内のデートスポットに混じって都内の公園がちらほら散見されました。

井の頭公園って本当に涼しいのか? いくらなんでも近すぎだろう。自分の住んでる町と差が無いのではないか? というわけで、本当に涼しいかを調査しに、水辺を選んで三か所行ってみました。

武蔵野三大湧水池とは、その昔江戸への水を供給していた源泉となった水が湧く、井の頭池、善福寺池、三宝寺池の三か所を指す昔の熟語みたいですが、現在は公園の中にあるこれらの湧水はどうなっているのでしょうか?


井の頭池
京王井の頭線の井の頭公園駅は、その名の通り井の頭公園の中にあります。

改札を出てすぐに右側の階段を下ると、吉祥寺側にある鉄橋が川を渡っています。

その川が神田川で、井の頭線に沿って永福まで流れた後は中野を縦断して外堀となり、隅田川に注いでいますが、今日の目的は湧水なので、上流方向の井の頭池へと向かいます。

神田川の流れを遡ると、小さな橋の下に南京錠がかかった四角い石が並んでおり、水門橋と書かれた石柱と神田川の起点だという表示がありました。

水門橋の上流は小さな溜池状となっており、その向こう側が大きな井の頭池です。

炎天下の井の頭池は人影もまばらで、その中を酔狂なボートが一隻漕ぎだしていきます。

そして、池の西端にあったのが「お茶の水」。
現在は汲み上げによる流れですが、湧水だった昔は徳川家光がこの水のおいしさに驚いたことが「井の頭」という地名の起源となったとの都市伝説もあるとか。
石の井桁付近から流れてくる水に触ると、思いのほか冷たいことに驚きます。

その清冽な水が流れ込む井の頭池は、水中は全く見えず、栄養豊富が極まって蛍光色を帯びてきました。

弁財天のそばを通って吉祥寺駅方面へと公園を出ます。


■善福寺池
善福寺池へのアクセスは、西荻か荻窪からバスに乗るのが一般的だそうですが、吉祥寺駅から行く場合は、北口からひたすら直進して日本女子大を目指します。
女子大のすぐ裏手には下の池があり、池の東側の水門から、東京メトロの中野車検区付近で神田川に合流する善福寺川が流れ出しています。

下の池に北から流れ込む流れは、善福寺川ではなく、遅野井川という名前が付いており、子供がザリガニを釣っていますが、早稲田通りの下を暗渠で抜けていきます。

早稲田通りの向こう側には上の池。

上流方向へ行くと、ありました。
ポンプで送水されているような流れの水が蛍光緑色の池に流れ込んでいます。

その先の西岸付近には、岸からすぐそばに小島があり、遅野井市杵神社という神社が建っています。

鳥居から下ってきて参拝する珍しい形式。

そして、神社の階段横から流れ出してくる水の方が由緒がありそうでした。
遅野井の滝と呼ばれているこの水もポンプアップですが、そばには由来を記した表示がありました。

池の北側の子供の遊び場で公園は終わります。

三宝寺池
3つめの湧水となる三宝寺池は石神井公園の中にあります。
長年この池のことを石神井池だと思っていましたが、公園内に三宝寺池と石神井池がありました。

西武池袋線の石神井公園駅が最短アクセスですが、善福寺池からここに行くには、一旦西武新宿線の上石神井駅に行き、そこから早稲田中高校の敷地の縁を通って石神井川を渡ると、坂の上に公園があります。


川の流れよりも高いところにこのような大きな池があることに驚きますが、冷静に考えるとここは公園内の窪地なので、そんなに高くはないかもしれません。

厳島神社を横に見ながら池の西端を歩いて行くと、ポンプアップされた水が池に流れ込んでいました。

池を時計回りに周回していくと、またも湧水が。

付近は入江が入り組んだ湿地帯で、浮島沼沢植物群落という天然記念物に指定されているエリアもあり、園路はその間を縫って伸びています。

そして湿地に架かる橋の対岸には城跡がありました。

立入禁止ですが、土塁や空堀が残っています。

東に行くにつれて陸地の割合が多くなり、ひょうたん池という小さな水溜まりの先で都道444号(下石神井大泉)線を渡った向こう側に石神井池がありました。

細長い石神井池は石神井公園通りまで続きます。
公園通りを北へと登っていくと石神井公園駅はすぐ先の坂の上でした。

●歩いた日;2025年8月24日(日)

思い立ったらすぐ行ける。 その他の首都圏近郊ハイキングの記録はこちら


●本日の反省…日傘を買い替えよう。
 水辺や木陰が多く炎天下は少なかったとはいえ、猛暑日の武蔵野をほっつき歩くのは危険で、途中でたまらず日傘を購入したところ、断熱効果の急激な進歩に驚くと共に、無事に歩くことができた。

 炎天下の公園を歩く酔狂物は滅多に居らず、今回も写真に人が写ることは稀だったが、公園以外の場所、特に駅周辺は日曜日の行楽に励む人が多く混雑していて、ほんの少しの距離の違いが雑踏と閑散を分けていることに気付き、20世紀初頭のスペインの哲学者、オルテガの言葉を思い出した。
 少し長いが以下に引用してみる。

都市は人で、家々は借家人で、ホテルは泊まり客で、汽車は乗客で満ちている。有名な医者の待合室や夏の海浜も同じだ。以前には問題にならなかったことが、つまり、空いた場所を見つけるということが、いまや日常の問題となり始めているのである。

…日常の問題って… 空いた場所は日常の隣の池の周りにいくらでもあったではないか。

ちなみに、この言葉は20世紀になって急に労せずして豊かになった大衆が、「ただ自分の意見を断固として強制しようとするようになった」ことを表現しているそうだ。(自分としてはどう解釈するとそうなるのかさっぱりわからず、豊かさや貧しさにかかわらず、大統領から年金生活者に至るまで、皆そうしているとは思うが。)

さて、今日歩いた池の周囲は涼しかったのか? と問われると答えは、涼しくはないものの意外と暑くなかった。少なくとも、エアコンが効いたビルを出て彷徨ったハーモニカ横町界隈の雑踏よりはずっと涼しかった。

2025年8月15日金曜日

都立9庭園(のうち5園)

 遠くにでかけると混雑しそうなお盆期間中は、例年恒例となった都心のウォーキングをすることにします。

東京都のホームページ https://www.gotokyo.org/book/list/12690/ にある「都立9庭園」は、何を基準に数多ある都立公園からこの9つを選んだのかはわかりませんが、コンパクトな立地に点在する文化財庭園をハズレるリスクなく見ることができます。

国の特別名勝に指定されている3庭園と、多摩地区(国分寺市)にある殿ヶ谷戸庭園は過去に訪れたことがあるので、今年は残る5つ(旧古川庭園、旧芝離宮恩賜庭園、旧岩崎邸庭園、清澄庭園、向島百花園)を、8月15日の金曜日に、それぞれの場所にまつわる思い出と共に回ってみることにします。


旧古河庭園
南北線西ヶ原駅を出て本郷通りを駒込方面に歩いて行くと、歩道橋が架かる滝野川支所前通りとのY字交差点の手前に入口がありました。

¥150を払い入園すると、すぐ前に大正8年に建てられた昔の財閥だった古河家の本邸として建てられた洋館がたっています。

館内に入る前に、ちょっと芝生の先にある東屋から下を見下ろしてみると...

眼下にはこの公園のキャッチフレーズである「和と洋が調和する大正の庭」が広がっているので、さっそく下って行きます。

階段を下って工事中の橋の袂に降り立った日本庭園は、中央に池を配していますが、池とは思えない不思議な浮遊物に覆われていました。
遠目から見るとグラウンドの様にも見える平坦地の表面は、抹茶ミルクセーキのような粘着物が塗られています。
間違っても落ちたくありませんね。

でも、せっかく来たので池を巡ってみたいと思います。

池から続いている細い水路は「渓谷」だそうで、何とこの庭の作庭者は名匠小川治兵衛で、ここが彼の一番のお気に入りだったとの標示がありました。

階段を登って一段上に建つ洋館に行ってみます。

日本庭園と洋館との間の中段は洋風庭園となっており、季節には美しいバラが咲き乱れます。
コロナ明けの2021年に、ここにバラを身に来ましたが、そのときに花の匂いを嗅いで回っていると、感染対策に過剰反応してると思われる警備員に目をつけられて、執拗に「マスクはずすな」と注意されました。
尚、その時は当然ですが、洋館はクローズされていました。あと、下にある池もちゃんと水面が見えていたな。

洋館は「大谷美術館」という名前で、入場料別料金(¥400)。
中は撮影禁止でしたので、外観だけ載せます。
尚、名前は美術館ですが、美術品は展示してありません。…古い建物の見学(とこの日は営業していなかったカフェ)のみです。


飛鳥山公園
次に向かう芝離宮恩賜庭園は京浜東北線沿いなので、途中にある飛鳥山公園を通り抜けてJR王子駅まで、地下鉄1駅分歩くことにします。
飛鳥山公園は都立9庭園ではなく、単なるオマケです。

西ヶ原から歩いてきて公園に入ると、渋沢資料館が立っています。
同公園内にある北区立博物館(渋沢資料館、飛鳥山博物館、紙の博物館)の3館セット券(¥800)で、見学してみます。

渋沢資料館は、その名の通り一万円札の渋沢栄一についての資料が展示されていました。
二階の窓から見える隣の建物は、青淵文庫。
資料館の入場券で中を見学できます。

その隣にある茶室のような建物(晩香盧)は、熱中症対策を理由にクローズされてました。

周囲は渋沢邸の庭だった痕跡に囲まれていますが、炎天下で元気なのはカラスだけ。

渋沢家所縁の場所以外は北区のパブリックな施設が並んでいました。

いわゆる社会科見学用の歴史を展示する飛鳥山博物館

遊具のそばには何故か都電やSLもあるよ。

林の向こうからは並走するJRの電車の音が聞こえてきます。

アスカルゴなる乗り物(距離の割に遅すぎて乗れませんでした)の下が王子駅です。

旧芝離宮恩賜庭園
公園の入口は、浜松町駅北口から竹芝桟橋へと向かうスタート地点にあります。

入口で¥150払うと、特別名勝の小石川後楽園と並ぶ傑作とされる江戸初期の大名庭園が広がります。
老中だった小田原藩主が1678年に4代将軍家綱から拝領した土地に造成した回遊式泉水庭園は、その後持ち主が何度か変わり、関東大震災で壊れてしまったところを、翌年の昭和天皇御成婚を機に公共の公園として一般公開されたとのことです。

水はキレイではありませんがちゃんと水面が見えました。

大山なる凸の上から周囲を見渡してみます。

入場した竹芝通り・汐留方面。

線路の向こう側は、世界初の高層ビル解体という世紀の取り壊し作業の跡地に建設中の、新世界貿易センタービル。
自分は取り壊される前の旧センタービルの最上階で結婚式をあげました。そのときに眼下に広い庭園があるのを見た記憶がありますが、ここに入るのは今回が初めてです。
30年近くたった今まで、旧芝離宮恩賜庭園と、お隣の駅にある浜離宮恩賜庭園との区別ができていませんでした。名前も似てるしね。

お、池に島があるよ。

砂浜も。

あっちの島は水中に飛び石があるが、渡れるのか?

ぐるっと一周してみると、いろいろな角度から楽しめました。
近くにある浜離宮恩賜庭園と雰囲気が似ていますが、こちらの方がコンパクトに楽しめました。
周囲のビル群もぐっと近くて立体感があります。
ただ、目線を全体に向けて和風に選定された植物が小さくなってしまうと、日本庭園というよりはちょっとセントラルパークっぽい?


旧岩崎邸庭園
千代田線湯島駅の1番出口を左に進み、すぐの区境を左折して出口の背面側へと池之端のラブホ街を歩いて行くと、旧岩崎邸の入口があります。
(他の公園は¥150のところ)ここだけ¥400を払って背後の台地上に登って行くと...

植民地政庁の様な?見事な洋館が建っており、入場料は実質この建物の見学料金でした。

ただただ建物内部を見学していきます。

館内は撮影OKですが、「人は写さない」ことが条件となっています。
あと、踊り場も含めて階段内は撮影禁止。

何故そんなことになるかというと、このオバさんたちの様に、映える場所を占拠し続けて自分の画像を撮り続ける人たちが後を絶たないからです。
警備員に注意されてもああでもないこうでもないとトボけながら、隙あらばスマホをかざし続けますが、そこまでして撮ったあなたをいったい誰がみるのだろうか...

確かに景色は多少映えるのかもしれないが、画像が拡散する要因は一緒に写る人次第。

さて、この洋館は和風の建物とつながっています。

飲食店が営業する和室を通って外に出たら、先ほどの洋館を外周する形でおしまい。

ビリヤード室の横から外に出ます。
10年くらい前、湯島天神に子供の受験のお守りを買いに行かされた帰りに、ここに来たことがあります。
ただ、覚えているのは「来た」ことだけです。
そのときは写真撮影そのものが禁止だったような気が...
和館は見学コースに入ってたっけな? いや、気のせいか...


清澄庭園
半蔵門線清澄白河駅のA3出口を出ると、清澄通りの反対側に清澄庭園があります。
清澄通りから100mほど入った入口で¥150を支払い中に入ります。

周囲から見下ろす池が中心となる庭園は、享保年間に関宿藩主が造成開始した回遊式林泉庭園で、その後荒れ放題となっていた土地を岩崎弥太郎が明治11年に社員慰安目的で買い取り造成したとのことです。
岩崎邸に続いて三菱財閥の作品。
眼下に広がる池と畔に建つ涼亭の姿を見た途端に、この庭園のみは過去に3~4回訪れたことがあることを思い出しました。
そんなに何回も来ていながら、来た理由は思い出せませんし、半蔵門線を下りてから入口までの記憶も毎回違っています。
今回気付いたのは庭園入口への途中にあるPark Stand Tokyo というカフェの清澄白河店で、店のコンセプトである「どなたでも気軽に立ち寄れるスタンドカフェ」が危うくなりそうなくらい大繁盛していたので、気軽に買えなかったし、買えたとしても公園は暑くてのんびり食べられなかっただろう。
次に来るときは記憶にの残っているかどうか...

池を時計回りに周回してみます。

近代になってから三菱財閥お抱えの茶人磯谷宗庸が作庭した庭は、これだけ大規模な土地があるといろいろやりたくなるところをぐっとこらえて、造形がとてもシンプルで、大名庭園のなかでは非常に現代的に感じられます。
実際に今回訪れた5か所の中で最も客層が若くガイジン率が高かったです。

装飾的な付属品は、富士山という丘の下にある石仏群くらいで、それも元々この地にあったものと思われます。

島が4つ配置され、枯山水や池畔や入江を回遊する径もちゃんとありますが、全体の調和を乱すごちゃごちゃ感はなく、景観はあくまでシンプル。
そのためなのか、国の指定とはならずに東京都の名勝に止まっていますが、インバウンドも含めて最も現代人向けな日本庭園にも感じられます。
外観がすっきりしているのに探検気分も味わえる絶妙なつくりになっていました。
引き算の美とはこんな感じなのでしょうか。


向島百花園
さて、最後は半蔵門線直通の東武スカイツリーラインで向島百花園へと向かいます。
東向島駅の改札を出て右方向にUターンし、東武博物館の前を通って日光行きの古い車両の先を右折してガードをくぐり、まっすぐ(明治通りの百花園入口信号も直進)いくと、右側の児童公園のトイレの裏にひっそりと百花園の入口がありました。

ここも入場料は¥150。
文化・文政期に江戸の商人たちによって作られた草花鑑賞用の庭園(というよりも植物園?)は、江戸の下町情緒を演出しながら、小さい区画ごとに多くの種類の植物が栽培されていました。

区画の構成や調度品なども、庭園というよりは自宅の庭を持ち寄った感じで、庭いじりしている親戚のおじさんがひょっこりあらわれそうな雰囲気が感じられます。

高温の盛夏期のため、咲いている花は多くありませんが、訪れる時期なりに相応の季節の花を見ることができます。

アゲハチョウになかなかピントが合いません(*´ω`)

面積が1ヘクタールに満たず、本日訪れた公園の中で断トツの狭さは郊外の児童公園クラスで、訪れる前は「ここは行かなくていいかも」と思っていましたが、実際に来てみると、のんびりかつアットホームな雰囲気がある一方で細かいところまで手入れが行き届いており、庭園の美しさだけでない草花を愛する気持ちが伝わってきて、一番再訪してみたい場所になりました。
木や花の表示も素朴ながら丁寧につけられており、育ててみたいと感じた時に背中を押してくれるようになっており、一日ゆっくりと時間をかけて楽しんでみたいところです。
ここを一番最後に訪れてみて本当に良かった。


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