2019年4月21日日曜日

苗場山 (BCスキー:途中敗退)

新潟県を代表する山の一つ。
日本百名山の苗場山に、苗場スキー場とは逆の長野県側から登ります。

登山口となる長野県栄村の秋山郷は、村の中心地である森宮野原から村内だけを通っては行けず、新潟県の津南町から国道405号線を通ってゆくのが一般的で、路線バス(デマンド交通)も同じルートを辿ります。

そんな秋山郷の小赤沢集落から林道を東へと登ります。
舗装された立派な林道は、苗場山の三合目登山口オープンに向けて徐々に除雪が進んでいると見られ、この日は標高1045mのヘアピンカーブまで除雪されていました。

写真は同林道の950mカーブの横にある大ゼンノ滝です。
小赤沢川の雪解け水を集めて豪快に水を落としていました。


さて、通常この時期の登山は大ゼンノ滝の少し上にある標高1000mのヘアピンカーブから、小赤沢川の一本南側の沢を登り始めますが、付近に駐車スペースがなく、カーブのすぐ上の路肩が広いところも先行者のクルマ3台と切り出した薪で一杯だったので、さらに登った除雪終了点の少し手前に駐車して、先行各氏の駐車スペースから雪の上を歩き始めました。
道路脇の雪上にも切った薪が置いてあります。


固くしまった雪の上をトラバース気味に登り、下のヘアピンカーブからの沢に合流します。


その沢を調子こいてどんどん登ります。
雪もちょうどよい加減で、快調に高度を稼ぎます。


青空の下、斜度も木々の密度もちょうどいい感じで、帰りは快適な滑走を楽しめそうです。
でも、なんか変だぞ。
苗場山は東にあるはずなのに、南に向かっていないか?


その通り。
本来ならば、990mのコルですぐ北隣にある小赤沢支流のカエデ沢に移らないといけないところを、右に逸れて林道の東を並走する沢を登って来てしまいました。
1230mのところで3合目駐車場へとトラバースする林道に出てしまったので、そのまま林道を進むことにします。


林道は側面が急な個所でデブリが横断しているものの、沢に沿って蛇行しながらおおむね平坦で、ポカポカ陽気の中を三合目へと向かいます。


苗場山から続く稜線上の檜ノ塔などを見ながらのんびり進みます。


これは猿面峰方面。
帰りに通った小赤沢沿いの登山道と比較すると、さしたる障害物も傾斜もなく安心安全ですが、距離的にはかなりの遠回りです。


三合目駐車場のトイレの屋根が見えるところまで来ました。


ここからは、登山道がついている尾根ではなく、その南側の沢を、駐車場手前の橋から直接登っていきます。


ただ、この沢が小さい割には切れ込みがきつく、1430mくらいのここで、ようやく崩落しなそうなところを見つけて渡りました。


小さく消えていく沢を右に見て、しばし並走しながら、


左側の登山道の尾根へと徐々に登っていきます。



尾根に乗ったら、標高1590mの平坦地で一息つきます。


見上げると2036mの凸でしょうか。
日光に温められた雪が崩れ始め、急なところでは亀裂や瘤状の変形が見られます。


少し上ると、1770m付近の台地にでました。
ここから標高200m少々を急登すると山頂部の広い平原にでることになります。


最後の急登に向けてダケカンバの台地に踏み出すと、足元から”バコッ”と音がします。
空耳かと思って少し進むと、また同じ”バコッ”という音が。
2~3回繰り返すと、どうやらこの音は自分を中心に半径10mくらいの範囲の雪面から聞こえてくるみたいです。
もしやと思い、スキーとストックで足元の雪を掘り返してみると、10cmくらいの新雪と表面クラスト層の下には、厚さ30~40cmくらいの空気を多く含む霜ザラメ雪の層がありました。
どうやらこの層が自分の体重で崩れる音を聞いていたと思われます。
明らかに雪崩レスキュー関係者が「ワッフ音」と呼んでいるものですね。


しかしながら、早朝に家を出てからここまで来るのに7時間近くを要しています。
あきらめきれずにツボ足で先行者の足跡をたどって斜面を登ってみます。


急斜面を少し登ってみましたが、スノーシューの先行者は埋まっていないものの、ツボ足だと表面の固い部分が容易に踏み抜けて、その下にある空洞のような雪ににズボズボ埋まります。
色気をだしてみたものの、やはり一旦何かが起きた時のリスクを考えると、この辺までにしておいた方が良いかもしれません。


頂上へと続く平原までは恐らく20分もかからずに到着するとは思いますが、決めてしまったら早いにこしたことはありません。
ほんの数秒間景色を目に焼き付けて、


更なる急登を行った先行者のトレースともおさらばです。


少しとりついた斜面を一気に滑り下ります。


引き続いて疎林の中の緩斜面を快適に下ります。



あっという間に三合目駐車場に到着。
帰路はカエデ沢沿いの登山道に沿って下ることにします。


しばし緩い傾斜の台地上を半ば漕ぎながら進み、最後の標高差100mほどを一気に下って渡渉点までやってきました。
ここは結構雪解けが進んでいます。


カエデ沢のスノーブリッジを見下ろして、渡れる場所を物色します。
赤テープのついているここかな。


雪の途切れた沢の側壁を強引に飛び降り、スノーブリッジを一気にスルー。
この下にはちゃんと橋があるんだろうな?
何もなかったら、渡っている最中に崩れたら結構面倒なことになりそうです。


あとは少しの間、辛うじて雪がつながる沢の中を下り(写真左側です)、この場所で沢から脱出したら、すぐに1090mコルを横切って、植林から落ちた枝に覆われた沢を滑ります。


ところどころで雪が消え、フキノトウが顔を出した沢を何とか滑ると、


すぐそこはゴールの林道のカーブでした。


無事に到着。


●本日の反省
反省というのかどうか、微妙な判断だが、山頂の結構手前で、途中引き返しとした。
この日はトレースから察するに、自分以外の登山者(ツボ足とスキーそれぞれの単独行者とスノーシューの二人組の先行者達)全員が山頂に到達したと思われる。
そして恐らく、翌日の日曜日もそれ以上の人々が好天の山頂を踏んで、何事もなく下山してきたに違いないが、自分はその素晴らしい体験を放棄したことになる。
結果オーライの視点からすると、怖がりで弱気なだけだという評価となり、実際自分でも悩ましい。
もしもスキーを使用していなければ、何も考えずに(雪質に気づかずに)山頂に進んでいたに違いないし、その結果得られた体験がリスクに見合ったものなのかは、リスクの大きさを十分把握できない今は何とも言いようがない。
ただ、山頂まで行かずともスキーは十分楽しめた。
いや、スキーを使わないのであれば、そもそもここには来なかった。

2019年4月20日(土)
小赤沢の林道1015m付近(9:00)→林道1230m付近(10:00)
→三合目駐車場(10:35)→1770m台地(12:15)
→引き返し点(12:42)→三合目駐車場(13:05)
→カエデ沢渡渉点(13:25)→林道標高1000mヘアピンカーブ(13:40)




2019年4月7日日曜日

浅草岳 (ヤジマナ沢左岸尾根・BCスキー)

暖冬の2019年は4月が近づくにつれて徐々に寒の戻りが入り、何故か例年よりも降雪が多めに。
それならということで、会越の豪雪の山へとでかけました。


県道385号線の除雪終了点である大自然館からスタート。


無雪期は道路である広い雪面をつぼ足で進みます。


ここから目指す浅草岳は見えませんが、破間川の対岸にある守門岳はまだ雲の中です。


ヤジマナ沢沿いの登山道に入るところからシールを装着して、古い林道をショートカットしながら上っていきます。



ヤジマナ沢の左岸尾根下部は植林が混じります。


標高が1100mくらいのところから、植林を抜け出してブナの巨木の林を行くようになります。



北側のヤジマナ沢対岸にある尾根は夏の登山道がついているのでしょうか。
しばし並行しながら登ります。


標高1245mの台地に着いたところには崩れかけた雪庇が。


通り過ぎた雪庇を振り返ります。
徐々に雲底が高くなってきたように感じます。


南側の尾根を見ると、どこも雪庇が連なっています。
今自分が立っているところも、北側から見るとこんな感じなのでしょうか。

少しずつポロポロと落ちています。


少し青空が見えてきましたが、標高を上げるに従い、どんどん風が強くなってきます。


強風が運んでくる霧が木の小枝に凍り付いていきます。



だいぶ青空が広がってきて、行く先の稜線が見通せるようになりました。


稜線上を先行する登山者が小さく見えます。
早くも降りてくる人もいます。


振り返ると、守門岳も完全に姿を見せました。


嘉平与ポッチを目指して緩やかな稜線を登っていきます。


登山者とスキーヤーが続々と登ってきます。


嘉平与ポッチに向けて斜面が急になる手前の標高1440m付近には、ちょうど風を避けられる吹き溜まりがありました。


ここからは樹林はほとんどなくなり、吹き曝しとなります。



さあ、嘉平与ポッチを目指してどんどん行こう。



嘉平与ポッチの右肩を巻くと、前岳が聳えます。
ポッチのすぐ先には雪庇が張り出していますが、これを反対側から見ると、、、


かなり空中に張り出していますね。


後続の方の中には結構空中を歩いていた人がいたみたいです。
気を付けましょう。




前岳に立つと、鬼が面山の反対側にある崖が視野に入ってきます。


その向こうには魚沼の山々が連なります。


行く手には田子倉湖を見下ろします。


鬼が面山を横に見ながら、


山頂を目指します。
山頂は近そうにも遠そうにも見えます。


前岳から強風に煽られて、よろけながら20分以上かけてようやく浅草岳山頂に到着しました。


来た道を振り返ります。


その右手は守門岳。


その右側の山頂北側には早坂尾根という傾斜の緩い尾根が台地上に続きます。
直前を先行していたスキーヤーはここを下るそうで、一緒に行くかと問われますが、強烈なアゲンストの風とクラストした雪面にモチベーションが喪失しており、ありがたくお断りさせていただきました。


手前側の川内・下田山塊はよく見えますが、その先の飯豊方面は強風の雲の中みたいです。


会津の山々。


そして田子倉湖。


鬼が面山。
ぐるり一周大変よく見渡せました。


さて、往路を引き返すこととします。


振り返る浅草岳山頂。


雪庇の前岳に着くと、


これも見納めとなります。


ポッチで少し上り返すため、シールを着けたまま滑走していきます。


ポッチの少し手前から左側のムジナ沢へとドロップできるポイントがあり、往路の見た感じではもしかすると行けそうにも思ったのですがどうでしょうか?


北岳方面は一面の雪原で、滑ると気持ちよさそうですが、よく見ると雪庇の合間が意外と狭く、雪質が不安定な時期はルート取りが難しいように感じます。


そして、ムジナ沢へのドロップポイントでは結構雪庇の落下が始まっていました。


ムジナ沢とは反対側のヤジマナ沢の左岸斜面も結構雪庇の崩落が始まっており、しかも所々に全層雪崩を予感させる亀裂や瘤状の変形も見られます。
この時期であれば怪しいところは落ちてしまっていると思っていたのですが。....


シールを外し、欲張らずに往路の尾根を引き返すこととします。



この雪庇の左側のなだらかな方斜面を滑走していきます。


疎林内を直滑降・時折ターン。




メローな斜面が終わり、植林に突入すると、樹木の間隔が一気に狭まるので、必死こいてがりがりターンします。


もうすぐ林道。


標高が低い場所では、ヤジマナ沢の対岸斜面は一気に融雪が進んでいます。



林道跡をところどころ上り返して、


県道の橋との合流点に滑り降ります。


到着。


●本日の反省
・事前に予想できなかった強風で、北斜面を滑れなかった(滑る気力がなくなった)。
・事前の予想通り晴れて気温が上昇し、沢の中を滑れなかった(滑らない方が良いと思ってやめた)
ただ、これだけの好天に恵まれてノーマルなルートで山頂を往復できたのだから、欲を言うのはやめておこう。
ヤジマナ沢左岸尾根は、往路の引き返しで、広いバーンやスティープな斜面はないものの、山々を旅するクラシカルな山スキーの気分が感じられる好ルートだった。
特に樹林限界から下は、ようやく春を迎えた札幌近郊の山々の雰囲気が感じられ、久々に山スキーの原点に還った?
自分が歳を取ったからそう感じるのかも知れないが。

2019年4月6日(土)
大自然館(8:30)→林道終点(9:04)→嘉平与ポッチ(11:35)
→前岳(12:00)→浅草岳(12:22)前岳(12:40)
→嘉平与ポッチ(12:47)→林道終点(13:35)
→大自然館(13:50)



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