2018年8月13日月曜日

小室川谷(沢登り) 後半

前半からの続き


中ノ沢出合以降の左俣の小室川谷本流は、水量も落ち着いてきて、川原と淵と滑滝が交互に続きます。



1100mの右岸枝沢







標高1190m付近は滑滝が連続するところです。


最初の8mは左側の細流を。


その上の2段4mは左側をどこでも


1170mの右岸枝沢の滝


そして後半の見せ場となります。
先ずは10mの雨乞の滝。


右岸の巻径から巻きます。
巻径の起点は右岸枝沢が釜に入るところです。


10m滝のすぐ上は4段40mの滑滝です。
下の2段は流れの中を快適に登れます。


深い釜を持つ3段目は登れないので、


左岸を巻きます。


最後の4段目は、3段目の巻径が終了するここから真っ直ぐに落口へと向かいます。


落口付近は右側に残置ロープがあります。
足元は比較的安定していますが、多少外傾気味なのと、それなりに高いので、ロープがないとかなり緊張するでしょう。




1230mくらいで作業堂が沢を渡ります。


そのすぐ上で左岸から枝沢が合流してきます。


まだ滝がでてきます。
この下段は左側の右上するチムニーを手掛かりに越えました。


上段も左のチムニー状(この写真には写っていません)を手がかりにに。


この辺りから鉛色の雲が立ち込め、空が暗くなってきました。



そして、最後の美瀑。二段10m滝です。
左岸からまとめて巻きます。


これは上段です。


ここも晴れていれば大変美しいと思われますが、湿度も急激に高くなり、時折雨もぱらつき、遠くで雷の様な音が聞こえたような気がして、段々焦ってきます。


蛇抜沢出合いが近付いてくると、沢中に古い機材が転がってきます。
右岸には昔それらが使用されていたであろう、斜上する平坦地の面影が見られますが、歩いてみると崩壊が進んでおり、そんなに役には立ちませんでした。


1390mで左岸から蛇抜沢が同水量で入ります。


この出合は地形図の合流角度とは裏腹に、何となくインゼルっぽい見た目で、平坦地もありました。


さて、小室川谷はこの後12mの多段滝を残し、妙見の頭北西側のコル目指して500mほどの標高差を上がって行きますが、見所が少ない割に長くて時間がかかりそうなのと、途中で大雨が降り出すリスクがあることを理由に、登山道が通っている右岸尾根へのエスケープを考え始めます。

登山道はいったん、下山方向とは逆の南に向かい、大菩薩峠を経由するので水平距離は長いのですが、登山道が小菅と丹波山方面へ分岐する1650mのコルまでの標高差は200m足らずで、30分もかからず到着できることと、その後も整地された道を歩け、山小屋に逃げ込めやすい安全を優先しました。

小室川谷の標高1460m右岸に流入するこの枝沢を登ります。
本流の多段滝から恐らく水平距離で200mくらい下でしょうか。


枝沢は特に危険な箇所もなく、明瞭に稜線を目指し直登して行きます。
途中二俣っぽい地形が1か所ありますが、比較的明瞭な右手を選べば程なく普通の斜面となり、明瞭な踏み跡が目につきます。


踏跡はやがて平らに整地された小さな広場に着き、


そこは標柱が立つ登山道の分岐の目と鼻の先でした。
(写真右側の草の斜面を登ってきました。)


履き替えるシューズが無いので、そのまま大菩薩峠へ。

辺り一面に湯気が立ち込めます。


更に大菩薩嶺を目指して登る間にも、空はだんだん黒雲が厚く垂れ込めます。



先を急ぎますが、山頂を通過した直後に土砂降りとなりました。


「バケツをひっくり返したような」というよりも、恒にバケツの量が流れ続ける「滝の中に居るような」大雨が、丸川峠へと下る小一時間ほどの間続きました。
だいぶ小降りになってきた丸川荘

牛首谷の林道に出てからはゴム製サンダルに履き替えて歩く。
林道の横を流れる泉水谷とその支流



大黒茂谷方面への経路を横に見ながら帰路を急ぐ



前半はこちら

●本日の反省
(1)3つの無理を強行した
①通常一泊二日とされるルートの日帰り
②当日朝に気付いた局地的大雨予報
③アプローチシューズ忘れた
と書くと、ちょっとヤバい人みたいで、仮にこの状態で遭難したとしたら正直批判は待逃れないかもしれない。
しかし、一方で、実際に遡行してみて、このルートを日帰り+ビバーク程度の軽量な装備で行動するメリットは特に安全面で極めて大きい様に感じた。
具体的には軽量化により、前半に集中する泳ぎや瞬発力を求められる場面での消耗を押さえ、冷静さや判断力を維持することと、沢内の不用意な滞在時間を減らせること(特に盛夏期の午後の豪雨による危険個所を早い時間に確実に通過することと、夜間の増水リスクを無縁にできること)は重要と感じられた。
加えて、靴を忘れた結果、豪雨で川と化した登山道を沢靴で問題なく歩くことができた。
今回の雨量は長い人生経験の中でも最大級のもので、森の中の登山道が見る見る沢登りのような流れに変わって行くのは正直驚いたが、多かれ少なかれ夕立が発生するこの時期は最初からその前提で、渓流シューズで通すのも一考だと感じた。
まあ、たまたま結果オーライなだけだったんだろうけれども。

(2)下山が長かった
最初からわかっていたことではあるが、やはり4時間半の下山は長い。
しかも、その間に大菩薩嶺登山が含まれているし。。。
上日川峠はおろか、裂石温泉からの往復でもこんな労力はかからないのではないか?
単に帰るだけの行程なのに、、、
でも、解決案が全然浮かばないんだよね。クルマ2台でどちらかをデポするにしても、そのための時間が結構かかるし。

上記を総合した結果、最初から介山荘に宿泊する計画として山小屋泊の装備で行くのが何だか楽しそうだという結論になりました。
山小屋に計画を許容していただけるかはわからないけどね。


今回、登山口の漁協のおじさん以降、大菩薩峠までの区間では誰とも会いませんでした。
そういえば、最近小室川谷に行ったという話を以前ほど聞かなくなった様な気がするのは気のせいでしょうか。
美しくワイルドで、手応えがある一方で多くの人を許容できる優しさを持つこの谷は、もっと登られても良い様に感じました。


2018年8月11日(土)
三条新橋(6:50)→(泉水谷林道)→小室川谷出合(7:20)
→(小室川谷遡行)→松尾沢出合(9:30)→中ノ沢出合(10:45)
→雨乞滝(11:40)→蛇抜沢出合(12:40)→(標高1460m右岸枝沢登り)
→フルコンバ(13:45)→(登山道)→大菩薩峠(14:25)
→大菩薩嶺(15:10)→丸川峠(16:10)→(牛首谷登山道
→(泉水谷林道17:00)→三条新橋(18:30)



小室川谷(沢登り) 前半

2018年の「山の日」。
かつてこの祝日は大渋滞にハマった苦い思い出があるので、家で大人しくしていようかと思いましたが、お盆休み期間中に確実に晴天となる予報がこの日だけだったので、高速道路を使わなくても行ける関東近郊の小室川谷に行くことにしました。

それでも当日朝になると、大気の状態が不安定で関東各地は局地的に大雨が降るとの予報となりました。
雨が降りだす前に終了したいところです。

国道411号線青梅街道を山梨県丹波山村より甲州方面に向かうと、丹波山トンネルの1kmくらい先の左側に、丹波川の方へと下って行く道が分岐します。
道はすぐに三条新橋で川を渡り、泉水横手山林道起点のゲートに到着です。

ここの乗用車約10台分くらいのスペースにクルマを停めて出発準備。
祝日の早朝とあって、漁協の監視員のおじさんが日釣券を売っていました。

今日は小室川谷を日帰りするから、釣りをしたら帰って来れなくなるんで竿持ってこなかったよ。ゴメンね。
世間話をしていると、もう券が売れないとわかったおじさんは引き上げて行ってしまいました。

こちらはその間に下山用の運動靴を家に忘れてきたことに気付きます。
帰路は結構長い道のりなのでちょっと不安ですが、不便だけとフェルト底の渓流シューズを履けばいいか、、、
とりあえず、ゴム製のサンダルを履いて出発します。


舗装された立派な林道を20分くらい歩くと、小室向の標柱に着くので、ここから川原へ下ります。


小室川出合で泉水谷に架かる木橋を渡ったところで入渓準備します。
サンダルも距離が短かければ結構いけるな。


小室川谷は、最初は平凡な渓相が続きますが、水は透き通ってキレイです。
それに何となくWEBで事前に調べたのよりも水量が多い気もしないでもないが、まあ何とかなるでしょう。


最初の4m滝がでてきます。


左岸のロープを使って巻きます。


だんだん川原がなくなって、水深も深くなってきます。


続いて大きな釜の7m。
写真右のチムニー状から落口の右へと抜けます。


この谷には河岸に整地された幕場適地がたくさんあります。


標高930mくらいの右岸枝沢の滝。




標高950mで沢が右折するところにあるミニゴルジュ。


一番奥の6m滝は、手前で左岸へと泳いで渡り、右壁を登ります。


向こうから泳いでここに来さえすればあとは簡単。


右側の緩いところを登って抜けます。


すぐに沢が左折するところには、左岸から枝沢が滝で落ちています。


そして小さな廊下を抜けると、


S字峡入口の6m滝に到着しました。
左壁を登り、落口の左水中にあるスタンスを使う という報告もある模様ですが、かなり上級者の方のものでしょう。


先ずはこの滝のみを右岸から小さく巻きます。
せっかくロープ持ってきたしね。

落口の真上に登り、眼下の流木のところへ、、、


懸垂下降します。


巻き終わってから見下ろす、登らなかった滝。
ほんのちょっとの距離なんですけどね


それでは、S字峡を抜けていきましょう。
先ず、奥に見える小滝は、


ここからホールド豊富な右岸に飛び移ってパス。


奥で大壁に当たり右折するところは、


右壁から簡単に越えられます。


その上は瀞状になっています。


最後の方はざぶざぶ泳いて抜けると、


廊下の奥に小滝があります。
これは簡単に右岸を小さく巻けます。


小滝の下で、左岸に垂れ下がるロープをみつけました。
反対側の入口に全く気付かなかったのですが、左岸を巻いてくる径があるのでしょうか。


小滝の上は松尾沢出合でした。
右の本流へ。


出合のすぐ上には瀞や滑滝が続きます。



ここの下段は左壁を登って越えます。


登ったあとで見下ろしたところ


上段は簡単です。


ここから先しばらくは、余裕のある日程で竿を持って来たいところです。







美しい渓相は登れない8mCSまで続きました。


このCS滝は右岸垂壁を戻ったところにある怪しいロープで巻きます。
ちなみに怪しいのはロープそのものではなく、支点です。






1045mで川が右にUターンするところに張り出した尾根に空いた穴。
ちなみに写真左隅の低くなったところから蛇行をショートカットできます。


そして小室の淵に到着です。


奥を覗くと、小さなCS滝が見え、泳いで取りつくと左から簡単に登れるようにも感じられます。が、


定石通り右岸を巻きました。


巻道を登った上からは、淵の先が見通せます。


そして眼下には先ほど下から見た続きがありました。
ちょっと近くまで行って覗いてみましょう。


うぅ~ん。 これは全く無理だな。


入口のCS滝を越えたとしても、写真上の空間に出てきて、細い急流を通過してこなくてはなりません。
他人に説明するなら、やっぱり問答無用の一気巻きとなりますね。。。


上流にはユルいゴルジュ状の地形が続きますが、中の通過は面倒なので、引き続き右岸に何となく続く踏跡を行きます。


おでんのような岩のすぐ上で、


右岸から中ノ沢が合流してきました。

源頭まで完全遡行する場合はこのあたりが中間点となるのでしょうか。

後半へ続く

2018年8月11日(土)
三条新橋(6:50)→(泉水谷林道)→小室川谷出合(7:20)
→(小室川谷遡行)→松尾沢出合(9:30)→中ノ沢出合(10:45)
→雨乞滝(11:40)→蛇抜沢出合(12:40)→(標高1460m右岸枝沢登り)
→フルコンバ(13:45)→(登山道)→大菩薩峠(14:25)
→大菩薩嶺(15:10)→丸川峠(16:10)→(牛首谷登山道)
→(泉水谷林道17:00)→三条新橋(18:30)



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