2022年4月26日火曜日

浄土平(BCスキー;平石山、家形山、前大巓、東吾妻山)

福島市の高湯温泉と土湯峠を結ぶ観光道路「磐梯吾妻スカイライン」は、毎年4月8日前後に除雪が終了して再開通しますが、豪雪の2022年は2週間ほど遅れて22日(金)の10:00から通行可能となりました。

周囲に標高差100~200mほどの山(というより丘)が連なる同道路の景勝地「浄土平」付近では、雪が残っていればスキーの移動力を使って山を巡ることができるのではないかと思い、開通直後の週末の天気が荒れない日に出かけてみました。

福島市の郊外からは吾妻連峰の東側をよく見ることができます。
この日の朝は吾妻小富士(下の写真左側)以外の主要部の山頂はまだ雲に覆われていましたが、予報では昼前後に晴れるとのことなので、スカイラインで浄土平に登ります。

噴煙を上げる一切経山の南麓にある浄土平の巨大駐車場から、ビジターセンター横にある露出した木道を歩いてスタートです。

正面に豊富な残雪が張り付いた蓬莱山を見ながら、湿原の奥にある雪が残った谷を登って行きます。

歩き始めてから30分少々で、酸ガ平の避難小屋に到着します。
ここから五色沼方面へと残雪が連なっているであろう平石山を目指して登り続けますが、多くの登山者につられて右側の残雪面を登ってしまいましたが、右は一切経山への登路で、途中で雪がなくなります。
正解は小屋の直上にある写真中央の雪渓の方で、登り切って傾斜が緩くなったところで分岐する残雪の右側(細い方)を行くと平石山に到着します。

登る途中から振り返ると、スタートするときに真っ白に見えていた蓬莱山の平坦な山頂部が見下ろせます。
雪が豊富に残っているのは浄土平に向いた東側だけで、山頂側から東斜面へは行けなそうです。

登りついた平石山から北を見ると、樹林の中に雪が残る家形山が望めます。
眼下の斜面を滑り降り、写真中央部の細く雪が残ったところを滑り抜けて行くとすぐに、家形山の右下に五色沼が顔を出しますので、雪が残った谷を滑り降りていきます。

滑り降りた沢型は、秋元湖に流れ込む大倉川の源流の大倉深沢の源頭で、何も考えずに滑って行くと、五色沼とは逆の西側へと曲がって行きます。

しかも、下りすぎると五色沼側の右岸はブッシュ帯となってしまい、沼には行けなくなってしまいました。
なので、家形山の裾野にぶつかったところからは、一旦雪面が続いている家形山の山頂に行くことにします。

一切経山を右に見ながら雪の斜面を登って行きます。
足下に見えるブッシュ帯は、五色沼クレーターの西側稜線と、滑って来た大倉深沢、それに家形山の裾を三辺としたデルタ状に広がっています。

山頂の30mほど西側で雪がなくなるので、土の上を少し歩いて家形山に到着です。

視界が開ける南側は、眼下に五色沼と、その外輪山としての一切経山、その右奥に平石山、前大巓といった丘が連なっていました。

一切経山下側の湖畔には、降りてきて休憩しようとしている人が見えます。

自分も湖畔に向かうべく、雪が続く斜面を滑ります。

見た目ほど密ではない樹林の中を快適に滑り、土の上を少々歩いてクレーターの縁に立ちました。

水に落ちる心配のなさそうな傾斜の緩い湖畔へと滑り降りて、つい今しがた立っていた家形山を見ながら最初の休憩です。

10時のおやつのあとは、南西側を登って往路に合流し、平石山へと戻ります。

平石山の山頂からは、往路で間違った方ではない酸ガ平小屋の直上に続く斜面を滑ります。

雪が消えた酸ガ平の湿原には降りずに、北側の雪の上を西へとトラバースして、多くのシュプールが刻まれたお隣の前大巓を滑ることにします。

前大巓山頂までの高度差は100mほどですが、登るとたちまち周囲の視界が広がり、鎌沼とその向こうに立つ東吾妻山のパノラマが広がってきます。

クラックをまたぐと、多くの人々で賑わう山頂に到着です。

つい先ほどまで居たお隣の平石山までは雪はつながっていませんが、その代わり間にある谷と鎌沼に面した斜面は一面のスロープとなっており、この山域で最も目立つ雪面となっています。
なので、皆が集まってくるみたいです。

100mの標高差を一瞬で滑り降り、途中から斜滑降して鎌沼の北西の畔に降り立ちます。

ここからはスキーをかついで、沼の先に平たく見える東吾妻山を目指すことにします。
浄土平からここを反時計回りに周回するシニアのツアーの後について湖畔を歩いて行きます。

沼の南端からは雪が消えて、露出した木道の上を歩きます。
木道の左(西)側に広がる姥ヶ原は、雪のない荒涼な平地となって広がっています。

ツアーの人たちが浄土平へと下って行った木道の終点からは、雪が多く残った場所を拾って東吾妻山へと登って行きます。

平坦な山(特に北側は傾斜が緩い)なので、すすめどもなかなか高度が上がりません。
所々で踏み抜きながら、ブッシュの妨害を避けながら登っていると、ようやく先ほど滑った2つの斜面と鎌沼が見えるようになってきました。

積雪はそれなりに深いみたいなのですが、大きな木の頭部が埋まっているところはなかなか歩きにくいですね。

そして、遠くに山頂の杭らしきものが見えてくると、何とそこから先はブッシュの海が広がっていました。

ブッシュを避けて東側から回り込み、最も山頂近くまで雪が残るところから這松を数メートル漕いで、山頂に立つと、それまで見えていなかった西側の景色が目に飛び込んできました。
磐梯山と裏磐梯の湖沼群、その右側は西吾妻山をはじめとする山並みです。

さて、これからどうしようか...

安達太良山を望む南側には、この山域で標高差が最大となる斜面が広がっているはずなのですが、ここからでは見えませんね。

あと、とても気になるのが景場平の左(東)側の緩斜面に雪が残っているかどうかが見えないことです。
現在14:00を回ったところなので、高湯のゲートが17:00に閉まることを考えると、少し余裕を見てあと2時間くらいで浄土平へと戻りたいところなのですが、高山の山腹から広がるあの黒い樹林を通過できずにスカイライン路上に着けなかった場合、ちょっとしんどくなるかもしれません。

一方で、こちらの浄土平側は、山頂直下は雪面が広がっていますが、そこから先の樹林の密度がどのくらいなのかが、経験がなくわかりません。
仮に最悪、景場平から引き返してきたときに、あの樹林の密度が登って来た北東面と同じくらいだったとすると、浄土平に到着するのがタイムアウトとなってしまう可能性がでてきます。

うじうじ考えたあげく、結果、名残惜しくはあるのですが山中一泊のリスクを避けるべく、直接浄土平へと下ることにしました。

そして、いざ下ってみると、東吾妻山東面の樹林はそんなに密ではなく、というよりもどちらかというと快適なツリーランに近く、どんどん下っているうちにあっという間に蓬莱山の南の裾にでてきました。

蓬莱山東側の山裾を横切って往路へと戻ります。

思った以上に順調で、逆に時間が余ってしまった。
というわけで、最後に蓬莱山の東斜面を滑って行くことにします。
スロープの上まで100mほど登って、正面の吾妻小富士(の手前にある駐車場)めがけて、最後の滑走です。

スロープから続くスタートの谷を経て、浄土平の湿原まで一気に滑走して終了。

それでもまだ余裕なので、吾妻小富士の遊歩道も登ってみました。
お釜の底まで滑れますね。

道路の反対側から見ると、スカイライン沿いの残雪状況がよくわかりますね。
東吾妻山のピークで心配するほどのことはなかったということが最後になってわかりました。
残念と言えば残念な面もありますが、重なった好条件のおかげで東吾妻連峰の旅を満喫することができました。

そして、最も東吾妻らしい風景がここにありました。


●2022年4月24日(日)
浄土平駐車場(7:40)→酸ヶ平 (8:20)→平石山(9:15)
→滑走→家形山(10:00)→滑走→五色沼(10:25~40)
→平石山(11:25)→滑走→酸ヶ平(11:35)
→前大巓(12:10~20)→滑走→鎌沼(12:30)
→東吾妻山 (14:10)→滑走→酸ヶ平下の登山道(14:40)
→蓬莱山斜面滑走(15:05)→浄土平駐車場(15:20)


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