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2025年5月7日水曜日

焼山(BCスキー)

 日本各地に数十は下らないとされる「焼山」の中の最高峰(ちなみに、それよりも高い上高地の山は「焼岳」)となる新潟県妙高/糸魚川市境の焼山は、日本海から冬の北風が直撃する豪雪の山で、山頂付近から山麓の笹倉温泉まで標高差2000m近い(正確には1900m前後の)滑走が可能な山スキーの聖地ですが、地球温暖化が進む近年は完全滑降の条件がそろいにくくなってきました。

2年前のGW直前に訪れた時も、標高2000mくらいから断続的な猛ブッシュに阻まれて途中引き返した経験がありますが、雪が多い今年はどうでしょうか。


糸魚川市大平にある笹倉温泉の少し奥にある、市民にもあまり知られていない「ゆのかわうちキャンプ場」にクルマを停めて、目の前の焼山橋を渡り、舗装道路を歩き始めます。
目の前にある堰堤まで舗装道路が露出して、クルマで行けるかどうかが、後ほど標高2000mを越えて行けないかどうかのベンチマークの一つだと思います。
堰堤横のカーブを曲がると、5~6か所ほど雪が途切れて数メートル前後路面が見える以外は、林道は雪に覆われていました。

最初の標高差250mは、ヘアピンカーブが続く林道を登って行きます。
徐々に傾斜が急になるヘアピンの後半は、路上に斜めに積もった雪の上での滑落が悲惨な結果となる場所があり、(後で必要となる山頂付近と共に)アイゼンやクトー等の滑り止め持参が推奨です。

標高800mほどからはとてもなだらかな地形となり、ブナの芽吹きが赤から黄緑へと移り変わる疎林の中を、時折ある小さなヘアピンカーブをショートカットしながら歩いて行きます。

なだらかな地形をおおよそ2km・標高差100mほど進むと、アマナ平に到着しました。

高松山からの大きな沢が焼山川に合流する場所にできた巨大駐車場のような堆積物の平地で、焼山北面台地の北西端の下に位置しています。

ここから北面台地へと登るところでミスをしてしまいました。
先行する何パーティーかが、正面の(焼山川右岸に並走する)この小さな谷を登って行ったので、何も考えずに後をついて行ってしまいます。
本当は↓左側に見える雪の斜面を登って行くのが正解(左側の尾根の上が北面台地)ですが、先行した方々が行き詰ってしまったので、慌てて引き返しました。
引き返した後も、台地へと続く雪面を見逃してしまいしばし迷走。
無駄に大回りして夏季登山道付近から台地上に出ました。

台地末端に立つと視界が一気に開け、独特の山岳風景となりました。
周囲をスキーの名山に囲まれています。

左手に火打山。

正面の焼山。

右側の高松山。

特に目印もないがとても分かりやすい平原をひたすら直進していきます。

このあたりが「大曲」という地名みたいですが、全てが雪の下となっている今は何が曲がっているかは全くわかりません。
正面中央に生えている十数本の樺の木の右側をかすめて登って行きます。

徐々に山頂への急登へと変わって行きますが、左に岩壁、右にブッシュの列に遮られていく目の前の広い斜面は、上部が登れるかどうかというくらい、かなり急になっています。

ちょうど雪に亀裂が入っている赤印の場所で休憩していた先行パーティーが、フットアイゼンを着けてブッシュの薄い場所から右側の雪面に移動して登って行ったので、同じ行動をとることにしました。

亀裂の下で一息ついて、

ブッシュの薄いところを抜けて雪の斜面を急登していきます。

徐々に傾斜が緩んできますが、なかなか山頂が見えてきません。
思わせぶりかつ結構苦しい最後の登りを続けていると、

お、あれが山頂付近か?

やっと着いたか...

ようやく火口丘の縁に登り着きました。
荷物をデポし、空身で目の前にある窪地の対面の岩の最高部へと向かいます。

右側の雪の斜面を斜上して岩の道を登ると、ようやく山頂に到着。
クルマで走ってきた早川の谷の右岸に続く放山~鉾ヶ岳の向こうは日本海。

眼下に荷物を置いてきた火口丘の対岸が見下ろせます。

周囲は想像をはるかに超える大展望が広がります。
こちらは東~南側。

火打山と妙高山。

その右、笹ヶ峰高原・乙見湖の向こうは黒姫、飯縄、高妻などの戸隠周辺の山々。

南西~北西にかけては、

後立山連峰を背景に真っ白な天狗原山周辺~雨飾山

海谷山塊、昼闇山、高松山

大展望を満喫した後は、荷物を置いた場所まで戻り、往路をスキーで下って行きます。

急登してきた斜面を少し滑走し、ブッシュを渡り返したら、

眼下の北面台地にむけて一気に滑って行きます。

先に滑り出した先行パーティーがなだらかな台地を下って行くのが見えますか?

あっという間に遠ざかった山頂ドームに別れを告げてアマナ平に滑り込みます。

ちょっとの間平坦地を漕ぎ、少し登り返したら、林道に沿ってブナの疎林の中の滑走。

ベルトコンベヤー上の荷物の様にヘアピンカーブを流れていると、ぐんぐん里が近づいてきて、出発地に戻りました。

●本日の反省…2回目なのにルートファインディングがいまいち。
 北面台地までは2年前の記憶を頼りに進めば間違いないだろうと思っていましたが、実際に行ってみると当時の記憶がほとんどないことに気付いた。
 認知力がヤバい。
 曖昧な過去の記憶などあてにせず、正確な地形図・GPSのリアル情報を根拠として行動しなくては。

 北面台地は素晴らしいところだが、そこから先もさらに素晴らしかった。
 もしかすると日本にしかない/日本を代表する山岳エリアかも。

 山頂にこだわらず滑走目的のみであれば、標高2000mまででも同等の爽快感と充実感が得られると思います。

●2025年5月5日(祝)
ゆのかわうちキャンプ場(6:20)→第一ゲート(6:45)
→最終ヘアピンカーブ(7:30)→アマナ平(8:45)
→北面台地北端(10:00)→大曲(11:20)
→火口外縁(14:05)→焼山(14:30)
→火口外縁(14:40;滑走開始)→大曲(15:20)
→第二ゲート(16:10)
→ゆのかわうちキャンプ場(16:50)


2025年5月3日土曜日

野反湖西岸の山々(BCスキー;三壁山~高沢山~エビ山)

 野反湖道路が開通した2025年4月23日の「野反湖登山案内センター」ホームページでは、雪に埋もれた白砂山登山口やトイレが写っていました。

ここ数年稀に見る雪の多さとのことなので、これはチャンスだと思って出かけたのですが...


8日前の登山案内センターHPでは、表示部のみが顔を出していた登山口の看板は、(登山道はまだ雪の下ではあるものの)周辺の地面がすっかり見えるくらいに雪解けが進んでいました。

先ずは登山口駐車場前の舗装道路を直進して、野反湖の堰堤を歩き対岸のキャンプ場へと向かいます。

対岸の坂を登るとすぐにビジターセンターが見えてきましたが、その周辺に結構な台数が停められる駐車場が除雪されていました。…ここまでクルマで来ればよかった。
ビジターセンター前を右折し、コテージが並ぶヘアピンカーブを登って行きます。
このあたりの雪の量はとてもスキー滑走できるものではなく、もう止めて帰るか、ハイキングに変更しようかと思いつつも、一応奥の登山口まで登ってみることにします。

キャンプ場の上まで上り詰め、三壁山登山口に到着したとたん、急に雪が増えたので、これはもしかすると と思い直して登って行くことにしました。

が、登るにつれてブッシュで雪が寸断されているところが出現しはじめて、登山口の雪量はダマシだったことがわかってきました。

ちょっと、同じ場所を滑って引き返す気がしないなあと思いながら先へと進むと、稜線が近づくにつれて、地面はほぼ雪で覆われるようになってきました。
雪で覆われているといっても、木々の間隔が狭くて滑るには苦労しそうな緩斜面ですが、やがて見えてきた三壁山の東の尾根はそこそこの雪が残っているのが見えました。

尾根を進むと、徐々に視界が開けてきて、振り返ると下水内-南魚沼郡界の山々が望めます。
一番遠くはもしかすると苗場山かな?

右手(西)の木々の間からは魚野川を挟んだ岩菅山。

左の眼下に野尻湖、湖畔の八間山、左側の白砂山を望みながら稜線を歩いていくと、森の中にある三壁山山頂に到着しました。
三壁山の東斜面は、雪が残り少なくなった今となっては貴重な滑走場所の候補ですが、何故か周囲は見晴らせず、この下に残雪が続いているのかは定かではありません。

なので、目の前に唯一視界が開けている南側の高沢山への尾根を滑って行くことにしました。

が、距離にして300mほど滑った次の小ピークの手前で早くも雪が途切れました。
幸い登山道すぐわかったので、少しの距離を歩いて次の残雪面に到着しますが、、、

次のピークへの道も似たようなものでした。
稜線のブッシュをいちいち歩いていくのは面倒なので、思い切ってテキトーに滑ることにします。

というわけで、雪の量が多い稜線の左(東)側を滑り、登山道まで戻れなそうになると歩いて登り返します。

隣に見えてきた高沢山へも雪を拾って滑り、滑れなくなったらコルまで登り返して稜線を登り、いつしか雪が無くなった高沢山へ。
高沢山から先の2つの凸も、100~200m滑っては登るということを繰り返していきます。

そして、エビ山が見下ろせるところまで来ましたが、この先はとてもスキーで移動できるような感じではなさそうです。
エビ山の山頂は通らずに手前(北)側の雪の上を巻いて行った方がよいと書いてあるガイドブックもありますが、そんなことをしたらブッシュ地獄にはまりそうです。

なので、登山道を歩くハイキングに変更。

土の上を歩いて到着したエビ山から、越えてきた黒い山々を振り返ります。

稜線の登山道は草津方面を遠望しながら弁天山・野反峠へと続いて行きますが、もういい加減この辺で帰ることにします。

キャンプ場へと戻る雪のない登山道を、スキーを担いで歩いて行くと、

徐々に雪が増えてきて、

湖岸へと下りはじめる「エビの見晴台」というところからは途切れずに続くようになったのでザックから板を外して滑って行きます。

それでも登山道沿いはすぐに雪が途切れてしまったので、残雪が豊富に見える場所を選んで、遊歩道が通る湖岸までなるべく最短距離で滑って行くことにします。

登山道が無いので、本当に雪が無くなってしまった場合はブッシュ漕ぎとなるリスクはありますが、標高差が150m足らずなので何とかなるさと楽観しているうちに、釣り師が糸を垂れる湖岸に無事到着。

ところどころ水没している遊歩道(野反線歩道)を北へ向かって歩くと、ニシブタ沢手前にある第2キャンプ場の先から除雪されており、なんと洗い場まで用意されていました。
今日はいったい何をしていたのかよくわかりませんでしたが、最後にスキー道具がキレイになって、なんだか得した気分となり歩いて行くと、ビジターセンターの前にでました。

野反湖の入口にある野反峠から見る西岸の山並みです。

今日のルートはだいたいこんな感じ。
いまさらですが、よくここにスキー持って行ったもんだな。
見た目の感覚に従って行動する(やめておく)のが正解でした。

反対側の東岸の八間山はもう雪なんかほとんどなくて初夏の様相ですね。

●本日の反省…反省にもならん
 せっかく遠くまで来たのに/とてもいい天気だから、中止するのはもったいない と感じるのならば、やり方を変えなくては。
 同じ場所を残雪期のトレッキングとして歩けば、静かな素晴らしい山旅となったに違いない。(スキーを背負っていると静かではあったが、素直に素晴らしいとは言えない)

 それにしても、この山域のスキーシーズンは極めて短いことを実感した。
 降雪量が多い年の道路開通当日くらいまでが勝負ではないだろうか。
 もちろん、道路開通前に六合からはるばる歩いてくるほどの篤い志などは持っていない。


●2025年5月1日(木)
野反湖バス停(白砂山登山口;8:00)
→野反湖ビジターセンター(8:13)
→三壁山(10:10)→高沢山(11:25)
→エビ山(12:15)→野反湖畔(13:00)
→野反線歩道→野反湖第2キャンプ場(13:20)
→野反湖ビジターセンター(13:45)
→野反湖バス停(13:55)



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