日本各地に数十は下らないとされる「焼山」の中の最高峰(ちなみに、それよりも高い上高地の山は「焼岳」)となる新潟県妙高/糸魚川市境の焼山は、日本海から冬の北風が直撃する豪雪の山で、山頂付近から山麓の笹倉温泉まで標高差2000m近い(正確には1900m前後の)滑走が可能な山スキーの聖地ですが、地球温暖化が進む近年は完全滑降の条件がそろいにくくなってきました。
2年前のGW直前に訪れた時も、標高2000mくらいから断続的な猛ブッシュに阻まれて途中引き返した経験がありますが、雪が多い今年はどうでしょうか。
糸魚川市大平にある笹倉温泉の少し奥にある、市民にもあまり知られていない「ゆのかわうちキャンプ場」にクルマを停めて、目の前の焼山橋を渡り、舗装道路を歩き始めます。
目の前にある堰堤まで舗装道路が露出して、クルマで行けるかどうかが、後ほど標高2000mを越えて行けないかどうかのベンチマークの一つだと思います。
堰堤横のカーブを曲がると、5~6か所ほど雪が途切れて数メートル前後路面が見える以外は、林道は雪に覆われていました。
最初の標高差250mは、ヘアピンカーブが続く林道を登って行きます。
徐々に傾斜が急になるヘアピンの後半は、路上に斜めに積もった雪の上での滑落が悲惨な結果となる場所があり、(後で必要となる山頂付近と共に)アイゼンやクトー等の滑り止め持参が推奨です。
先行する何パーティーかが、正面の(焼山川右岸に並走する)この小さな谷を登って行ったので、何も考えずに後をついて行ってしまいます。
本当は↓左側に見える雪の斜面を登って行くのが正解(左側の尾根の上が北面台地)ですが、先行した方々が行き詰ってしまったので、慌てて引き返しました。
左手に火打山。
正面の焼山。
右側の高松山。
特に目印もないがとても分かりやすい平原をひたすら直進していきます。
このあたりが「大曲」という地名みたいですが、全てが雪の下となっている今は何が曲がっているかは全くわかりません。
引き返した後も、台地へと続く雪面を見逃してしまいしばし迷走。
無駄に大回りして夏季登山道付近から台地上に出ました。
台地末端に立つと視界が一気に開け、独特の山岳風景となりました。
周囲をスキーの名山に囲まれています。
特に目印もないがとても分かりやすい平原をひたすら直進していきます。
正面中央に生えている十数本の樺の木の右側をかすめて登って行きます。
荷物をデポし、空身で目の前にある窪地の対面の岩の最高部へと向かいます。
右側の雪の斜面を斜上して岩の道を登ると、ようやく山頂に到着。
眼下に荷物を置いてきた火口丘の対岸が見下ろせます。
後立山連峰を背景に真っ白な天狗原山周辺~雨飾山
海谷山塊、昼闇山、高松山
眼下の北面台地にむけて一気に滑って行きます。
あっという間に遠ざかった山頂ドームに別れを告げてアマナ平に滑り込みます。
ちょっとの間平坦地を漕ぎ、少し登り返したら、林道に沿ってブナの疎林の中の滑走。
ベルトコンベヤー上の荷物の様にヘアピンカーブを流れていると、ぐんぐん里が近づいてきて、出発地に戻りました。
クルマで走ってきた早川の谷の右岸に続く放山~鉾ヶ岳の向こうは日本海。
眼下に荷物を置いてきた火口丘の対岸が見下ろせます。
周囲は想像をはるかに超える大展望が広がります。
こちらは東~南側。
火打山と妙高山。
その右、笹ヶ峰高原・乙見湖の向こうは黒姫、飯縄、高妻などの戸隠周辺の山々。
南西~北西にかけては、
大展望を満喫した後は、荷物を置いた場所まで戻り、往路をスキーで下って行きます。
急登してきた斜面を少し滑走し、ブッシュを渡り返したら、
先に滑り出した先行パーティーがなだらかな台地を下って行くのが見えますか?
●本日の反省…2回目なのにルートファインディングがいまいち。
北面台地までは2年前の記憶を頼りに進めば間違いないだろうと思っていましたが、実際に行ってみると当時の記憶がほとんどないことに気付いた。
認知力がヤバい。
曖昧な過去の記憶などあてにせず、正確な地形図・GPSのリアル情報を根拠として行動しなくては。
北面台地は素晴らしいところだが、そこから先もさらに素晴らしかった。
もしかすると日本にしかない/日本を代表する山岳エリアかも。
山頂にこだわらず滑走目的のみであれば、標高2000mまででも同等の爽快感と充実感が得られると思います。
●2025年5月5日(祝)
ゆのかわうちキャンプ場(6:20)→第一ゲート(6:45)
→最終ヘアピンカーブ(7:30)→アマナ平(8:45)
→北面台地北端(10:00)→大曲(11:20)
→火口外縁(14:05)→焼山(14:30)
→火口外縁(14:40;滑走開始)→大曲(15:20)
→第二ゲート(16:10)
→ゆのかわうちキャンプ場(16:50)