2022年5月17日火曜日

鍋倉山(BCスキー)

 豪雪の年2022年も、4月下旬以降は連日の晴天と猛暑が続き、雪解けが急速に進みました。

6月になっても滑走可能なときもある豪雪の森、鍋倉山も例外ではない模様で、GW後半には残雪がなくなりつつあるとの情報を聞いて慌てて出かけます。

近年は信越トレイルの山としてその方面に認知されてきた長野ー新潟県境の開田山脈。
JR飯田線上境駅近くで国道117号線を分かれて千曲川を渡り、温井の集落から更に県道95号線(上越飯山線)を登って行くと、田茂木池付近からは新緑に燃える鍋倉山が間近に見えます。
実は、十日町方面からここへ向かってくる途中の県境付近からも同様の姿が見えていて、無駄足を踏んでしまったかと後悔しながらも念のためやって来たのですが、近寄ってみたところで、とても雪が積もっている様には見えません。

ダメもとで県道の除雪終了点である標高880m付近の駐車スペース(正式名称はチェーン着脱場とのことです)までやってきたところ、何と期待を遥かに超える量の雪が残っていたので、気を取り直して出発します。
ちなみに、この駐車場までの道は、例年GW前くらいに除雪が終了して解放される様で、訪れた5月15日は、通行止めではあるものの、その先に除雪された道路が続いていました。

準備して、さっそく通行止めチェーンの先左側の雪上に登れそうなところから、その左奥にある沢に向かって登山開始です。

山裾の雪上を行くと、すぐに鍋倉山と北隣の黒倉山の間に横たわる沢に出ます。
少々ブッシュを漕いで沢底に降り、雪の上を登って行きます。

ほぼ同じ時刻に自分も含めた4パーティー・6名と2匹の犬が一緒に登り始めました。
ご夫婦に連れ立ったお利口なわんこは、楽しい雪の上で大張り切りです。

左手に続く鍋倉山の北斜面の滑りやすそうな(ブッシュが少なそうな)場所を物色しながら登って行きます。

滑る場所の目星がついたところで、谷を最後まで詰めずに標高1120m付近から鍋倉山山頂に向けて北斜面を直登すると、標高差150mも登らないうちに、牧峠や菱ヶ岳といった北方向が見渡せるようになりました。

北西のお隣にある黒倉山へと、そこから東へと続く尾根上にだけ、雪の斜面が見えます。

南側は既にブッシュが出てしまった稜線を辿ると、すぐに山頂に到着です。

しばし休憩の後に、あたりをつけた斜面目指して滑走開始です。
ちょうど山腹を向こうに伸びていく県道の方向にそれはあるはず...

標高差200m弱の適度な斜面を一気に滑り降ります。
山頂付近では折れて落ちた枝が多く、エッジの空滑りが続いたものの、このルンゼ状の窪地(地形図に唯一記載されている小さな沢状)に入ってからは快適な滑走でした。

先ほど登って来た谷を、今度は黒倉山目指して登ります。

さきほど山頂付近から見えた黒倉山の東に白く続く尾根には、雪量豊富な斜面がありました。
それでは、いただきます。

標高1050mを過ぎた少し先で尾根の雪は消えたので、標高差170m、距離にして650mほどの滑走は終了となりました。
50mほど下にある往路の谷へと落ちていく斜面に茶色い雪が続いているものの、ここで一旦滑り終えることとしました。

短い距離の緩斜面でしたが、ブナの葉の薄緑色とその木立の疎らさ加減、それに根開けが広がる雪面のトーンがとても美しかったです。
左手に鍋倉山の稜線を時折見ながら、名残を惜しみつつ森の中を登り返してゆきます。

自分のシュプールを辿りながら、黒倉山直下の雪が切れるところまで登ります。

稜線のあちこちに、自分の埋まった跡を雪面に残すブナの若木があります。

目の前に広がる雪面は、これから同じように斜めに立ち上がってくるブナで覆われていくのでしょうか。

駐車場に戻るべく、登って来た谷を滑り降りていきます。

そして、スタート直後の光景を巻き戻すように、谷はどんどん狭く、雪はどんどん少なくなっていきます。

往路へは登り返さずに、谷から直接県道に出る魂胆で安易にそのまま滑って行くと、たちまち落とし穴が口を開け始めたので、沢芯の残雪が途切れたところで右岸の段丘に登り、無雪期の登山道がついている(はずの)斜面を100mほど下って、駐車場すぐ下の県道に出ました。

●2022年5月15日(日)
県道95号線巨木の谷チェーン着脱場(8:00)
→鍋倉山(9:45)→北面滑走→黒倉山(10:35)
→東尾根滑走→登り返し(11:00)
→黒倉山東肩(11:40~11:50)
→谷滑走→チェーン着脱場(12:20)



2022年5月8日日曜日

京都の庭と観客(その5;南禅寺・日向大神宮)

 前日に引き続き、行動制限のないゴールデンウイークの京都見物の三日目です。

最終日の今日は、タイトルに立ち返り、庭を中心に見て行くということで、東山の名園を多く持つ南禅寺へ行きます。

地下鉄東西線の蹴上(けあげ)駅を出て右側に下って行くと、すぐにレンガ造りのトンネルが出てきます。(何故かは知りませんが、トンネルの名前は「ねじれまんぽ」)


ねじれまんぽをくぐると、南禅寺の塔頭である「金地院」の裏口から入った形となり、100mほど坂を下って行くと、左側に金地院境内にある東照宮の門が見えるようになります。

東照宮からは中に入れないので、その先の金地院の入口で拝観料を支払って入ります。

明智門という唐破風様の門をくぐると、順路は時計回りに池泉式の庭を回って行きます。

そして、さきほど外から見た門の前を通って着いた池の向こう側の斜面の上には、徳川家康の遺言により建てられたとされる東照宮があります。

日光と久能山のものに比べると修復されておらず、年月を隠せませんが、家康の遺髪と念持仏が祀られている由緒のあるものとのことです。

東照宮の右手にある門を抜けて小さな階段を下ると、入場してきた方向に大きな方丈が見えてきます。

方丈の前に広がるのは、狩野探幽や快慶、長谷川等伯画伯などの数ある名作や重要文化財の茶室「八窓席」にも勝る国の特別名勝、「鶴亀の庭」です。
伝ではなく正真正銘の小堀遠州作の名庭。

いちいち能書きを垂れるのは野暮な空間ですので、方丈の縁側に腰掛けたり、板間に上がったりして、無観客の時間をゆっくりと過ごします。
いやー、これは驚きでした。
受付のおじちゃんを含む職員3名と観客2名に数十秒間会った以外は、誰もいませんでしたので、思わず長居をしてしまいました。

金地院を退出して、来た道を先へと進むと、すぐに本来の入口から出てくる形で南禅寺の境内となります。
そばにある中門・勅使門の横を抜けると巨大な三門があり、奥の法堂へと続きます。

法堂の右手にはレンガ造りのアーチ橋があり、上を琵琶湖疏水が流れていました。
アーチの下には和服姿のカップル(稀に女性同士も)が思い思いにスマホ撮影に余念がありません。
ここまでは無料ゾーンで誰でもやってくることができました。

この先は、本日の目的である南禅寺の方丈周辺の庭園を見物することにします。
入場料を支払い、法堂奥にある本坊から廊下伝いに国宝の方丈へと向かいます。

先ずは建物の東側に広がる、伝小堀遠州作といわれる方丈庭園。
数名の観客が玉砂利を見ながらのんびり座って時を過ごしています。

奥のコーナーを右折した南側にあるのが、小方丈庭園で、ここからは人通りがぱったりと途切れて無人の空間が広がります。

さらに先へと進むと、方丈庭園から見て建物の裏側となる場所には、六道庭が広がります。

六道庭は、このキャラクターが鎮座する回廊の屈曲部を中心に、上を走る廊下でいくつかの小庭園に区切られています。

これは方丈に接する部分。

そこから西側へとクランク状に廊下が伸びており、不識庵や麝心亭などの茶室が立っています。

規模が大きく、多彩さが際立っており、見飽きることがありません。
そして腰掛ける場所が少ないためか、人も居ない(たまに通過するだけ)のでゆっくりと堪能できました。

さて、最後にもういっちょう。
山門の隣に入口がある天授庵の庭にも行ってみたいと思います。

こちらは、方丈の前庭となる東庭と、書院にある南庭という趣の異なる2つの庭で構成されています。

2つ並んだ門(表門と山門)のうち右側の山門で受付を済ませ、正面の庫裏前を左折して方丈の横を通ると、表門の裏側から広がる枯山水の東庭に到着です。

日中の気温が上昇したこの日は、北向きの庭が日陰となり過ごしやすいためか、大勢ではないものの十名ほどの人々が縁側でのんびりしていました。
本日訪れた他の枯山水の庭と比較して面積はかなり小さいですが、滞在者の根の張り具合は最も強固です。

西側は、表門から入って来た時に、方丈までやってくる間の飛び石が通る造りとなっています。

縁側で枯山水に見入る人の前をずんずん通り抜けると、池泉回遊式の書院庭園があります。

水と空間の配置が絶妙に感じられる庭で、他の回遊式庭園と異なり、樹木が上に張り出した日光の指し具合が程よく、広い空間を独占できる人の少なさ(常時1~2名くらい)も相まって、まさに異空間を彷徨う雰囲気があります。

東庭に戻って見学終了です。

さて、蹴上駅への道を引き返して帰路につきますが、先ほどくぐったトンネル「ねじれまんぽ」の前に「インクライン」の標識があったので、その方向に向けて登ってみたところ、ねじれまんぽの上は、ケーブルカーのようなレールの跡地でした。
ここでも南禅寺のアーチ橋の下に居たような和服姿のカップル(稀に女性同士)がたむろしてスマホの撮影に余念がありません。

インクラインのレールを上まで登ったところには船溜まりがあり、その脇では向こうから流れてきた水が、インクラインの横にある太い配管にごうごうと吸い込まれていきます。

船溜まりの先で水路を渡る橋(名前は大神宮橋)の上から上流を見ると、水が流れ出してくるトンネルがあり、その中を進んでいくと思われる遊覧船が停泊していました。

せっかくなので、橋の上にある大神宮にも行ってみました。
遊覧船の止まっていた橋から15分ほど登って行くと、平安遷都以前からこの地に鎮座する「日向大神宮」が立っていました。

日が暮れると真っ暗となるようなところに建っている無人の社ですが、これまで見てきた京都の建物とは趣が異なる、独特の雰囲気を持った建築でした。

大神宮橋から下ると、すぐに蹴上駅があります。

●2022年5月7日(土)

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