2023年8月28日月曜日

庚申川本流 (沢登り)

栃木県日光市足尾町を流れる渡良瀬川の支流庚申川を、標高810mにある砂防堰堤の上から、庚申山登山道の一の鳥居付近にある庚申七滝までの間を遡行しました。

日本各地の猛暑日数が史上最多を更新し続ける2023年の夏。
連続20何日間かは知らんが、ここまで長い間クソ暑いともうたまらん。
ちょっと迷ったものの、大量の水浴びができる川へとお出かけすることにしました。

わたらせ渓谷鐡道に沿って走る国道122号線を、原向駅の500mほど通洞寄りで県道293号(庚申山公園)線へと曲がると、5kmほどで国民宿舎かじか荘に到着します。

かじか荘のすぐ先に2つある庚申山登山者用の広い駐車場にクルマを停めてスタート。

庚申山へと続く林道を20分少々歩いたところにある古いゲート手前の、「庚申渓谷」看板がある右カーブに堆積した土砂の裏側に、尾根を下って行く踏み跡があります。
途中からジグザグとなる踏み跡は、大きな堰堤の上で終わりました。

堰堤の上で沢支度して、土砂が堆積した川原を行きます。

堆積物がなくなると、川原は所々で横から張り出してくる岩盤によって無くなり、川幅一杯に滔々と流れる水の、浅いところを選んで胸まで浸かって越えて行きます。

右岸から枝沢(雨降沢)が滝で落ちてくると川原はほぼ消滅し、泳ぎを交えて渡渉を繰り返していると、最初の大きな滝が見えてきました。


約7mの高さの坑夫(光風)の滝です。
泳いで取り付いて流れの右端を登れるそうですが、低めの水温であの水量を被るとただでは済まなそうなので、即巻くことにします。

右岸についている巻き径は、ロープ完備でジャスト落口に下りてきました。

引き続き豊富な水量の川を遡って行きます。

水量が豊富で基本的に深いため、大きな釜などでは側面をヘツるよりも泳いでショートカットしてしまった方が早いところもあります。

また、岸を歩いてい行き詰り対岸へ渡ろうとする場合も、渡渉ではなく短距離を水泳するような場所が半分くらいです。

そうこうしているうちに、巨岩トンネルの間を泳ぐ淵に到着。
左岸側を巻けそうですが、せっかくなので泳いで潜って行くことにします。

いざ泳ぎ始めると、意外と流れが速く、水泳が下手な自分の速度では押し戻されてしまうので、水面近くの岩を掴んで進むヤツメウナギ泳法で突破。

すぐ先にも似たような雰囲気の淵があり、こちらも左岸を巻けそうですが、せっかくなので泳いで中央を抜けます。

巨岩が散在する大味な渓谷をさらに行くと、二段の滝が登場します。
眼鏡滝とも呼ばれるらしいこの二段の滝から、左岸から笹ミキ沢が合流するまでの区間が、この川の下流部で最も変化に富んだところでした。

二段の滝の奥の方を覗いて物色するも、とても中を行けそうにないので、左岸斜面に見えるトラロープを目安に巻いて行きます。

踏み跡を登って落口の上に出ると、すぐ上方には林道のガードレールが見えました。
(落口上の2つの巨岩が眼鏡なのか?)

すぐ先で川が右に直角に曲がるところには滑り台がありました。
林道から緩斜面で降りてすぐのここには、ウォータスライダーしに来る人も居るとのことです。

左岸の岩から滑り台を登ると、その上は廊下状となっていました。
右岸の岩の斜面にトラロープが垂れていますが、ぱっと見泳いで通過できそうです。

と思って泳いだのですが、瀞が終わってから右岸に這い上がる斜面がツルツル。そこから先は流れに押し戻されて進むことができず、結局トラロープまで戻されて巻くことになりました。

トラロープで巻いた淵のすぐ上は、左岸の岩に穴が開いたところで、ここは中を行った方が楽そうです。

左岸の穴を越えたすぐ先は、左岸から小滝で落ちる笹ミキ沢との出合で、ここが距離的には堰堤と庚申七滝の中間点となりますが、ここから庚申七滝の区間は、前半と比較するとやや単調な渓相となります。


笹ミキ沢出合のすぐ先の右岸枝沢の滝を過ぎると、川原が続くようになります。

大雑把なれど、淀みが無数にある流れは釣りに最適の様に感じられ、竿を指しながらのんびり進みますが、恐らく他の人も同様なことを考えると思われ、先ほどまでの厳しい巨岩の流れで頻繁に見られた魚影がぐっと少なくなりました。

あまり成果が得られないまま、人臭い河原を歩いて行きます。

途中一か所大きなプールを持つ小滝がありました。
右奥の巨岩の下に陽が差し込んでいて、向こう側に抜けれそうに見えるのですが、それは目の錯覚で、苦労して泳いで行っても行き止まりなので、左岸を迂回していきます。

巨岩のトンネルを潜ったり...

泳いでも行き詰るところは、どちらか側の岩の間を迂回したりしていると、巨岩の隙間の向こうにようやく滝のようなものが見えてきました。

巨大プールの向こう側に3mほどの二条の滝が落ちています。
恐らく、ここはかつて(今もか?)庚申七滝と呼ばれていたところの一つと思われ、右岸側から遊歩道が下ってきていたところかと思います。

プールの右奥の岩壁が直角になったところで流れが緩くなっていて、あそこまで泳いで行って這い上がることができそうですが、ここに来るまでの間で泳ぎはおなか一杯であることと、お昼休みを過ぎて雲行きが怪しくなってきたことから、左岸をヘツって越えることにします。

手前がユルくなっている岩からスタートすると...

途中で傾斜が厳しくなり、思わずドボン。
結局当初考えていた岩角まで泳いで行って這い上がりました。
ちなみに、この滝は右岸の岩頭の裏から巻けます。

滝のすぐ上にはまた似たような滝がありました。
これは左側の石の詰まった隙間を登れそうな気がしないでもありませんが、スブ濡れで這い上がった直後なので既に気力喪失。
ぱっと見て簡単そうな左岸の土斜面から巻くことにします。
このあたりから、左岸の上の方には遊歩道の柵もちらちらと見えてきます。

左岸斜面には薄っすらと踏み跡の様なものが付いており、所々で腐ったトラロープも張ってありました。
左下の滝とも単なる急流ともつかない流れを見下ろしながら、踏み跡に従いトラバースしていると、すぐにピンクテープが現れて、遊歩道の終点に到着しました。

左岸に滝が連って落ちてくる水ノ面沢沿いにある、腐った階段で退出します。

上部に連なる滝と遊歩道の橋を見上げながら廃道を登ると、すぐに庚申七滝の看板がある広場で、水ノ面沢の上部へと続く滝が見物できました。

整備された庚申川沿いの遊歩道を下るとすぐに一の鳥居があり、庚申山への登山道と合わさります。
林道の様な登山道を歩いて登山口の駐車場に戻ります。

●目的通り、というか目的を遥かに超えて納涼が満喫できました。
 クライミングやロープを必要とする場所がない”歩く川”ですが、さすが「川」だけあって「沢」とは次元を異にする水量で、最初は戸惑いましたが、遡行距離を短くしたこともあって、今回の区間のみに限ると、トータル難度では南関東の同傾向の川である丹波川本流や小金沢本谷と同等かちょっと易しいくらいに感じました。
 但し、胸を越える水深で人の泳速を越える流れが一定間隔で確実にでてくるため、当日の水量次第では難度が大きく増すであろうことと、平水でも”沢歩き”では求められない大水量への対処が必要なことは要注意だと思います。
 泳ぎが苦手な人はそもそも行かないか、ライフジャケットとは言わないまでも、フロートを装着することで負担が軽減されるかもしれません。

●2023年8月26日(土)
銀山平(8:55)→林道ゲート(9:17)
→堰堤(入渓;9:50)→庚申川本流遡行
→坑夫の滝(10:15)→巨岩トンネル(10:55)
→二段の滝(眼鏡滝;11:20)→笹ミキ沢出合(10:48)
→庚申七滝(13:30~14:00;脱渓)
→一の鳥居(14:10)→銀山平(15:08)


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