2021年8月13日金曜日

安谷川(川浦谷渓谷)下流部 (沢登り)

 2021年の夏は7月中旬から暑さが続き、8月5日にはついに猛暑日を観測した地点が全国で200か所を超え、日中は連日痛いような暑さが続いています。

緊急事態宣言下の南関東においてはおとなしく過ごそうとしていたものの、ついに耐え切れなくなり、昨年同様、納涼泳ぎ沢へ行くことにしました。


今年選定したのは秩父鉄道「武州日野」駅の近くを流れる安谷川(地形図にはカッコ書きで”川浦谷渓谷”と書かれている川)の下流です。
秩父市街から国道140号線を雁坂トンネル方面へ向かい、日野駅手前の”荒川中学校入口”の信号を左折して道なりに行くとでてくる蕎麦処「和味」の少し先にある植樹祭の看板がある空地にクルマを停めてスタートです。

蕎麦屋さんの前にある標識を「明ヶ指たまご水」の方向に入って安谷川へと下り、川の向こう側を上流に向けて歩いて行きますが...

川に着くと、なんと架かっているはずの橋がありません。
橋脚だったと思われる構造物はあるのですが、周囲を見渡しても橋の気配がないので、ここで沢支度をして一旦渡渉し、対岸の林道を上流方向へと歩いて行きます。

全く人の気配のないキャンプ場の入口を右へと行くと、道は「明ヶ指のたまご水」の標柱がある河原へ降りていきます。
硫黄臭のある水が湧きだす河原から遡行開始です。

スタートしてすぐの川原にカツラの木が立っていました。

先ずは通称「通ラズ」と呼ばれているらしい最初のゴルジュに向けて、1時間の川原歩きです。
川原歩きといっても、いわゆる石の川原はそれほどなく、水がごうごうと流れる大きな岩の間を登りながら、ときどきあらわれる瀞をざぶざぶ進んでいく感じです。

透き通った水に浸かりながら、猛暑の中を歩いて行くのは快適ですが、さすがに単調さに飽きてきた頃、最初のゴルジュに到着します。

最初のゴルジュはいわゆる典型的な函で、足が着かず、両岸に手掛かりもない水路を泳いで突破します。
左岸に見えるテラス状の緩い傾斜が最初の目標になります。
が、泳いでみると、徐々に水路の幅が狭くなるに従い流れも速くなってきて、ある場所まで行くと前へ進まなくなります。
気合を入れて早く泳ぐと、それなりに前進するのですが、泳ぐ速さと流速が同じとなった場所まで来ると、まるで回し車を走るケージの中のハムスターの様に同じ場所を泳ぎ続けることになります。

5回ほどトライした後に、大休憩を入れて再開し、最後は全力で空身のクロールをするのですが、泳ぐ速度を変えても泳ぎ抜けられないことに変わりはなく、変わるのは前に進まなくなる場所だけです。

自分の力ではどうにもならないことが身に染みて理解できたところで、ゴルジュを巻くことにします。
巻きは適当なところから左岸斜面を登り(ピンクテープが散見されます)、泳ぎ着きたかったところのちょうど上あたりに生えている木を目指して、途中からトラバース気味に壁を進んで行きます。
崖の中にあるテラスに生えている2本の木に設置してあるロープにつかまって降りると...

ちょうど泳ぎ着きたかった場所に降り立ちます。

ここはちょうどゴルジュの中間点くらいの場所で、上流側は足が着くところが続いています。

深くて勢いのある流芯に落ちない様、ひょいひょい左右に移動しながら抜けていきます。

ゴルジュを抜けるとすぐに両岸の切り立った壁はなくなり、元の雰囲気の川へと戻っていきます。

ただ、5分も行かないうちに、また徐々に両岸が迫ってきて、水の中を進むことが多くなります。

3つくらいの淵を越えた先で行き詰まるので、左岸の足掛かりがありそうなところを登ると、残置ロープがあらわれて、先に滝で落ちる鞍掛沢の出合が見通せる場所に登りつきます。

出合の手前の3メートルほどの段差も登れないのですが、右側の一番太い水流の横まで行くと、トラロープにつかまって越えることができました。

右岸の枝沢が落ちる深いプールから、2番目のゴルジュが始まります。

その前にちょっと右岸を一段登って鞍掛沢の滝を見物しましょう。
本流に落ちてくる滝の上には、更に10mほどの滝が二段で落ちていました。

そしてそこから本流を見下ろすと、狭くなった流れが二条の滝へと続いています。

鞍掛沢を渡って出合に流れ込む本流のボイルを右岸から乗り越えると、すぐに大釜を持った二条の滝がでてきます。

先行諸氏に倣って中央の岩を登るべく、一直線に泳ぎ始めますが、押し戻されて進めません。
というか、左側の流心から結構な速さで流されて、まっすぐ進むはずがだんだん釜の右側へ寄って行ってしまいます。
今、写真を冷静に見ると、この釜の右半分は左(右岸)側の流芯に対してエディのような形になっており、釜全体が巻き返しにより反時計回りに回転しているみたいです。

なので、脱力してプカプカ浮いていると、巻き返しの流れに乗ってゆっくり右壁沿いに流れ、滝の右側の大きな岩の横、ちょうど流木が物干し竿のように引っかかっている下に漂着しました。

せっかくなので、そのまま滝の上に登ります。
引っかかっている流木がちょうどよい梯子の役割を果たしますが、流木がなくともフリクションで簡単に登ることができます。

滝の上は、反対側の右岸からロープが垂れていました。
泳がずに右岸を巻けるみたいです。

次のゴルジュまでは5分もかかりません。

大釜の奥に轟々と流れ込む最後のゴルジュに到着です。
ここは、釜の右(左岸)を泳いで流れの右端を登るそうですが、見た目がちょっとコワいですね。
写真では黒くつぶれてしまっている釜の右側面は、実際にははっきり見えてメドが立ちそうなのですが、滝への取り付きがなんだか流れに持っていかれそうにも見えます。

というわけで、とっとと巻いてしまいました。
右岸の巻きは遠目から見ると一目瞭然で、下の写真の左側の枠外からテラス状の岩の上に登り、歩いて簡単に巻けてしまいます。

大釜の少し先では、川の上に巨岩が2つ並んで置いてあります。

2つの大岩の間から向こう側を見ると、写真では白く飛んでしまって見えませんが、川の全水量を集めた小滝が落ちてきています。

これは、行けないんじゃないの?

ダメもとでトンネルを潜って沸き立つ水面に突入してみると、意外にも足が底に着いたまま滝の左端まで行くことができました。

強烈なジャグジーに揺さぶられながらもう一段這い上がり、洞門を抜け出ます。

洞門を出ると川は一転、穏やかとなり、そして徐々に巨岩に覆われ、最後に平凡になって行きます。

標高450mほどで右岸から枝沢が落ちてくるすぐ手前の左岸には、整地されたような跡も見られ、尾根から踏み跡が下りてきています。

そして、460mで川が左折するこの門の横に、左岸に緩やかに降りてきている小沢から脱渓することにします。

小沢に入るとすぐに林道のガードレールが見えてきます。

林道を小一時間下って、クルマを停めた里まで下りてきました。


●本日の反省
 ・泳力が乏しかった。

 結局泳いで突破する3つのゴルジュは実質的に全て巻いてしまった。
 理由はそれぞれ(敗退、漂流、戦意喪失)だったが...
 
 もしかして、水量が多かったんじゃない?
 そんなことないか...

 秩父市での30℃を超える気温の中での水泳&シャワー大会は爽快でした。
 核心部のゴルジュは非常に短い範囲にコンパクトにまとまってあり、(洞門はわからないが)全て巻けるので、ゴルジュ突破のゲレンデとしてもいいかも。
 欲を言えば、林道を奥までクルマで走って、ゴルジュ手前から入渓できるルートができると、とても楽しいかも。
 3時間も遡行しなかったのに、もっと短くしたいってか?


●2021年8月11日(水)

里山散歩道駐車スペース(10:15)→たまご水(10:50)

→安谷川遡行→第1ゴルジュ(11:50~12:20)

→鞍掛沢出合(第2ゴルジュ;12:30~12:55)

→第3ゴルジュ(13:05)→標高460m左岸枝沢(脱渓13:45)

→安谷川左岸の林道(14:05)→駐車スペース(15:05)





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