2020年11月21日土曜日

京都の庭と観客(その2;天龍寺・嵐山・二条城)

 思い起こせば2016年の梅雨に、このブログを書き始めた最初の回が京都旅行のメモからでした。

その後、時を経ること4年半で、また京都に日帰り旅行に行ってきました。

というわけで、初回と同じタイトルで、京都の庭巡りです。

…しかし、京都観光が4年に一度の頻度って、多いのか/少ないのか??


今回は、嵐山界隈を中心に巡ります。

JR京都駅で新幹線から嵯峨野線の園部行き快速に乗換えると、10分ほどであっという間に嵯峨嵐山駅に到着です。

京都市内なので、京都駅までと同料金で、とても便利でおトク。

駅から嵐山・渡月橋方面へと10分ほど歩くと天龍寺の門に突き当たるので、境内を進むと正面に切妻造の庫裏が見えてきました。

突き当たり左側でチケットを購入して入場です。


入場するなり、巨大な建築物「方丈」が右側に立ちはだかります。
左側の石庭と方丈の間を通り、奥へと進みます。

天龍寺は、方丈の裏側にある曹源池庭園がとても有名ですが、正面にあるこの小石の庭園に名前はついているのでしょうか?

入場口から奥へと進み、方丈を時計回りにぐるりと回り込むと、そこには国史跡と特別名勝に指定されている曹源池庭園が広がっています。

特に奥へと進んだ書院前のこの眺めは、わざわざ掲載するほどもないくらい、あちこちで目にしますよね。

庭園から奥へと進むと、多寳殿という建物があります。
なんと祀られているのは後醍醐天皇とのことで、日本史の知識に乏しい身としては、なんでだろ? といった感じですが、後醍醐天皇はこの天龍寺を開基した足利尊氏に追放された宿敵で、何とその後天皇の亡霊に悩まされた尊氏は、弔うためにこの寺を建てたとのことです。
というわけで、この建物が創建当初の目的となるコアな施設だったはずなのですが、今となっては庭園の陰に霞んでしまい、現地に来てからそれを知るのが現状でした。
でも、なんだかわかるような気がします。
本当は亡霊なんか関係なく、悩まされたのは天皇を虐げた悪いやつとの風評だったのではないでしょうか。
弔ったという意図が伝わるのであれば、できるだけ地味に....

それでも、創建の費用が全く足りず、捻出するために元寇で中止となって以来の貿易を再開し、それが足利幕府初期のバブルにつながったとのことなので、それも宿敵後醍醐天皇の恩恵とみるのか、そもそも天皇が最初に利益を搾取してしまったから追放されたのか。....

多寳殿の裏にある丘に登ります。

大きな桜の木が寂しげに立っています。
紅葉にはまだ早いこの時期は、花も少なくなんだか中途半端ですね。
そういえば、ここに来るまでの道中の塔頭の客寄せ看板も、紅葉の写真の上に緑の紅葉の葉の写真を張り付けて、「青もみじ」が見れると表示していました。ものは言いよう。そんなのは春になればいつでも見れるのですが。。


順路を回って入り口まで戻ります。

さて、次は隣接した敷地に立つ同じ天龍寺の塔頭、宝厳院へと向かいます。
天龍寺境内の脇から、保津川方面へ向かって出ると、豆腐料理店周辺の喧騒の中にひっそりと宝厳院の入り口があるので、拝観料を払って中へ入ります。
入場したすぐ先は、名庭「獅子吼の庭」です。
最初は、ソフトボールくらいの大きさの黒石を敷き詰めた「苦海」が広がり、苦海の対岸には大きな石が立ててあり、これは三尊石と呼ぶそうです
三尊石の左側の苦海の畔にある岩は、滝とそれを登る鯉を石で表現した「龍門瀑」と「鯉魚石」だそうです。

庭園内の遊歩道をあるくと、大きな岩も置いてあります。
この岩の固有名は「碧岩」とのことでした。西上州から持ってきたのか。

庭園は小振りなものの、首都圏にある大味なものよりも全体的に洗練されているように感じます。

そして、芝やコケの緑がなにより鮮やかで美しいです。

緑あふれる中に、色づき始めたばかりの効用が少しだけ見られました。

観光バスの団体客の入場がはじまったところで退出し、すぐそばを流れる桂川(保津川)の川辺へと向かいます。

入場口を出て賑わう湯豆腐屋の前を天龍寺と反対側に歩けば、すぐに桂川に行き当たります。

ここはちょうど保津川下りの船が到着するところみたいで、結構にぎわっています。
少し上流側に嵐山公園の入口の表示があったので、観光地ではなさそうですが、ちょっと寄ってみるべく階段を上がっていきます。

嵐山公園は府立の公園で、桂川沿いに3か所に分かれてあるようで、ここは最上流の亀山地区の公園にあたる(通称亀山公園と呼ばれる)そうです。
川沿いの傾斜地に造成されたいわゆる普通の緑地公園といった風情で、そのせいか園内に入ると先ほどまでの川辺の雑踏が嘘のように静まる閑静でゆっくり落ち着けるところでした。
「展望台」という表示が傾斜の上方を指していたので、行ってみると視界がぱっと開けて、眼下に保津峡が望めました。

こちらは園内に2か所ある奥の方の展望所からの光景です。
保津峡下りの船がのんびりと(ここから見るとそう見えます)流れていきます。

ザ・京都の観光地ではないのですが、亀山公園でのんびりしたあとは「竹林の小径」の標識に導かれてトロッコ駅の方へと下ります。
すると突然、大勢の人が行き交う、まさに竹林の中の小径にでました。
いままでのんびりしていた公園とのギャップに戸惑います。

この大勢の人たちはいったいどこからやってきてどこへ向かうのでしょうか?
流れに従って野宮神社の前を通り過ぎると、ついさっきまでいた天龍寺の門の前を通ります。(ただし入場したのとは反対側にある裏門です)
中を突っ切っていきたいところですが、入場料が要るので、そのまま進み右折して、本日2度目の天龍寺の境内に入ります。
これで天龍寺と亀山公園をぐるっと時計回りに一周して、戻ってきたことになりますね。

さて、わざわざ天龍寺に戻ってきたのは、肝心の渡月橋を見ていないということもありますが、先ほどの宝厳院でセット共通入場券 じゃなくて拝観券を購入したもう一つの塔頭、弘源寺に寄るためでした。
弘源寺は天龍寺の境内に入って右側に並ぶ寺院の中の一つで、入って正面の建物の右側に名庭「虎嘯(こしょう)の庭」があります。

この併の裏側ですかね。

さっそく建物に入って右手に進むと、庭が望めるのですが、何と縁側の戸を開けることができずに、少し歪んだガラス越しからの見学となりました。
この写真は喚起のために開いている欄間からテキトーに撮影したものです。

さて、あとは渡月橋を見て引き上げることにしましょう。

次に向かったのは、嵯峨野線で4駅京都側に戻った二条駅です。
二条駅から二条城は、地図で見るとほんの数百メートルですが、入口の東大手門は駅の反対側にあるので、普通は地下鉄東西線で二条城前駅まで行きます。
ちょうどお昼過ぎだったので、二条駅からお城までの間で昼食をとろうと歩き出したものの、営業している飲食店を見つけることができず、結局地下鉄駅の近くのお店に入りました。

実はこの二条城、前回4年前に京都を訪れた時も立ち寄っています。
なんでちょくちょく来るわけでもないのにまたやってきたのか?
特に深い理由はなく、嵐山で思いのほかのんびりしてしまったので、帰りがけに安直に立ち寄れるところ という選択肢で、かつ嵐山から近い金閣寺が改修工事中のため足場でおおわれているため、消去法でここになりました。
(ちなみに、金閣の工事は12月19日に終了したとのことです。)

唐門をくぐって、先にある二の丸御殿に入りますが、中は前回同様撮影禁止なので、外から眺めるだけです。

4年余りの歳月の間に、中は徐々に補修されているみたいで、見やすくかつ分かりやすくなったように感じました。
御殿前に広がる庭園は昔のままです。

順路通り歩いて内堀を渡り、本丸に入ります。

本丸左奥にある天守閣跡に登って振り返ると...

お、金閣同様、本丸御殿も改修工事中みたいで、すっぽりと足場に覆われていました。

反対側の堀は元のままです。当たり前か。。

順路通りに反対側から本丸を出て、時計回りで回って帰ることとします。

これにておしまい。 と言おうとしたら中途半端に時間が余ってしまいました。
なので、順路にはなく、あまり人が歩いていないお城の南側に行ってみたいと思います。

というわけで、今度は豪華な唐門をくぐらずに直進して(唐門を外から見て左へ)行きます。
すると、すぐ左側に南門があります。
この門の外は外堀となっており、橋がなく(昔はあった?)通行もできません。

さらにまっすぐ進み、桜の園という林に突き当たって右折すると桃山門があります。

桃山門の横は内堀のコーナーとなっており、向こう岸は本丸で、右側には先ほど本丸に入るときに渡った東橋と本丸櫓門が、左奥には天守閣跡が望めます。

さらに内堀と外堀の間を奥(西)へと行くと食い違い構造となっている南中仕切門をくぐります。
下の写真は外堀に向かって撮影したもので、右側が天守閣方面ですが、直進できないように門は直角に折れた向きに作られています。

南中仕切門の先を少し行くと、右側の内堀の向こう側に天守閣跡が見えてきて、

左奥にでてくる西南隅櫓で、名前の通り城の西の端となりました。

二条城の南側は、順路が設定されていないためか、人と全く合わずにのんびり歩き回ることができました。

なぜ順路は北回りとなったのか?

風水とか縁起物のことはわからないので、縄張りを見て感じることだけとなりますが、本丸を西側から出入りする橋が北寄りに作られていることと、3つある庭園のうち、本丸・二の丸以外の3つ目の庭園(清流園)が北側にある(正門(唐門)が南側なので、こっちに作るしかなかった)からでしょうか。

最後に、帰ろうと思って東大手門を出ると、そこには長蛇の人の列が。

…行列は10月中旬から約2か月間、場内で夜間に開催されているイベント「アートアクアリウム城」の入場を待つ人々でした。

日中の見学時間が終了した後にイベントが準備されるみたいです。

そういえば、事前にどこへ行くかを検討しているときに、二条城を検索すると、なぜかアクアリウムの文字が候補に上がり、特にインスタは#二条城を入力すると、このイベントの金魚の写真しか出てきませんでした。

お城に到着してからも、地下鉄駅から大手門までの地面に、1メートル間隔の線が何列も延々引いてあり、何のため?と不思議に思っていたのはこれだったのね。

このイベントは今年だけでなく/京都だけでなく、ちょくちょく開催されているみたいですが、お城でライトアップされる金魚を見る(…じゃなくて、写して送信するか...)ことに、こんなに大勢の人が殺到するとは…、昭和生まれの自分は違和感を禁じえなかったのですが、多くの人の心を捉えることができることに気づいてイベントを企画・成功させた主催者の方々には敬服します。

●2020年11月19日(木)

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