2021年7月27日火曜日

尾白川 鞍掛沢・乗越沢 (沢登り)

 連日好天の東京2020開幕4連休は、各地で蔓防が発令されているとはいえ、行楽地の混雑や渋滞が見られましたが、最終日の日曜日はさすがに人が引けると見込んでお出かけしました。

一方で、関東各地の山沿いは、好天と大気不安定による降雨が相次ぎ、水量が不安定となるリスクが感じられたので、関東近郊で唯一天候が安定している山梨県西部に行くことにします。

ここは長年の懸案だった尾白川支流の鞍掛沢があるので、この機会に是非。。


日向山の矢立石登山口の乗用車十数台分の駐車スペースは、好天の週末には満車となり争奪戦が起きる日もあるそうですが、この日は7:30に到着しても半分以上の空きがありました。
連休最終日は空いているとの読みが当たったのか、それとも元々この程度なのでしょうか。

日向山への登山口を横目に、通行禁止の表示がある錦滝への林道をすすみます。

出発してすぐに立派なゲートがあり、錦滝の少し手前では林道が一か所土砂に埋まっている部分がありました。

黒戸尾根を望む土砂崩れをトラロープにつかまりながら越えると、間もなく四阿が建つ錦滝に到着です。

錦滝で林道歩きは六割程度の消化となりますが、滝から先は徐々に荒れてきます。
尾白川渓谷へ下る径を分けてかなり行き、トンネルを3つくぐった右カーブの先で林道は終点となり、突き当りの左側に谷へ降りる固定ロープが設置されています。

チェーンスパイクを付けた方がよいのではと感じられるくらいの急傾斜を、ロープにつかまりながら一気に下ると、尾白川の本流に降り立つので、そこで沢支度します。
いやー、長かった。
この川原に降り立つまでの2時間弱のアプローチが、その後のすべての行動を消極的にしていきます。
何かあって引き返す場合は、あのロープの崖を登り返して、最低でも2時間歩いて帰らなくてはならないので...。

川原を歩き始めるとすぐに、巨大な緑色のプールが登場します。

向こう側の滑滝は傾斜も緩く、取り付くと登れなくもなさそうですが、出だしから長距離を泳いで消耗したくないので、右岸から巻きます。

さらに10分も行かないうちに夫婦滝に到着します。

下段の9mは全く直登できず、右岸のスロープ状の岩を登るそうですが、足を滑らせてリセットとなると、とても面倒そうです。

なので、右岸のトラロープから巻きます。

上段の7mは、巨大プールを持った一大スロープで、左の岩盤を登って行きます。

滑って行けば釜で遊べそうですが、今一つ心の余裕に欠ける今は、見るだけにしてやりすごし、ところどころに透き通った水を湛えた川を遡っていきます。

更に10分ほどで残置ワイヤーが残る梯子滝が登場します。
この先の尾白川は、本流や黄連谷など日本を代表する渓谷となって続き、いつかは遡行したい憧れの世界ですが、力量がない自分はこの滝のすぐ下で左岸から合わさる鞍掛沢へと入ります。

鞍掛沢は、透き通ったライトグリーンの水と白く輝く岩でできたやや単調な渓谷です。

シモツケソウのピンク色とガクアジサイが所々で渓の縁を彩ります。

しばらく単調な割には、花崗岩と思われる白い岩の砂が靴底に付着するのと、岩の上にも砂が浮いている場所があり、少しの傾斜でもとても滑り、岩が少しオレンジがかったところはヌメっており、これまたツルツル滑りやすいです。

丹沢や奥多摩ではどこからでも、わけなく登れるような滝でも、気を抜くと滑り落ちてしまいそうです。

なので、なるべく水平に近い斜度のところを選んでいくことになります。

写真で見るだけだと、なんで? という感じですが、このくらいでもちょっと微妙で、表面に砂が乗っていないかを確かめながら歩いていきます。

奥に見えるあの滝も流れの右の岩を登りましたが、限界ギリギリでした。
右岸の溝状から小さく巻くこともできます。

ゴーロを過ぎると次の滝が見えてきます。

岩の滑り具合にだいぶ慣れてきたので、流れの中を快適に登ります。

この沢は開けた場所が多くて、登って来たところを見渡せるので、爽快です。

似たような感じの岩盤とナメ滝が登場してきます。

6mハング滝手前の淵は、傾斜がユルいので泳いでいって簡単に這い上がれそうですが、超絶スベります。

水中の傾斜の緩い岩盤に立とうと思うのですが、ツルツルで全く取り付く島がありません。
左岸の茶色い岩につかまりながらレイバック気味に上がろうとするも、途中で手掛かりがなくなりドボン。
右岸の壁沿いは水流が早くて戻されます。
真ん中の岩盤が少し段差となったあたりが唯一の弱点ですが、這い上がるのに鞍掛沢遡行全体に費やした気力と労力の6割くらいを消耗しました。
右岸の白い岩の上から引き返しましたが、何と、あっさり歩いて戻ることができました。
何だったんだろう…

苦労して泳いで近づいたハング滝ですが、残念ながら直登することはできません。
左岸を巻きます。
滝直下からでも、ツルツルプールの下からでも簡単に巻くことができます。

ハング滝の上は岩盤のナメとなっており、すぐに岩盤の上に岩が転がってきて、だんだん巨岩となってきます。

ここは流れ沿いを行きましたが、落ち口手前で手掛かりがなくなりアウトでした。
最初から右岸の巨岩の中を行きましょう。

巨岩帯途中の標高1540mで左岸から乗越沢が落ちてきます。
この乗越沢。付近で左岸から流入する唯一の沢ですが、二俣のイメージとは少し異なり滝状に落ちてきているため、通り過ぎてしまう人もいるそうです。
自分は中段から上がとても登れないように感じて、「本当か?」と疑い、すぐに登るのを躊躇してしまいました。
でも、間違いなくこれが乗越沢です。

ちなみに、標高20mくらい上で同じく左岸から入る小沢はこんな感じで、ここまで来ると明らかに行きすぎです。

どうなるかわからないので不安なのですが、乗越沢の滝を登り始めると、傾斜が急なところから上は右岸に立派な巻き径が完備されていました。

水量が少ない枝沢の乗越沢に入ると、沢沿いの草付に白と黄色の花が増えてきます。
エーデルワイスっぽいのはヤマハハコでしょうか。

ツワブキ、コアジサイ、ミゾホオズキ?


数個の滝が連続してでてきますが、いづれも左岸に巻き径がついています。

この滝も巻きましたが、上にあるジメジメした滝から岩盤コーナーの流れまでは直登しました。
確認していませんが、巻き径もついているみたいです。

このスラブ状20m滝を左岸から巻くと、沢は右曲していき、詰めの様相となっていきます。

枯れては復活する水流が本当になくなる標高1830~1850mくらいの間で、右岸の疎林から何回か踏み跡が下りてきますので、靴を履き替えて踏み跡を登ります。

踏み跡は、徐々にガレて急壁となっていく沢の源頭部を見下ろしながら、鞍掛山北側のコルを目指して、うねうねと登って行きます。

反対側がザレている鞍掛山のコルに到着です。
涼しい風が吹き抜けます。
多くの人が遡行するためか、アザミの被害にもあいませんでした。

ここからは登山道となります。
日向山と大岩山を結ぶ登山道の2029m標点に向けて、石楠花の道を登って行きます。

鞍掛山分岐の標識から登山口までは、立派な登山道が整備されています。
但し、日向山まで標高差430m、そこから登山口までの550mの2時間近い下りは当初の見込み以上に長く、本当に同じ高さを登って来たのかと驚きます。

少し登り返しのある日向山の山頂部が帰路の中間点です。



八ヶ岳の方向へ下山開始です。

森の中を単調に下る登山道は、進むにつれて一層整備され、出発した矢立石の登山口に到着します。


山麓にある「白州・尾白の森名水公園『べるが』」で装備を洗い、帰路につきました。


●本日の反省

・体力つけて行きましょう。

 エメラルドグリーンの大水量の尾白川、白く輝く岩の中で透明な水を泳ぐ鞍掛沢、小滝が続く乗越沢と、天空のビーチ日向山といった見どころ満載のルートを、初心者が日帰りで行ける素晴らしいところでしたが、いかんせん、名所を繋ぐ間が長かった。

 ガイドブックには標高差610mと書いてあるが、実際に歩いた累計標高差は1,000mはあったと思うのだが、どちらを見間違えたのか?


●2021年7月25日(日)

矢立石日向山登山口(7:40)

→林道終点を尾白川に下降(9:10~9:30)

→尾白川遡行→鞍掛沢出合(10:15)

→鞍掛沢遡行→乗越沢出合(12:20)

→乗越沢遡行→鞍掛山と駒岩のコル(14:00)

→(登山道)→日向山(15:20)→矢立石登山口(16:30)





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