2021年9月24日金曜日

叶道沢(観音堂沢) (沢登り)(地神沢下降・クロノ沢遡行)

緊急事態宣言が延長された2021年9月の最終週末は飛び石連休ですが、首都圏近郊の行楽地は既にコロナ前に近いたくさんの人出が恒例化しているのと、土日の天気予報が今一つよくないのとで、思い切って人の居ない場所に遠出すべく、木曜の春分の日に、かねてからの懸案であった宮城県の叶道沢へと行ってみました。


叶道沢は福島市の飯坂温泉を流れる摺上川の上流、摺上川ダムのBW「茂庭っ湖」の左岸に流入する支流ですが、国道399号線側からの遡行は地権者の方とのトラブルが多いとのことなので、先行諸氏の報告に従い、稜線反対側の宮城県側から下降して入山しました。

東北道の国見I.C.か白石I.C.から国道113号線を「みやぎ蔵王七ヶ宿スキー場」目指して進み、国道を左折してスキー場へと向ってからは、左上にあるゲレンデには行かずにそのまま直進すると、道はいつしか悪路となり、641m標点付近の路肩にある小さな資材置き場の先に通行止めのトラロープが張られています。

ロープは簡単に外すことができますが、久しく使われていなそうな雨上がりの抜かるんだ林道を小型乗用車が進めるはずもなく、資材置き場から歩き始めます。
入渓する地神沢への道程の半分くらいにある路肩が広いところまでは四駆で進めそうですが、そこから先はほぼ草に埋もれており、カーブの切削面だけが往時を偲ばせます。

林道をゆっくり一時間弱歩いたあたりで越える、最初に水音が聞こえる沢がクロノ沢で、そこから15分ほど先にある地神沢から入渓します。
地神沢は林道から上流側に小さなナメが見える沢で、林道はここから本格的に山林に埋没しているので、荒れている谷を強引に下るとすぐに金属パイプから流れ出る沢に降り立ちます。

下降しはじめた当初は平凡な渓相の沢ですが、標高差40mほど下るとナメが現れるようになります。

ナメはキレイな一枚岩ではなく、ところどころで土砂や倒木に覆われていますが、それでも流れが滞る淀みの部分には、遥かにナメを転がってきたサワグルミの実が溜まっています。

水流の少ない上流部では傾斜に緩急があり、急斜面ではナメが、そうでないところでは土砂の堆積が見られます。

標高485m付近で左岸から毛倉森方面の流れが合わさるまでに、滝状の急斜面が数か所現れますが、どれも歩いて降りられるか、簡単に巻くことができます。

そして、下るにつれて徐々にナメの岩盤の割合が多くなり、標高500m前後まで来るとナメがほぼ連続するようになりました。

東北屈指のナメが続くというこの沢の前評判を少し疑いながらここまで下ってきましたが、その疑念は完全に払しょくされました。
ここからは、つまらない解説が不要となる光景が続いていきます。

485mで小滝となったすぐ下で左岸から沢を合わせると、一旦ナメの上には石が転がりますが、すぐに復活していきます。

下の写真の左側のナメ滝が下ってきた地神沢で、右に直進していく藪っぽいのが右俣(というか本流でしょうか)です。

標高477m付近で左岸から次の枝沢が合わさるところからは、宮城(右岸)-福島(左岸)の県境を進むこととなるのでしょうか。

そして、沢は舗装道路のように変わり、平坦な森の中を流れていくようになります。

時折平坦な路面のところどころにポットホールが開いており、川幅に近い大きさの穴の中には優に20㎝を超える魚影が悠然と泳いています。

目の前に現実離れした光景が続いていくのと、気づかれないように竿を振るのに集中するのとで、言葉が全く出てきませんね。

この連釜の滝は流れの右側を問題なく下れます。

連続する写真を見るだけだと同じような景色が続くばかりで飽きてしまいそうですが、現実に自分の足で歩いていくと、こうやって画像を見るだけとは全く違った気分になります。
ナビゲーション以外の困難な要素がほとんど無いルートですので、機会があれば是非ご自身の五感で感じてみてください。

標高425mで右岸からクロノ沢が合流してきます。
下の写真は出合を下流側から見たもので、左がクロノ沢です。

帰りはクロノ沢を遡行しますが、ナメが続く本流をもう少し下っていくことにします。

クロノ沢出合から歩くこと約10分(何もしないでただ歩くだけだと3分)。距離にして300mくらいのところで滝が出てきます。

本日唯一の見た目が滝らしいこの滝で引き返すことにします。

滝壺のすぐ先では右岸からユノムラ沢が出合っています。

それでは、クロノ沢の出合まで登り返しましょう。


先ほど下降してきた地神沢の西側をほぼ並流するクロノ沢は、出合からほとんど途切れずにナメが連続します。

しかもこのナメは、段差らしいものがほとんど見られず、ボールを転がしたらひたすらコロコロと転がっていくような平坦なもので、体を沈めて流入してくる餌を待てるような淀みが数えるほどしかありません。

ですので、必然的にこの沢の出合付近に生息する魚が、支流まるごと1本分の食べ物を独占できることとなり、肥大化が進んでいるものと思われます。

唯一ナメが連続して滝状となる箇所にはトラロープが設置してあります。


565mの右岸枝沢付近までは、とても歩きやすく、遡上と下降どちらにも適したコンディションですので、クロノ沢を往復して出合付近でのんびり一泊するのが良いかもしれません。

標高565mの出合を過ぎると、極めて平凡な小沢となります。

林道が近づいてくるあたりでどちらかの斜面を登って林道に出るのもよさそうに感じましたが、確実性を優先して林道が横切るところまで遡行することにしました。

金属パイプの脇から簡単に上がれる往路の林道を40分ほど引き返して終了です。

●本日の反省
・ナメ滝を下っているときに滑って転んだ。
 別に何ということもないところでスリップしてずっこけてしまいました。
 ナメは基本的にフェルトソールであれば滑りにくいのですが、少し滑っている(見た目ですぐわかります)ところを、無神経に歩いたのが原因でした。
 それくらい緊張感が抜けてしまいがちな環境ではありましたが、やはりいけませんね。

ご覧いただいた方にはどれも同じようなナメの沢の写真の連続で、つまらなかったと思います。
失礼しました。
やっぱり画像なんかじゃだめだな。

●2021年9月23日(木)
七ヶ宿スキー場上部の林道・641m標点付近(9:20)
→林道を毛倉森方面へ→地神沢下降(10:30)
→385m左岸枝沢出合(11:50)→クロノ沢出合(12:20)
→ユノムラ沢出合付近(12:30)→引き返し
→クロノ沢出合(12:35)→クロノ沢遡行
→往路の林道(13:50)→641m標点付近(14:30)





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