2022年10月31日月曜日

市ノ萱川 相沢川 右俣左沢 (沢登り)

10月も終わりとなり、関東平野周辺の山々から紅葉が下ってくるシーズンとなりました。

手始めに長野県と関東の境界にある西上州の荒船山に、紅葉見物を目当てにお出かけします。

ガイドブック(「新版 東京起点 沢登りルート100」(宗像兵一・山と渓谷社)」では”変化に富んだ楽しい沢”と紹介されている市野萱川支流の相沢川から、沢登りで荒船山を目指します。

ここは群馬県下仁田町南野牧の奥、相沢集落にある荒船山の相沢登山口です。
すぐ横で砂防ダム工事をしている川が、三ッ瀬の荒船神社近くで市ノ萱川(道路標識では市野萱川)に注ぐ相沢川で、奥のカーブを右に曲がったところで二俣に分かれて右俣に橋が架かっています。
橋の手前右側から川原に下りて遡行開始です。

橋の上から見下ろしていた小滝を左横から越えると、巨石の合間に小さな瀞が散在する面倒くさい渓相が始まります。
登山口の前を通る林道がカーブ2つくらい沢と並走しているので、この地形を通りたくない場合は林道の途中から降りてきても良いかもしれません。

ただ、巨石はごく短い区間で終わりとなり、ナメっぽい渓相となるとすぐに二俣となります。

荒船山山頂付近を水源とする左の沢へと入ります。(ちなみに右の沢は復路の登山道沿いを流れていきます)

左沢に入り、思わせぶりな滑滝があったかと思う間もなく、ゴーロの川となりました。

ところどころで石ころが消えてナメ床があらわれますが、すぐに消えます。
もしかすると、少し前まではナメの沢だったところが、近年転がって来た石に埋もれてしまったのかもしれません。

石ころの沢を登り続けること一時間少々で、最初の大きな滝が見えてきました。
岩壁の中央を流れ落ちる、小さな規模の沢にしては堂々とした滝です。

傾斜が急でヌメっているため手も足も出せず、左横のルンゼから巻きます。

ルンゼの取り付き部が悪いため、一旦少し下ってガレの斜面から登って行きます。

滝の落口より少し下の高さくらいでルンゼを横断して、落口へと向かう向こう側のU字状の溝を登ります。

滝の上は、人の生活の痕跡が見られるポカポカ日当たりの良い緩い斜面が広がっており、いつまでものんびりしたいところですが、広場中央で大型哺乳類の排出物が縄張りを主張していたため、残念ですがそのまま通過することにします。

滝上の広場からは一旦思わせぶりなナメがありましたが、すぐにパチンコ台が定量になったときのように吐き出された巨岩に覆われます。
岩の山は不安定なため、左岸脇にある古い林業用と思われるマークに沿って林の中を登って行くと、

少し先で視界が開けて、上にゴルジュが見えてきます。
左岸にゴルジュと並走するU字状の溝が見え、そこから巻けそうですが、ちょっとゴルジュ内を見物してみることにします。

この細い溝がパチンコ玉の供給源なのでしょうか。
見た目の圧迫感と岩の不安定感が少しコワいものの、特に難しい場所もなく通過でき、3mと5mくらいの滝の様な流れの先にある10mの直滝で行き止まりとなりました。

行き止まりの10mは直登できないものの、左岸に手掛かり豊富な岩が何か所かあり、小さく巻いて行けます。

ゴルジュの最後の滝を巻いて行くと、相変わらずゴーロの沢は、右岸から枯沢を合わせながら右曲していきます。
そして曲がった先でぱっと視界が広がりました。

標高1050m付近にある17m大滝が突如堂々とした姿を現します。

源流に近いため水量はさほどでもありませんが、高さがそれなりにある堂々とした姿です。

全体的に傾斜が緩く、特に右の側面は凹凸が多いので、あわよくば登ろうと近づいてみますが、触れてみると大変ツルツルなのと、乾いたところは外傾スタンスばかりなので、あきらめて巻くことにします。

左右どちらにも巻きに適したルンゼ状の地形がありますが、ガイドブックや先行各氏の記録に従い、左側(右岸)の落ち葉ルンゼから巻いて行きます。

巻径の中間よりちょっと上から、滝の途中にでて下段を見下ろす(上段を登る)ことができます。

下から見上げる上段は手掛かり豊富で楽勝そうですが、ガイドブックによるとヌメっていてロープが必要とのことでしたので、安全策をとり引き返します。

巻き径に戻って上段滝の上に出ると、周囲は一気に源頭の様相に変貌しました。

少しの間、巨岩の中をちょろちょろ流れる源流を巻いたり登ったりしていきます。

この5mハング滝は右岸から簡単に巻けます。(左岸からもたぶん...)

ハング滝の上から徐々に巨岩の密度が疎らとなって行きますが、同時に沢の両岸は緩やかで開放的な丘陵となり、特に山頂がある右岸側は走っていけそうな平原に近い斜面が広がります。
なので、ここで沢装備を解除し、歩きやすそうな右岸の丘を歩いて山頂を目指すことにします。

最初は沢沿いの草原を歩きながら、斜面の登りやすいところを登り、最後は登山道へと続く緩やかな尾根を登って経塚山直下で登山道に合流します。

登山道にでたところから経塚山は指呼の先で、10分ほどで山頂に到着です。

テーブルマウンテン荒船山の山頂平原を通って帰ることにします。

あわよくば紅葉のピークをと期待してきたのですが、数日遅かったのでしょうか。
枯れ木が目立ちます。

帰路へ分岐の少し先にある四阿の先で大展望を見ていくことにします。

切り立った断崖の上にでると、正面に浅間山と神津牧場が目に飛び込んできます。

左手に見下ろす艫岩の下くらいが今日の紅葉のピークみたいですね。

眼下は下仁田と内山峠を結ぶ国道254号線。

浅間山の右側に広がる山々は、何だっけ?

相沢への登山道は急傾斜ながらとてもよく整備されていました。

艫岩の断崖を見上げるようになるくらいの高さから、紅葉の中に突入していきます。

植林の中のハングした岩壁の下にある中の宮は標高もコースタイムもちょうど中間点です。

自然林と植林が交互に入れ替わる中を下って行くと、入渓した橋と最初の滝が見下ろせてきました。

●本日の反省
恐らくかつてはもっと長かったであろう出だしのナメや、標高1000メートル付近のゴルジュは、近年岩で埋まってしまったように感じられてちょっと残念でした。
しかしながら全体を通して振り返ると、小規模ではあるもののナメがあり、大きな滝と庭園風の源流はまさに「変化に富んだ楽しい沢」でした。
荒船山登山にこれらの変化が加わったと考えると、大変盛りだくさんの思い出深い旅ができました。
登山道を往復5~6時間かけて艫岩の景色を見るだけだと、恐らく単調でキツイだろうなあ。

紅葉のピークはちょっと外したかもしれないけれど。
滝は全部巻いてしまったかもしれないけれど、考えようによっては初心者でも行ける難度(但し判断を誤ると危険)ということで、まあいいか。

●2022年10月30日(日)
荒船山相沢登山口(8:30)→二俣(8:45)
→左沢遡行→10m滝(9:45)
→ゴルジュ内10m滝(10:40)→17m大滝(10:55)
→脱渓(標高1190m;11:30)
→渓流沿い~右岸尾根→登山道(12:15)
→経塚山(12:25)→艫岩(13:00~13:10)
→相沢登山口(14:25)




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