2017年6月21日水曜日

自家用車で登る百名山 ~その14~雲取山・荒沢谷

二週間前に両神山を登頂した勢いをかって、もう一つの南関東の百名山、雲取山に出かけました。


両神山のときと同じく、沢を遡行して頂上直下の最短ルートを日帰りで登頂するのが目標です。

荒川源流に近い秩父市の二瀬ダムを渡り、バックウォーターの秩父湖岸を走る県道278号線が三峰神社に向けて登り始めるヘアピンカーブを起点とする雲取林道を奥へと進みます。

林道は鮫沢橋手前でゲートが閉まっており、ここからのスタートとなります。

以前は施錠されていなかったといわれるゲートには南京錠がかかっていました。


早朝だというのに、ゲート前にある3台分の駐車スペースは満車で、50メートルほど手前にある拡幅部の路肩に駐車して準備をしている間にも、釣り人の車が2台到着します。
どちらも大洞川本流で釣るとのことですが、うかうかしているうちに自分が行く荒沢谷に先客が入ってしまうと面倒なので、急いで出発。

大洞川右岸の高い位置を走る、ほとんど平坦で舗装された林道を奥へと進みます。

歩き始めてすぐの林道わきに建つ造林小屋だったと思われる廃屋を振り返ります。
猿鼻ノ尾根と呼ばれる背後の山に登って行く踏み跡が見られ、ここを帰路に使用すると楽なのかドツボるのかが悩ましいところです。


一時間ほど歩くと大洞川支流の荒沢谷に架かる荒沢橋に到着。
橋の手前上流側から降りてこの沢を遡行します。


歩き始めて15分ほどで沢はゴルジュ状となります。


が、右岸に(新潟県の)登山道並みの立派な踏み跡がついており、沢を見下ろしながら簡単に通過できます。
踏み跡はこの先、菅ノ平あたりまでついているみたいですが、部分的にしか使用しませんでした。
数十メートル間隔でこまめにマーキングテープがつけられていますが、光を反射するタイプのテープなので、暗い森の中ではよく見えないこともあります。


入渓から30分ほどで卵形の岩が目印の桂谷が右岸から、


さらに10分ほどで、出合いに大きな桂の木が立つアシ谷が同じく右岸から合流します。


それにしても暗い谷です。
森の上は晴天で強い日差しなのですが、木立に遮られて沢までは届きません。


アシ谷出合いからは、すぐに巨岩の間を沢が流れ落ちる地形となります。


いづれも左側(右岸)から簡単に巻いていけます。


巻き終わってからガレを下ると、沢はゴルジュ状の地形へ、、、
あれ?どっかで読んだ解説とよく似ている。。。


もしかして、今巻いたのがこの沢最大の滝。ベンガラの滝だった?

あっけなく通り過ぎてしまいました。

ベンガラの滝上流の短いゴルジュは、中を通過します。


身長よりも大きな岩を、抱きつくように越えて行きます。


このゴルジュを抜けると間もなく菅ノ平と呼ばれる平坦地に到着です。
釣りでもしながらのんびり泊まりたくなる絶好の幕営スペースですが、肝心の魚影は全く見られません。
採りつくされたのか、放流されていないのか、下で放流されたけど登って来れないのか....


標高1,100m付近で、、この沢唯一の難所である井戸淵の巻き道の入口となる枝沢が左岸から合流します。


ちなみに、井戸淵とはどんなところかというと…‥

巻き道の沢の少し上流で右岸のガレ沢の先を右に曲がると


釜を持ったつるつるの滝があります。


その上を覗くと、似たような釜と滝が。


盛夏でないこの時期、ズブ濡れになって泳ぐ気もせず、右岸の壁を這い登った痕跡(巻き道というにはかなり厳しそう....)を行く気にもなれないので、おとなしくさきほどの枝沢から巻いていきます。

地形図に印刷のある枝沢と本流の間の1,114mの標点は、地形図上では尾根の末端に見えますが、現物は明瞭な饅頭形の突起となっており、本当はこの突起と尾根末端の間の谷を行くのが正解と想像されます。
↑左奥の急斜面が1114m突起の北側斜面です。

それを知らない自分は、尾根に取りつき、乗っ越して狼谷を見下ろすところまで登ります。
↑画面上部あたりが荒沢谷本流と狼谷の合流点です

ここからスリップに注意しながら急斜面を下り、一旦降り立った狼谷を数十メートル下り、右手の荒沢谷本流に入ります。(下流から見ると、支流の狼谷が直進し、本流は左曲しています。)

荒沢谷に戻ってから狼谷との分岐を振り返ると、左岸が崖になっており、その上が1,114m突起と尾根の間の谷に続いています。


谷はいよいよ苔むしてきます。



すぐに両岸が狭まり、喉の中を進むように切れ込んだ谷を行きます。



難度的には全く問題なく、深い回廊を進む感覚が味わえます。



ゴルジュを抜けて沢が左折すると、また少しの間コケの谷が広がります。




間もなく大雲沢(正面)と北雲沢(右)の二俣です。


落石の急ガレが悪名高い大雲沢を避けて北雲沢に入ります。


そこはもう源頭の雰囲気で、もうすく沢登りも終わりますが、沢登りの標高差では6割に達しておらず、鮫沢橋から雲取山頂間の全行程の標高差では、まだ半分も登っていません。
(ということに、この時点ではまだ気付いていない)


北雲沢の水が涸れ、左に大きくカーブした先のこのあたりから、三条ダルミあたりに突き上げると思われる左岸の枝沢を急登します。


斜度が増し、沢筋が徐々に不明瞭となるあたりで、左岸(西側)の尾根から降りてくる踏み跡を見つけたので、これを辿り尾根に登ります。
尾根上には種々の動物痕とともに踏み跡が交錯していました。
どうやらここを生活の場としている生き物たちの水飲み道を歩いてきたみたいです。

網目状に行き交う獣道を選びながら、疎林の中の笹原を登ります。
尾根に沿って上ると徐々に西方向にカーブして1,775m標点の1つ西側の突起まで登ってしまうので、少し左手(東側)に寄りながら稜線の低い所を狙って上ると、三条ダルミの一つ西側(1,775m西脇)のコルに着きました。


ここからは雲取山を経て、三峰神社目指して登山道を行きます。

山頂直前で多くの登山者が行き交う石尾根と合流。
ここからは今までの孤独と静寂の山旅が一変します。


そして山頂には、今年になってから設置されたと思しき巨大ポールが。
西暦何年まで設置しておくつもりかと一瞬思いますが、百名山ならでは?の俗っぽい乗りは気分をユルくしてくれて、なかなか良い感じです。


少し下って、人々で賑わう雲取山荘で給水と休憩を終えると、気分は完全に下山後の三峰神社詣でモードです。


で、よく整備された広い登山道に立つ道標を見ると、なんと、三峰まで10kmと書いてあるではありませんか。

じゅっ、じゅっキロもあるんだ。
しかも、ここからでも標高差900m以上。途中のアップダウンもカウントすると累計千メートル以上も下降するみたいで、コースタイム3時間半超の長丁場です。

尾根上を歩くハイキングコースくらいに考えていたのですが、冷静に見ると当たり前か。。。

でも、迷う心配のない登山道というのが救い というわけで、心を虚無にしてひたすら歩くこととします。
なので、途中経過は省略。


一か所だけ霧藻ヶ峰というところで突如売店が登場。


そして、すぐ近くには秩父宮様ご夫妻のレリーフが。
このレリーフは勝手にフリスビーくらいの大きさをイメージしていたので、デカくてびっくり。
(下にはめ込んであるプレート1枚の大きさがA1判くらいの大きさでした。)


さらにどんどん下って、ようやく奥宮の鳥居が登場。
奥宮のある妙法ヶ岳は30分くらいのところにある様ですが、面倒くさいのでパスします。
(この鳥居は2つあるうちの上の方のものです)


杉木立の参道を抜けると…


三峰神社に到着です。


都合の良いことに、行かなかった妙法ヶ岳を拝む遙拝所がありました。
奥の院はどの辺にあるのか?



●本日の反省
さて、ひとまず神社にゴールはしたものの、雲取林道の奥に停めた自家用車を回収しなくてはいけない。
そこでビジターセンター付近にデポしておいた折り畳み式の回収1号が登場。

安物のチャリが空中分解しそうになりながら、三峰観光道路の標高差約300mを恐怖のダウンヒル。
その先の雲取林道は、登り坂が辛くてザックとチャリをデポしようと思いながらコーナーを回ったら、何と路上には晩ご飯を物色するサルの群れが。
ひえー、こんなところにザックなんて置いといたら、あっという間に奴らの餌食になってしまうではないか。
幸い紳士的なグループで、こちらの気配に気付いて避けてくれた隙をついて一気にチャリで走り抜け、そのまま車まで全力疾走する羽目に。
これが一番しんどかったが、サルに気付かずザックを奪われて恐怖の争奪戦を繰り広げるよりは良かったか。

2017年6月17日(日)
雲取林道:鮫沢橋(5:30)→(雲取林道)
→荒沢橋(6:30:入渓)→荒沢遡行
→遡行終了(三条ダルミ付近;1775m西のコル:11:35)
→雲取山(12:20)→雲取山荘(12:50)
→三峰神社(16:30~16:50)-(自転車)
→雲取林道出合→鮫沢橋(自家用車回収17:30)


それにしても人が多かった。
下りの登山道では、他ではめったに見ることのない10名近い人数のグループと、10組単位ですれ違った。
時間から察して山頂周辺に泊まると思われるが、あんな大人数をどこに収容するのだろうか。
そういえば、雲取山荘のテントサイトを正午過ぎに通った時には、既に相当数の設営が始まっていた。
そのときは何でこんな早くから?と不思議に思ったが、あのタイミングでテント張っとかないと、泊まれなくなるのかも。

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