2022年8月1日月曜日

鶏冠谷右俣(沢登り) 後半

 奥秩父 笛吹川東沢の支流鶏冠谷の右俣を遡行した記録の後半です。

左俣と右俣の出合にある25m滝を高巻いて沢に戻ったところからです。

二俣までの本流を遡った前半の記録はこちらです。


小雨が降り始める中、二俣から右俣の左岸を大きく高巻いてきて降り立った平凡な沢を遡行していきます。

すぐに沢に倒木が詰まってきますが、突入してみると、みっしり詰まっているわけではなく、普通に遡行する感覚で通り抜けることができます。
但し、狭い空間を見通せる範囲で一番奥にある4mほどの小滝でちょっと引っかかってしました。

油断していたところに唐突に出現したため、撮影し忘れてしまい、遠方からの画像を拡大するとこんな感じです。
滝の手前に大木が立てかけてありますが、あの木はたしか滝の右側に立てかけてあったものではなかったのでしょうか?
滝に近付いてみると、右側に木が一本立てかけてありますが、落口に届く長さではなく、木を伝って上まで登っても、ツルツルの平たい岩盤のところで終わってしまいます。

仕方がないので、木が架かっていない左側から登りますが、当然上は巨岩で行く手がふさがっています。
どうしようとかと思い周囲を見回すと、滝の流れの中にバンドが横切っているので、思い切って右側へと横断してみたところ、水流は強いもののスタンスが安定しており、無事に横切ることができました。
あとはブロック状になった落口の右側をフリクションで這い上がります。

下の写真の左側の階段状の形のところから這い上がってきました。

大木がなくなった滝のすぐ先を右折すると、30m滑滝が見えます。

滝が吐き出す水煙なのか、雨脚が強くなってきたのか、はたまた先ほどのシャワーの洗礼の名残なのか、水蒸気で煙っています。

トポ通りに左岸すぐ横のルンゼから高巻くべく、正面を通り抜けて登って行きます。

一歩が微妙な泥のトラバースをえいやッとクリアし、落口へと続く踏み跡を行くと、なんと行き止まりでした。
行き止まりというよりも、そこにはヌメッたドーム状の落口の岩盤があり、一歩のフリクションでしくじると、滝の下からやり直し状態となります。

仕方ない。
踏み跡が始まるあたりにある高さ2mくらいの岩壁の安定しているところを選んでクライミングして這い上がりました。
…下の写真の岩と草の中間あたりから這って登ってきました。 ふぅ~、やれやれ。

30m滑滝の上は少々荒れ気味の感じで滑滝が続いています。
すぐ上の左岸枝沢から吐き出された瓦礫を越えるとナメが始まり、滝を交えながら断続していきます。

しかし、このナメはあくまで「断続」で、大雑把な感覚ではナメ2~3に対して残りは川原です。(いや、もう少しナメが多いかしら...ちょっと疲れてきたバイアスがかかっているかしら?)

それよりも、この赤いナメがとても滑ります。
もともと滑りやすいところに加えて、更に潤滑油でも塗ってあるのかというくらい滑るので、迂闊に足を置くと柔道の出足払いを食らったように派手にコケてしまいます。

なので、平らなナメは歩けません。
横の草付きを歩くので、ナメのご利益もありません。

そして、ナメがなくなると、廊下状の沢中を歩けるので体力的には助かります。

このくらいの斜度でも、表面の凹凸の平に近いところに足を置いて行かなくてはいけません。

そして、先ほどからぱらついていた雨は、だんだんと本降りとなってきました。
岩盤に生えている苔が開いてきれいな緑の絨毯状に変わります。

しかし、それもほんの一時。
バケツをひっくり返した豪雨となりました。

眼鏡もカメラのレンズもびしょ濡れで、明瞭に見えないのですが、遡行するにつれて沢の水音は轟々と大きくなり、心なしか水量も多くなってくるように感じます。

標高780mの右岸枝沢出合に着く頃には、視界もあまり効かなくなり、流れる水も黄土色に濁ってきました。

泥水が勢いよく流れる、癒されるにしては少々ゴツゴツ気味のナメは、相変わらず滑るので、脇の岩盤を登るのですが、そこもびしょ濡れになってツルツル化してきます。

なので、もっぱら草の生えているところか、砂利の上を歩いて行きます。

そして、右折する滑滝を越えると...

奥の左岸からちょろちょろ枝沢が流れ込むところで、沢は左折しています。

左に曲がると、奥に40m大滝が登場です。
多くの人がこの滝を見て遡行を終了すると言われているので、自分も従うことにします。

これは結構な迫力。
もう少し近寄ってみましょう。

う、うぅ~ん。
滝とは全く別のところからもたくさん水が流れ落ちていますね。
この雨、一向に止む気配がないな。

さて、先ほどの右岸のちょろちょろ沢から帰路へと着くことにします。

左曲する枝沢をこの辺りまで(標高差30mほど)登ると、ピンクテープがついているところで踏み跡が横切っています。

ピンクテープに導かれて踏み跡を右手(南東)へと歩いて行くと、シャクナゲの森へと続き...

標高950mほどの登山道に合流しました。
沢装備を解除せずに、沢と化した戸渡尾根を我慢の下りです。

標高が下がるに従い、雨は小降りとなりました。
と、思う間もなく、西沢渓谷の遊歩道に降り立った途端に爆弾の様な雨が降ってきました。


●2022年7月31日(日)
西沢渓谷駐車場(7:30)→登山道
→鶏冠谷出合(入渓;8:10~8:20)
→鶏冠谷遡行→魚留滝(8:40~9:00)
→逆さくの字滝(9:50)
→左俣・右俣出合(10:30~10:45)
→右俣遡行→30m滝上(11:45)
→40m大滝下(13:00)
→1800m左岸枝沢の1860m赤テープ(脱渓;13:15)
→甲武信ヶ岳登山道(13:45)
→徳ちゃん新道→西沢渓谷駐車場(16:05)

前半の記録(駐車場~左右俣出合までの本流遡行)はこちら



2022年7月31日日曜日

鶏冠谷右俣(沢登り) 前半

2022年7月下旬の首都圏は、連日32℃越えのクソ暑い日が続きます。

一方で、関東周辺の山間部は、これまた連日局地的な大雨が頻発しているとのことで、泳ぐ場所はリスクが高いかな、と思いながら、どこか良いところを探していると、近郊にこれまで行ったことがない良いところを発見したので、猛暑日の週末にさっそくおでかけしました。

奥秩父笛吹川・東沢の左岸支流鶏冠谷本流を、左俣と右俣の二俣まで遡行した記録です。
引き続き右俣を遡行した後半の記録はこちらです

ここは山梨県山梨市の西沢渓谷駐車場です。
午前8時前なのでまだ空きがあります。先ずは遊歩道からスタート。

西沢渓谷への遊歩道の吊橋からの風景です。
橋を渡った先で遊歩道を外れ、今見下ろしている川(東沢)に入ります。

東沢の右岸に続く踏み跡(登山道?)を鶏冠山へと向かって行くと、対岸の大木に青い表示が出てくるので、ここで入渓して、対岸(左岸)に流れ込む支流の鶏冠谷に入ります。

沢沿いは涼しいですね。

20分くらいで魚止ノ滝10mとなります。

迷わず左岸を巻いて行きます。

明瞭な踏み跡をどんどん登り、沢へと降りていきます。
直登する踏み跡が突如なくなった10mほど下に左方向にトラバースする踏み跡(トラバース箇所だけが不安定です)を行くと、その後は割と安定して降りていけました。

丁度ここに降り立ちました。
直登を考えるのが面倒なので、右岸を小さく巻きます。
そして、しばらくの間は単調なゴーロを我慢の遡行となります。

イケマ(花言葉は「怖いもの知らず」)が群生する飯盛沢(右岸支流)出合の少し先で川原歩きから解放されます。
右の暗い水流が本流です。

岩盤へと変わった沢を快調に登ると、視界がぱっと開けて3段12m滑滝に到着します。

事前に想像していたよりもずっと大きくて立派に感じます。
下段を右から巻きますが、中段よりも上で行き止まってしまうので、下段の落口まで一旦ズルズルと降りて、中段の右端を登ります。

上段は手がかり豊富なのですんなり登って上に立つと、すぐ上にはこの沢の核心部である「逆さくの字滝」が立ちふさがります。

右側から突き出した岩の突端から水流の中を登ります。
水の抵抗はあるものの、水中スタンスは意外と滑りませんでした。

そして、振り返ってここからが勝負です。

何が勝負かというと。。
左手の水流沿いはツルツルで全く手がかりがないので...

正面に連打されているシュリンゲに飛びつきます。
上から見下ろして左側の苔の壁にぶら下がるお助けシュリンゲなしでは、右俣はおろか鶏冠谷全体を遡行することができません。
少しくたびれたシュリンゲのことを心配する前に勝敗を決しましょう。

左岸が崩れている逆さくの字滝の上を通過すると、釜を持った小滝が連続してきます。

そしてどの釜も、まるで誰か作ったかの様に右岸の岩に桟道状のバンドが切ってあります。

そして最後に見えてくる奥のY字状滝で桟道は見えなくなります。

が、水中に目を凝らすと、いままでよりずっと太い桟道が見えるので、これを利用して左端を登って行きます。

その先のツルツルの滑り台ナメを登ると、間もなく二俣となります。

双方が滝状で合流する左俣と右俣の出合です。

これから遡行する右俣は、すぐ先に4m滝があり、その奥に25m滝が落ちています。

但し、手前の4mは、左岸から小さく巻けないこともなさそうですが、引き返して降りてくるときにとても困るように感じます。

なので、残念ですが25m滝の見物はあきらめて一服します。
そして、二俣から見えている滝全部を左岸から巻いて行きます。

25m滝の落口よりも上を行く大高巻きの間に、日差しは一転して小雨模様となる中を急斜面を下って右俣に戻ります。
スリップすると川まで止まらなそうでコワいですね。
ピンソールを装着して出発しましょう。


トラックログとコースタイムは後半に掲載します。


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