2017年6月9日金曜日

自家用車で登る百名山 ~その13~両神山・金山沢

梅雨入り前の晴天に恵まれた6月最初の週末。
絶好の百名山ハント日和なので、いっちょ遠くまで行ってみるか。
とは思ったものの、いざ前日になると、お約束通り早起きが億劫になり、ゆっくり出発できる近場でもいいか…
ということで、南関東にある数少ない百名山の一つ両神山へ。

2011年に完成した秩父市にある新しいダム。滝沢ダムのバックウォーター「奥秩父もみじ湖」の北岸を走る国道140号線から分岐する県道210号線を中津川(宮ケ瀬ダムのある相模原市・愛甲郡の中津川とは別の川)沿いに北へと進む。
滝沢ダムから望む国道140号線の雷電廿六木橋
さらに支流の神流川(多野郡・児玉郡を流れる利根川支流とは同名の別物)沿いにいくつかのトンネルを抜けて、廃村となった旧小倉沢集落へ。
無人の集落に建つ郵便局。平日は窓口が開くのか?
さらに奥へと志賀坂林道を進み、落合橋の駐車スペースから出発。

U字カーブする林道が同じ沢を渡り返すところに2つの落合橋が続けて架かっており、橋の間が駐車スペースになっています。


すぐ脇に登山口がある方の落合橋(上流にあるほうの「上落合橋」)から沢に下り、落合橋を2つ続けてくぐりながら涸れた沢を下ると、すぐに左側から金山沢の右俣が合流します。
事前の情報通り水量がかなり少ないこの沢を登ります。


3分ほど歩くと、標高1,170m二俣で、右(左岸)からレンガ色の岩の階段状の枝沢が。


本流を流れる水は、ずーっとちょろちょろで、前半の沢登りは万事こんなイメージですすみます。


さらに15分ほどで、1.220m二俣となり、右股へ。


細くて急な岩盤を登ると…


すぐにこの沢最難のつるつるの滝がでてくるので…


左岸の枝沢っぽい地形からこんな感じで小さく巻きますが、巻きはじめが泥で滑ります。
慌てて立ち木につかまろうとすると折れてしまいました。


1,280mで左から、この枝沢が合流するあたりから、ナメが明瞭かつ顕著となりました。



基本的に逆層となるスラブの岩盤を靴底のフェルトの摩擦を頼りに登るというよりも、部分的に傾斜が緩くなっていたり、順層のところを選んで足を置いていきます。


なので、ついつい大股歩きとなり、あっという間に1,350mの左岸からの枝沢10m滝に到着。


風情を味わうためにゆっくり歩こうと努めていたのだが。。

以降はところどころナメもでてくるものの、普通の河原歩きとなり、いつしか水も枯れてしまいます。

そして1,430m付近の二俣状の地形から、この沢の本当の核心である?詰めがはじまります。

この先は地形図は等高線の微妙な揺らぎはあるものの、沢や尾根は読み取れず、東側の狩倉尾根の岩壁を縁としたボウル状の地形に表現されています。
唯一南東に狩倉尾根と梵天尾根が交わる付近めがけて突き上げる沢状の地形が地図に描かれていますが、実際の地形は極めて不明瞭。

なので、運にまかせて?まっすぐかつ最も明瞭な沢型である右俣を選択してどんどん登ります。

標高1,500mくらいでチョロチョロ水が流れる壁となるので、左の沢型に入ると、すぐに傾斜が急となり、行き詰る雰囲気満載です。

1,550m付近でどうしようかと思案していると、右(左岸)からトラバースしてくる踏み跡に気づきます。


この踏み跡をたどっていくと、右岸の小尾根上を登り、標高1,600mを超えたくらいで狩倉尾根の屛風の様な岩壁に突き当たってから、どれも消滅してしまいました。


岩の弱点を突いて突破したくなるものの、どこもクライミングとしての難度は高くないものの、途中からはビレイヤーが欲しくなるくらいの高度差となってしまいます。

尾根の上まではあと1ピッチくらいの高度差しかないと思われるのですが。。。

無理して転落してもいけないので、元に戻って今度は左岸側の踏み跡を進んでみると、こちらはすぐに途絶えてしまいました。
そこはさっき右に見送ったチョロチョロ壁と登ってきた沢の中間にあるリッジで、木の根につかまりサルのように登って行けないことはないのですが。。。
うぅ~ん。ここを登って行くのかなぁ。。。

でも、先が見通せないのと、行き詰った時の下降が厄介そうだし、それに何といっても見た目が美しくない。

というわけで、下の二俣まで戻って考え直すことにします。
ひょえ~

そんないきさつで戻ってきた1,430m二俣は、よくよく見ると右岸から枝沢(なのか本流なのかは見る人の価値観による)が2本合流しています。
これらの沢はぱっと見、1つの沢のインゼルにも感じられますが、実際は2本の別の沢で、上の方の沢(ここを三俣とみれば真ん中)に入って梵天尾根と狩倉尾根の接点を目指します。


地図を読んでルートを選択するといったことはなく、見た目から感じる雰囲気に頼った単なる占いです。

直進する薄い沢型を避けて左へ。


次は左から抜けて直進


ここは左の垂壁沿いの黒い所を這い上がります。


振り返ると両神山頂上付近の岩壁が仰げます。


急斜面を一気に登りきると


目の前の稜線までは明るく開けた緩斜面です。


登りきったところは、狩倉尾根の付け根付近にある1,683m突起と梵天尾根のコルでした。
踏み跡を東へ2分歩くと、梵天尾根の登山道にでます。

ここで沢装備を解除。

登山道を辿って両神山の山頂へ。


狭い山頂は白装束の人たちで大賑わいでした。
みんなスマホでの記念撮影に余念がありません。中にはいちゃついているカップルもいるぞ。
パワースポットブームとハイキングブームが融合した新しい形なのか?


混雑を避けて御嶽山國常立尊の石碑がある北隣りのピークで展望を楽しみます。


さて、下山はどうしようか。
道迷い(というか沢迷い)でくたびれたので、駐車した落合橋に直接下る作業道を使いたいところですが、さっき入口前を通ったら立入禁止の貼紙がしてあった(落合橋側にもあった)ので、八丁尾根の一般登山道を行くことにします。

名物の鎖場を辿り、このルート唯一のベンチがある東岳で、腰かけていた四人組の若者を先に押しやって大休憩。


目の前にそびえる大キギの向こうには武甲山と秩父盆地。さらにその先には関東平野も良く見えます。


こちらは群馬県側の二子山と御荷鉾山。


快晴の絶景に囲まれてのんびりお昼ご飯を食べていると、飲み物が妙に少ないことに気づきます。

先ほどの金山沢でたっぷり汲んでおく予定のところを、あまりに水涸れが早かったので忘れ、その後も道迷いで体力を使ったのが敗因と思われます。

しまった。
さっきの人たちを追い出したりなんかせずに、仲良くして飲み物を分けてもらえばよかった。。。。

下山を急ごうと出発すると、かなり前に出発した四人にいきなり追いつきます。
なんと八丁尾根は鎖場の大渋滞でした。

確かに、1本の鎖を同時に何人も使うことができないので、一人が終了したのを確認してから次の人が出発すると、四人パーティー二組に自分も加えれば、10倍近い時間がかかる計算となります。
そこに逆方向から人が来たりすると。。

あまりにも待ち時間が長いのと、あわよくば仲直りしてジュースとかもらいたいという魂胆から、行列の最後の人に話しかけて、世間話をはじめます。

話によると、四人は千葉のクライミングジムで知り合った友人同士とのことで、どのくらいの実力かを尋ねると、何とボルダリング2級とのこと。

え?そんな力量あったら、この程度の岩場でクサリなんか使う必要ないじゃん。
面倒なことせずにフリーで進んでオレにクサリ使わせてくれよ。

「いや、登るのはいいんですけど、いつもマットに飛び降りるだけでクライムダウンは練習したことないもんで。。。。」

そうなんだ。でも、自分よりはるかに上級者なんだから、そんなに慎重にならずに、もっといい方法あるんじゃない?

「え~、ボルダリングマット持ってきて飛び降りるとかですかぁ?」

それは....どうかな。 マット投げ下ろしても飛び降りたいところに落ちないんじゃないか?

「それに、なんか痛そうですよね。せっかく足を保護するために登山靴を新調してきたのに。。。。」


確かに登るのは上手く、自分たちで「来るときはここが一番怖かった」と言っていた西岳への登り返しは、鎖など使わずにサクサクと通過し、今度はこっちの足がつってしまった。

到着した西岳の頂上で、ジュースをもらう話まで持っていけないまま、先を譲られた。

ちょっと慎重すぎる傾向はあるものの、真面目で真摯な姿勢が印象的な若者たちだった。
装備もヘルメットからシューズまで登山用製品でフルに固められており、ケガや事故を起こさないぞという意識が徹底されていると感じた。
その意識を絶やさないでほしいとの願いを込めて、前に見える赤岩尾根を次なるステップとして推奨してお別れした。
あっちは鎖がついてないから、本領発揮できるよ。


それにしても、この尾根を行く人々はヘルメットをかぶり、腰にカラビナをつけた人がほとんどで、山頂に居た編み笠&白装束とは対照的だ。

私はといえば、ヘルメットは尾根に上がった時点でザックにしまったまま。カラビナは一度もザックから出ることなく肥やしとなったまま、上落合橋に戻る。
もっと装備をフル活用した方が良かったか? 岩壁で引き返す前に。。。


●本日の反省
道に迷った。
1,430mの枝沢に入ってすぐに地形図の沢型を外したことに気づいたが、妙な色気を出してそのまま進み、結果引き返すこととなり、一時間半を棒に振った。
でも狩倉尾根崖下に消えていく踏み跡は何だったんだろう?

正解ルートを進み続ければ、駐車スペースから所要時間は二時間足らずの登頂となり、落合橋から直登する歩道が立入禁止となっている現在、両神山への最速登路と言ってよいかもしれない。

順調に行っていれば、ロープウェイ山頂駅からの筑波山と、美ヶ原に次ぐスピードで登れる百名山となったはず??


2017年6月4日(日)
落合橋(9:00:入渓)→金山沢右俣右沢遡行→1,430m二股(10:00)
→1,620m引き返し(11:00)→1,430m二股登り返し(11:30)
→稜線(12:00:遡行終了)→両神山頂(12:30)→(八丁尾根)
→東岳(13:00)→西岳(14:00)→八丁峠(14:30)→落合橋(15:00)

2017年5月19日金曜日

八甲田(田茂萢湿原;ハイキング)

奥入瀬渓流散策の翌日は、津軽の町、弘前に向けて移動します。

宿泊したホテルのある焼山からクルマで10分足らずの蔦温泉から遊歩道で行く蔦沼。
八甲田の山並みが湖面に映ります。


国道103号線をさらに青森方面へ向かい傘松峠を越えた先にある地獄沼。
この日は7月上旬並みの気温だったとのことで、湯気が上がっているのは見えませんでした。


ここから歩いてすぐのところにある地元の名所「まんじゅうふかし」
なんだそりゃ?
二列に並ぶベンチの様なところに腰かけて使うそうです。


すぐそばには酸ヶ湯温泉の案内所がある大きな駐車場が。

その付近から望む南八甲田の山。
雪はまだ1メートルくらい積もっています。


道端の除雪されたところではフキノトウが開いていました。


奥入瀬渓流では鮮やかだった新緑は、まだこれからです。


酸ヶ湯温泉に入浴です。
32年ぶりに訪れた千人風呂は、ほとんど当時と変わらぬままで迎えてくれました。
(撮影禁止なので浴室内の写真はなし)



さらにクルマで北上し、八甲田ロープウェーに乗って周囲を展望します。
ちょっと料金が高いんじゃないかなと思って乗ってみたところ、距離2.5km・標高差650mちかい距離を一気に登り、乗りごたえ十分。
乗っている間にみるみる周辺の景色が変わっていきます。

田茂萢山頂駅周辺は雪に覆われていました。
登ってきたロープウェイの方向(西)に、津軽平野を隔ててそびえる岩木山。


その左手(南)は、櫛が岳(左)をはじめとする南八甲田の山々。


ロープウェイ降り場に並んでいた無料貸し出しの長靴を借りて、八甲田ゴードラインの一部を通り、雪が積もった山頂に向かいます。

アンテナ施設のすぐ先の樹木が途切れるあたりからは、北側の青森市街の景色が広がります。
市街地の先には津軽半島。さらにその奥には北海道の松前半島が見えました。


青森市が面する陸奥湾は右側の北東方向に大きく広がり、湾を隔てて下北半島も見えます。


雪の野原を少し進むと、田茂萢湿原が見下ろせるようになります。
その先には左から赤倉岳(ここから見えるのは頂上ではなく前衛の突端)、井戸岳、大岳と続きます。


ここからは、遅い堅く締まった春の雪の上を、長靴で自由に歩きます。

湿原の一部分だけ、雪が解けて沼が見えているところがあります。


高山植物展望台と呼ばれる施設でしょうか。
上でのんびり昼寝をする人。


振り返って見る田茂萢岳


小一時間の長閑な散歩です。


ロープウェイを下り、国道394号線をどんどん下って、弘前市に着くと夕方でした。



2017年5月18日木曜日

奥入瀬渓流 (ハイキング)

ゴールデンウイーク終了後の5月中旬の平日に、青森県にプチ旅行に行ってきました。

八戸駅から車で二時間弱で着く御鼻部山展望台から十和田湖を見下ろした風景からスタートです。
この角度から見る二つの半島は、半分水没したクレーターみたいに見えるが、錯覚か?


展望台の駐車場周辺はまだ数メートルの残雪。


今日は40年以上前に観光バスで通り過ぎた春の奥入瀬渓流を散策します。

展望台から十和田湖畔に下り、さらに国道を奥入瀬川に沿って下って石ヶ戸(いしげど)ビジターセンターの駐車場から、渓流を溯る遊歩道を歩きます。




過去に来た時の記憶はほとんど残っていないのですが、昔は水がこんなに濁っていなかった様に感じます。
気のせいでしょうか?


旅行にでかける前に、関東の知人数名に「おいらせに行く」と言うと、何と全員名前を知りませんでした。
首都圏では意外と知名度が低いことがわかりました(自分の周囲だけか?)が、それでも日本を代表する風景だけあって、撮ったものを後で見ると、どれもどこかで見たことがあるような画像ばかりとなってしまいました。




この滝(白布の滝)で前半が終了。


しばらくの間、流れや滝などの変化の少ない区間が続きます。

苔むした巨岩に生える大木


遊歩道に溢れてきそうで溢れない渓流


白絹の滝?
このあたりから先は、徒歩15分くらいの間に8~9本の滝が見られました。


九段の滝


これはまたベタな画像の銚子大滝。


新緑の中のウォーキングを楽しむことができました。
ここからJRの路線バスで駐車した石ヶ戸まで戻ります。

国道が脇を並走している奥入瀬渓流は、いろいろな見物の方法がありますが、滝と渓流を自分のペースでゆっくり見たい場合は、この区間を歩くと、休憩込みで二時間で楽しむことができました。

2017年5月18日(木)
石ヶ戸(13:30)→馬門橋(13:45)→阿修羅の流れ(13:55)→雲井の滝(14:20)→白布の滝(14:30)
→白絹の滝(15:20)→銚子大滝(15:30)

翌日の八甲田山ハイキングに続く



今夜の宿泊場所は、有名なこのホテルです。



設備やサービスは評判通り満足できるものでしたが、個人的に最も気に入ったのは、朝晩利用したこちらのダイニングでした。


ビードロ細工の内装やブナコの照明といった(株)fanがプロデュースした店舗もよいのですが


売りは何といっても、このリンゴです。
入口のショーケースに500個以上並んでおり、あまりの数の多さに最初は模型かと思いましたが、全部本物で、順次入れ替えて料理などに使っているとのことです。


その場でつくってくれるジュースやアップルパイなどはもちろん、ステーキソースなどのベースにも多様されており、リンゴの良さが引き出されたシンプルな料理が(凝った創作料理よりも)おいしかったです。

New

北横岳 (ハイキング)

 2024年秋分の日の振替休日は、三連休で一番の晴天となったので、北八ヶ岳にでも行ってみようと、朝8時前に麦草峠に到着したら、とっくの間に駐車場は満杯でした。 確実にクルマを停めることができる場所にさっそく転戦です。 冬は「ピラタス蓼科スノーリゾート」となるスキー場のゴンドラは、...

Tips