2023年12月29日金曜日

岩山 (ハイキング)

栃木県鹿沼市の市街地のはずれにある標高328mの「岩山」は、一般名詞がそのまま固有名となったまさに岩山。

 交通の便がよく、地元の人たちに愛されている栃木百名山へ行ってきました。


岩山の登山口は東武線新栃木駅から徒歩30分くらいのところにありますが、今回は自家用車で出かけたので、駅よりは少し近い仲町の国道121号線沿いにある「まちの駅 新・鹿沼宿」にクルマを停めて、県道14号線を歩いてアプローチします。
東武線のガードをくぐって西へと行くと、進行方向右手に低い山並みが見えてきて、ハイキングコースの標識を右折すると、保育園の先正面にある日吉神社の境内前を左折したすぐ先に入口があります。

平坦な植林の中を10分ほど歩くと、正面に岩峰が見えてきます。

最初の岩峰を見上げながら左脇を通るハイキングコースには、岩場にちょうどよい足場が削られています。


最初に見えた岩峰の裏の緩いルンゼを登ると、あっという間に岩の頂上付近に到着します。

先ずは、コースを少々外れて一番先端の岩の上に行ってみます。
クライミングのゲレンデとなっているのでしょうか、アンカーボルトが連打されているピークからは、歩いてきた鹿沼の街と、その先に広がる関東平野が一望できました。

右手には特にランドマークの無い足尾山地東端の低い丘が延々連なっています。

そして、背後には屏風のような岩稜が連なります。

先ずは、岩壁の左上に小さく見えるベンチのようなところを目指して岩山ハイキングをスタートします。

急ではあるものの手掛かり/足掛かり豊富な岩場を登って行くと、たちまち先ほど街を眺めていた岩峰を背後に見下ろすようになり、ベンチに到着です。

ここがハイキングコースの看板に書いてある三番岩展望台でしょうか。
ベンチからは、先ほど見下ろしていた街が、一層下に見下ろせました。

ベンチの横にあるあの岩の上からの景色はどうだろう?
右に斜上する細いテラスの上をスリリングに歩いて登るのが楽しいですが、背後からも簡単に上に立つことができます。

ベンチを見下ろすここも想像に違わぬ絶景でした。

岩稜の合間によく整備されたハイキングコースをさらに奥へと進んでいきます。

普通の体力と身体能力があれば特に問題なく整備されており、崖間近に近寄らなければ特に危険なところは見られません。

ハシゴもありますが、これも日常生活の範囲で、登り切ったところを注意すれば済むレベルではあります。

整備された径と崖の見た目のコンビネーションは、公園のアスレチックに近いですね。

最初の岩峰から20分ほど楽しく歩いてくると、右手の山麓はゴルフ場となり、次の凸に向けて稜線は一旦下り基調となります。

下りきったところには「二のタルミ」という標識があり、プチ縦走路で唯一の途中下山コースが分岐します。

次の二番岩を目指して直進していきます。

早速見えてきたあれが二番岩ですね。

二番岩から少しの区間も岩壁を登ったり降りたりするクサリ場がありました。

クサリ場を下り、径が平坦になった先で、最後の一番岩(岩山山頂)に向けて一旦下りとなります。
下る前から猿岩の難路に近付けまいと牽制する標識が設置してあります。

二番岩の下りを過ぎてから一番岩までの区間は、アスレチックな岩場はぐっと減り、分厚く積もった滑りやすい落ち葉以外は、緊張感も低下していきます。
まさに小春日和の陽だまりハイキングですが、もしかして、この緊張感の弛緩がよろしくないのでしょうか?

最後の一番岩(岩山)の手前の岩盤を登ると、一気に山頂となります。

山頂のすぐ下で、猿岩へと抜けるクサリ場への径が分岐しています。
(帰りはここまで戻ってきて右に行くことになります)



正面に日光の山々を見渡す、素晴らしいところです。

麓の里からの高度差200mほどの里山感と、切れ立つ岩壁の上からの高度感の混ざり具合がまさに絶妙で、ちょっと空を漂っている感じすらします。

展望を楽しんだ後は、山頂直下の分岐からクサリ場へと向かいます。

分岐から稜線沿いに5分ほどでクサリ場に到着します。
手前に巻き径の案内標識もありました。

さて、どんな感じでしょうかね?

降り口の表示には「約70mの崖 引き返し・迂回不可」とあり、冷静な判断を促しています。
実際表示は脅しではなく本当です。

見下ろすと、10mちょっとから先が見えなくなっていますが、その先はどん具合なのでしょうか。
実際に行って確かめてみることにします。

上からは先が見えなかったところが見えるようになってくると、

一本目のクサリは、木の根元で終了となります。
終了点は座って休憩ができるくらいの平地がありました。

木の根の平地からは一旦(壁に向かって)左側にあるニ本目のクサリに移って下って行きます。

二本目のクサリは一本目よりも長いですが、斜度が若干緩くなり、乗り移るところも、下ってくるところにも各所にしっかりした足場があり、全体重を手の力に頼ることはなく、所々で完全脱力して体力を回復することができます。
逆に、二本目の区間で手の疲労が増したり、精神的に余裕を感じられなかった場合は極めて危険と思われ、三本目のクサリへと進む前に、大きな足場でしっかりビレーをとり、腕の血流を十分に回復させる必要があると思います。

なぜならば、右側にロープと共に設置してある三本目のクサリが最も厳しいからです。

二本目と比較して順層の足場がぐっと減ることに加えて、

二本並走するクサリのうちの一本が入れ替わった先にある凹状の窪みに吸い込まれてからは、急に傾斜が大きくなり、長島温泉のフリーフォールスライダー張りのU字溝急傾斜となります。

加えてトリッキーなのが、フリーフォールが終わった後の思わせぶりな分岐で、↓この画像の様にまっすぐ下ってしまうと、下を横切るハイキングコースまでクサリが続いていないかもしれません。
下りすぎてからなんかやばいことに気付き、慌てて登り返して左のクサリでU字溝から抜け出して、続くクサリにつかまりながら無事ハイキングコースまで下りてきました。
ちなみに、クサリ場の下はハイキングコースが横切っていますが、滑落した場合はとても止まるような径ではなく、その下の急傾斜の斜面を更に100m近く滑り続けることになると思います。

ですので、筋力・持久力に心配のある方は、信頼できるビレイヤーの確保無しでは下りないことに加えて、確保されている場合でも二本目のクサリまでに十分に体力を回復しておく(もちろんその間の安全確保装備の装着は当然)か、(設置されているロープをどの程度信頼するかは別として)あらかじめ懸垂下降ができる状態で下り始める必要があります。
また、確保手段なしに下降を始めると、最悪の事態となるリスクがあります。

猿岩を下ったあとは、案内とマーキング通りに進むと、鹿沼の街に戻ることができました。

途中の「二のタルミ」からのハイキングコースの分岐にも案内図がありましたので、実際の山並みと比べてみます。


思い立ったらすぐ行ける。 その他の首都圏近郊ハイキングの記録はこちら

●本日の反省
 山頂と途中の1か所に、売り上げが整備費用に充てられるというキーホルダーの箱が設置されていましたが、キーホルダーが入っておらず/支払方法もわからず小銭を持ち合わせていなかったため購入できなかった。
 ウェブサイトを見ても整備費用の募集が見当たらなかったので、整備に協力できていません。

 ルートを間違えるととても危険な岩山が、安全に配慮されながらとてもよく整備されており、安心して楽しめました。
 近所にこのような場所を持つ地元の方々を大変羨ましく思うと共に、整備や安全対策に活動されている皆様に感謝します。

●2023年12月28日(木)
まちの駅 新・鹿沼宿(7:30)→日吉神社(7:50)
→3番岩展望台(8:10)→二のタルミ(8:35)
→2番岩(8:50)→岩山(1番岩;9:10)
→クサリ場(9:20~9:40)→農道(10:00)
→まちの駅 新・鹿沼宿(10:30)



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