2025年9月6日土曜日

秩父札所34観音霊場 (行きにくい10霊場)

今年(2025年)の2月に秩父市街地にある札所24か所を自転車で巡りましたが、そのとき対象外だった自転車や公共交通機関ではとても行けないか、行くのがしんどい残りの10ヵ所をクルマで巡ってみました。
行ったのは市街地から離れた以下の10霊場です。

 1番 四萬部寺
 2番 真福寺
23番 音楽寺
28番 橋立堂
29番 長泉院
30番 法雲寺
31番 観音院
32番 法性寺
33番 菊水寺
34番 水潜寺

それでは、番号が若い順にスタート。


秩父市街から県道82号(長瀞玉淀自然公園)線を、皆野・長瀞I.C.目指して走り、「栃谷」信号のT字路を左折するとすぐに四萬部寺の駐車場があります。
公共交通機関の場合は、西武秩父駅から皆野駅行きバスで「札所一番」か、定峰又は定峰峠入口行で「栃谷」下車(どちらも30分ほど乗車)。
鉄道でのアクセスは秩父鉄道の和同黒谷駅から一時間くらいの徒歩となります。

古民家風の宿泊施設向かい側の階段を登って山門をくぐります。

札所1番 誦経山 四萬部寺
曹洞宗 聖観世音菩薩

正面の観音堂軒下の欄間には極楽と地獄の図。

お寺の裏側にある栃谷八坂神社の舞台は、可動式の二重舞台(通常非公開)を備えた国指定登録文化財です。

次の札所2番は、四萬部寺よりも標高200mほど高い高篠山中にあり、ぐっと行きにくくなります。
栃谷の信号の左右どちらかの道路を山に向かって登って行くと、道しるべ石で合流してからは一本道となり真福寺へと急登していきます。

クルマで走りやすいのは、県道82号で一旦秩父方面へと向かい、光明寺入口バス停付近で左折して林道を登って行きます。
ちなみに、光明寺への入口は、セブンイレブンの秩父側にありますが、秩父・横瀬方面から来るときは表示がありません。

途中で通過する光明寺が2番札所の納経所となっています。

さらに林道を登って行くと、左折の表示がでてきて、ヘアピンカーブを登って真福寺に到着。
駐車場奥の階段を登ったところに、無人の札所がありました。

札所2番 大棚山 真福寺
曹洞宗 聖観世音菩薩


23番の音楽時は、前回自転車で行こうとして急坂に阻まれましたが、ミューズパーク内といって良いところにあります。
西武秩父駅からミューズパーク循環のバスで音楽寺下車。
百花園駐車場のトイレ横の坂を登ったすぐ先を左折した正面です。

前回無理して自転車で登って来なくてよかった...

階段をもういっちょ。

札所23番 松風山 音楽寺
臨済宗南禅寺派 聖観世音菩薩

名称通り音楽にご利益があるのでしょうか...


28番橋立堂は、橋立鍾乳洞チケット売り場の横にあります。
鍾乳洞の駐車場(有料の奥に無料があります)のすぐそば。秩父鉄道浦山口駅から徒歩10分少々の場所です。
ここは自転車でも簡単に来れますが、冬期間(12~2月)は鍾乳洞もろとも閉鎖されてしまうので、夏に来ました。
尚、御朱印は27番の大渕寺でもらい、そちらは冬でもOKらしいです。

札所28番 石龍山 橋立堂
曹洞宗 馬頭観世音菩薩

ブラタモリでも放映されたオーバーハングの大岩壁が覆いかぶさります。


29番と30番は、秩父鉄道でさらに奥へと進んだ場所にあります。

浦山口駅から橋立堂とは反対側の三峰口方面に国道を10分少々歩いたところにある長泉院。

札所29番 笹戸山 長泉院
曹洞宗 聖観世音菩薩

30番の法雲寺は、浦山口駅から3駅先の白久駅改札を出てまっすぐ1km少々登って行ったところにあります。

札所30番 瑞龍山 法雲寺
臨済宗建長寺派 如意輪観世音菩薩
公共交通機関でなんとかなるのはここが最後かな。


31番以降は秩父市にはありません。
お隣の小鹿野町(最終34番は皆野町)になります。
あと、公共交通機関もほぼありません。動力が着いた乗り物で行くことをお勧めいたします。

国道299号線を両神山目指してぐんぐん進み、水子地蔵寺の標識を目安に右折して登って行くと、全ての宗教施設の一番最後、トンネルの先が札所となります。

橋の脇に立つこの建物かと思いきや、これは(一本石造りでは日本一と書いてある)仁王尊で、観音様は門の先の300段近い階段の上にありました。



札所31番 鷲窟山 観音院
曹洞宗 聖観世音菩薩
オーバーハングした崖下にいらっしゃいます。

ハングの岩壁には滝の様なチョロチョロした流れもありました。
中高年の足腰に支障をきたす以外は、なかなかワイルドかつ風情があるところではありませんか。

次の32番は国道299号線から分岐する県道209号(小鹿野影森停車場)線沿いから少し入ったところにあります。
般若の丘公園付近から般若川沿いのどん詰まり方向に入ったところで、最寄りバス停(小鹿野町営バス・長若中学校前)から30分以上歩きます。

入口の門は、一階が仁王門で二階が鐘楼という大変珍しい形式(鐘楼門)で、奥の階段を登った本堂で料金を払って左側にある岩壁の脇を登って行くと、三間四方懸崖造りの観音堂がありました。


札所32番 般若山 法性寺
曹洞宗 聖観世音菩薩

舞台の上に立ち観音堂の裏手に回ると、特長的な岩肌の岩小屋となっています。

さて、観音堂への石段の途中で、「奥の院」と表示された岩の下をくぐっていく分岐がありましたが、実は奥の院への径が法性寺の最大の売りかもしれません。
その先は、ハイキングを趣味としている方なら「釜ノ沢五峰」との呼び方が馴染みのコースで、クサリ場を登って寺の別名である「お船観音」を経て奥の院(般若山)へと続く、アスレチックで楽しいコースみたいですが、そこを行くとなると丸一日必要なので、今日はパス。

次の33番は、国道299号線の反対側、泉田のT字路信号/バス停から北へ2kmほど行った赤平川沿いにあります。
28番以降はずっと山中にあったのですが、ここだけ川沿いの田園の集落内にありました。

札所33番 延命山 菊水寺
曹洞宗 聖観世音菩薩

これまでの霊場の雰囲気と比べるとちょっと違和感を感じますが、ここは巡礼ルート上の立地に意味がありそうです。
菊水寺の建つ下吉田の里は32番と34番のちょうど中間くらいの位置にあり、まっすぐ北へ進むとラスト34番霊場の水潜寺があります。

但し、その途中には破風山と御嶽山座王大権現・天狗山が聳えており、その間にある札立峠を越えて行かなくてはなりません。
恐らく、徒歩の時代の霊場巡りは、この集落周辺で結願に向けた最後の夜を過ごして旅立って行ったように感じます。

時代は変わり、自家用車で移動する今は、赤平川沿いに下って皆野町国神から満願の湯の前を通ってやってきました。
↓左側が水潜寺への登り口。20m先に駐車場の入口が。1日5本のバス停(皆野町営バス。最終便で来ても帰る便は無し。最終一本前で来たら戻る役場行き最終便まで30分。平日は6本。)もあります。


2分ほど登って行くと観音堂があります。

札所34番 日沢山 水潜寺
曹洞宗 千手観世音菩薩

34霊場の最後。
境内の札所の説明版には、秩父34か所に加えて、西国と坂東の33札所が記載されており、ここが最後の100か所目だと言いたげでした。
西国と坂東(関東)に規模感に比べて秩父がずいぶん小さいような気もしますが...

水潜寺の1kmほど奥に秩父華厳の滝があったので寄ってみました。

茶屋の右横を登って行き、案内板から左下へ行くと見えてきました。

形は似てなくもないですが、規模感が...
ホンモノの華厳の滝と比べた規模と、他の33霊場と比較した34霊場の規模感が何となく似ているような気も...

滝ノ上には林道の橋が架かっており、空滝不動尊というのか、ユーモラスな像も見えます。

●今回の反省…実はまだ一か所残っていた。
さて、これで全部制覇した と思ってリンクを張ろうと前回の霊場巡りを見てみたら、何と26番札所(円融寺)の本堂とは別のところに建っている観音堂(岩井堂)に行っていなかったことを思い出した...

2025年8月26日火曜日

むさし野ウォーキング (武蔵野三大湧水池)

 東京の猛暑日は連続6日目、累計では20日となり、あと3日で史上最高となりそうです。

「東京の夏に涼しい場所」をAIに訊ねてみると、屋内のデートスポットに混じって都内の公園がちらほら散見されました。

井の頭公園って本当に涼しいのか? いくらなんでも近すぎだろう。自分の住んでる町と差が無いのではないか? というわけで、本当に涼しいかを調査しに、水辺を選んで三か所行ってみました。

武蔵野三大湧水池とは、その昔江戸への水を供給していた源泉となった水が湧く、井の頭池、善福寺池、三宝寺池の三か所を指す昔の熟語みたいですが、現在は公園の中にあるこれらの湧水はどうなっているのでしょうか?


井の頭池
京王井の頭線の井の頭公園駅は、その名の通り井の頭公園の中にあります。

改札を出てすぐに右側の階段を下ると、吉祥寺側にある鉄橋が川を渡っています。

その川が神田川で、井の頭線に沿って永福まで流れた後は中野を縦断して外堀となり、隅田川に注いでいますが、今日の目的は湧水なので、上流方向の井の頭池へと向かいます。

神田川の流れを遡ると、小さな橋の下に南京錠がかかった四角い石が並んでおり、水門橋と書かれた石柱と神田川の起点だという表示がありました。

水門橋の上流は小さな溜池状となっており、その向こう側が大きな井の頭池です。

炎天下の井の頭池は人影もまばらで、その中を酔狂なボートが一隻漕ぎだしていきます。

そして、池の西端にあったのが「お茶の水」。
現在は汲み上げによる流れですが、湧水だった昔は徳川家光がこの水のおいしさに驚いたことが「井の頭」という地名の起源となったとの都市伝説もあるとか。
石の井桁付近から流れてくる水に触ると、思いのほか冷たいことに驚きます。

その清冽な水が流れ込む井の頭池は、水中は全く見えず、栄養豊富が極まって蛍光色を帯びてきました。

弁財天のそばを通って吉祥寺駅方面へと公園を出ます。


■善福寺池
善福寺池へのアクセスは、西荻か荻窪からバスに乗るのが一般的だそうですが、吉祥寺駅から行く場合は、北口からひたすら直進して日本女子大を目指します。
女子大のすぐ裏手には下の池があり、池の東側の水門から、東京メトロの中野車検区付近で神田川に合流する善福寺川が流れ出しています。

下の池に北から流れ込む流れは、善福寺川ではなく、遅野井川という名前が付いており、子供がザリガニを釣っていますが、早稲田通りの下を暗渠で抜けていきます。

早稲田通りの向こう側には上の池。

上流方向へ行くと、ありました。
ポンプで送水されているような流れの水が蛍光緑色の池に流れ込んでいます。

その先の西岸付近には、岸からすぐそばに小島があり、遅野井市杵神社という神社が建っています。

鳥居から下ってきて参拝する珍しい形式。

そして、神社の階段横から流れ出してくる水の方が由緒がありそうでした。
遅野井の滝と呼ばれているこの水もポンプアップですが、そばには由来を記した表示がありました。

池の北側の子供の遊び場で公園は終わります。

三宝寺池
3つめの湧水となる三宝寺池は石神井公園の中にあります。
長年この池のことを石神井池だと思っていましたが、公園内に三宝寺池と石神井池がありました。

西武池袋線の石神井公園駅が最短アクセスですが、善福寺池からここに行くには、一旦西武新宿線の上石神井駅に行き、そこから早稲田中高校の敷地の縁を通って石神井川を渡ると、坂の上に公園があります。


川の流れよりも高いところにこのような大きな池があることに驚きますが、冷静に考えるとここは公園内の窪地なので、そんなに高くはないかもしれません。

厳島神社を横に見ながら池の西端を歩いて行くと、ポンプアップされた水が池に流れ込んでいました。

池を時計回りに周回していくと、またも湧水が。

付近は入江が入り組んだ湿地帯で、浮島沼沢植物群落という天然記念物に指定されているエリアもあり、園路はその間を縫って伸びています。

そして湿地に架かる橋の対岸には城跡がありました。

立入禁止ですが、土塁や空堀が残っています。

東に行くにつれて陸地の割合が多くなり、ひょうたん池という小さな水溜まりの先で都道444号(下石神井大泉)線を渡った向こう側に石神井池がありました。

細長い石神井池は石神井公園通りまで続きます。
公園通りを北へと登っていくと石神井公園駅はすぐ先の坂の上でした。

●歩いた日;2025年8月24日(日)

思い立ったらすぐ行ける。 その他の首都圏近郊ハイキングの記録はこちら


●本日の反省…日傘を買い替えよう。
 水辺や木陰が多く炎天下は少なかったとはいえ、猛暑日の武蔵野をほっつき歩くのは危険で、途中でたまらず日傘を購入したところ、断熱効果の急激な進歩に驚くと共に、無事に歩くことができた。

 炎天下の公園を歩く酔狂物は滅多に居らず、今回も写真に人が写ることは稀だったが、公園以外の場所、特に駅周辺は日曜日の行楽に励む人が多く混雑していて、ほんの少しの距離の違いが雑踏と閑散を分けていることに気付き、20世紀初頭のスペインの哲学者、オルテガの言葉を思い出した。
 少し長いが以下に引用してみる。

都市は人で、家々は借家人で、ホテルは泊まり客で、汽車は乗客で満ちている。有名な医者の待合室や夏の海浜も同じだ。以前には問題にならなかったことが、つまり、空いた場所を見つけるということが、いまや日常の問題となり始めているのである。

…日常の問題って… 空いた場所は日常の隣の池の周りにいくらでもあったではないか。

ちなみに、この言葉は20世紀になって急に労せずして豊かになった大衆が、「ただ自分の意見を断固として強制しようとするようになった」ことを表現しているそうだ。(自分としてはどう解釈するとそうなるのかさっぱりわからず、豊かさや貧しさにかかわらず、大統領から年金生活者に至るまで、皆そうしているとは思うが。)

さて、今日歩いた池の周囲は涼しかったのか? と問われると答えは、涼しくはないものの意外と暑くなかった。少なくとも、エアコンが効いたビルを出て彷徨ったハーモニカ横町界隈の雑踏よりはずっと涼しかった。

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