2022年7月4日月曜日

小金沢本谷 (沢登り) 後半:大樺沢出合~不動滝

 小金沢本谷の遡行記録、前半からの続きです。

発電所の脇にある大樺沢の出合から、不動滝までの区間を記載します。

前半の小金沢公園から大樺沢出合までの記録はこちらです

大樺沢の滝を左手に見上げながら進むと、右岸から林道に戻る用と思われるロープが垂れており、さらにしばらく行くと、淵の奥に大きな流木が突き刺さった滝が見えてきました。

深い淵の奥に鎮座し、川の水を一点に集めて落ちる御茶ノ水ノ滝6mです。
せっかくなので、深い淵の先に突き出した岩まで泳いで行ってみましょう。

滝の姿を目の前で見ることができます。

これはさすがに登りようがないので、泳いで引き返します。

引き返した先の目の前にあるこの茶色い土の斜面から巻いて行きます。

上まで登って土の斜面を少し上流側に行くと、眼下に川原が見下ろせますので、降りて戻ります。
ここでちょうど正午を迎えましたが、激しい雷鳴が鳴り響き始めます。

降り立った場所の上流は岩壁に挟まれた廊下状となっており、左右の岩にロープが垂れていて、本来は流れに逆らって中を突破するのが困難なところだと思われますが、今日は中をじゃぶじゃぶ歩いて行きます。

その奥にある3メートルの滝は右側の岩を簡単に登れます。

3メートル釜滝から先は、水面が廊下状に続くこの谷らしい特徴が凝縮された区間ですが、雨が激しくなってきます。
しかもこの雨、時折水滴ではなく固体となって落ちてきます。

流れが緩やかで水深があるところでは、水中で腰を低くし、首から上だけを出して直撃を避けながら進んだりしますが、一方で、先ほどまでの真夏の日差しもなくなり、あまり長時間それをやってると寒くなってきます。

左壁をⅢ+で登れるという4m滝で降雨はピークを迎えます。

登る気は完全に失せて、即座に巻いて行きます。

4m滝から上流は、徐々に巨岩や転石が増えて、大味な渓相へと変わって行きます。

標高840m付近の左Uターンで左岸から枝沢の高い滝が落ちてからは、少しの間ナメと瀞の流れに戻ります。

そして、その先にあらわれる倒木と石組みの3m滝は、不動滝手前では最後となる大きな滝です。
直登もできなくはないようですが、左岸すぐ脇にあるルンゼに立派なトラロープが完備されているので、すぐ上にある樋状の二条滝と一緒に巻いて行きます。

巻き終わって少しの区間は、釜とナメが断続的に続く中の滔々とした流れとなります。
晴れていれば美しいのでしょうが、今は雨に濡れて滑りやすくなった岩盤をヨロヨロと登って行きます。

短いインゼルを過ぎると、岩盤主体の渓相はじょじょに巨岩と倒木が散乱するアバウトな渓相となって行きます。

大きな障害物が増えてきて、沢筋を直進しにくくなってきたところで、前方を塞ぐ形で8mの直瀑が出現します。

降る雨なのか、自身が巻き上げているのか、水煙の中に霞む堂々とした姿は、一段の高さとしてはこの沢最大のものです。
見た目からも直登は無理で、巻きも簡単ではないないため、多くの人がこの滝で遡行を終了しているみたいです。

脱渓するにも、巻いて上流を目指すにも、滝の背後の右岸に流れ込む塩地沢から林道まで登ることになります。
自分は、ここまで来れただけで十分満足なので、ここで終了とします。

充実感に浸りながら沢装備を解除し、塩地沢を右に見下ろしながら支尾根を登って行きます。
さよなら小金沢。

遡行してきた沢を左手に見下ろしながら、舗装された(ときどき荒れた)真木小金沢林道を小金沢公園へと下って行きます。

林道沿いには、電源開発の施設や、その工事に使われた(今も使われている?)トンネルがいくつかありますが、林道自身が通過する唯一の「大樺隧道」を抜けたところで、土砂崩れの復旧作業をしていました。
そこには、落石があったところの上で聞こえたあの音が...

林道をのんびり一時間半ほど歩いて公園に戻りました。

前半(大樺沢出合まで)の記録はこちらです

※この記録は稀な渇水条件に遡行したときのもので、通常の水量では危険や著しい困難を伴う箇所が記載されていません。
 極めて難度が低い条件下での表現であることを認識いただき、実際に入渓される十分な装備で臨み、自己責任で進退を判断してください。
 また、事故に遭われた場合の責任は負いかねますので、ご了承願います。

●2022年7月2日(土)
小金沢公園(8:00)→真木小金沢林道
→スバノ沢手前の小沢下降(8:30)
→小金沢本谷遡行(入渓;8:50)→鶏淵(9:25)
→二連堰堤(10:10)→大樺沢出合(11:25)
→お茶ノ水ノ滝(11:40~12:05)
→不動滝(塩地沢出合・脱渓;13:15)
→真木小金沢林道(13:35)→小金沢公園(15:00)




2022年7月3日日曜日

小金沢本谷 (沢登り) 前半:大樺沢出合まで

 平年よりも三週間早い6月27日に梅雨が明けてしまった2022年の関東地方。

主要な河川は渇水傾向が著しく、普段は水量が多くて遡行に困難を極めるこの谷も、6月下旬よりSNSに遡行した記録がちらほら載るようになりました。

もしかして、チャンス到来か? と色気を出して、いままでずっと縁がないと思っていた関東屈指の渓谷に行ってきました。

尚、コース全体のトラックログとタイムは、後半のサイトの末尾に掲載してあります。

※この記録は稀な渇水条件に遡行したときのもので、通常の水量では危険や著しい困難を伴う状況が記載されていません。
 極めて難度が低い条件下での表現であることを認識いただき、実際に入渓される十分な装備で臨み、自己責任で進退を判断してください。
 また、事故に遭われた場合の責任は負いかねますので、ご了承願います。

山梨県大月市から奥多摩湖へと続く国道139号線の深城ダムを過ぎた先の標識を曲がり、ダム湖を越えたところにある小金沢公園の入口、駐車場の脇にあるこのトンネルがスタートです。

トンネルのゲートの脇をすり抜けて舗装された林道を30分ほど進んだところにあるこの9番の標識が目印です。
すぐ先の黄色い標識が立っているガードレールの隙間から小さな沢を下って行くと小金沢の川原に到着するので、そこから入渓します。

事前の情報通り、水は滔々と流れているものの水量はとても少なく、広い河原を、釣れない釣りをしながら歩いて行きます。

右岸から堰堤と急流でエノマゴヤ沢が合わさって少し行くと、両岸が崖となった先に鶏淵ノ滝が登場します。
入渓から30分ほどです。

釜に浸かって流れの左側から登ります。

滝の上も緩やかではありますがゴルジュ状の地形です。
水量が少ないためか難儀に感じるところはなく、水と戯れるように遡行していきます。

太い丸太のゲートを平瀬で潜り抜け、川が右へとUターンした少し先で、深い淵を持った3mの滝が現れます。

釜を泳いで左側に取り付き、這い上がって流れの左端を登ります。

今日は難度が高くありませんが、水量が増えたら大変でしょうね。
押し流されて取り付けないか、取り付けてもスタンスで流されるか。それよりも恐怖感が半端ないと思います。

滝のすぐ上も大きな釜と小滝となっています。
こちらは広くて流れも緩やかです。

川原を少し歩くと、二連の堰堤が見えてくるので、右岸から巻きます。
巻き径は明瞭ですが、チェーンスパイクがあると安心できます。
堰堤で先行する5人パーティーに追いつきました。
道理で釣れないわけだ。と、力量の無さを先行者に転嫁します。

堰堤上は、右岸から滝沢が入るのと、一か所だけ小滝があるものの、平坦な川原が続きます。
歩きやすいところがわかるように先行者が見える範囲で距離を保って尾行を続けます。

この巨岩は右岸が崩れて落下してきたものですが、自分が通過するときに1メートルほどの岩がスイカくらいの岩を引き連れて転がり落ちてきました。
岩が落ちてきた方を見上げると、エンジン音の様なものが上からポコポコと聞こえてきます。

この上には林道のトンネルだけで、発電所や工場は無いはずですが...

平凡な川原に飽きてきた頃に、左岸から小沢が2本連続で落ちてきて、川は左へとカーブします。
そして、左カーブを曲がると、そこには先行パーティーが立ち止まっており、「自分たちは遅いから先に行ってくれ」と言われてしまいました。

道を譲られた目の前はゴルジュの始まりです。
はて、どうやっていくんだろ?

左岸の岩壁からはトラロープが垂れていますが、ちょっと先の岩の上に立って先を見下ろすと、左岸のハングした岩壁の下が浅瀬になっています。
浅瀬から細い水路に踏み出すと、何と、泡立った水面のすぐ下に岩の頂部の様なものが見えるので、その上に立ってみます。

水中の岩の上に立って後ろを振り返るとこんな感じ。
目線がちょうど水面の1メートルくらい上を移動していくような感じで奥の滝に到着。

流れの右側を這い上がります。

通過して立った滝上の岩から、通ってきたところを振り返ります。

すぐ上にはゴルジュの中を滔々と流れる水面が続きます。
左岸にトラロープが垂れているところから察するに、通常は流れの中を逆らって行けないところの様な気がしますが、今日は概ね腰くらいの水深で楽勝です。

ただ、一番奥のこの岩だけは、ツルツルでカチホールドがなく、ちょっとバランシーです。
右側を突っ張りで通過。

今日は通過して一息つくほどではありませんでしたが、ここも水量が多いと恐怖かもしれません。

間もなく流木が突き刺さった淵です。

流木から先が深くなりますが、気持ちよく泳いで通過。
普通なら突破に苦労するくらいの水流なはずだと思いますが...


流木の淵を越えてからは、岩がごろごろして歩きにくくなってきます。
滑りやすい岩の上を我慢して歩き続けると、ケーブルワイヤーの残骸が現れ始め、その先で両岸に岩壁が立つと、門の奥に右岸支流の大樺沢が立派な滝で落ちてきます。

滝の上には林道のコンクリート橋が架かっています。
このあたりがちょうど入渓場所と不動滝との中間点です。
少し先の右岸に、上の林道にある発電所近くに登って行く固定ロープが見えてくるので、時間がなくなったときに離脱する目安でもあります。

この先の不動滝までの続きはこちら
トラックログとコースタイムは、後半の末尾に掲載してあります。


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