2020年8月3日月曜日

入川谷 (沢登り)

長かった2020年の梅雨は、8月に入ってようやく明けました。

待ちに待ったシーズン開幕ですが、長期間にわたって例年の数倍の降雨をため込んだことによる増水を警戒して、先ずは「歩く」沢へと出かけました。 


国道411号線(青梅街道)の古里附を(東京方面からの場合)右折して、青梅線(東京アドベンチャーライン⁇)のガードを潜り、地形図では”峰入川谷”と表記されている入川谷の右岸に沿って奥へと進みます。

道路は川の対岸にある昭和石材の石切り場を過ぎたところで舗装が終わり、その先の林道は通行止めとなっていたので、石切り場裏口にある数台分の駐車スペースにクルマをとめます。

釣り人が多い川なはずですが、今日は自分以外のクルマは見当たりません。

すぐ下を川が流れているにもかかわらず、これから行こうとしている林道からも水が流れてくるのが気になりますが、まずは出発。


林道からは左下に、入川谷に架かるいくつか滝が見下ろせます。
今日は水量が多いので危なそうですが、これから行くところよりもここを遡行する方が楽しそう?


5分ほど歩くと、川と林道が右曲するところに改めて通行止めの看板が設置されていました。


看板の数メートル先で林道が大きく陥没してしており、山側に残った一人分の幅の踏跡をそろりと歩いて通り抜けます。
下の写真は通り過ぎてから振り返ったところです。
写真で見ると底なし穴の様ですが、護岸の下部が開いており、落ちてもちゃんと川へと抜けれます。落ちたらそれなりに痛いと思うけど....

間もなく十数年前にはキャンプ場だったと言われる広い川原に到着します。

その昔、この広場跡には川を飛び石で渡って入った記憶があるのですが、飛び石はなくなってしまいました。
代わりに不安定な倒木が横たわっており、その上をふらふら渡ってきました。
この木が水を堰き止めて渡りにくくなっている様な気もします...

広場跡の反対側は、狭いゴルジュを入川谷が抜けてくる「トバ(前)の倉骨」です。
一般的にはここで沢支度をして入渓となるのですが、、、

今日はそのまま右岸にある踏み跡で巻きます。

短い急坂を登ると、トバの倉骨のすぐ上に出ます。
ちなみに、トバの倉骨は、平水であれば左岸をへつって抜けることができます。
魚は見たことがありません。

ここからしばらくは、横に多くの砂防堰堤を見ながら、右岸に続く踏み跡を行きます。
踏み跡は、一瞬不明瞭となる場面もありますが、水が伏流する広い川原まで続き、その先布滝沢出合の数百メートル手前までは普通に歩いて行くことができます。


砂防堰堤の上部に広がる広い川原です。
帰路は左側(右岸)の植林から、ちょうどこの場所に下りてきました。

右岸の上に峰集落の跡があるあたりは、人工物が多くなります。

右岸から尾根が張り出してくるあたりで沢支度をして、沢の中を歩いていると、すぐに左岸から布滝沢が出合います。
奥に見える布滝を見物します。

ちょっと別の角度からも。。

さて、長らく滝を見物したあとは、本流に戻って遡行を続けます。
基本的には沢登りなのですが、ところどころに踏み跡を示すと思われるようなピンクテープが打ってあります。

徐々に沢幅が狭くなり「オキ(奥)の倉骨」と呼ばれるゴルジュ状となります。
名前が付いていますが、普通の沢が少し急になったくらいのところで、奥に見える堰堤を左岸脇から巻いて抜けて行きます。

オキの倉骨の上で作業径が横断していきます。

その後も、大きな滝の巻き以外は特に難所はなく、川原や流れの脇を歩いて行きます。

小滝の脇にひっそりと咲くイワタバコ?

たまに堰堤かワサビ田の跡と思われる石垣や植林の表示。作業スペースとして使われていたと思われる平地が現れ、人々の生活と密着した場所であることが感じられます。

標高600mの崩壊した右岸枝沢の先で谷が右に曲がると、外道滝が見えてきます。

数十メートル上流にある堰堤が上部に重なって見えます。

すぐ脇の右岸についているトラロープを使って巻きます。

そして、堰堤のすぐ上の右岸から、ワサビ田の堰堤が巡る姥岩沢が出合います。
右の本流を行くと、、

10mの銚子滝が落ちてきました。
真ん中から水が落ちていれば、お酒を入れるお銚子のような形となるのでしょうか。

この滝もここから右岸を巻いていきます。

落ち口くらいの高さまで登ると、トラバースする踏み跡が続いていました。

銚子滝から数百メートルで左岸から小さなクマタカ沢が落ちてきます。

そして、そのすぐ先で流れが急に細くなるように見えるのは右岸の支流の柳ガマ沢で、右手から流れ込む太い方の水流の奥には、、

大きな滝が架かっていました。

「速滝」は奥多摩でも有数の立派な滝で、恐らくは奥の方の20mの滝を指すと思われます。
それとも手前の10mと二段あわせて速滝なのでしょうか。
上の大きな方の滝の下まで行ってみることにします。

上段の滝への踏み跡は、一旦柳ガマ沢を少しだけ遡り、同沢と速滝の中間尾根をできるだけ低い場所から越えていくと、短いトラロープが付いており、滝壺に下っていけます。
但し、トラロープに手が届くまでの数メートルでスリップすると、下の写真左側の岩壁を転げ落ちることになりますので、注意が必要です。

下段の滝の落ち口までやってきました。

振り返った上段の速滝です。

梅雨明けにもかかわらず、晴れ間が出なくて少々寒いですが、立派な滝を間近に見ながら少しの間憩います。
速滝を上部に抜けるところがこの沢最大の難所となり、その先もまだまだ楽しめる小滝が続きますが、年齢的にしんどくなったのと、林道に停めたクルマを回収するという理由で、一般登山道を利用してここから下山することにします。

一旦クマタカ沢の出合まで引き返して沢装備を解除し、柳ガマ沢右岸のこの植林の尾根を登ります。

尾根を登りはじめると、本日唯一の日光が差し込んで速滝を照らしてくれました。

下段の滝も暗い谷の底に輝いて見えます。
この植林の尾根は、クマタカ沢出合から取りつきましたが、柳ガマ沢出合より少々上流側か、または柳ガマ沢を少し遡行してから取りついたほうが傾斜が緩くて登りやすそうです。

標高差100m足らずを登るとでてくる作業径に従い、スイッチバックで登っていきます。
この作業径は、途中で入川谷右岸へ下っていく径を左へと分け、さらに速滝上部より下ってくると思われる径を右から合わせます。

そして最後は尾根の左側をトラバース気味に登り、この210番の標識の前で川苔山からの登山道に出ます。

下の写真の右手から出てきました。手前の木と重なっているので藪っぽく見えますが、よく手入れされた明瞭な径です。
左の上に向かうのが川苔山への登山道ですね。

さて、クルマを停めた場所へ戻るべく、大根ノ山ノ神の少し上で登山道が降りた林道を、駅とは反対の方向に向かいます。
この林道は登山口の出合に三角コーンで「工事中通行止め」となっていましたが、歩く分には問題ありませんでした。
下の写真の少し先で本格的に立派な林道が造成されており、上を斜上する川苔山の登山道からも樹間に見下ろすことができます。

ただ、新しい林道があまりに立派で、峰集落跡への踏み跡がどこにあるかに気付きませんでした。
林道を歩きながら右手の植林内にひっそりと建っている小屋を発見して、集落跡を特定することができました。
下の写真はその小屋「日天神社」の傍らに立つ銀杏と杉の巨木です。
しかしながら、ここからキャンプ場跡の広場へと続くであろう踏み跡が発見できず、空き瓶やガスボンベなどが散乱するかつての集落跡をしばし彷徨うことになりました。
往路でトバの倉骨を巻く踏み跡の左側から降りてくる径があったのを見ているので、どこかに踏み跡はあるのでしょうが....

発見できなかったため、手っ取り早く入川谷へ最短となる植林の斜面を降りて、↓ここにでてきました。

あとは往路を引き返してクルマに戻ります。

●本日の反省

①(加齢と在宅勤務による)足腰の劣化に注意
 沢登りよりもハイキングに近い内容だったが、2回ほどスリップにより転倒したほか、転倒に至らないまでもバランスを崩すことが何度かあった。
 全てが沢中や登山道・林道以外の不整地(いわゆるバリエーションルートに相当する場所)で発生し、迂闊にも濡れて傾斜のついた木の根や岩にスニーカーで乗った時に起きたもので、不注意と気の緩みによることは明らかだが、注意力低下の根本原因として加齢による神経の劣化と体力低下があるように感じられてならない。
 雑誌や報道などで典型的な事例として耳にする「転んで動けなくなり遭難」が、まさに他人事ではなくなった....

②道迷いの誘惑が。。
 今回のルートは作業径や径跡・廃道、廃村と密接に出会い、それらを繋ぐ旅でもあった。
 短い遡行中に気付いただけでも三度の径跡横断と、遡行後も登山道からひっそりと入川谷沿いに消えてゆく数々の踏み跡。
 それらがどこからどこへ通じているのか、ちょっと興味が湧き、思わず行ってみたくなるが、先ずはやめておこう。行った先で転倒して動けなくなると困るんで…
 行ってみてもたぶん見るべきものは無いと思うので。。

●2020年8月2日(日)

昭和石材入口(9:50)→キャンプ場跡の広場(10:00)

→布滝(11:00)→外道滝(11:40)→銚子滝(12:00)

→速滝(12:15~13:00)→柳ガマ沢右岸尾根

→登山道(13:25)→峰集落跡(14:15)

→入川谷(14:35)→昭和石材入口(15:05)



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