2020年6月21日日曜日

大黒茂谷 (沢登り)

梅雨の晴れ間に、久しぶりに奥秩父の沢に行ってきました。


青梅街道を丹波山村からさらに甲州方面に走り、トンネルを2つ抜けた先で左側へと下ったところにある三条新橋のすぐ先にある林道泉水横手山線の入口ゲートには、7~8台の車が止まっていましたが、まだ空きスペースは数台ありました。
出発の支度をしていると、釣人と思われるグループが2組ほどやって来て、同じく出発の準備を始めたので、早々にスタートします。
早々といっても、既に9:00を回っており、そもそも遅いのですが。



林道と並走する泉水谷を見下ろすと、既に何名かの釣り人が入っています。


舗装された林道を一時間ほど歩いて大黒茂谷の出合に到着です。


「大黒茂」の標柱のすぐ先にある川原へと下る木段を下り、泉水谷に降り立ちます。
かつてはここに泉水谷を渡る木製の橋が架かっていたのですが、消失しており、橋脚の一部だったと思われるものが川の中にころがっていたので、ここで沢支度をし、大黒茂谷の出合まで数十メートルを下ります。


泉水谷の右岸に分かれるこの沢を登っていきます。


すぐに巨岩が転がる急傾斜となるので、岩の間を縫って登っていきます。


この辺りはかつて、堰止まった淵の上を巨岩の天井が覆っていたのですが、様相が違っています。
巨岩の右手に水が大量に流れているので、そちらへと行ってみると、


いきなり普通の川原となり、奥に滝がありました(できてました?)。
以前訪れたときは、岩屋の奥に滝のようなものがあったような記憶もあるのですが、ここがそうなのかは定かではありません。
ここは左岸を簡単に巻けると思いますが、、、


私は隣の細い滝との間を登りました。
難しくはありません。


滝の上の平らな川原を歩いていくと、


この谷唯一のコンクリート製堰堤が登場します。
昔は左岸側のコンクリート脇を登っていましたが、崩れてしまって登れなくなっていたので、この写真の右下くらいからはじまる踏み跡を辿って巻いていきます。


巻き径を堰堤の高さまで登ると、トラバース気味に続く踏み跡があるので、そこをトラバースしてコンクリートに乗っかります。
ここは足元がちょっと不安定なので、写真がボケてしまいました。


堰堤の下りは、倒木の左側(岩壁との間)をクライムダウンします。
倒木が邪魔なのか、手がかりとなり便利なのか微妙です。
堰堤中央部を滑り台のように降りることも検討しましたが、ちょっと勇気が足りませんでした。


堰堤の先しばらくで、この巨岩がでてくると、ゴルジュは間近です。
左岸から簡単に巻けます。


左岸枝沢からのガレで埋まりかけた滑滝を過ぎると、


ゴルジュの入口に到着です。
泳いで奥まで行くか、左岸の岩上部を巻かなくてはならないところだったのですが、倒木の橋が架かり、歩いて渡れるようになりました。


橋を渡ったあとは、橋を見下ろす位置まで一旦右岸を登ります。


そして、右岸のテラス状の岩の上を歩いていきます。


道なりに行くと、この滝の下まで来ますので、緩くてホールド豊富な滝の左側の岩を登ります。


滝の上には、滑滝が2つ続きますので、行けるところを適当に行きます。


上の方の滝は右側の岩を登りました。


これでゴルジュは終了です。
ここまでは不確定要素がなくなり、昔よりもワンランク容易になった様に感じました。
2019年に続いた台風による影響なのでしょうか。


滝で落ちてくる枝沢を眺めながら先へと進みます。



3段の滝の前にでてくる赤いナメは、もともと長い距離はありませんでしたが、石に埋もれ気味で、ほんの一瞬で通り過ぎてしまいます。



標高1250mを過ぎたこの辺りから、川原のあちこちに溜まった砂の中に金色の粒子が混じるようになります。
黒川金山も近いし、金か? と思いますがおそらく雲母でしょうね。



しばらく川原を歩いていくと、


3段の滝が見えてきました。


最初の滝は、右岸の大岩の左側の溝から巻きます。


次のナメ滝は中央部をフリクションで登り、、、


そして、三段目は。。 ありませんでした。
これは、少し先にある1300m左岸枝沢(学校沢と呼ばれているのでしょうか)との出合いです。
三段目というには離れすぎている。 というか滝ではありませんね。

最初の滝の手前にあった赤いナメが一段目だったのかしら?
恐らく、一段目は消滅してしまったのだと思います。
本当は、最初に大岩の溝を巻いた滝の下に、もう一段小滝があったはずです。
こんな感じなら「3段」と言えますね。
2015年9月撮影

さて、1300m枝沢のすぐ先で歩道の木橋が横断します。


同じところに堰堤の残骸のようなものも残っていました。
ここから大滝までの間は、川原が荒れ気味となりますが、作業径がここを含めて3回ほど横切ります。
2回しか気づきませんでしたが。。
ちなみに、橋があるのはここだけです。


荒れ気味の中に唯一出現するナメです。
ここもなんか石ころだらけになってしまったように感じますが、錯覚でしょうか。


両側に平坦な林が広がる単調な川原歩きが続きます。


山が崩れている個所は、場所をきちんと選ぶとブッシュ漕ぎはありませんでした。
でも、こうやって、だんだん沢を倒木や土砂が埋めていくのでしょうか。


地形図の1460mから先は、何本かの枝沢が複雑に合わさっており、実際現地でもそれが実感できますが、水量は本流のみが際立っており、迷うことは無いと思います。


そして、ここにも堰堤の残骸のようなものが。


それを過ぎるとすぐに、1520mくらいで両側から作業径が降りてきます。


そして、その先で大滝が見えてきました。


前衛6mの奥に15m大滝です。
手前の6mは岩の横を水が流れるような感じで、右岸を巻きます。


大滝は、左岸から巻きます。(滝のすぐ横の岩でも、もっと右のブッシュの中でもお好みの場所を行けます)


水流が左にズレるあたりが微妙ですが、ロープで確保されていれば直登できます。


私はヘタレなので、ブッシュの中を登ってここに来ました。


次は12mの滑滝です。
ガイドブック通りに、ホールドが豊富な流れの左端を登ります。


最後は1600m二俣の8m滑滝です。
正面のブッシュから流れ出てくるのは右岸の枝沢で、本流は右側の8m滝です。


ここは、現地でパッと見て岩盤右側にあるクラックが登りやすそうだと思って登りましたが、あとから写真を見ると、流れの中も行けそうですね。


初心貫徹で右のぬめぬめクラックを登ります。


8m斜滝の上からは奥秩父の匂いが強い、コケの世界となります。



丹波川、一ノ瀬川と名前が変わる多摩川の上流域は、奥多摩だったり奥秩父だったりと人によって認識が異なるようですが、実際に今、自分がこの光景の中に立つと、奥秩父の中に居ることを実感します。


ただ、最後の斜滝からあまり高低差のない1680mの奥二俣には、意外と早く着いてしまいます。
ここは最後の二俣で、どちらの沢も、中央の尾根も行くことができます。


せっかくの奥秩父の雰囲気が名残惜しいので、左俣を行くこととします。


左俣に入るとすぐに沢に大岩の栓がされているので、水が枯れる寸前のここで終了することにしました。
この大岩は左側を比較的容易に登れますが、登った先に見るべきものがあまりない(泥だらけになって登るべきものはまだ出てきます)ので、安易に左岸の尾根を行きます。


プラグの岩を見下ろしながら、緩やかな尾根に取りつきます。


尾根というよりは斜面に近いここは、足元がフカフカの土と枯葉で、藪漕ぎも、スニーカーに泥が入ることもなく歩いて行けます。


歩いている木々の間や地面から、松脂のような、墨汁のような、カビのような、魚のヌメリのようなものが混ざり合った空気感が漂ってきます。
この独特な香りに包まれるのは、思い起こせば昨夏の終わりに釜ノ沢を訪れて以来です。
それ以来、一年も経過していませんが、本当に長い時間が経ったように感じられます。

非常事態宣言が為されてからの自粛期間中は、どこへも出かけなかった訳ではありませんが、こうやって奥秩父の空気の中を歩いていると、行きたい/行ってみたいところと、行く必要があるところの違いを実感します。


たどり着いた登山道を丸川峠へ向けて下山していると、徐々に林層が開けてきて、森が明るく華やいでくるような気がします。



だんだんと光が差し込んでくる山道を歩きながら、一日かけて自分の肌や肺にしみ込んだ、今日通り抜けて来たあの黒い森の空気が、せめてあと数日の間、流れ出してしまわずに、留まっていてほしいと願いながら下山の途につきます。



2020年6月27日現在の牛首谷登山道と、林道泉水横手山線の様子です。
ある程度登山を経験された健常者の方なら問題なく通過できます。







●2020年6月27日(土)
三条新橋(9:00)→(林道泉水横手山線)
→大黒茂谷出合(入渓 10:00~10:15)
→(大黒茂谷遡行)→下流ゴルジュ(11:00)
→1300m左岸枝沢出合(12:15)→1470m二俣(13:00)
→1600m二俣右沢(13:35)
→奥二俣(1690m)左沢(13:50)
→脱渓・左岸尾根登る(14:00)
→登山道(14:30)→丸川峠(15:00)→(牛首谷登山道)
→牛首(15:40)→(泉水横手山線)→三条新橋(17:05)

●本日の反省
 ①帰りのクルマを運転中に足がつった。
  対策をしなくては。
 …在宅勤務に慣れ切った体の作り直しか、芍薬甘草湯購入か...
 ②朝寝坊の悪癖はもう治らない?



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