2023年3月14日火曜日

船明神山(BCスキー;あだたら高原スキー場から)

 ちょうど2年前の2021年3月初旬に安達太良山に登りましたが、そのとき山頂から眺めた船明神山周辺の豊富な残雪が印象に残りました。

その後の帰り道で、石筵川を滑って来た方と偶然お会いして話を伺っている間に、単なる印象にしか過ぎなかったその場所が、滑ってみたい場所に変わって行きました。
それから長い間、いつも通りの怠惰な時が流れていましたが、豪雪なのに春が早くやってきた2023年に、あの時のことを思い出して船明神山に向かうことにしました。

先ずは福島県二本松市にある「あだたら高原スキー場」のリフトを使って極力標高の高いところまで登ります。
ちなみに、3月第二週末の今日は、今シーズンの最終営業日だったみたいですが、3月中は週末のみ登山者向けにリフトを営業する模様です。
二年前に訪れた時と同様、五葉松平に最も近い最上部のリフトは運転しておらず、一本手前のリフト(バイオレットという名前です)を使用して、降り場すぐ右下にある旧スキーコースを登り、先ずはゴンドラ山頂駅を目指します。
ただ、二年前と違ったのは、スキーを履かない登山者もリフトを利用できるようになったことと、その一方でチケット売り場で「登山する」と言ってしまうと最下部のリフト一本分の乗車券しか販売してくれなくなったことです。
ですので、一回券二枚でスキーを楽しむ珍しいスキーヤーになりすましてリフトを利用しました。

リフトを降りて伐採された旧スキーコースを登り、運転していないゴンドラの山頂駅前を過ぎて樹林の中を歩いて行くと、標高1400mを越えたあたりから徐々に安達太良連峰が見えてきました。

前回訪問したとき、帰路に滑走した烏川左俣源頭の斜面を右手に見ながら多くの人々が登るトレースを辿って行きます。

烏川へのドロップポイントの上を通過すると、間もなく安達太良山頂の乳首が見えてきました。
リフトを下りてからここまで二時間弱。

先ずは山頂に立って裏側の残雪量を確かめてみます。

うん。ちゃんと雪が積もっていてくれました。

何といっても目に付くのは石筵川源頭の谷の向こう側にある積雪豊富な船明神山です。

くろがね小屋の方向の峰ノ辻周辺も残雪十分ですね。

登って来たスキー場方向は南斜面になるととたんに雪が消えますね。
晴れていて日差しはあるものの、ちょっと見通しが良くない天気です。

和尚山。

さて、それでは積雪豊富な船明神山へと向かうことにします。
安達太良山頂から見てすぐ北側の手前左下方向に下りて行っている雪渓を滑って行くことにします。

山頂直下から北進する泥の登山道(牛ノ背っていうんだっけ?)を歩いて...

登山道脇まで雪が残っているところでおやつ休憩してスキー装着。

それでは、石筵川本流の源頭に向かって滑ります。

滑って行くと、対岸の船明神山が見る見る高く・大きくなります。

山頂から見下ろした時には中に雪庇の様なギャップが2つあるように感じましたが、一つ目は左を簡単に通過でき(もしかしたら中も普通に滑れるかも。)、二つ目は普通の斜面でした。

雪がつながっている石筵川に合流していきます。
合流点から下流側は一気に傾斜が緩くなるのと、すぐ先で右岸側の崖からブロックが落ちてきているので、楽しい滑走はここまでかもしれません。

滑り降りた石筵川の谷は源頭の二俣のすぐ下で、雪が無くなると赤い岩盤から水が湧きだす場所でした。

無雪期に石筵川を遡行してくるとこんな感じで突如展望が開けるところです。
今にして思うと、今日滑って来た沢が稜線の赤い泥を運んで来ていたのかもしてません。

船明神山を目指して目の前の大斜面を登って行きます。

山頂に到着すると、沼尻方面から稜線沿いにやってきて、母成へと下ろうとしている二人のスキーヤーが準備しているところでした。
実は彼らとはリフト券売り場と、先ほど滑り始める稜線上で既に声を掛け合っていて、本日三度目の出会いとなりました。

母成グリーンラインのふれあい牧場周辺にクルマを一台デポしてあって、↓こっち側に滑って行くそうです。
スキーを担いでブッシュだらけの尾根を下って行く彼らを見送った後で、周囲を物色してみます。

沼尻分岐・鉄山方面の手前に広がる石筵川源頭は、一面のメローな雪面となっており、最も目につきます。

さて、先ずは正面左上から右下に帯状に続く、さきほど滑り降りてきた沢との出合に向けて滑り返していくことにします。

それではスタート。
石筵川源頭右岸の一枚バーンを一気に滑り降りてきました。
↑上の写真のスカイラインとなっている緩やかな尾根状を滑ってきました。

満足が行く滑走ができたので、峰ノ辻方面へと帰るべく沢を登って行きます。
滑り降りたすぐ上にある最上流二俣を、帰路に近い右へと入ります。

稜線が近づいてくると、これまで越えてきた安達太良山と船明神山の間に和尚山が並んで見渡せました。
この山域で最も雪量が多いエリアです。

ここは先ほど船明神山から見下ろせた一面の雪の斜面の中です。
せっかくなので、ちょっと一本滑っておきましょうか。
斜度は緩く距離も短いですが、ゆったりした気分で滑れてとても快適でした。
滑った軌跡もとてもユルいです。

さて、時刻も午後2時に近付いてきたので、帰ることにします。
左手に障子ヶ岩、沼の平、鉄山を、

右手に今滑って来た斜面を見ながら、多くのハイカーが行き交う牛ノ背の登山道へと登って行きます。

登山道の沼尻分岐に着いて、これまで見てきた光景を振り返ります。
滑った跡はどの辺かな?

帰路は振子沢からスタートするクラシカルなスキーコースをスキー場まで滑るべく、峰ノ辻への登山道を進んで、途中から矢筈森の雪の斜面を、振子沢に入れる高さまで登ることにします。

峰ノ辻への登山道(今はトレース)が横切る烏川右俣の源頭を見下ろすこの場所でスキーを装着して、左側にある尾根の凸の間にある雪面に滑り込みます。

矢筈森山腹の岩頭下のここからは、くろがね小屋直下で分岐した湯川源流の二つの沢が左右に見下ろせます。
編笠のような形をした篭山に向かっていく右側の沢が帰路の振子沢です。

さようなら安達太良山。


すぐにでてくるくろがね小屋への登山道を横切り、重力の赴くままに滑り続けます。

どこまで行っても振子(の軌跡の形)。滑る動きも振子ですねえ。

今年は雪が多いので、左手の尾根上にある登山道には登らずに、最後まで沢の中を滑って行くと、小屋のすぐ下にある二俣に出ました。
ここからは登山道兼送湯管整備路を滑って行きます。

が、登山道を滑ってコーナーを曲がった途端に、さっそく雪が無くなりました。
スキー場に帰りつくのはいったいいつになるのだろう?

スキーを外して歩き出すと、すぐに雪が復活してほっと一安心。
整備路はしばらくの間、湯川の谷の斜面をトラバースしていきます。
階段上りとちょこっと斜滑降をこまごまと繰り返します。

篭山の緩やかな尾根を回り込んで勢至平に入ると上り坂はなくなり、まっすぐな緩斜面をベルトコンベアーを流れる荷物のように下って行きます。

スキー場への最後の下りは、馬車道というスイッチバックする林道を、ショートカットする登山道とクロスしながら下って行きます。

烏川の橋を渡ってちょっと登って少し下ると出発したスキー場に戻ります。

右にある三角屋根のレストハウスの向こう側から出てきました。

安達太良山稜線を越えてから移動したルートはだいたいこんな感じです。

●本日の反省
上の写真をご覧になって、「なんでここを行かないの?」とお感じの箇所がいくつかあると思います。
ちょっと勝手がわからずに、滑ったライン・歩いたルートがいまひとつでした。
実際に行動していたときの実感も行き当たりばったりでした。

コンディションの方は、5月上旬並みの気温で、ザラメ雪率80%くらいまで吹っ切れたのが功を奏して、楽しいスキーができました。
ハイカーの人たちは午後から踏み抜き地獄だったみたいですが、ラッセルがないシール歩行は超快適。
この山域は高低差が少ないですが、見た目はとても雄大で、なんだか得した気分でした。

●2023年3月12日(日)
あだたら高原スキー場(バイオレット)リフトトップ(8:50)
→ロープウェイ山頂駅 (9:30)→表登山口分岐(10:30)
→安達太良山山頂(10:45)→牛ノ背(11:25)
→石筵川源頭(左岸最上流枝沢)滑走→
船明神山(12:15)→南東斜面滑走→
石筵川源頭右俣滑走→沼尻分岐(14:05)
→矢筈森直下(14:45)~振子沢滑走
→くろがね小屋下(15:00)→勢至平
→あだたら高原スキー場(16:00)






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