2020年10月5日月曜日

金小屋沢 (沢登り)

 暑くて短い夏が終ったものの、秋の訪れには少々早い10月3日に、牛ノ寝通りの南側を流れる土室川の支流へと沢登りに行ってきました。

今回も2020年7月刊行のガイドブック(「東京起点沢登りルート100」(宗像兵一))で新たに紹介されたルートの中から選びました。


山梨県小菅村の中心地から、大菩薩峠の標識に従い、県道508号線を西へと登っていくと、やがて県道の舗装が途切れ、更に先へと進み、道が林道小菅線となってからは舗装が復活します。

林道は大菩薩峠へと向かう2つの登山口を通り過ぎ、下の写真の広場で終点となります。

右上の大きな建物からはモノラックのレールが登っていき、突き当たりには「釣り人の皆様へ」との案内板が立っています。


最初は正面の看板に注目しすぎて奥へと入ってしまいましたが、川原まで降りたところで様相が違う(こちらは牛ノ寝通りへの径ではなく小菅川本谷の入渓地でした…)ことに気付いて、慌てて引き返します。
広場まで戻ってくると、ちょうど牛ノ寝通り方面へと向かうパーティーが出発するところでしたので、入り口を教えてもらいます。
牛ノ寝への登山口は広場のすぐ下側にありました。ガードレールの支柱の陰にひっそりと立つ木の杭に表示があります。

登山口から下るとすぐに、径は木橋で小菅川を渡り、正面右手の枝沢沿いに登っていきます。

枝沢沿いに登り始めてすぐに右岸の尾根が崩れていますが、転がる岩の上を歩いて通過できました。
前を行くパーティーは、末端が崩れているこの尾根を登って牛ノ寝通りを目指すとのことで、同じルートを勧められました。

なので、枝沢の右岸にある更なる枝沢である、この急なワサビ田が連なる沢の右岸の尾根を登ることにします。

ただ、登り始めた尾根は急なことに加えて薄い踏み跡しかついておらず、先が長い今日はここで体力を消耗したくないので、すぐに横切る作業径のところで彼らとはお別れし、この径を右(西)へと進みます。
径は先程のワサビ田の沢を上部で横断し、、

隣の尾根で立派な石垣の作業径に合流します。
ちなみに、作業径を離れたくない場合は、最初の小沢沿いにそのまましばらく進み、少し下った先にある木橋を渡らずに、下りの手前を左上後方に切り返して登るとここに到着します。

古代遺跡のような立派な石垣の径をスイッチバックでぐいぐい登ります。

登るにつれて斜度はだんだんと緩くなり、径が左(東)方向に斜上するようになると、間もなく...

牛ノ寝通りの「榧ノ尾」の標柱に到着します。

榧ノ尾から登山道を10分ほど登ると「榧ノ尾山」に到着。
ここから土室川に向けて、この写真から振り返ったところにある、、

この保護区の看板の先に続く尾根を下ります。

土室川本流である大沢と本日の目的である金小屋沢の間に横たわるこの尾根は、ホンゴ尾根という名前がついているみたいです。

尾根の7~8割は植林で、そのためか歩きやすい踏み跡がついています。

休憩も含めてホンゴ尾根を下ること一時間少々で、土室川の沢の音が迫ってくると、沢床よりも数十メートル高い位置に細長い平坦地が見えてきました。

この平坦地は土室川の左岸沿いに続く森林軌道の跡で、昭和40年の錆びた保安林標板の前で軌道跡に降り立ちました。

ここからは軌道跡を左(東・下流方向)へと進みます。
途中沢沿いが崩れてレールが宙に浮くところが何カ所かありますが、何者かが付けてくれた踏み跡で問題なく歩行できました。

やがて軌道跡が左岸の支流を遡るように進みだすと、数分でその流れを渡る地形に到着します。
沢の両側には、その昔は橋脚だったであろう石垣が残り、2本の沢が出合っています。
石垣の向こう側に見える右俣が安平沢で、左俣がこれから遡行する金小屋沢です。

出発してからここまでに要した時間は2時間少々で、山歩きとしては取り分けて長いわけではありませんが、なんだか沢登りというよりは、アプローチの紹介になってしまいましたね。

さて、出合で沢支度を終え、気持ちを切り替えてレールの残骸を乗り越え、金小屋沢に入渓です。

ところどころがナメとなっている沢を5分ほど遡ると、6mの滝が登場します。

ガイドブック通り、流れのすぐ左側が階段状で登れそうなので、さっそく取りついてみます。

が、ここまで来て、落ち口を掴む最後の一手が出せませんでした。
躊躇した最大の理由は、カラダを持ち上げる際のホールドにグラつかない安定したものが見当たらなかったためで、思い切って落ち口に飛びついてしまおうかとも考えたのですが、、、

失敗してあそこを落ちていくと痛そうですね...
それに、ケガでもしたら今まで歩いてきたアプローチを登り返して帰る羽目となり、それはちょっとご勘弁願いたいところです。

なので敗退。
滝をクライムダウンして、左岸のこの斜面から巻きます。

巻きルートで滝を越えると、そのすぐ上は小滝となっていました。

そして見下ろすと、先ほど引き返した滝の落ち口が見えます。
水流の左側、ちょうど落ち口から肘一つ先くらいの位置にガバホールドらしきものがありました。
あれを最初から知っていれば。。

さて、先を行くと数分で奥の方に大きな滝が見えてきます。

滝に近づくと、そこは標高900mの二俣で、先ほどから見えていた大きな滝は、右俣の大滝と前衛の5m滝でした。
これから行こうとしてる水量の多い左俣も二段の滝となっています。

左俣の下段の滝は簡単に登れましたので、落ち口から上段を見物してみます。
こちらは手掛かりも少なく、水流も激しいので見るだけです。

上段の滝が登れないので、中間にあるこの岩の尾根から巻いていくことになりますが、少々急で登り難そうですね。

もっと傾斜のユルいところはないかしら、と思って右俣に入ってみると、前衛5mの左横にある茶色い斜面が楽に登れそうですね。
さっそくこの土の斜面を登ることにします。

斜面は少々急なものの、スリップするほどではなく、ずんずん順調に登って、大滝の落ち口くらいの高さまで来ることができました。

もっと上まで登っていけそうですが、ここで左手へと向かう踏み跡を発見。
左俣を見下ろす岩尾根の方へとトラバースしていきます。

すぐそばの岩の尾根まで来ると、下方への視界が開けて、眼下には左俣が流れていました。
下の写真の右端にある太い木を支点として、沢まで懸垂下降します。
左下に2本並んで生えている太い木との間にテラス状のバンドがあり、横へと歩いて行けそうですが、面倒臭いので、一気に直降です。

流れのすぐ上はハング上となっており、一瞬空中にぶら下がりましたが、他はおおむね立てるくらいの足場がありました。

沢に下りた少し上流側から、下った場所を振り返ります。
ちょうど写真のスカイラインのところを懸垂したのですが、手前側に斜上していくクラックっぽいバンドが続いています。
もしかして、あそこを通れば、ロープが無くとも降りてこれるかも?
でも、ここをフリーで降りてしまうと、せっかく背負ってきたロープを使う場所がなくなってしまうので、安全のためにも懸垂で下りましょうね。

さて、ここから上流側を見ると、急な流れがゴルジュっぽいところを右へと曲がっていきます。

右廻りのコーナーの先を見ると、また二連の滝があります。
下段の3mは流側の右を歩いて登れます。

上段の4mは、ほぼ垂直の典型的な滝らしい滝ですが、流れの右側に意外と多くの凸凹があるので、それらを手掛かりに登ります。

4mの滝から奥の二俣までの間は、ところどころにナメと小滝が現れながら、ゆったりと登っていきます。




900mの二俣を巻き終わってから30~40分で、次の990m二俣に到着しました。
ここは滝で落ちる左俣へと入ります。

右俣も、水量はぐっと少ないですが、二俣から見える範囲ではナメと滑滝が続いていました。

この二俣からは、奥の方に次なる奥二俣(1030m)の手前に架かる滝が見えました。

足下に古いケーブル用と思われるワイヤーを見ながら、奥二俣へと進みます。

この滝の上が1030mの奥二俣です。

ここでは右俣を行きます。
水流がある顕著な二俣で右へと入るのはここだけでした。

奥二俣から源流までは、多少土砂が被る部分があるものの、ほぼ連続したナメのプロムナードとなります。

もちろん人工的な通路ではありませんが、自然が「どうぞ通ってください」とばかりに作ってくれたような径を、足を洗いながら歩いて行きます。

奥二俣からのんびり歩くこと約30分で、最後の二俣が見えてきました。

ここはどちらを選んでもよさそうですが、傾斜がユルそうで、下山路の榧ノ尾に近いという理由で左へと進みます。

最後の二俣から先は、水流が半減するためか堆積物が多くなりますが、基本的にはナメが続きます。

徐々に傾斜を増しながら、このCS状の滝からは一気にツメの様相に入ります。
この滝から、右手方向にある稜線までは、標高差約100m少々でしょうか。

周囲がぐっと壁に囲まれたようなところにある最後の小滝を登り終えると、ようやく水が枯れてきます。

沢の中心がスプーンでえぐられたように切り立つようになる少し手前で、水は右岸から流れて来たザレの中に消えました。

この先、登っていけるところはこの右岸のザレのみとなってしまいましたので、ここをそろりそろりと登ります。
ザレとはいえ、結構な大きさの石が混じっており、大きな石に足を載せると、意外と滑らずに登っていけます。

しかし、ひとたび崩れると、転がり落ちる石が周囲の土砂も巻き込んで広がりながら崩れ落ちていきます。
二人以上で来るときは、後続の人は注意が必要ですね。

下の写真はザレを登る途中から振り返ったところです。
本当は写真右端の窪地を行きたかったのですが、ザレてないもののここよりはかなり厳しいと思います。

ただ、そのザレも高さにして20~30mほど登ったところで、右岸側から下りてくる踏み跡が横切ります。
渡りに船とばかりに踏み跡を数十メートルトラバースして、ザレから脱出。
目前に見えている牛ノ寝通りのスカイライン目指して、最後の力を出して登ります。

牛ノ寝通りをMTBが「急に下りすぎて耳が痛てぇ~」などと叫びながら駆け降りて行きます。

登りついた登山道は、榧ノ尾の標柱まで歩いて1分ほどの場所でした。

榧ノ尾で残りの水を飲み干しながら、おやつタイム。

最後の下りは往路を引き返します。
来た時に通った支尾根へは浮気せずに、石垣の作業径を忠実に下りました。

●2020年10月3日(土)

日向沢登山口奥の林道終点広場(8:00)

→道間違い(再スタート;8:15)

→小菅川左岸の仕事径&踏跡→榧ノ尾(9:05)

→榧ノ尾山(9:15)→ホンゴ尾根(榧ノ尾山南東尾根)下降

→森林軌道跡(10:25)→金小屋沢-安平沢出合(10:35~10:55)

→金小屋沢遡行→二俣(11:15)・左俣遡行

→奥二俣(12:20)・右沢遡行→榧ノ尾(13:45)

→往路引き返し→出発地の広場(14:40)




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