2023年10月19日木曜日

マスキ嵐沢 (沢登り)

 暑い夏は終わったものの紅葉にはまだ早い、中途半端な10月下旬。

中途半端であるが故に、恐らくそろそろヒルもお休みとなるであろう丹沢にでかけました。

同じ県に住んでいるのに最近あまり来たことがないなと思い振り返ってみると、何と2021年正月以来2年半ぶりでした。
ちなみに、2年前に来たのは秦野駅近くの弘法山のハイキングでした。

ここは神奈川県山北町の丹沢湖の奥。河内川沿いを走る県道76(山北藤野)線の箒沢バス停です。
県道の脇にある箒杉見物用の駐車場にクルマを停めてスタートです。

県道を山北方向に1km弱歩いて、トンネルの先にある大滝橋バス停付近から大滝キャンプ場へと下る道路の途中から左手の林道に入ます。

林道の車止め手前に数台分の駐車スペースがあり、この林道を降りてくるときはここまでクルマで来るのが便利ですが、この日は8時前に既に満車でした。

キレイな渓相の大滝沢を見下ろしながら、ほぼ舗装された林道を行き、カーブから直進するような形で畦ヶ丸への登山道に入ります。

大滝沢の滝や堰堤を見下ろしながらを歩いていくと、登山道(東海自然歩道?)は沢の右へと逸れていき、間もなくガレたマスキ嵐沢沿いに出ました。
登山道が左折して尾根を登りはじめる↑ここから入渓しました。
かつてあったマスキ嵐沢を示す標識は、どこへ行ってしまったのか見当たりませんでした。

入渓点から見上げるガレを過ぎるとすぐに小滝が続くようになります。
沢が左折ー右折する度に小滝やナメが見えてきます。
いや~、癒ししかありませんね。

流れが少しガレっぽくなってくると、かつて(今もか?)F1と呼ばれた8mほどの岩に埋もれた滝がでてきます。

水流沿いに積みあがった岩を登ると、
お。この目玉模様は滝の途中にあったのですね。

岩を乗り越えたところには樋状4mのF2があり、樋の中を登ります。

樋の上の小樋の上に出ると、遠くに岩壁を流れる滝が見えました。

「く」の字形二段10mのF3は上段の水流がポイントで、この日は水量がとても少なかったので、流れの中を登りましたがやはり水は冷たく、右側のコケがついた岩から上がった方が良かったかもしれません。

くの字滝の落口からはナメが続き、その奥に次の滝が見えました。

逆L字状8mのF4は、水流のすぐ右を登ります。
下部にホールドが少なそうに見えますが、親指(又はしゃもじ)の様な形の岩の上端が大きなガバホールドでした。

L字滝の落口から上もナメと滝が続きます。

この6mスラブ滝F5?は、見た通り右側の岩を快適に登ることができました。

その上のハング滝は右の乾いた壁から。
序盤からほぼ連続してきたナメ滝群はこれで一段落となり、徐々に傾斜が緩く/ナメ比率も少なくなっていきます。

830m三俣は真ん中の本流へ。

三俣から少し先でナメはおしまいとなり、岩だらけになりました。

この岩小屋っぽいところを越えると、間もなく880m二俣となります。

右へ入ります。

しばらくすると、正面に岩壁が見えてきました。

5mの急階段は、高さだけ5倍くらいにした神社の石段を登る感じでした。

そのすぐ上は最後の難関、10m枯棚ですが、何も知らないで来ると正面の枯沢の側壁みたいですね。

出だしのハングを登ると、あれ?その先もハングしてるんじゃない?
そんなことないか。
でも、ホールドがどれもなんだかスローパーっぽくてフリクション頼みとなるのがとてもコワいです。
最初をクリアすればあとは階段だと思って安易に進んでしまったら、やばいやばい。

快適に登れるはずだったのですが...
残置(というか常設?)のシュリンゲまでやっとの思いでたどり着き、ヒモにすがって終了しました。
ふぅ~。
あまり快適でなかった原因は力量の低下でしょうか。

涸棚の上で装備を解除します。
ここから先に難所は無く、沢なりに進むとやがて正面に稜線直下の白ザレが見えてきます。

遠くから見上げているときは最後の白い砂を登れるだろうかと思っていましたが、親切なロープがついていました。
有難く使用させていただきました。

ロープの上は権現山への旧登山道です。
まずは15分ほど登って権現山山頂でお昼ご飯にします。
さて、帰路はいろいろあるけどどれにしようか。

林道入口にクルマを停めていれば、ここから南西尾根を下って往路の林道に行くのが最速で、他にも定番コースとして畦ヶ丸への尾根の途中(1079m標点300mほど手前)から一軒屋避難小屋へと下る作業道がありますが、箒杉に置いたクルマを回収しなくてはならないので、西沢へと下る旧登山道から帰ることにしました。
久しぶりの丹沢だし、滝見物でも...

登って来た尾根を一旦引き返して、マスキ嵐沢の源頭を通りすぎます。


西沢へと下る径は、権現山側から来ると右後方へと切り返すように分岐しています。
下の画像は畦ヶ丸側から見た分岐で、右側から下ってきて左方向へと行くことになります。

古びてはいるものの明瞭な廃道は、白ザレの中の尾根を標高差100mほど下った後で植林のジグザグ径となり、西沢沿いの登山道のベンチに下りてきました。

降りてきたところから上流側に徒歩1分で下棚の入口です。

登山道に戻ってさらに5分登ると今度は本棚の入口。

本棚の右にある支沢の滝はほとんど涸れていました。

登山道を引き返し、ビジターセンターまで下って行きます。

県道を30分ほど歩いて箒沢へ。

箒杉は駐車場裏の農道を登ったすぐ上、バス停から5分もかからないくらいのところにあります。


●2023年10月14日(日)
箒沢バス停(7:30)-(徒歩)
→西ノ湖入口バス停(7:25)→林道入口(7:45)
→マスキ嵐沢(8:20~8:35)→マスキ嵐沢遡行
→F4逆L字滝(9:00)→830m三俣(9:15)
→880m二俣(9:30)→右俣遡行→10m涸棚(9:45)
→登山道(10:10)→権現山(10:25~10:35)
→下棚(11:30)→本棚(12:00)
→西丹沢ビジターセンター(12:45)
→箒沢バス停(13:15)


2023年10月9日月曜日

柳沢川(沢登り) 後半:黒岩滝から左俣下降

 奥日光の柳沢川の沢登りです。

右俣を黒岩滝まで遡行してきた前半の続きとなります。

右俣のクライマックスを経て尾根の向こう側の左俣を下ります。


たどり着いた黒岩滝は右岸の森の中を巻いて越えて行きます。

下からでも巻き始めることができそうですが、せっかくなので上段を間近に見るここから巻いて行くことにします。

落口のすぐ上くらいで沢に下りることができますが、巻き径から見下ろすと岩盤の傾斜がピンと来ずに、うっかり足を滑らせるとウォータースライダーを滑り落ちて黒岩滝から真っ逆さまに転落しそうに感じます。

用心してロープを使用して沢に戻りましたが、そんなに急傾斜ではありませんでしたね。
ただ、ロープはこの後も活躍するので、せっかく持って来たなら使った方が良いと思います。
ちなみに、行ってないので確かではないのですが、巻き径は更に上へと続いており、恐らくこの先の滑落のリスクを回避することができると思う一方で、最後のフィナーレを逃してしまう可能性があります。

降り立った黒岩滝落口の上流を見ると、すぐ上の木々の間から白い急傾斜の水流が見えます。

これが右俣最後の滝となる、天女滝との別名があると思われるスダレ状15m滝で、倒木が不粋なものの、紅葉となりかかったのか枯れかかっているのか微妙な樹林内で堂々たる様相です。

ここも流れの右側を登ります。

落口の直上に架かる3mほどの滑滝を、流れを渡った左側から越えて、連瀑帯は終了となります。

黒岩滝付近から現れはじめた残雪が、このあたりから徐々に増えてきました。

稜線が近づいて地形が平坦となってくると、雪の上に様々な足跡が行き交うようになります。
このひときわ大きなものはなんだろう?

沢の右岸にある2004m標点西側の平坦なコルを通り抜けて、左俣の源頭に入ります。

コルの最も狭い部分で南側へと入る小さな沢を下りはじめると、すぐに断崖の上で行き止まります。
行き止まった場所の木には捨て縄が残っていましたが、崖下の沢も傾斜が急なことから、すぐに今居るところと同じ高さになるのではと考えて、樹林内を上流(北西)側にトラバースしてみたら、崖下の沢が急上昇してきて歩いて沢に降り立つことができました。
コルからは沢芯ではなく右手の斜面を下っていったほうが良いかもしれません。

ほんの少し下ると、先ほど行き詰った小沢が左岸から落ちてきていました。

そのままガレ気味の急傾斜の沢を下って行きます。

容易にクライムダウンできる滑滝をいくつか降りると、右岸から枝沢を合わせます。
というか、沢床の高さからすると自分が下ってきた方が左岸枝沢ですね。

最初の沢との合流から、左俣の核心部が始まります。

所々にガレが散在するナメを下って行くと...

放り出されるようにナメがスパッと切れました。
左岸すぐの木に残置シュリンゲを見つけたので、そこから懸垂下降することにします。

右壁を懸垂してきたのですが、見た目はなんだか右端をクライムダウンできそうでしたね。

ちょっと損したような気分で下ると...

すぐに問題となる滝が現れます。
たった今そうしなかった心残りからか、よりによってここをクライムダウンしようとして下り始めてしまいました。
滝の左側(上から見ると右)の緩いところを下り、途中から右側へと乗り換えたのですが、ステップが豊富そうな最後の3mくらいを激しいシャワーに潜ることとなりました。

行けないことはないような気もしますが、先ほど積もっていた雪が解けた流れはとても冷たく、水没した途中から手の感覚がなくなってしまい、筋肉が硬直してきました。
動けなくなる直前で思い直して登り返し、右岸から懸垂で降りて来ました。


懸垂下降2連荘の下で右岸からナメの沢を合わせます。

出合直下にもクライムダウンできない滝がありましたが、ここは右岸のヤブから巻くことができました。

あとはナメとクライムダウンできる小滝が交互に続いて行きます。

と思ったら、最後に修業が待っていました。
簡単に降りれるのですが、モロ水流中心を横切らなくてはなりません。

右岸を下れるところまで下り、激シャワーを浴びてきました。
足場は豊富ですが、雪解け水でかじかんだ手ではなかなかスリリングでした。
下の狭くて深い釜にずり落ちなくて本当によかった。

シャワー滝のすぐ下の小滝でまたまた右岸から沢を合わせると、平坦なナメが一気に二俣まで続きます。

3時間半で一周して戻ってきました。

あとは往路を引き返します。
見る向きが反対だと違って見えるところもありますね。

堰堤の渡渉を終えて装備を解除し、弓張峠目指して林道を引き返します。
ちょうど最終バスと同じころに峠に到着。
往復アプローチにバスを使用しても間に合うタイミングでしたが、間違って枝沢に入りタイムロスしたためか、かなりカツカツ。
あと1回ヘマっていたら夜の林道歩きでした。

舗装道路を自転車で一気に下り、日没迫る赤沼茶屋に帰り着きました。

前半(アプローチと右俣遡行)はこちら。

●本日の反省
①間違えて枝沢に入ってしまった。
 ちゃんと地図を見ていれば間違えようもなかったところで、見た目による完全な思い込みでした。
 すぐに気づいて反省し、その後も誘惑する左岸枝沢に騙されなかったという点ではよかったのか? いやダメだな。

②まさか雪とは...
 つい10日ほど前まで首都圏は夏日だったのに、雪が積もっていたとは。
 詰めと下降開始時には、惰性でザックに入ったままだったチェーンスパイクが活躍しました。これがなかったら途中で日没になっていたかも。
 いや、安全面ではむしろ雪中歩行よりも雪解け水の水温の低さの方が問題でした。
 そういえば、紅葉を期待してこの時期にしたのに、そんなのあったっけ?
 ちなみに、この日の関東平野は25℃近い晴天だったそうですが、道中は時折陽が射すもののずっと霧雨がぱらついていました。
 関東平野が好天で上空に寒気が入ると周辺の山はこうなるのね。

●2023年10月7日(土)
赤沼茶屋(6:22)‐(自転車)→弓張峠(6:50)-(徒歩)
→西ノ湖入口バス停(7:25)→林道終点(8:20)
→砂防堰堤渡渉(8:45)→赤岩滝分岐(9:05)
→柳沢川遡行→左岸枝沢迷走(9:50~10:10)
→二俣(10:40)→右俣遡行→スダレ状二段15m滝(10:55)
→黒岩滝(11:15)→スダレ状15m滝(最終滝;11:40)
→2004m標点コル(12:20)→右俣最左沢下降
→1870m二俣(12:45)→1760m二俣(13:45)→二俣(14:00)
→赤岩滝分岐(15:00)→砂防堰堤渡渉(15:15)
→西ノ湖入口バス停(16:15)→弓張峠(17:00)-(自転車)
→赤沼茶屋(17:18)




New

北横岳 (ハイキング)

 2024年秋分の日の振替休日は、三連休で一番の晴天となったので、北八ヶ岳にでも行ってみようと、朝8時前に麦草峠に到着したら、とっくの間に駐車場は満杯でした。 確実にクルマを停めることができる場所にさっそく転戦です。 冬は「ピラタス蓼科スノーリゾート」となるスキー場のゴンドラは、...

Tips