…前半からのつづきです。
白馬岳山頂付近にある白馬山荘から、下の写真中央のコルから続く斜面を滑ります。
ちなみに、この写真は八方尾根スキー場の近くにある松川の橋の上から撮影したものです。
あのコルからもここが見えるはず。
おはようございます。
白馬山荘での一夜が明けて、昨日の強風もすっかり収まり、快晴の朝となりました。
山荘入り口をまっすぐ下り、雪があるところから真下に向けて滑走を開始します。
振り返ると出発した白馬山荘の上に朝日が輝いています。
先ずはここから左側にはじまる沢を下っていきます。
剱岳?に向かって沢の源頭にドロップ。
先ずは清水岳を見ながら、メローで広い雪面を滑ります。
この辺りから沢状の地形に突入していきます。
風の通り道沿いに形を変える雪と、斜めから差し込む朝日がつくりだすコントラストの中を滑走していきます。
この周辺が、谷の中を行くか、左岸尾根の斜面を滑るかの選択ポイントとなると思われます。
残雪が多いので、谷の中を進むことにします。
振り返って仰ぎ見る旭岳。
昨日午後のものと思われる2本のシュプールとともに滑る自分のシュプールは、まだ雪面が固いため薄くしか見えません。
清水谷の標高2280m二俣…写真中央に見えるクレーター様の雪の窪地に向けて一気に滑走します。
二俣が近づくと、左岸の岩場の下部から水が流れる音が聞こえてきますが、沢そのものは深い雪に埋まっているみたいです。
標高2280m二俣に到着しました。
ここから稜線の一番低いところを目指して登っていきます。
昨日の先行者は写真右の急斜面をシール登行した模様ですが、今はまだ雪面が固いので、反対の下流側の緩斜面をアイゼンで登ることとします。
登り始めたところは、そこだけ雪が盛り上がっており、下流側を覗くと深く切れ込んだ谷となっていました。
左側に今滑って来た清水谷を見ながら登ります。
清水谷の左岸(東側)の尾根も一面のスロープとなっており、こちらも快適そうです。
杓子と白馬𨯯のコル目指してまっすぐ登りたいところですが、前方にはところどころ雪庇状の巨大な雪の壁が出現します。
先行トレースを追って2つの壁の中間へと入ります。
近くで実感すると、遠く稜線上から眺める限りではピンとこない巨大な雪壁です。
落ちたらただではすみません。
下に見える2つの雪の壁の真ん中を通過して、上部で低くなった手前の壁のを登ってきました。
そんなわけで、結構𨯯ヶ岳側に追いやられた形になります。
ただ、手前の壁を登ってここに来なくとも、そのまま直進して通過できたみたいで、コルへ行くにはそちらの方が若干近道かと思われます。。
𨯯ヶ岳側に来た分、北に戻ることになります。
中央のスプーンでえぐったような凹部を横切り、岩場の左側を巻いていきます。
振り返ると、旭岳の南側と西側は一面の雪の雪面で、沢近くの急斜面での滑落にさえ注意すれば、どこでもスキー天国です。
反対側の白馬𨯯ヶ岳北面も同様の大斜面です。
見る位置によるのかもしれませんが、白馬岳方面から見た印象よりもかなり斜度がある様に感じます。
この辺りは、場所の特性なのでしょうか、全て手つかず・無傷の雪が続きます。
コルに立つべく、中央に細く残った雪渓を目指します。
もうすぐで到着。。。
雪が終わったところから、歩いてきた方角を振り返ります。
二俣から一時間くらいの、緩斜面の登行でした。
ガレの上を3分ほど歩くと、登山道が通る杓子ー白馬𨯯のコルに到着です。
西側の雪が消えつつある杓子岳。
反対側の白馬𨯯ヶ岳の急斜面。
杓子沢はすぐ先が急斜面となり見えなくなっています。
遠く望む白馬の盆地を割って松川が流れています。
それでは、ドロップ
スタートしてすぐに、右側から山頂方面からの斜面を合わせると、
一気に急になり、スタートしたコルが消えていきます。
そして、左右からデブリが流れ込むボウルへと落ちていきます。
中央にだけ開けた、デブリのない斜面を滑っていきます。
左側は杓子岳の稜線の各所からデブリが流れてきています。
右手の𨯯ヶ岳側からのデブリにはところどころに拳大の岩石も混じります。
その中央を滑りていく素晴らしい高度感と視覚効果、そして快適なザラメ雪の手応えです。
急傾斜部を過ぎて徐々に斜度がゆるくなってきました。
安定した斜度の雪面を快適に滑走してきます。
そして、間もなく左側の尾根との間が雪でつながったところで、尾根の上の乗るべく横に滑っていきます。
写真中央にせり出した岩のすぐ下をかすめる様に、高度を保ちながら行きたいところですが、岩に近寄りすぎると雪の中に隠れた岩礫と激しくぶつかるので、それなりの高さでトラバースします。
ここからは少し登り返さなくてはならなくなりました。
滑って来た斜面を背に、スキーを外して小尾根へと登ります。
尾根上にたどり着いて振り返った杓子沢上部の全景です。
登った小尾根は、杓子沢と隣の三次郎沢の間に張り出しており、小日向から𨯯温泉へと向かうルートが眼下に見下ろせます。
拡大してみると、小日向のコルから湯ノ入沢へと滑り降りて行く人々が見えます。
その右側は𨯯温泉の斜面です。
そこだけ雪が解けている𨯯温泉へ向けて登っていく人たち。
そして、杓子沢対岸にあるこの岩壁からは常に落石の音が響いてきます。
さて、帰路は三次郎沢の向こう側のこの尾根(双子尾根?)の裏側を滑り降りていくこととなりますが、トラバースでは行けそうにありません。
なので、三次郎沢の上部をぐるっと登り返して回り込むことにします。
三次郎沢を滑り降りてもよさそうですが、そのあとの小日向コルへの登り返しよりもこっちの方が楽ではないかしら。(たぶん)
杓子沢の展望に別れを告げて、、、
平坦な尾根の上に乗ると、、、
突然ぽっかりと窪地が現れます。
双子尾根が広くなった場所にあるこの地は「樺平」と呼ばれるところでしょうか。
樺平を見下ろしながら休憩します。
樺の木の麓で休んでいるパーティーがテント設営を開始しはじめます。
風の弱い晴れた日はすごく快適な天国のような場所です。
背後の杓子岳方面にも杓子沢同様の快適な斜面が望め、杓子岳を目指すと思われる2本の徒歩のトレースが続いていきます。
余裕があればここも滑ってみたいところですが、登り返しで疲れたのと、尾根上に岩稜と思われるものが2カ所ほど見えるので、またの機会とすることにします。
さて、それでは、樺の大木の左側のここから長走沢へと降りて帰ることにしましょう。
猿倉まで快適な斜面が続くはず...
さよなら樺平。。。
あれ?
うわ~。 長走沢の底はデブリで一杯です。
これは昨日通った大雪渓のよりも規模が大きいかもしれません。
沢の中は滑れないので右岸の斜面を滑りながら見下ろすと、滝のように一直線に雪崩れています。
そして、下流の方に目を転ずると、何と猿倉台地の下まで続いているではありませんか。
これでは沢の中はとても滑れん。
ということで、右岸上部を斜滑降している先行シュプールを辿って猿倉台地の上にある斜面を目指すことにします。
途中で1カ所、沢状の地形を横断します。
ところどころに亀裂が入ったここの横断が、この山行最大の難所でした。
何かが起きる前に向こう側に到達すべく、一気に滑り抜けます。
小沢を横断すれば、もうそこは猿倉台地へと続く大斜面の上部となります。
対面の山肌を小日向のコルへと登っていくパーティーが見えます。
そして、左手の双子尾根からはシュプールが何本も降りてきていました。
樺の疎林が広がる猿倉台地へと滑っていきます。
杓子岳を周回する3本の沢をつなぐ旅もそろそろ終わりです。
猿倉台地から振り返る杓子岳方面の山並みを拡大してみると、、、、
ジャンクションピークのすぐ下くらいを起点とするデブリが見えます。
あそこからはるばる流れて来たんだ。。。
台地の低い部分にでは、あわや乗り上げるかというくらいの高さまでデブリが押し寄せているところもありました。
恐るべし。
猿倉台地からは夏の登山道の上を滑り、ほどなく往路の林道と合流します。
ここから猿倉荘は目と鼻の先です。
おつかれさまでした。
装備を解除してクルマで下って来た白馬村から望むお昼どきの白馬連峰。
2019年のゴールデンウイーク前半は好天に恵まれて終わりました。
●本日の反省
大枚はたいて小屋泊のスキーツアーを敢行。
おかげで時間も心も余裕を持った滑走が満喫できました。
ただ、下山してもまだ午前11時前。もっと積極的に行動範囲を広げてもよかったかも?
●2019年5月3日(金)
猿倉荘(8:30)→白馬尻(10:00)→白馬山荘(14:30)
●2019年5月4日(土)
白馬山荘(6:30)→清水谷滑走→標高2280m二股(7:00~7:30)
→杓子岳・𨯯ケ岳コル(8:40~9:00)→杓子沢滑走
→滑走終了(9:30)→樺平(10:00)→長走沢滑走
→右岸トラバース→猿倉台地→猿倉荘(10:50)
2019年5月7日火曜日
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