2017年4月7日金曜日

屏風岩山 (ハイキング)

3月末に初春の嵐が通過した南関東。
箱根の山もこの一週間で数回雪に覆われた模様で、桜の開花も4月にお預けとなりました。
寒波が去った四月最初の週末も、首都圏近郊の山々の頂は雲に覆われています。

近郊の山北町で、里山に咲く花を見ながらのんびり
春を感じることにしました。

丹沢湖の先を西丹沢ビジターセンターへ向かう途中の「あしがら荘入口」バス停付近。
中川に流れ込む笹子沢に架かる橋からスタートです。

民宿八戒荘の脇を入った先にある車止めの先に続く笹子沢左岸の林道を行きます。

ところどころにミツマタの花が咲く河原を横に見ながらしばらくすすみます。

中央部の鋼管が印象的な岳山堰堤で車道は終わります。

鉄管をくぐって堰堤の中を通過すると、左岸の植林地はミツマタが満開です。


まだまだ続く歩道を辿ります。
次の堰堤は左岸に木製の階段があります。


次の最後の堰堤を超えると徐々に歩道は不明瞭となり、標高560mのゴルジュ状の水たまりの手前くらいから普通の河原歩きとなります。

ここのプチゴルジュは、地形としてはゴルジュというほどの狭さもなく、入口の水たまりも沢登りの足回りであれば意識することもなく瞬間でスルーするものですが、今日はいま履いている普通の靴しか持っておらず濡らしたくないので、とりあえず右岸の植林地を巻いてみることにします。


マーキングテープの下がるところから取り付き、急斜面の植林内に時折現れる踏み跡をたどってどんどん登ります。
しかし、登り続けても元の沢に戻る下降路は見当たらず、笹子沢側には登下行には厳しい支尾根と枝沢が続きます。

いい加減にしないと二本杉峠への登山道に着いてしまいそうな勢いなので、あきらめて引き返すことにします。
下降中に沢が近づいてきたところで、左側に下れそうな小さな涸沢を見つけたので、中に入って下ります。
小さな滝があるので、チェーンスパイクを装着して左のザレから巻くと、笹子沢のゴルジュ内に降り立ちました。

下流を見ると、なんとすぐそばに先程通過を躊躇した水たまりがあります。
30分以上の時間をかけて、30階のビルくらいの高さを上り下りをして、進んだ距離がほんの20m程とは。。。。
とほほ。

降り立った位置から、笹子沢の大滝はすぐそこです。

沢を数分遡ると、二俣の両方が25mの滝となっている大滝に到着します。

こちらの直瀑は本流の右股の滝。


屏風岩沢の別名を持つ左股は緩やかな滑滝です。
雪解け水を集めているのか、どちらも通常よりも水量が多そうです。


滝見物の後は一旦引き返して屏風岩山の登山をすることとします。

引き返すとすぐに現れるのが、先程大迂回した水たまりです。

今度はさすがに上り下りはご遠慮したいので、淵に嵌まるのを覚悟で傾斜の緩い右岸をへつることにします。
往路と異なるのは、下りの方が取り付きに手がかりが多いことと、先程巻きの途中で出したチェーンスパイクを装着していることです。

やってみると3秒程であっけなくスルー。
さっきの大高巻きはいったいなんだったのかと拍子抜けです。


もう少し沢を下り、流れが右折して南へと向かう手前の標高510m付近から左岸の尾根に取り付きます。

植林の中を北東方向に斜面の緩やかなところを選んで580mの尾根上の突起に上ると、鹿よけの柵と登山道の様な明瞭な歩道がありました。

この尾根上の道を、屏風岩山目指して北に向けて進みます。

669mの突起を過ぎるあたりから、植林の中にミツマタの花が咲き始めます。

少し進んで740mコルを過ぎて登りが連続となる周辺から、林内を花が埋め尽くし、蝋梅に似た芳香が漂います。

背の低いミツマタですが、傾斜が急なところではトンネルを進むようです。

登るにつれて徐々に残雪が目立ち始め、、、

雪が地表を覆うようになると徐々に花も少なくなっていきます。



少し登ると雪が積もる屏風岩山の東尾根にでます。

東峰目指して鹿柵の間を西へと進みます。(もしかすると最初に上り着いた方が東峰?)

東峰から少し下って登り返した先が、三角点のある屏風岩山の山頂です。

雪面に三人ほどの足跡が残るだけの静かな山頂。

一旦来た道を引き返し、東海自然歩道の入口の大滝橋バス停に向けて東尾根を下ることとします。
東尾根は、断続的に植林があるきれいな踏み跡が続く道で、標高を100mほど下げると雪は消えました。

標高960m周辺の平坦な尾根上から鹿柵越しに望む畦ヶ丸。

標高900mにあるブナの木?が立つ丘は、晴れていれば暖かく気持ちがよさそうです。

ここから東南東への下降を続けますが、ここで本日二度目の判断ミス。
南側の植林の左手に、南東へと下る真新しい境界標柱が連打してある小さな尾根上の地形があり、うっかりここを下ってしまいます。

踏み跡らしきものもついており、方角は合っているので、いままで辿ってきた道の延長だと思い込み、ぐいぐい下ります。
なんかちょっと傾斜が急な気がしないでもないが、たぶん里山のバリエーションルートに感覚が慣れてないだけだろう。

標高で100mほど下ると急斜面にトラロープが張ってあるのが見えてきます。
やっぱりここで間違いないや。
トラロープにつかまって降りる先を見ると、その先には下る尾根が見当たらず、なんか様相が違います。

不審に思って冷静に地形図を見ると、そこはなんと箱根屋沢の780m二俣でした。
そういえばさっきから左手に並行して一段高い尾根が見えていたが、あっちが正解ルートか。
どうも先程のブナの木から、ちょうど磁北と同じくらいの角度で南にズレた方向に進んでしまいました。

ここから箱根屋沢を下ると、距離的にはバス停のある県道までは指呼の距離です。
踏み跡やロープが示唆する人の往来の気配は、この先も谷の中に踏み跡が続くことを期待させ、
このまま下って行きたい衝動に駆られますが、箱根屋沢ってどんな沢だっけ?
地形図では県道近くに砂防ダムが2つあるみたいだけど・・・・
スマホを取り出して検索しようとしますが、お約束通り圏外で通じません。

ここは道迷いの定番通り、このまま先へと進みたいところですが、お茶の間で他人の遭難騒ぎを眺めるのと、自身の体に災厄が降りかかるのとは全く別問題。
あきらめて引き返すこととします。
たったいまガンガン下ってきた急な尾根を登りかえして正しいルートへ。。。
ふえ~

戻った東尾根は、何で迷ったのかが不思議なくらい明瞭な作業道が続きます。

標高690m付近で右側に鹿柵があらわれる少し下あたりから、再びミツマタが咲き始めます。

右側の鹿柵に沿うと歩きやすいので、柵沿いにどんどん下ります。

赤松の木が立つ見晴らしの良い丘にうきうき気分を良くし、調子こいてさらにどんどん下ります。

ミツマタの花の向こうに雪を冠した檜洞丸・大笄方面の峰。
・・・このとき既に目的のルートを外れています・・・


普段あまり意識することのない権現山(前権現)は、ここから見ると堂々と立派に見えます。
よくよく考えると、先ほど登った屛風岩山よりも100m近く高い山です。


さて、そろそろ目的の下山地である大滝林道に下りるべく、左に曲がらねば。。。
と、行く先を物色するために左下の林の先を目を凝らして見ると、木立の隙間から見える林道に、白いセンターラインが引いてあります。
そしていつの間にか舗装してある。。。

・・・そんなわけないじゃん。
眼下を自分の足元めがけてまっすぐこちらに延びてきている道路は、間違いなく県道ではありませんか。

なんと、大滝林道はおろか、林道が下る先の県道を越えてしまっている。
しかも山の上から。。。

またやっちまった。

今度は目的の方向と90°ちがった方向に歩いている。。。
これはひどいな


でも今度の道迷いが先程と違うのは、この先にあるのが箱根屋沢ではなくバスが通る県道だというところです。
本当はいけないことかもしれませんが、何も考えずにマーキングが連打された踏み跡を下ります。

樹林の尾根はやがて笹薮の中の刈込道となり、















突如県道側壁の法面上にでました。
こんなコンクリートの壁、降りれないぞ!?



そんなわけないじゃん。
脇から簡単に舗道に下りることができます。

着いた場所は、玄倉寺と大滝トンネルの間で、県道が河内川方向に大きく屈曲したヘアピンカーブの突端でした。
下ってきた尾根を振り返ります。



2017年4月2日(日)
あしがら山荘入口バス停(9:50)→(笹子沢遡行)→笹子沢ノ大滝(11:20)
→引き返して510mより左岸尾根へ→669m標柱(12:10)
→屏風岩山東峰(13:00)→屏風岩山(13:15)
→屛風岩山東尾根下降→965m(13:20)
→県道76脇(14:50)→大滝橋(15:00)



●本日の反省点

2年分?の道迷いと判断ミス(計3回)を繰り返し、3時間あれば回ってこれるところを倍近くかかり、もう少しで危うくルートを外れている時間の方が長くなるところだった。
今回のだらしない結果を深く反省し、今後しばらくは無雪期の低山尾根バリエーションルートは歩きません。

①スパイクを付ければ瞬間で通過できる水たまりを、靴を濡らすのがいやだというだけの理由で、回避するのに1時間近く迷走。
 →持ってるものは最初から使え。
②進む方向を10°くらい間違えて標高差100m超を登り返し
 →地図には磁北の線を引けって、どの教科書にも書いてあるが。。。
③ふと気付くと90°違うあさっての方向に歩いて、そのまま下山。
 →磁北の線が地図に描いてあったところでどうにもならんのか??


今回のハイキングコースは、松浦隆康氏著の書籍「バリエーションハイキング」(新ハイキング社)No.46(P179)を参考とさせていただきました。
ありがとうございました。

本当は「忠実に辿らせていただきました」としたかったんですけどね。
「インスピレーションを得ました」とならなかっただけよかったか。。。

2017年3月22日水曜日

自家用車で登る百名山 ~その10~瑞牆山(積雪期ハイキング)

日本百名山の金峰山から下ってきて到着した富士見平小屋。
ここは同じく百名山の瑞牆山への登山道が分岐する場所でもある。


時刻はまだ正午を少し回ったばかり。
という訳で、2個目の瑞牆山を目指して小屋の横からスタート。


木立の隙間から、目指す瑞牆山を垣間見ながら30分くらい歩いて天鳥川まで下り、


川を渡ったここから急登開始。
このつっかえ棒の岩は、桃太郎岩っていう名前だっけ??


出だしは凍った沢を右手に見ながら(又は氷の上を)登り、


40~50分くらいで大ヤスリ岩の下に出ると、頂上はもうすぐ。


本日2つ目の百名山の頂上です。


小川山方向に続く岩の稜線。


先ほどまで居た金峰山。


眼下には大ヤスリ岩を見下ろします。


甲府盆地の向こうにある富士山や南アルプスは春霞の中。


西に聳える八ヶ岳も霞んで見えません。


頂上には、若者のグループに加えて、せかせかあちこちをデジカメで動画を撮影しながら、写す場所の解説を録音する関西弁のおじさんが一人。
撮影が終了し、「どこから来たん?」と聞かれたので、横浜と答えると、「わしは神戸や。港町同士やのう」とのこと。

ひぇっ。そんなに遠くから。。。 
わざわざ遠くまで来なくても近所にもっといいところがあるんじゃないの?
「百名山登っとんのや。」

げげっ。百名山ハンターか。。。 何とご同輩ではないか。
「朝、金峰山登ってきたんや。これで2山ゲットやでぇ」

あら、それも同じだ。
「金峰山はごっつぅ風が強かったでぇ。大変やったろ」

いやー、登ったのが遅い時間だったんで晴れてたよ。
「そうかぁ。何時頃出発したん?」

今朝家を出て駐車場着いたのが7時ちょっと前。
「ええっ。そんな手軽なんか。関西は百名山が少のぅて大変やでぇ。こっちはたくさんあってええのぅ」

・・・そうなんだ。
そう言われてみると、自分が子どもの頃に育った北海道も、面積の割に数が少なかった様な気がする。
というか、選定感覚が何か変だった。・・・阿寒岳や斜里岳・羅臼岳が隣同士で選ばれる一方で、名山の定評が高いカムエク、ペテガリやニペソツが無かったり。
数日間の旅行に来たついでに、周辺のちょっと高い山を固め打ちして帰ったみたいな感じだ。

ちょっと高い山の固め打ち・・・・ まさに我々が今日やっていることではないか。

高速道路が発達し、一般道も整備された現在。幹線道路沿いの山へのアクセスが簡単となり、登山道や駐車場を整備する地域も集中できて、まさに登り手・受入地域双方のニーズにマッチした選定。
途中にある温泉施設なども、集客に一定の上積みが期待できるだろう。
誰がいつ頃どんな企画で選んだのかはわからないが、道理で流行って人が集中するわけだ。

「ほな、これから温泉入って、のんびり家帰るで。深夜12時過ぎてから高速降りたら料金ごっつう安くなるさかい。あんたも気ぃつけてな」

さて、自分も帰ることにするか。

多くの人が春先の雪を踏みつけた登山道は、平たく固くコチコチに凍り、滑り止めをつけて歩くと、まるでアスファルトの舗道を歩いているようだ。
そのアスファルトをコンベアーを流れるようにみんなが三々五々下山していく。


戻ってきた駐車場は、ほとんどの車が引けて閑散とし、閉店間際の地方のスーパーの様だ。
百名山を固め打ちする人は思っているほど居ないのか、それとも前日から/もっと朝早くから出動してとっくに引き上げてしまったのか。


2017年3月19日(日)
富士見平小屋(12:30)→瑞牆山(14:10)→富士見平小屋(15:30)
→県営駐車場(16:20)


●本日の反省
特になし。
百名山登山の神髄に触れた。(ような気がする)
というか百名山ハントのなんたるかが、なんとなくわかった?
山頂でのおじさんとの会話で。。。

帰りに立ち寄った増富の湯の風呂はぬるかった。

自家用車で登る百名山 ~その9~金峰山(積雪期ハイキング)

春分の日の三連休に久々の百名山ハントに出かけることにしました。
夏の三連休初日の「山の日」に出かけて大渋滞に巻き込まれて懲りた経験を生かして、中日の19日だけ日帰りとします。
この時期日帰りで手軽に登れる百名山を探すと。。。。


横浜市の自宅から中央高速道路経由で2時間半。
瑞牆山荘前の県営無料駐車場に到着。
さすが三連休の百名山。この冬に出かけた場所とはクルマも人も数が圧倒的に違います。
この後は一日中、ほぼ人の姿を見ながらの行動となりました。


早朝は気温が氷点下なので地面はまだ凍っていますが、登山口周辺に雪はほとんど残っておらず、春本番目前の様相です。


30分ほど歩くと富士見平小屋に着きました。
こんなに近かったっけ?


飯森山の斜面のを横切る途中から、森の中を行くようになると、登山道が雪道となりました。


順調に進んだことに気を良くして、途中、大日小屋の手前にある分岐から鷹見岩に寄り道します。
鷹見岩への道はトレースが無いので、スパッツとチェーンアイゼンを装着します。
関東の冬の里山で行動範囲を広げる、トレランシューズとチェーンアイゼンの組み合わせ。


分岐から15分ほどで到着した鷹見岩からは、これから辿る金峰山の稜線が見通せます。
黒い雲が掠めながら流れて行く頂上付近が、春と冬との境界線でしょうか。
この頃の金峰山稜線は強い風が吹いていたことが後で聞いてわかります。


振り返ると飯森山の向こうに瑞牆山。


元の登山道に戻って、途中大日小屋、大日岩を通過しながら針葉樹の森を登ります。


鷹見岩から2時間弱で稜線が見渡せる砂払ノ頭に到着。
頂上は目前です。


踝くらいの深さの雪に多くの人がつけたトレースを辿って
千代ノ吹上の岩を横に見ながら。


小さな突起を超えながら。


目の前に迫る五丈岩。


金峰山頂に到着。


今日歩いてきた稜線。 瑞牆山が遠くなった。


反対側の国師岳方面。


そして山頂に居座り珍妙なポーズで写真を撮り続ける二人。


これを反対側から山頂を見るとこんな感じ。


帰り道は風も穏やかで、時折日差しも届く稜線漫歩となりました。



樹林の中の登山道は凸凹が全て雪で埋まり、ファンスキー感覚?で靴底をつるつる滑らせながら富士見平小屋まで下りてきました。
前半戦終了。



2017年3月19日(日)
瑞牆山荘県営駐車場(6:45)→富士見平小屋(7:20)→鷹見岩(8:10)
→大日岩(8:45)→砂払ノ頭(10:00)→金峰山(10:30)(往路引き返し)
→富士見平小屋(12:30)

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