2023年5月2日火曜日

乗鞍岳(BCスキー;剣ヶ峰東面・富士見沢)

 雪解けがとても速い2023年の春。

大型連休は残雪豊富な遠くの山へ出かけたいところですが、毎日猫の目のように天気予報が変わるゴールデンウイークは、安全策を取って日帰できる範囲に出かけることにしました。

真夏まで雪が残るここなら大丈夫。

ここは長野県松本市の乗鞍高原にある三本滝レストハウスです。
奥の通行止めゲートから先は、この時期の終点である位ヶ原山荘までGW直前に運航を開始した春山バスが唯一の交通手段となります。
例年は連休明けでもここの道路脇まで滑って来れるのですが、今年は見える範囲全てで滑走不可能です。

アルピコ交通の職員の方に¥1350を支払い、片道チケットを買って終点の位ヶ原山荘で降り、少し先(下の写真の先にある左カーブを曲がったちょっと先の右路肩)から、雪の上を歩き始めます。
上の画像の正面に並ぶのは摩利支天岳(左)と富士見岳(右)で、その間にある純白のU字状の沢が富士見沢。
これから最初に向う最高点の剣ヶ峰は左端です。

夏の登山道付近を標高150mほど登ると、視界がぱっと開けて雪に覆われた乗鞍岳が一望できるようになりました。

右手にスカイライン沿いのトイレ、左手に乗鞍岳の大斜面を見ながら山塊右側のスロープを登って行きます。

振り返ると、山荘から登ってきて位ヶ原に出てきた人たちの疎らな行列が見えます。

剣ヶ峰周辺の代表的な滑走ルートは以下の通りです。
青の破線が今回登ったルートで、多くの人(特にハイカー)がこの雪渓を使います。
実線がよく言うと快適で、後れをとるとギタギタになる代表的な滑走ルートです。
今回は緑の実線沿いに滑りました。

先ずは急登一気で朝日岳すぐ南東のコルに登ります。

少々霞んではいますが、摩利支天岳のレーダーの向こうには北アルプスがよく見えます。
あちらも雪が少ないですね。

コルから山頂までは、右手に権現池がある大きな噴火口を見下ろしながら一息で到着します。

権現池はまだ2つの小さな水たまりですが、あと10日もするとU字型につながって行きます。

下から見上げた時に最も広く見えたスロープの上を通過すると、あっという間に社の立つ剣ヶ峰に到着しました。

日本の3000m峰では最も登りやすい山頂ではないでしょうか。

それまでは山頂に隠れていた御嶽が堂々とした姿を見せます。

その左側のこれは何だっけ?

高天ヶ原を見下ろすと、ここも残雪は少なく、右(南)隣の大日岳との間は大きく雪が消えており、山頂から直接高天ヶ原へと向かう斜面も雪が途切れています。

こちらは東の位ヶ原・乗鞍高原方面です。
あちこちにブッシュが割って入って入るものの、滑るのに全く支障はなさそうです。

時刻は正午近いのですが雪の表面がまだ固いので、山頂にトップで到着した地元のボーダーの方とだべりながら、雪が緩むのを少し待ちました。
その間30分ほどで続々と後続のスキーヤー、ボーダーが到着してきます。
そろそろ出発しましょうか。

ボーダーの方が山頂からダイレクトに下る沢状を滑るそうなので、自分は直下の尾根を行くことにします。
それではスタート。
最初の高度50mくらいは硬く波打った雪面が少し滑りにくかったですが、少し経つと斜面が末広がりとなり、どんどん快適に飛ばせるようになりました。

滑り込む先がたくさんあってどっちに行こうか迷いますね。
そんなときはあまり考えずに心の赴くままに任せることにします。

あっという間に滑り降りてきました。

滑るにつれて雪は上質なザラメとなり、斜度も(それなりにあるのですが徐々に緩くなるので感覚がマヒして)ほとんどないと感じるのに何故か快適に飛ばせる、とても不思議な感覚でスカイライン付近まで滑ります。

ん~。 こりゃいいですね。

まだお昼を少し過ぎたばかりなので、今度は富士見岳の方にもう一本滑りに行くことにします。

登り返している一時間ほどの間に、斜面にはどんどんシュプールが増えていきます。

スカイライン上の雪が解けて路面が見えるこのカーブを横切る雪渓を登って行くと、不消ヶ池を見下ろす稜線に到着します。

左手には摩利支天のレーダー。

正面の不消ヶ池の向こうに不動岳。

右奥には畳平のそばに立つ恵比須岳。その右は雪の無い富士見岳です。

条件が良ければ3つの山のうちどれかを滑りたいなと思っていたのですが、そこまで行くのには雪が無い上に、風が強くなってきた稜線上は雪がカチカチとなってしまったので、おとなしくあきらめることにします。
また今度ね。

というわけで、登って来たスロープの一本北側にある富士見沢を滑って帰ることにしましょう。

富士見岳南側のこのコルでスキーをセット。

既に大勢のシュプールが付いていますが、この山域有数の好条件の斜面だけあって快適に滑って行けます。

位ヶ原山荘があっという間に近づいてくるので、適度なところから右へと逸れて、帰路のスキーコースへトラバースする高度を稼ぐべく登り返します。

再度スキーと着けて東南へとトラバースすると、ツアーコースの旗が見えてきたので何も考えずにトレースの多い斜面を思い込みで滑って行くと...

何と、眼下に位ヶ原山荘が見えてくるではありませんか。
方向を90°間違えていますね。
慌ててツアーコースに戻るべく、またもやスキーを脱いで斜面を南へと登り返します。

が、そこには開通に向けて除雪作業がすすむスカイラインが横たわっていました。
雪の壁が低くなっているところを探して、ようやくツアーに合流できました。

あとはなるべく下まで雪が残っていることを祈りながら、伐採されたコースを滑って行くだけです。

お、だんだん怪しくなってきたが、まだいけるぞ。

標高2100m付近でブッシュに行く手を阻まれてしまいました。
下に茶色く見える平地が「かもしかゲレンデ」の最上部です。

スキーゲレンデ沿いに続く残雪の上を女々しく歩き、行き詰ったところでゲレンデの土の上に出ます。


意外とすぐに三本滝レストハウスが見下ろせるようになりましたが、最後のゲレンデが下りにくくて面倒。スキーの便利さを実感しました。
ゲレンデを横切らずにバス道路を歩き、途中道路を横切る沢で装備を洗って帰りました。

ツアーコースを使わずに山荘からバスで降りた人の方が多かったみたいです。

●2023年5月1日(月)
位ヶ原山荘 (9:15)→剣ヶ峰(11:40~12:20)
→東尾根滑走→肩ノ小屋口付近(13:00)
→不消ヶ池付近(13:40)→富士見沢滑走
→ルートミス(14:20~14:40)
→ツアーコース入口(14:40)
→標高2100m雪切れ(15:00)
→ スキーコース&スカイライン徒歩
→三本滝レストハウス(16:00)


2023年4月25日火曜日

焼山(BCスキー;北面標高2000m引き返し)

 




3月以降はGW前後並みの温暖な気候が続いた2023年は、4月中旬より若干の寒の戻りがあったものの、どんどん雪解けが進んでいきます。

確実に雪が残る場所を目指して、日本海から直接立ち上がる豪雪の山に出かけてみることにしたのですが...

ここは新潟県糸魚川市市街地の東端を流れる早川に沿って走る県道270号線のどん詰まり。
笹倉温泉の少し先にある「ゆのかわうちキャンプ場」の先の橋を渡ったところにある砂防堰堤です。
ここから通行止めの表示がある林道焼山線を歩いてスタート。

舗装道路が出たり隠れたりする林道を30分くらい歩いたところにあるゲートの杭あたりから路面がほぼ雪で埋まってきます。

林道をショートカットできるほどの積雪は既に消え去っている代わりに、段々斜めに急傾斜の残雪が続くようになり、うっかりスリップするとスイッチバックの一本下の林道に落下しそうな道をしばし進むと、標高800mを越えたあたりからつづら折りの林道は開けた緩斜面に変わりました。

林道のカーブをブッシュに遮られながら無駄にショートカットしていくと、標高1000m付近で正面に焼山を望む場所から一旦下り坂となり、その先で広場状に開けたアマナ平にでました。

砂防堰堤が連打された焼山川を右に見ながら、大きく迂回していく登山道(といっても雪に埋もれて見えませんが、)をショートカットし、1210mの小凸西側の小さな沢状地形を登ると、緩い振子状の凹地の正面に焼山が望まれる北面台地の端にでました。

すぐに目の前には広い台地が広がります。
正面の焼山は、豊富な残雪が残り白く輝いています。

が、よくよく見ると、広い雪のバーンが広がる一方で、所々に雪が途切れています。
この先の結論を先に書いてしまうと、下の写真の様になります。
青い実線が今日のルートで、赤い×印の場所で引き返しました。
本来の目標としては、青の点線に沿って行けるところまで行きたいと考えていましたが、ここから見るだけでも5か所で雪が寸断(西側を大きく迂回していけば3回に減るかもしれませんが...)されており、なかなか先が思いやられそうです。
ちなみに、赤い点線は一時間ほど先行していた登山者が登って行ったルートで、彼らと会うことがなかったのでその後どうなったかはわかりませんが、ここで見る限りは明らかに雪が途切れている様に感じられました。

左に火打山を見ながら台地をひたすら登って行きます。

右手の高松山が同じくらいの高さとなると、樹木は完全になくなりましたが、その代わりブッシュがちょこちょこお目見えしてきます。

真上に見える岩稜の一番右の岩塊の右に行きたいところですが、雪面の右側はずっとブッシュが出ており、ブッシュ漕ぎをしなくてはいけません。
どこか通り抜けられるところはないかとうじうじ探しながら登り詰めますが、結局どうにもならず、思い切ってブッシュを漕いで岩塊の右に出ました。

地形図の2260m標点すぐ西側の毛虫印のU字溝内の標高2000地点です。
ここをまっすぐ登るとクラックに当たるのでもう一本西(右)の雪面に行きたいのですが、そちらもブッシュ漕ぎとなるので、時間的にもこの辺りが潮時と考えて下ることにします。

眼下には登って来た北面台地よりもブッシュの少ない巨大な雪原が広がっていおり、とても快適に滑れそうですが、この雪原と帰路の北面台地の間には、側面の雪が消えた巨大なU字溝が横たわっています。

どうしようかとも思いますがまあいいや。
昼闇山を左に見下ろしながらとりあえずまっすぐ滑って行くことにしましょう。

滑り始めて少しすると、北面台地に続く右の雪面との間を遮るブッシュが薄い箇所を発見。
向こうと違ってこっちからはブッシュの濃淡がわかりやすいですね。

スキーを脱いでブッシュを突っ切り、北面台地の上部に帰還し、適度な斜度の大斜面をがんがん飛ばします。

一気に標高が低くなり、傾斜も緩くなってきます。

縦溝が出てきた平坦な斜面まで下りてきて、滑り降りた斜面と焼山の噴煙を振り返ります。

火打山方面との間に割って入るU字溝もほとんど雪が消えて、往来が遮断される寸前の状態です。
平年ならGW過ぎの様相ですが、近年は寡雪の年が多く(特に2009年、16年、20年はそもそも雪があまり積もらなかった)、それを考慮に入れるとこれが平年並みかしら?

2000mまでしか行けなかったものの、それより下は滑走に全く支障がない十分な残雪。
いや、この縦溝が結構足腰に来たな。まあそれは贅沢というものでしょう。
あっという間に北面台地を滑り降り、アマナ平へとブッシュを避けながら下ります。
さよなら焼山。

見下ろすとクマが走っていたアマナ平をスキーを漕ぎながら通過し、一旦登り返してからは、林道の緩斜面を自動走行していきます。

九十九曲りが近づくと雪が切れる箇所が出始め、徐々にスキーを着脱する頻度が高くなり、最後の3曲がりくらいからはスキーを担いで車に戻りました。

スタートからスキーを使える/最初のヘアピンカーブのいくつかをショートカットできるくらいの雪が残っているくらいがちょうどよい(山頂付近までスキーを使える?)かもしれません。
ただ、台地上部のちょうどよい斜度の斜面まで行ければ、アマナ平付近での中断はあるものの標高差1000mの滑走ができるので、満足度は高いです。

●2023年4月23日(日)
ゆのかわうちキャンプ場対岸の堰堤横(6:10)
→第一ゲート(七曲り途中;6:40)
→第二ゲート(標高800m林道分岐;7:20)
→アマナ平(8:25)→北面台地下端(9:10)
→大曲(10:55)→標高2000m引き返し(13:00)
→アマナ平(13:55)→第二ゲート(14:20)
→第一ゲート(14:40)→出発地(15:05)





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