2021年4月12日月曜日

会津駒ヶ岳(BCスキー)

 シーズン突入時は記録的な大雪に見舞われた2020~2021年の冬ですが、2月下旬からは季節が前倒しとなり、桜の開花も平年より2週間近く早くなり、4月に入るころには関東の山々から雪がほとんど消えてしまいました。

仕方がないので少し遠出をして、関東に一番近い東北の会津を久しぶりに訪れることにします。


ここは福島県檜枝岐村にある会津駒ヶ岳の登山口への入口です。
国道に架かる滝沢橋脇のバス停が登山口への林道の分岐となっていますが、この時期の林道は車両通行止めでバス停周辺にも駐車場がないため、国道を歩いて5分ほど下ったところにある村営グラウンドにクルマを停めて歩いてやってきました。

バス停から見えたトイレの建物のすぐ先から林道は雪で覆われています。

ところどころで路面が顔をだす林道を、トイレから300mほど登ると、道路は橋を渡って右にカーブしていきますが、正面の沢は雪が残っていて林道をショートカットできそうなので、行ってみることにします。

目論見通り林道下部の屈曲をショートカットし、登山口の階段のすぐ下にあるヘアピンカーブに到着しましたが、この最下部のショートカットをスキーで滑るのは困難なくらいの積雪量でした。

さて、このヘアピンカーブどん詰まりの沢状の地形には雪がたくさん残っていましたので、シートラで歩いて登る登山道を敬遠して写真左側の残雪の沢型を登っていくことにします。
登り始めた沢は、最初の標高差100mくらいは順調だったものの、上部の尾根に近付くにつれて傾斜が急となり、ブッシュも顔を出すようになり、さらに尾根沿いを登るようになると、ところどころで雪が途切れてブッシュの中を歩くようになりました。

そんなこんなで思いのほか時間を要してしまい、アンテナ跡で登山道に戻るまでに、コースタイムの倍近い1時間近くかかりました。
展望の良いアンテナ跡で一息入れながら反省です。

登山道を進む方が圧倒的に早くて確実、それに何より楽な状態でしたが、帰り道で何も知らずにブッシュの尾根に突っ込んではいけないことを学習しただけでもよしとするか....

さて、アンテナ跡からは、固く締まった雪の上を歩いてゆきます。

微妙に緩急が変化し、時折細くなったりする尾根の上を、春の固い雪を踏みながら登っていきます。
お昼前ですが早くもスキーヤーが下ってきました。

高度を上げるにつれて、それまでのブナ林は徐々にシラビソへと変化し、右隣に見えている大戸沢岳の南西尾根も白く変わってきました。

ここまで来れば樹林限界を抜けるのはもうすぐです。
徐々にすれ違う下りの登山者が増えてきました。

そして、駒ノ小屋が近づいてくる標高2000m少し下くらいから、視界が一気に広がりました。
右手の大戸沢岳方面に向かう尾根が真っ白です。
あそこの手のついていないところを滑ってみたいなあ。

駒ノ小屋からたくさんの登山者が引き揚げてきます。

あと少しで山頂です。

小屋を背に下山ラッシュとすれ違いながら最後の登りへと向かいます。

お昼をかなり回った時間にようやく登頂しました。

登って来た方向を振り返ると、正面に尾瀬の山々。
その左は日光、右は越後の山並みが一望できます。

中央の燧ケ岳(左)と至仏山(右)をアップ。

山頂の北には中門岳へと続く稜線が続きます。

雪庇が続く平坦な尾根の先にある中門岳から右の御神楽沢源頭に下りていく尾根に一本のシュプールが見えます。(写真にはよく写っていませんが、肉眼ではよく見えました)
…このときの印象に影響を受けて、今から二年後の2023年の春にここの尾根を滑ることになります。

そして、これが登って来たのとは反対方向、真北の坪入山方面の眺めです。

山頂に来るまでにすれ違ったスキーヤーからは、気温上昇とともに雪質が重くなり「滑るのが苦行」とのコメントをもらっていたので、少々時間稼ぎを兼ねて日当たりの少ない北斜面を試してみたいと思います。

山頂北側の雪庇の脇から滑り降りたボーダーが登って来たので、同じところをここから滑ってみることにします。

お。雪煙は立たないものの、なかなかいいぞ。

ボーダーが飛び降りた雪庇を横目に見ながら滑っていきます。

登り返してきたボーダーに挨拶して、更に下の疎林へと降りていきます。

北斜面の樹林の密度はざっとこんな感じで、ところどころに開けている樹木の無い斜面を選んで滑ります。

木々の間からは御神楽沢左岸の真っ白い斜面が垣間見れます。

少々の時間、快調に滑り降りたのですが、ちょっと気がかりが生じたので、この辺で一旦やめにして登り返してみましょう。

おお。やはりスキーが雪の棒になってしまいますね。
滑っているときは、時折ストップ雪の気配を感じるくらいで、あまり違和感はなかったのですが、急速に湿雪化がすすんでいました。

もう少し雪が軽いかザラメのどちらかならば、そして、朝の登り始めでもたつかなければ、あの東斜面のどこかを滑る素晴らしい体験ができたかもしれませんが、本日はお預けみたいです。

湿雪で膨れ上がったスキーを引きずりながら駒ヶ岳の稜線の一番低いところを目指して登り返します。

間登り返すこと30分少々で、駒ヶ岳東側にある2098m凸とのコルに到着しました。

ここからは、帰路に向かって無樹木(時折疎林)の緩斜面を一気に滑走していきます。

3時間ほど前のスキーヤーのコメントとは異なり、日照で表面が適度に溶けた雪の上を快適に滑ることができました。
登山道の尾根上に滑って到達できそうな高さからトラバース滑走に入ります。

登って来た登山道の尾根は、下るにつれて雪面が細くなるところが増えてきますが、標高1500m付近までは尾根の左下(北側)の斜面に入ると楽に滑走することができました。(但し、下りすぎて尾根に戻れなくならないように注意しましょう)

アンテナ跡からも登山道の上を滑りますが、尾根が細くなるのと雪が少なくなるので、両側の沢に落ちないように標高差100mくらいの距離を小回りターンで強引に下ります。

そして、登山道が尾根から南斜面に移るこの看板のところで、滑走もおしまいとなりました。

スキー装備一式を担いで時折泥だらけとなる登山道を下ります。

林道にでたら、夏山登山と同じ要領で国道まで下ります。

出発するときは満車だった村営グラウンドの駐車場は、グランドで遊ぶ人の地元ナンバーのクルマだけが停まっていました。
みんなずいぶん早いのね。自分が遅いのか??


●2021年4月11日(日)

桧枝岐村営グラウンド駐車場(8:10)

→駒ヶ岳滝沢登山口手前林道カーブ(9:00)

→アンテナ(ヘリポート)跡(9:50)

→会津駒ヶ岳(12:50)→山頂北側滑走→山頂東側コル(13:50)

→滑走(往路引き返し・アンテナ跡からは登山道)

→駒ヶ岳滝沢登山口 (15:20)→村営グラウンド駐車場(16:10)




2021年3月20日土曜日

オグナほたかスキー場(荒砥沢;BCスキー)

出だしが速かった2020~2021年の冬は、終わるのも早いようで、2月下旬からは一気に暖かく、季節が前倒しとなりました。

桜の開花宣言も例年より二週間程度も早く、山々もすっかり春の様相となったみたいなので、スキーシーズンが終わってしまわないうちに急いでおでかけです。


群馬県片品村のオグナほたかスキー場は、同エリアの丸沼高原ほどではないものの、シーズンが長いことで知られているそうですが、ゲレンデのコースも長く、長すぎるためかリフトが途中でどんどん下ります。

そんなリフトを4本乗り継いで、ゲレンデトップに立ちます。
下の写真は一番上部にある第6リフトから見上げた稜線で、一番右上のピークのすぐ裏が前武尊の山頂です。
途中でリフトが下るとはいえ、稜線直下まで機械で到達することができる素晴らしいところには違いありません。

先ずはリフト終点から右上に続く稜線を登っていきます。
リフトを降りた目の前の尾根に向かってスタート。

結構密度の高い尾根直上の樹林内を避けて、少し右方向を20分ほど登っていくと、リフトに乗っていたときに見えた稜線間近の雪の裂け目の横を通ります。

木々もまばらとなった主稜線に出ると、背後のゲレンデの向こうには日光や足尾の山々が連なります。
ここまで来たら前武尊の山頂は指呼の間です。

山頂にはトタン屋根の下に銅像が立っていました。
ヤマトタケルノミコト(日本武尊)とのことです。

ヤマトタケルの背中側からは、剣ヶ峰、家の串といった尾根続きの先に武尊山(沖武尊)が望めます。

剣ヶ峰の左奥は谷川連峰でしょうかね?

右手は尾瀬の方?
さっそく登って来たのとは反対側の荒砥沢へと下降しますが、下り始める場所を間違えてちょっと迷走します。

山頂の剣ヶ峰を臨んだ場所から素直にそのまま下るのが正解だったのですが、大荒れ予報の週末前に慌てて有休を取ってやってきたため事前の情報収集が全くできておらず、山頂から見て藪の最も少ない往路を北東に向かって滑りだしてしまいます。

ただ、この北東尾根の北側(荒砥沢側)は密な樹林で覆われており、突破して荒砥沢源頭に出た時にはかなりの高度ロスとなりました。

途中から飛び出した荒砥沢左俣は、適度な疎林の中に適度な傾斜のスロープが続く、典型的な山スキーのフィールドでした。

連日の高温と放射冷却の影響でクラスト化が進んだとみられ、雪質はカリカリです。
振り返っても滑った跡は全く見られませんが、まあ仕方ないところでしょう。

整備されたゲレンデのように平たんで固い斜面を快適に飛ばすと、あっという間に稜線が遠ざかり谷底が迫ってきます。


標高1680mほどで右俣を合わせると、沢幅はどんどん狭くなり、底に泥や落ち葉などの堆積物がたまって来たので、1630mくらいで滑走を切り上げて、今度は同沢の右俣を滑るべく左岸(北側)の尾根(家の串尾根)を登ることとします。

登りながら振り返ると、滑り始めた前武尊の北東尾根が見えます。
さきほどは何も知らずにピーク右側の真っ黒な森の中を迷走したのですが、もう少し我慢してそのまま下れば、沢型の白い斜面を快適に下って来れたみたいですね。 残念....

荒砥沢の対岸(右岸)の尾根の裏側は、登って来たスキー場があり賑やかなのですが、尾根で遮られるここまでは音が届かずとても静かで、カケスがビャービャーと啼く声だけが響きます。

南向きの斜面を登ること約250mで稜線に到着します。
稜線のこちら側は北風で作られた雪庇が続きますが、低いところを選んで登ります。

雪庇の隙間から登った家の串(東)尾根は、その雪庇が作り出す広い雪面が道路のように続いていました。

写真を見た印象だと、尾根上には幅の広い道路のように平坦な雪面が続いているように見えますが、実際に歩くと北風によって表面の雪が飛ばされたところと吹き溜まったところが交互に続き、腰くらいから高いところでは身長の数倍の段差があり、歩く分には大きな問題はないものの、滑走するには難儀な場所です。

それでも、家の串への細い稜線が見えてくる頃になると、南側の雪庇も徐々に低くなり、吹き溜まりの凹凸も徐々になくなってきます。
とりあえず、尾根上にダケカンバの巨木が生えているところを目指して歩いていきます。

到着したダケカンバの木は、周囲がそこだけ平らになっており、家の串に向けての急登が始まる直前に生えていました。

風があまり当たらないここは、剣ヶ峰から荒砥沢の左右両俣の上部がのんびりと見渡すことができます。

荒砥沢の反対側の山並みも見渡すことができました。
さて、ここから一旦、まだ滑っていない荒砥沢の右俣へと滑りだすことにしましょう。

右俣の上流部は、先ほど滑走した左俣よりもいっそう広く、滑りやすい斜面が広がっていました。
左俣のもっと上部を滑ってみる思惑もあり、少し右方向へと広い斜面を滑っていきます。
荒砥沢の右俣は、源頭部で家の串直下へと突き上げる沢と剣ヶ峰コルへと続く沢の二手に分かれますが、最初にやってくる直上沢は上部から落ちてきた雪塊が固くなったものが転がっており、あまり快適そうではないので、その先のコルへと続く沢の下までやってきます。

滑り降りてきてコルへの斜面を見上げ、登り返そうとしますが....

下の方へと目を転じると、上部よりも圧倒的に広くて全然快適そうな斜面が続いています。
この斜面の魅惑に勝てずに、そのまま突入。
コルまで苦労して登って狭い沢を滑ってもどうかな と後付けの理由を滑り終わってから考えることにします。
南東向きの斜面は、正午を過ぎて表面の雪も解け始め、ザラメとはいかないまでもなかなか快適で、それまで見えていた稜線があっという間に後方に過ぎ去ります。
快適な雪面とはいっても、まだまだ固く、写真に写るほどのシュプールはつかないんですけどね。

眼下に先ほど滑って来た左俣との二俣が迫ってきました。

先ほどはあちらの谷間から滑り出てきて、そのまま沢中を下っていきました。

一度滑っているのでおおよその様子が分かっているのに加え、このまま荒砥沢を滑走すると長い林道歩きが待っているため、二俣からは右岸上部をトラバース気味に滑走し、尾根を越えてお隣の十二沢へと乗り換えることをもくろみます。

左手の荒砥沢の谷をどんどん眼下に見下ろしながら、トラバースを開始します。

樹林が途切れるところからは、1~2時間前に登った左岸尾根の斜面が沢を隔てて見上げることができます。

しかし、沢がどんどん眼下に落ちていく一方で、上部の稜線はなかなか近づいてきません。
稜線が低くなる分だけ斜滑降で下り、高さを失う状態がしばらくの間(1㎞くらい?)続きます。

そして、標高1600m少し下くらいの、尾根が平坦になるところで、尾根を越えることができました。
気温が上がらない樹林内の固い雪面の低摩擦に助けられた格好です。

さて、尾根の反対側の十二沢左岸の斜面は、それまでの針葉樹とは打って変わった見通しが効く落葉樹の斜面ですが、樹木の密度は荒砥沢側よりも激しく、斜滑降と強引な小回りターンの組み合わせで下っていきます。

たどり着いた十二沢は、沢底が適度にターンしやすい広さとなっており、たくさんのシュプールがついていました。
十二沢の滑走は、途中で右上を並走するスキー場のゲレンデに合流するらしいのですが、戻る場所がわからないのと、ゲレンデが事前にイメージしていたよりもかなり高い場所にあることから安易にあきらめて、下れるところまで沢の中を滑ることにします。

多くのシュプールに導かれて、沢底を滑っていきます。
いつしか滑走ルートは沢の右岸に沿う作業道の跡の様な場所となり、ますます快適に下っていきます。
左下に橋が見えるようになると、荒砥沢方面からやってくる地図上の林道に合流します。

林道を右へと行くと、緩やかな上り坂となり、ツボ足かパスカングで進む必要がありますが、登る区間の距離は500mちょっとでそんなに長くありません。
3つ目の右カーブのカーブミラーに到着すると、そこには広いゲレンデが広がっていました。
ほとんど斜度のないゲレンデはスカイウェイコースと呼ばれているのでしょうか。
平日で滑る人が居ないため、下って行っても大丈夫なのかと不安になりますが、200mも滑ると傾斜がでてきて、右カーブの先で眼下にセンターハウスが見えると、一気に快適な下りとなってリフト乗り場に到着です。
なので、テレマークでない人はゲレンデに戻ったところでちゃんとヒールをロックしてから滑り始めましょう。

●本日の反省
①事前の情報収集をほとんどしなかった
 週末の悪天候に気づき、年度末の有休消化を決めたのが前夜。
 ガイドブックのコピーは持参したものの、事前のネット情報収集はせずに、「オグナほたかスキー場」がどこにあるかもよくわからずに現地に到着して、リフトに乗りながら現地の地形と間隔を合わせて臨んだ。
 そのためか、滑る場所と登る場所がところどころで迷走し、やっていること全てがちぐはぐ。滑れはしたものの、どれも途中からのつまみ食いのような形となってしまったように感じる。
②やはり時期が違う?
 このエリアはパウダースノーが売りとのことだが、既に3月下旬で、しかも今年は春の訪れが早く、雪面は硬すぎるくらいに締まり、かといってザラメ雪には程遠い状態だった。
 ちょっと場違いな感じもしないではない?

 だた一方で、荒砥沢の異なる二か所と十二沢の一部を滑ることがで、山域の概要を理解することができたので、次回来るときはもっと臨機応変にコンディションの良いところを選ぶことができると思う。
 また、雪質は良くとらえれば、雪崩の危険とは無縁の状態だったとも言え、固雪によるスキーの機動力は十分に発揮できたとも言える。
 今回の経験を教訓として、もう一度頭を冷やして考え直し、是非リトライしてみたい。

●2021年3月19日(金)

オグナほたかスキー場リフト終点(9:30)

→前武尊(10:00)→荒砥沢(左俣)滑走

→標高1600m付近から家の串尾根へ登行(10:30)

→家の串東尾根標高1920m (12:10)

→荒砥沢(右俣周辺)滑走

→1600m付近から荒砥沢右岸トラバースし、十二沢へ(12:15~12:35)

→十二沢下降→林道(12:45)

→オグナほたかスキー場(スカイウェイコース合流)

→センターハウス(13:10)




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