2022年は4月に入ってから高温が続き、雪解けが加速されているとのことですが、積雪量が多かった今年は残雪もまだ多いだろう...ということにして、時期は遅くなってしまいましたが、残雪の尾瀬(というか会津)の山へ。
会津駒ヶ岳のお隣の山、大戸沢岳のスキールートに、山麓からのピストンで行くことにしました。
ここは国道401号線の南会津町と檜枝岐村の境界付近にある「下大戸沢スノーシェッド」の檜枝岐(尾瀬)側の出口です。
道路のこちら側の川とスノーシェッドの間にある舗装道路が除雪されており、たくさん駐車することができました。
向こう側にある何かの施設の横にある道を、スノーシェッドに沿って歩いて行きます。
何かの工事があるのでしょうか。例年雪に埋もれている道は沢まで除雪されていました。
最初は残雪が途切れない小さな沢型の中を忠実に遡ります。
時折急登を交えながら尾根を忠実に登って行くと、標高1350m付近から傾斜が緩やかとなったので、1386m標点付近で三岩岳の稜線を眺めながら大休憩します。
ちょうど1553mのところから、大戸沢岳北東尾根の東側の小沢を数名のパーティーが滑り降りてくるのが見えました。
沢の対岸にある雪解けが進む三岩岳の南東尾根の南面を見ながら登って行くと、雪に覆われた中ノ沢が見えてきます。
山全体は一見真っ白ですが、沢沿いに目を凝らすと、かなり上部から底雪崩により茶色くなった斜面が続いています。
沢底が雪崩れたわけではなく、側壁が崩れているのだと思いますが、沢沿いを滑るのはちょっとやめておいたほうが良いかもしれません。
再び少し急登すると、今度は比較的明瞭な凸となっている1553m標点を越えます。
撮影しようと思ったら、あっという間に足下の桑場小沢へと消えていきました。
1553m標点の少し先から、大戸沢岳山頂付近までは一気の急登となります。
下から見ていた時には、このクラックが割れてこちらに崩れてこないかと心配していましたが、近づいてみると明らかに沢に向けて落ちる方向に割れているので、先ずは一安心して尾根状の一番高いところを行きます。
正面に見える数本のシラビソの塊のところで、急傾斜は終わり、尾根上の雪原となります。
滑走のみを目的とする場合は、ここが登りのゴールとなります。
私は、大戸沢岳に初めてきたので、一応山頂に行ってみることにします。
駒ヶ岳との間にある下ノ沢の源頭は雪が割れて今にも底雪崩が起きそうです。
背後の樹林の向こう側には、駒ヶ岳~中門岳へと続く純白の稜線の上部が見えます。
中門岳へと続く稜線からは、御神楽沢源頭へと降りていくシュプールが見えます。
それでは、景色を堪能したところで、往路を引き返すことにします。
無木立の巨大バーンの中の好きなところを、気の向くままにがんがん滑ります。
1386m標点も右巻きですが、こちらは尾根が滑る人の方に曲がってきてくれるのですんなり復帰。
明瞭な樹林の尾根上でブナ林のスラロームをしながら、標高1100mほどで尾根がなんとなく二手に分かれるところからは、雪が残った中間の沢型をそのまま滑って行きます。
ところによっては残雪が狭く、落ちてきた枝が敷き詰められているところもありますが、沢型はそのまま下大戸沢沿いへと導いてくれます。
尾根上にの疎らな樹林がなくなるあたりからは、左右の沢型の上部の雪面にはクラックやコブ/シワ状の変形が入るようになります。
極めて緩やかな数回の上り下りの後に、特に目印の無い山頂に到着しました。
正面には伊南川(檜枝岐川)の谷を隔てて、帝釈・南会津の山並みが押し寄せます。
右手(南西~南東)の遠方には尾瀬から日光の山々が並びます。
その右(北西)の先は越後・会越の残雪豊富な山々です。
いつかは滑ってみたいところですが、クラックの下めがけて滑りこむのは危ないですね。
あのクラックは毎年全層で崩れる場所です...
バキバキに亀裂の入った(恐ろしや...)南東尾根を見下ろしながら平坦な稜線をゆるゆると滑走し、正面に三岩岳が広がったところから登って来た尾根に向けて滑走開始です。
引き続き樹林の尾根を滑って行きます。
往路で一旦下りとなった1533mの凸は右から巻きますが、勢いに任せて下ると、雪庇に阻まれて尾根に帰れなくなるので、高度のロスを極力抑えて...
そこから少し滑ると、出発したスノーシェッドの出口が見下ろせるようになりました。
あと標高差450mほどの滑走でしょうか。
ところによっては残雪が狭く、落ちてきた枝が敷き詰められているところもありますが、沢型はそのまま下大戸沢沿いへと導いてくれます。
除雪された道に下りないように尾根を回り込んで、スノーシェッド出口の脇へと滑って行きます。