猛暑続きの2023年の夏は、9月最終週末に突然気温が低下して平年並みの涼しさ?となりました。
これで関東山沿いに続いた日中の雷雨もなくなるに違いありません。
今夏ご無沙汰だった高所。尾瀬ヶ原よりも高い標高1660mの尾瀬沼周辺を訪れることにします。
群馬県片品村の尾瀬戸倉温泉の先にある尾瀬沼へ登山口、大清水からスタート。
国道401号線を一般車両が走行できるのはこのゲートまでです。
休憩所前の駐車場はいつも満車なので、右手の白い看板から下ったところにある第二駐車場にクルマを停めてスタートです。徴収員が居ない早朝の料金(¥500/日)は、帰りにワイパーに挟んである紙を売店に見せて清算します。
直進する奥鬼怒林道の橋(小淵沢橋)の手前で左折して、右手に小淵沢を見下ろしながら右岸の林道を登ること40分(大清水からだと1時間半)ほどで、ヘアピンカーブの突端で沢を渡る橋に到着します。
全く退屈しない展開での到着で、流れの左横の段々状を登っていきます。
スダレ状6mから先は、ちょっとザレ気味の滑小滝が断続的に続き、少々退屈気味の後に、20分ほどで次の大きな滝が登場します。
初級者向けのこの沢で最難となるスダレ状15m滝には、先行パーティーが取り付いていました。
図らずしてモデル付きのオブザベ状態となり、登路と登り方を拝見します。
それでは、シミュレーション学習十分で、流れの右を巻き気味に登っていきます。
15m滝の上で先を譲っていただいただき、先へと進みます。
登山道を1分下ると小淵沢田代に到着しました。
小淵沢田代を横切る木道の鬼怒沼側はボロボロで、湿原中央の池があるあたりから整備されたものとなりました。
奥日光の山々を望む田代を振り返って、大江湿原へと下ることにします。
大江湿原へは、沼のすぐ脇の分岐を右へと入り、オオシラビソの深い樹林を下って行きます。
三平峠への上り下りは、修理が追い付かない二車線の木道が続きます。
スイッチバックの急降下を、水場を経て下って行くと、山奥には場違いなコンクリート橋梁が登場し、一ノ瀬の休憩所に到着です。
舗装されてはいないものの、密かに七入まで通じているかと思えるほどの、大型トラックがすれ違えるくらい立派な道路を下って行くと、左下に往路で通った奥鬼怒林道が見えてきて大清水に到着しました。
小滝を登ると次の滝やナメが見える状態がしばらく続きます。
滝が無くなってザレっぽくなったかと思う間もなく、左岸から枝沢が入る先で、連続する滝が見えてきました。
スダレ状の10m多段滝は、段々となった登りやすそうなところから取り付きます。
が、登るにつれてホールドが細かくなり、徐々に左へと追いやられてしまいました。
最初から左流側の凹部を笹を頼りに登っても良いと思います。
10m滝の上も小滝が続いて行きます。
断続する小滝は、徐々に黒ナメとなって傾斜を増していき、最後に平らなナメがぱっと開けて5mほどの滝が登場します。
滝上の黒ナメを過ぎると一旦普通の川原に戻った後で、最後の滝となる10mの直滝が見えてきます。
この沢では珍しく登れないこの滝は、左岸のザレ気味の斜面を急登して巻きました。
最後の滝を登ると、沢は一転源頭の面持ちとなり、小さな流れが藪を交えながら蛇行していきます。
ここは流れの右端を登って行きます。
真ん中くらいで流れの中を横切るバンドを渡って上部は左を登る説もありますが、気づかないうちに通り過ぎて登っていました。
そのまま枯沢を進んでも同じ登山道に出ると思いますよ。
たぶんね
沢登りのパートはこれにて終了となります。
下山は、田代を過ぎた分岐を左折して長蔵小屋へと向かうか、田代とは反対側に進んですぐに右折して入渓点へと登山道を下るのが一般的ですが、まだ時刻が11時を回ったばかりなので、秋の尾瀬沼を観光していくことにします。
●2023年9月24日(日)
大清水(7:30)→奥鬼怒林道→小淵沢橋(8:18)
→小淵沢林道→入渓(8:55)→小淵沢遡行
→スダレ状6m滝(9:30)→スダレ状15m滝(9:50)
→3条10m直滝(10:30)→登山道(11:15)
→小淵沢田代(11:16~11:30)
→大江湿原(12:00~12:20)
→沼尻休憩所(13:00)→南岸分岐(13:30)
→三平下(13:50)→三平峠(14:05)
→一ノ瀬(14:45)→大清水(15:30)
長蔵小屋のHPでは、この田代は「静かな湿原を独り占め」というキヤッチフレーズで紹介されていますが、まさに人っ子一人居ない空間でした。
これからの後半は、尾瀬における独り占め湿原の特殊性を実感していく旅となります。
大江川の橋を渡って対岸の斜面を登り、下山口の三平下へは遠回り方向に、沼を反時計回りで進みます。
先ず最初の出だしから樹林内の木道が続き、長英新道の分岐を過ぎると、一旦浅湖(あさみ)湿原が広がりますが、すぐに径と沼の間には大入洲半島なる陸地が割って入ります。
退屈な山の中の径は省略して、次に沼が見えるのはオンダシ沢の河口近くです。
やがて燧ヶ岳の山裾の先端に休憩舎が見えてくると、湖岸周回と尾瀬ヶ原への径が合流する沼尻に到着します。
沼尻からは沼の南岸を通って行きますが、木道の整備状況がこれまでの北岸よりワンランク下がりました。
時折沼の展望も開けますが、三平下までの区間で見渡せるところは片手で数えられるほどで、WEBでよく見る湖岸の小島の写真も、絵になるからというよりは、ここしか沼を撮影できる場所がないからといった理由で撮影することになります。
大清水平や富士見峠への分岐(南岸分岐)を過ぎると、沼と燧ヶ岳が見渡せるところが一か所あり、間もなく水利小屋が出てきて尾瀬沼山荘が立つ三平下に到着します。
すれ違う人も半減します。
休憩所から大清水までは、低公害車という片道¥700の乗り合いワゴン車が運行されていましたが、歩いて下ってもあまり変わらない発車時刻だったため、沼田街道を徒歩で下ります。
沼の周りは想像していた以上に長い道程で、途中で寄り道を後悔しましたが、冷静に考えると、長蔵小屋から最短で下るのと比較して1時間半も変わらないと思います。
一ノ瀬へと下る途中に、沢で追い越した二人に逆に追い越されてそのことに気付きました。
小淵沢は遡行時間が短く、変化に富んだ美渓でしたが、実は前後の林道&登山道歩き時間が沢登りの倍くらいあるアプローチ律速?の渓でした。