2024年8月25日日曜日

米子沢 (沢登り)

 この山行の6日後となる2024年8月29日(木)の未明に九州に上陸するであろう台風10号(サンサン)は、まだ小笠原近海に居ますが、南海から送り込まれる湿った風は日本各地に天候の急変をもたらしています。

関東周辺の天気予報を見ていると、何故か日本海側の新潟県だけ雨が降らない予報となっていたので、越後へと沢登りにお出かけしました。
前回最後に新潟県で沢登りをしたのはいつなのか?思い出せないくらいのご無沙汰です。
(過去の記録を見てみると、なんと6年ぶりでした。)

巻機山の登山口、桜坂駐車場の料金徴収小屋のすぐ先(第3駐車場の脇)から分かれる林道を10分ほど登り、注意喚起看板が立つ米子沢入口の表示を左へと入ると、スリット型の最終堤防すぐ下の川原に出ます。

大きな岩が転がる伏流の川原を歩いて行くと徐々に水流が現れ始め、堤防から30分少々でスラブの沢に変わりました。

連続する緩傾斜の滑滝を見下ろしながら左岸の岩盤を行くと、右岸からナメ沢が細い滑滝で合わさります。
左のナメ沢と本流との間にあるブッシュの下に小さく見える白テープが巻き径の入口です。

ここからしばらくは、途中大滝の連瀑があるゴルジュをちらりと見ながら、登山道並みに立派な右岸の巻き径を登って行きます。

気が競ってしまい途中で沢に降りてしまいましたが、この滝がゴルジュの終わりで、右岸を巻いて完了です。

ゴルジュを巻いた後は、スラブの岩盤を登って行きます。

この10m幅広滝は、流れの左側の岩から登ることができますが、今日はヌメヌメと湿っているので、右側の巻き径から登り、左岸の樹林とスラブの境界を行くことにしました。

ちなみに、左側(右岸)のスラブを登った場合は、岩の上から小さな釜へとケツ滑りしたあとで、ここまで登ってくることになります。

10m滝のすぐ上にも釜をもった滝があり、その上には大きなスラブ帯が続いています。
滑り落ちると下の釜にドボンするまでピンボールの様に落ちていきそうな斜面を、そうならないよう慎重に、ブッシュを掴みながら登ります。

スリップの危険から解放される50mプールからは、ラバーソールがバチ効きのスラブが続き、左岸から小沢(栂ノ沢)を合わせます。

岩盤のスロープを息をゼイゼイさせながら一気に上がってくると、谷の奥に三角形の燕岩が見えてきました。

が、その前に、この沢で唯一クライミングに近いものが求められるトイ状5m滝を通過しなくてはなりません。
左側の壁の上部にある傾斜がユルいバンド状をフリクションで巻くことができそうですが、ミスって10mくらい下の釜にドボンするのがいやなので、中を行ってみました。

流れの左側にある、クラックという程鋭利ではないアバウトな溝から登りました。
ムーブのポイントは、沢登り特有の「ダマシ」です。

5m滝の少し上は、20m弱のスダレ状滝が懸かる幅広いスラブ岩壁が広がり、その上に特徴的な岩峰「燕岩」が鎮座します。
景勝地が多いこの沢でも上位を争う景観。
但し、本来どこからでも登れるスラブ壁は、何故か結構濡れてヌメり気味なところがあり、なかなかに緊張しました。
ヌメらなければ快適に登って行けるはずなのですが、そうでない場合はスリップすると場所によっては致命的な落差を落ちることになります。
少々陰惨ですが転落リスクが少ない左岸の小沢沿いに登ればよかったかと後で後悔しました。

燕岩の上は、少しの間巨岩の川原となった後、正面の岩壁を左折したところからゴルジュに入ります。

ここは極力水線に近いところを行くのですが...

さっそく行くルートを間違えていますね。
この最初の小滝と続く樋状の水路からその上の小滝は、全て右岸の極力水線近くを通過します。
が、安易に左岸を進んでしまったので、上の画像の場所から沢底に戻れなくなり、安易に左岸にあった踏み跡に入ると、上へと追い上げられてしまいました。

ブッシュの中で耳を澄ましながら、滝の音を通り過ぎる(沢底との落差が縮まると思われる)ところまで踏み跡を行き、懸垂下降して無事に沢に降りることができました。

沢に復帰したのは二段滝の少し下で、右岸の壁上のバンドから滝に近づくことにします。

一旦下の小滝の釜へと降りて流れを渡り、、

二段滝の枡形釜へと登って、左岸側から越えて行きます。

その上の細い廊下は、奥まで行ってしまうと行き詰るので、細い滝の手前から左岸の草と泥の細いバンドを歩きます。

流れの右側を歩いていると、自然とこの辺りに導かれます。

先ほどから遠くに見えていた滝へは、沢底を歩いて近寄り、

手前の小滝の落口を左から右へと渡り、

右壁の三角形の階段を登って行きます。

息を着かせる間もなく、今度は砂防ダムのような滝。

滝行すれすれに右岸に渡り、ダムと側面の境界の泥ルンゼから越えます。
この泥ルンゼ。自分は途中から登る力量が無くなったので、一旦左(下流)側の岩に逃げました。
また、最上部はルンゼを最後まで登って木に支点を作るのか、途中でダムのスラブに飛びついて越えてしまった方が良いかがとても微妙で、自分は後者を選択しましたが、皆さんは必ず自己責任でお願いしますね。

ダムの上は、もう大ナメか?と思うような光景が広がりますが、

大ナメはこの門の上からとなります。

必ず左(右岸)から登りましょう。
途中で支点もでてきます。

ゲートの滝を越えるといよいよ米子沢のランドマークとなります。

すぐに傾斜が緩くなってきて、天まで続くという光景になりました。

ただ、傾斜が緩むといっても、ウォータースライダーとして見ると相当な距離となり、油断禁物です。

ナメの平坦度合が減ってデコボコ気味になってくると、ところどころで小滝ができてきます。

小滝群は1つを除いて全て巻きましたが、巻き方は脇の壁を登るものも含めて、すぐわかるものばかりでした。

白いスラブの上にあるこの小滝を越えると、周囲は一気に源頭の様相となり、草原が広がりました。

最後にでてくるこの滝だけは水流を登しました。
滝上の正面の饅頭の様な丘の下で二俣となります。

トラロープが張られた右俣を見送り、左俣を行くと、20分で避難小屋の水場に到着しました。
ここで装備を解除。

斜面を登ると見える避難小屋の前を通る登山道で下山します。

下山路は一旦ニセ巻機山まで登り、

ニセ巻機山からは一気に下って行きます。

ピークハントをパスした巻機山を見送り、井戸尾根の登山道を下ります。

往路とは一転、単調な登山道を2時間半歩いて桜坂駐車場に戻りました。

●2024年8月23日(金)
桜坂駐車場(7:40)→スリット堤防(入渓;7:55)
→ナメ沢出合(8:55)→多段大滝巻き終り(9:23)
→栂ノ沢出合(9:50)→燕岩の滝(10:20~11:00)
→ゴルジュ入口(11:10)→大ナメ帯入口(12:30)
→二俣(13:35)
→避難小屋水汲み場(1脱渓;13:55~14:20)
→巻機山避難小屋(14:30)→ニセ巻機山(14:37)
→桜坂駐車場(16:50)


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