風が強い冬晴れの一日は、森や木々に囲まれて温暖な多摩丘陵をハイキングしましょ。
今日は東京都が神奈川県に半島のように飛び出た町田市の北部を歩きます。
それでは、小田急多摩線の栗平駅からスタートです。
駅の改札をでてまっすぐ進むと、正面に低い丘が連なっています。
川崎市麻生区のここから見て南側のあの丘の向こう側が東京都町田市です。
先ずは改札正面を適当に下り、県道137号線沿いを目指します。
県道脇にあるこのお寺の施設が目印です。
目印となる建物の右側の道が桐光学園へと向かう道で、入るとすぐのお寺の門の前を左折し、登っていくこの細い道に入ります。
細い道を登っていくと、背後に川崎の住宅地が見下ろせるようになり、丘の上に到着します。
そこが都県境で、右側に境界線を行く鶴川台尾根緑地の表示があります。
尾根上に細長く続く緑地の脇にある遊歩道に入ると、すぐに栗木山王特別緑地保全地区となり、左側の町田市鶴川の展望が開けます。
行く手には丹沢の山々と、その上に頭だけだす富士山も見えます。
その左手(進行後方)の鶴川街道の谷は、鶴川駅方面へと続きます。
平凡な郊外の住宅地の中に大展望の径がひっそりと続きます。
車道を渡ると、その先右側は桐光学園の敷地となりますが、歩道はまだ先へと続いていきます。
学園とは反対側の展望も、建物が次第に高くなってくるものの、少しの間続きます。
緑地に隣接するマンションの敷地を過ぎるあたりから両側が樹木に覆われてきました。
ときどき径の両側から階段などで登ってくる小径があり、都民と神奈川県民双方から利用されていることがうかがえます。
桐光学園から1kmほどで、右手後方から別の径が合わさってきます。
黒川駅の近くにある川崎市黒川青少年野外活動センター方面からの径で、分岐点には標識と四阿が建っています。
神奈川県側の長閑な風景を見下ろしながらそのまま直進すると、若葉台の巨大団地群が見えたりします。
すぐに廃棄物処理施設が目につくようになると、真光寺公園の標識があるので、左に入ると、そこは公園の頂部でした。
尖がり屋根の四阿からは、広々とした公園が見下ろせます。
歩き始めてから1時間も経っていませんが、ここで最初の休憩。
さて、休憩のあとは公園の近所からはじまる布田道へと向かいたいと思います。
布田道は、その名の通り調布市布田。京王線の布田駅付近から京王相模原線沿いにやってきて、小野路宿へと通じる道とのことです。
本当にそのような道があったのかはわからず、相模原線沿いにもそれらしき跡は見受けられませんが、真光寺付近からは散歩道として多少整備されている模様です。
先ずは公園の駐車場から表通りにでて、鶴川街道(都道19号線)の信号を右折します。
右折して坂を登るとすぐに、霊園の矢印に従い左折し、
さらに坂を登ったところにあるブロック法面の道路を左折します。
法面の上を行く階段もあり、すぐ先でまた道路に下りてきます。
そして、この霊園のゲートの右脇に登っていく歩道が布田道です。
布田道は霊園の境界線に沿って進んでいきます。
途中一か所でどちらに向かうか迷うところもありますが、この大きな変電所(電源開発西東京電力所)に到着するのが正解です。
変電所のブロック塀の北側に沿って通り過ぎます。
変電所を過ぎて坂を登り、うら寂しい道を少々行くと、雑木林の中の大規模なグランドにでます。
グランド入口先のこの右斜め前への径に入ります。
左側の車道をそのまま進んだ先を右折しても同じところにでます。
いくつかのグランドの横を通り過ぎてT字路に突き当たったら右折し、すぐ先のトラックが停まっているT字路を左折して下っていくと、鎌倉街道(都道18号線)の別所の信号に着きます。
鎌倉街道は町田から関戸橋を経由して甲州街道まで続く、交通量の多い一大幹線道路で、信号のところにステーキ屋さんがあります。
布田道は、そのステーキ屋の裏から再開します。
集落内のここを道なりに登らず左下へと行くのが布田道で、終点の小野路まではそう遠くない距離です。
なので、ちょっと寄り道。
舗装道路を道なりに登っていくことにします。
道路はすぐに右にカーブして、長閑な田園風景の中を、南多摩尾根幹線道路沿いにある妙櫻寺方面へと登っていきます。
この分岐は左下へと行きました。どちらを進んでも同じようなところに出ます。
田園風景の坂道を登ると、お寺と墓地の駐車場があり、駐車場の向こう側の数メートル高いところに、よこやまの道が通っており、ハイカーが歩いているのが目に入ります。
ですが、今日はまだ”よこやまの道”を歩かずに、一旦この砂利道へと鋭角に左折していきます。
この砂利道は、右手に野外教室の看板がある恵泉女学園の敷地、左手にはこれまで通ってきた方向にある畑を見下ろしながら緩く登っていきます。
低い丘のおおよそてっぺんまで登ると、左側に小径があるので、ここを下っていくことにします。
この径があるのは、今まで別所から妙櫻寺へと向かう間の左側に続いていた丘で、少々荒れてはいるものの、里山の風情を残す、このコースで最も自然度が高いエリアでした。
そして、ちょうど寄り道した分を歩くと、谷戸の奥に降り立ちました。
すぐ先の谷戸の出口で、また布田道に戻り、右折して小野路を目指します。
布田道は山あいにある小さな野球のグランドの横を通りながら登り、両側が切通状となった峠のようなところを越えます。ここは「関屋の切通し」という名前がついているみたいです。
峠を下るとすぐに、バスが通る都道156号線にでますので、今日は左折して下っていくことにします。
都道を300mほど下っていくと、小野神社前の信号に着きます。
信号の横は、この宿場にあった古い旅籠を改修してできた小野路宿里山交流館です。
売店があり、食事や休憩もできる観光施設ですが、今日はお隣の小野神社で休憩することにします。
小野神社からは、左脇の舗装道路を通って万松寺谷戸へと入っていきます。
墓地を販売している萬松寺の奥にあるここが谷戸で、周囲を図師小野路歴史環境保全地域の丘に囲まれています。
奥へとすすむこともできそうですが、一旦引き返し、六地蔵の横の坂道を登ります。
牛舎の横を通り登りついた丘の上は、10年ほど前に藪が払われてベンチが置かれ、見晴らし広場という名前がついているそうです。
見晴らしは....まあ御覧の通りです。
ベンチで一服したあとは、近所にある小野路城跡へと行くことにします。
小野路城へは、見晴らし広場の横にあるこの十字路を、唯一指す標識が無い方向へと入ります。
軽いアップダウンをこなしながら少々進んだところにあるこの標識のすぐ左上(矢印が指していない方角)が小野路城跡の中央です。
神社があるのですぐわかります。
神社のすぐ北側以外は堀切などが概ね埋っているのでしょうか、城跡としてはすこしぼんやりした地形ですが、神社のすぐ下には小町井戸なる水たまりがあります。
さきほどの標識まで戻り「順路」の方へと進みます。
小野路城跡から西側へと下る径は、かつての雑木林の藪中をゴソゴソと俳諧する風情がすっかり消え去り、整備された遊歩道となっていました。
正直、自分がどこを歩いているのか/歩きたいのかがわからないまま、「順路」をひたすら歩きます。
昔からあったのか、新たに植えられたのかはわかりませんが、竹林まであります。
そして、最後に降り立ったのは、扇橋バス停近くの”奈良ばい谷戸”の入口でした。
舗装道路に背を向けて、ハイカーが頻繁に行き交う谷戸の中を眺めます。
この奥を歩くのはまた別の機会にしましょう。
さて、この辺で本日の行程の半分は来たでしょうか。
これからは、道路の向こう側にある小山田緑地の中を散策してみます。
緑地の東側にある駐車場から園内に入ると、池が3つほど続きます。
きれいに整備された木道を使わせてもらいます。
一番奥の池の先は、小さな谷戸状となっています。
まっすぐ奥へと進み、反対側の西端にあるみはらし広場へ行ってみましょう。
また見晴らしか。。
広々とした芝生の丘の上に立つと、正面に丹沢の山並みが望めます。
なんだか出発時に栗平駅の近くの丘から見た光景とさほど変わらないように感じますが、しばらく見続けていると、都心から離れていくためか、周囲の景色も広々として、家並みも余裕をもって並んでいるように感じました。
小山田緑地は、このみはらし広場がある本園と、北方向の唐木田駅付近にある尾根幹線道路の間に、いくつかの分園が飛び地状に広がっています。
主な緑地を伝って北上していきましょう。
先ずは公園サービスセンターの北側にあるここから登り始めます。
よく整備された園路は、途中吊り橋なども設置されており、森の中をアサザ池というところまで続いています。
アサザ池からは進行方向を西へと変え、ゴルフ場を横切って大久保分園へ。
小さな丘を越えたところにある大久保分園の中央にはトンボ池という池があり、ダイサギとハイカーがにらみ合っています。
この池はダイサギ以外にもゴイサギなどの大型サギ類がじっとしていることが多いみたいですね。
トンボ池を渡り、大久保分園の中を通り、ゴルフ場方面に戻ります。
途中紅梅が咲き始めている場所がありました。
ゴルフ場脇の道に戻り、唐木田駅方面へと歩いていきます。
ここは唐木田駅へ向かう途中の山中分園というところで、緑地北端の尾根幹線道路はすぐ近くです。
山中分園から歩くこと数分の、ガスタンクと清掃工場の煙突が見えるところで、よこやまの道と合流します。
ガスタンクを見ながら左へ登っていくと駅・大妻女子大方面。右へ下るとゴルフ場のクラブハウス方面となります。
今回は左の西方向に行きましょう。
緩い坂道を登りきると、小山田緑地の北西端の入口となり、小田急線の操車場が見下ろせます。
坂を下りたところに、よこやまのみちの看板が立っています。
その先の階段下の標識を右に行くとすぐ先が幹線道路で、道路の向こう側に駅があります。
今日はよこやまの道の西側の起点を目指すべく、左へと行きます。
女子大裏のよこやまの道は、立派な農道と広い歩道といった感じで続き、KDDIの巨大な建物を過ぎたあたりで一旦消滅します。
右側に続く鉄板のフェンスが途切れたところを右折すると、なんとなく復活。
ここからは尾根幹線道路と並走するように、ニュータウンのショッピングモールを見下ろしながら、小さな尾根を進んでいきます。
多摩ニュータウンの反対側は、雰囲気が全く異なった鶴見川源流の森が続きます。
そして、よこやまのみち終点のランドマークである給水塔までやってきました。
給水塔を見上げる位置から振り返ると、鶴見川源流へと向かう小径が分岐しています。
最後に源流に寄っていきましょう。
源流の森がある丘の中は、数本の小径が交錯していますが、標識が整備されていて迷うことはありません。
ここは右側を登っていきます。
この変則十字路は、唯一下っていく径が源流に向かう径です。
写真奥の径から出てきました。
駐車スペースがないので、もともと人は少ないのですが、今日は誰もおらず、工事現場にあるような鉄パイプが張られていてなんだか殺風景ですね。
池の中から水が湧いているみたいですが、もっと上流の山中から排水溝の中を水が流れてきます。
源流から小山田バス停までは歩いて10分くらいです。
長時間ご覧いただき大変お疲れ様でした。
5時間も歩いていないのですが、人里を歩くと表現が冗長になってしまいます。山深い場所だと書くことも撮るものもほとんど出てこないのに…
それだけいろいろなものがあるということでしょうか。実際に歩いていてもナビに結構時間を要して面倒くさかったです。
真光寺周辺、布田道、小山田緑地、源流の森と、それぞれ歩行時間が一時間前後の趣の異なる散策ができるので、どこか一か所を選んでいくのが良いと思います。
ただ、途中の交通の便は唐木田駅以外は全てバスとなり、時刻が非常に限られます。
自家用車は.... 必然的に周回ルートとなることに加えて、小山田緑地周辺以外は駐車できる場所が少ないですね。
交通の便が悪いから昔ながらの里山の環境が守られたのか、人家が少ないから不便なのか。
歩き通してみて、東京近郊に開発がコントロールされ、これだけ緑と展望が守られている場所が続いていることはとても素晴らしいと感じました。
多くの場所で、この環境を大切に感じ、守る活動をされている方々の存在を実感した旅でもありあました。
思い立ったらすぐ行ける。 その他の首都圏近郊ハイキングの記録はこちら。
●2021年2月11日(祝)
栗平駅(11:30)→真光寺公園(12:20)
→別所バス停(12:50)→小野路宿里山交流館(13:40)
→小野路城跡(14:20)→小山田緑地みはらし広場(14:40)
→大妻女子大学裏(15:35)
→よこやまの道終点(給水塔;15:55)
→鶴見川源流(泉のひろば;16:10)→小山田バス停(16:19)