前々日の嵐が去って都心は7月上旬並みの夏日となり、3月に揺り戻した2024年の冬は完全に終わりを告げ、JANの雪崩情報も谷川地域はノーリスクとなりました。
積雪期限定の最楽ルートである川場スキー場がクローズしないうちに、久々の百名山ハントにお出かけしました。
川場スキー場7Fのチケット売り場で所定の登山届を提出しココヘリのIDを見せると、片道リフト券を¥1,700(うち¥500は返却時に返金されるデポジット、リフト下山者は+¥1,200)で販売してくれます。
コース外の雪が徐々に消えゆくスキー場のリフトを(B桜川とDクリスタルの)2本乗り継いで到着したトップが、最短・最速で登頂できるスキー場営業期間限定の登山口です。
先ずはリフトで中央の頂点を目指します。 |
リフト降り場の前は雪の急斜面なので、すぐにシートラ。アイゼンを装着して登り始めると、みんなのトレースは剣ヶ峰山に向けて一気に急登していきます。
振り返ると越えてきた剣ヶ峰山が姿を現し、右下にはこれから滑ろうとする川場谷の全貌が見えてきました。。
大展望を眺めながら、先ずは休憩。
右の巻機山はまだ雲の中。
さらに右手の奥利根・尾瀬方面はまだ雲が残っていますね。
その右は白い白根山周辺の日光の山々。
そして、前武尊・家の串の山稜と往路の剣ヶ峰山の間には、川場谷源頭の大斜面が広がります。
さて、滑る分にはとても魅力的な川場谷ですが、問題は滑り終えた後にどうやって帰ってくるかです。
ガイドブックには剣ヶ峰下ノ沢を詰めると書いてあるものもありますが、出発したスキー場までの間には、この沢も含めてとても登り切れそうにない深い谷が三本横たわっており、どのようにルーティングするかに不安があります。
特に2023-24シーズンは3月頭まで積雪が極めて少なく、標高が高い場所で沢が割れてしまっていた場合の撤退も考慮しておかなくてはなりません。
偶然往路でお会いした武尊牧場を目指すという三名パーティが、川場谷を滑ったことがあるとのことなので、遠慮なく質問しまくったところ、大変丁寧に教えていただきました。…本当にありがとうございました。
緑矢印の白い部分が、リフトが終点前に一旦下る場所です。
今回は結果的に川場谷本流と剣ヶ峰上ノ沢が出合うオレンジ矢印のところまで滑ることができましたが、そこからゴールの赤矢印までは、剣ヶ峰沢と同下ノ沢を、枝沢を含めて横断しながら標高差300m弱くらいを登って行くことになります。
また、雪が少なく渡渉できない場合の退路は、一番手前の(上ノ沢左岸)尾根となり、最上部の1975m標点直下がやや急で細く、無樹木なのがちょっと引っかかるものの、その下の樹林までは安全と感じられます。
でも、「比較的確実に帰って来れるけど、そのあと剣ヶ峰に登り返さないと帰れないんだよね。できるんだったら剣ヶ峰を過ぎてから登った方がいいんだよね。」とのコメントでした。
それでは、ご意見を重視させていただきつつ、さっそく滑走開始。
高温でちょっと重たいものの、広さと落差が申し分ない、ちょうどよい斜度の斜面をばんばん滑ると、あっという間に山頂が遠のき、谷が近づいてきました。
途中から出現した、恐らく昨日の先行者と思われるシュプールと、着きつ離れつしながらブッシュの少ない谷底を滑って行くと、標高1630m付近からところどころ沢が割れてきたので、右岸の平坦なスロープに乗り換えて、さらに調子こいて滑って行きます。
帰路への不安を感じつつも、心にブレーキがかからず/時間はかかっても帰る方法はあるとの目論見もあって、止められません。
本当に困ったものです。
トレースに従って、先ずは剣ヶ峰沢を渡るべく、10mほどの滝を見下ろしながら上ノ沢との間の斜面を登って行きます。
どこから越えるのかと思うほど側面が急な尾根を目指して、先行トレースは頭上に見える剣ヶ峰山から派生する岩壁の下の急斜面を横切って行きます。
高温で重くなってずり落ちた表層の雪に消されたトレースをたどって、
クライマックスの尾根取り付きとなります。
剣ヶ峰下ノ沢とその枝沢群を横切ると、
下の画像の左上の低いあたりの裏がもうゲレンデです。
尾根上の針葉樹林にたどり着くと、反対側の目の高さにはリフトが動いているのが見え、下からはゲレンデの歓声が聞こえてきました。
振り返る武尊山・川場谷側は対照的な静けさでした。
ゲレンデを滑って、チケット売り場に帰着報告。
トレースのついている場所がなんかやばそうなので、下側のもう少し緩斜面から取り付いて、なるべく木のそばを登って行くと、背後には横断してきた下ノ沢側面のデブリ急斜面が見渡せました。
いやー、間違ってあっち側に深入りしなくて本当によかった。
トレース様々で感謝ですね。
●2024年3月31日(日)
川場スキー場TOP(9:15)→剣ヶ峰(9:40)
→沖武尊(11:10~11:35)
→川場谷滑走(標高1530m剣ヶ峰上ノ沢出合まで;12:00~12:25)
→剣ヶ峰下ノ沢右岸(1685m標点)尾根の1785mからスキー場ゲレンデへ(13:50)
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