荒川支流の大血川の本谷と言われる西谷のワレイワ谷です。
秩父市街から国道140号線(秩父往還)を大滝方面へ向かうと三峰口駅への分岐の先で左手に大血川渓流観光釣場へと向かう分岐があります。
ここを左折してすぐに荒川を渡り、その先の林道を進むと、観光釣場を過ぎて4kmほどで右折するヘアピンカーブがあり、ここが入山ポイントとなります。
ちなみに林道は多少の落石はあるものの、全て舗装されていました。
本来なら幅の広い場所を選んで路上駐車をしますが、今回はさらに500mくらい先にある大陽寺入口の分岐にある広いスペースにクルマを停めました。
ただ、後で知ったところによると、この空き地はお寺のもので、勝手に停めるとおこられることがあるそうですので、路上に停めましょう。
駐車場では、数名の団体さんが沢仕度中でした。
釣り人だと嫌だな と思い、恐る恐る声をかけると、何と同じワレイワ谷を遡上する沢登りの皆さんでした。
よろしくとあいさつして、一足先に出発することにします。
林道のカーブから見下ろす西谷の滝
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最初は立派なコンクリート橋で右岸へ。
しばらく行くった歩道用の鉄橋で幅広い道は終わるので、渡って対岸へ。
橋の上からは右岸枝沢の滝が見えます。
対岸の石段を登って行くと、
また似たような鉄橋で再び右岸へ。
すぐにまた橋がでてきて、結局4回西谷を渡ることになります。
4つ目の橋を渡るとすぐに左岸から合流するタカノス谷を渡ります。
これは橋の上から見たタカノス谷。
そして、すぐそばにある取水施設の堰堤から入渓します。
堰堤上で渡った谷に右岸には踏み跡が続きます。
入渓して10分程で石楠花沢との出合となります。
正面が支流の石楠花沢で、本流のワレイワ谷は右俣です。
せっかくここまで来たので、すぐ近くにある石楠花沢の大滝を見物していくことにしましょう。
出合から10分足らずで、石楠花沢左股の滝が見えてきます。
10mはあろうかという立派な滝です。
右俣は急なゴルジュで流れ込んできます。
この先に大滝があるとのことなので行ってみましょう。
先ほど見上げていた左股の滝を見下ろすくらいまで登ると、
行く手が阻まれるので、
右岸にある小さな沢状の地形に逃げます。
この小沢は、石楠花沢左俣の1本上にあたる枝沢です。
枝沢を登ると、右俣の右岸尾根へと向かう踏跡が見えますので、右俣を見下ろしながらほんの少しこの踏跡を登ります。
踏跡が右股から離れて本格的に登り始める直前で右股に下りて(ここはロープがあった方が良いかもしれません)、深い谷に足を踏み入れると、
そこに石楠花沢左股の大滝がありました。
水系最大の落差を誇る30mの多段滝です。
見上げると三方が壁に囲まれた独特の空間が広がります。
滝の音が轟々と反響する中にしばし身を委ねます。
滝見物を終えた後は、一旦ワレイワ谷との出合まで引き返し、本谷であるワレイワ谷を遡行します。
この谷は報告する方によって沢の表現が異なっていますが、ここでは「日本登山体系」の記載に従って、芋ノ木ドッケ周辺を水源とする流域最長の沢を「ワレイワ谷」と、長沢背稜の桂谷ノ頭周辺を水源として標高1250mでワレイワ谷右岸に流入する沢を「イヌオテ沢」と、そして、白岩山の北東面を水源として1200mでワレイワ谷に合流する沢を「右俣」と記載することにします。
出合からは右岸に微かに続く踏跡を行きます。
小滝が数個登場しますが、登るまでもない程度のものです。
右岸に岩壁があらわれるここを越えると、
小さな広場のような場所に出ます。
ところどころに転がる巨岩。
その後直瀑が2つ続きますが、いずれも左岸を簡単に巻くことができます。
岩屋の向こうには8mの美しい滝。
水量が多く直登は苦しそうですが、左岸をパス。
そして、この沢唯一の難関。
ヒョングリ滝に到着しました。
5mと書いてあるトポもありますが、実際に相対するともっと大きな印象です。
右上に先行者の方が写っていますが、それと比較すると、10mとは言わないまでも8mはある?
ここは先ほど駐車スペースで会ったパーティーが登っていたので、こちらは大休憩。
先行パーティーを見物しながらのんびりお昼ご飯とします。
右端のルンゼ状を登りますが、皆さん、出だしとここで詰まります。
6名の皆さんがモゾモゾしながら枯葉や泥をキレイに取り除いてくれました。
おかげさまで、最後にフリーであっさり通過できました。
ご協力ありがとう。
ヒョングリ滝の上は変則三俣となっており、左→右の順に進みます。
この上が1200m二俣で、左岸から水量豊富な沢が流入します。
これが右俣ですが、奥の方まで滝が続き、なかなか良い感じです。
こちらを遡行した方が良かったかも知れません。
地味な本流(左俣)を行きます。
1250mで正面からイヌオテ沢が来るので、水量の多い右へとすすみます。
すぐに右岸の苔壁から水がしたたり落ちて、
小さなゴルジュへと入ります。
ゴルジュは特に問題なく通過できました。
狭い谷を登って行くと、段々と水量が少なくなってきて、
涸れ沢となってしまいました。
涸れた滝は緑の苔で覆われています。
ここでまた新たな先行パーティーに追い付きました。
このマイナーな沢に自分も含めて3パーティーとは…
そういえば、ヒョングリ滝の上にも単独の釣り人がいましたので、合計4組です。
苔や泥の壁が連続します。
滝壺に小さな残雪もあるよ
涸れ滝はどれも直登は難しそうですが、横を簡単に巻くことができます。
いい加減登り疲れた頃に水流が復活。
奥秩父らしい苔蒸した谷となります。
水は湧きたてのものみたいでとても冷たいです。
沢は徐々に源頭の雰囲気となってきます。
1690mで西(右)方向から涸れた枝沢を合わせると、細かい分岐が続きます。
1760m二俣は右へ入り、すぐ奥に見える二俣は左へ。
左から沢状の地形が2回入ります。
1830mで2つ目を左に見ると、
すぐ先で左岸尾根から降りてくる踏跡を発見。
ここで脱渓して踏跡を辿ります。
踏跡はすぐに消滅しましたが、ヤブ漕ぎが無い尾根なので、直登して行きます。
振り返ると見える長沢背稜の高さにどんどん近付きます。
平坦になるとすぐに
雲取山の登山道に出ました
登山道を三峰側に2分歩くと白岩山でした。
あとは登山道を下山するのみです。
白岩山の脇から望む和名倉沢山方面。
こっちは雲取山の方向。
木立の間から三峰の駐車場も見下ろせます。
お清平からはトラバース道に入ります。
鬱蒼とした霧藻ヶ峰の山腹をトラバースした後に、大陽寺めがけて下って行きます。
最初の林道が見えてきました。
山腹を折り返す舗装された林道を2回横切り、3回目の舗道を下ると、駐車スペースに着きました。
●本日の反省
特にありません。
梅雨入り前の爽やかな春の日に濡れて寒い思いをすることもなく、目的通りの沢登りができました。
ただ、後半は単調に感じられ、消化試合みたいだったのが残念です。
寄り道した石楠花沢の大滝は、前段の左股とゴルジュを含めて大変素晴らしかったです。
また、本流の右俣も、入口を覗いただけですが、何やら期待が持てそうでした。
なまじチラ見してしまった枝沢に魅力を感じてしまった?
2018年5月20日(日)
大陽寺入口の林道分岐(7:30)→堰堤(入渓;8:10~8:20)
→石楠花沢出会(8:30)→石楠花沢右俣大滝(8:45~9:20)
→石楠花沢出会(9:35)→(ワレイワ谷遡行)
→ヒョングリの滝(10:20~11:00)→1200m二俣(11:25)
→イヌオテ沢出合(11:40)→1690m二俣(13:15)
→脱渓(標高1840m付近:13:45)→白岩山(14:10)
→(登山道)→白岩小屋(14:25)→前白岩山の肩(14:55)
→お清平(15:10)→出発点(16:20)