2023年12月30日土曜日

古賀志山 (ハイキング) 前半:中尾根~古賀志山

 栃木県の宇都宮・鹿沼・日光の三市境に連なる古賀志山は、平野の中に立つ低山で、那須や日光、足尾などのいわゆる登山を対象とした山地に属さず、首都圏にも隣接していないため、神奈川県の住民としては気にはなるもののちょっと地味なイメージを感じていました。

個人的には、昭和の時代にこの山域の西端にある赤岩山にあるパラグライダーのテイクオフに、モノラックに乗って登ったことがあります。
その時の印象が岩と崖のワンダーランドといった感じで、その後も気になっていたので、30余年の年月を経た令和の時代に歩いて登ってみることにしました。

このサイトは宇都宮市の森林公園駐車場から中尾根経由で古賀志山までの記録です。
引き続き歩いた古賀志山から赤岩山の記録は後半に記載してあります

ここは宇都宮市福岡町にある宇都宮市森林公園の駐車場です。
時刻はそろそろお昼となる頃なので、サクッと行ってきたいところですが、11月以降は駐車場が17:00でクローズされるため、念のため外の道路沿いの区画に駐車して、奥へと歩きだします。

何故か水が抜かれて干上がった赤川ダムの奥にゴツゴツした山が並んでいますが、日没までにどこまで行けるでしょうか。

舗装道路を10分ほど道なりに歩いて行くとでてくる柴山橋を渡ったところで、膳棚林道へと右折して岩壁を見上げながら赤川沿いを行くと、すぐに中尾根コース登山口の標識があるので、植林内へと入ります。

植林内で踏み跡が網の目のように分かれますが、いづれも細野ダムの堰堤横の上にある岩壁の下へと続いて行きます。

岩壁の上からロープが垂れるここが、一番岩と呼ばれているのでしょうか。中尾根の取り付きです。
もうちょっとロープを長くしてくれると掴みやすいのですが、恐らく掴める人にだけ登ってほしいのだと解釈して飛び付いて登り始めます。
最初のハングっぽい部分はロープに体重がかかりますが、大人の身長ほど登ると欲しいところにホールドとスタンスが出てきます。

岩壁を5~6メートル登りきると、ロープは小さな岩溝内に伸びていき、ここからは木の根も含めてホールドが豊富になってきます。

一番岩を登りきると、一旦ヤブの尾根となり、すぐに次の岩壁・二番岩に到着します。

なかなか見事にそそり立つ二番岩は、岩壁の右側に垂れているロープから取り付きました。
先ほどの一番岩と比較して傾斜はユルいです。

最初のロープが終わると一旦右折して、

すぐ上でロープがついた斜めテラス状を左上していきます。

二番岩を登り終えたところで、背後の天狗鳥屋を振り返ります。
その下にあるスタート地点の細野ダムの水たまりとの高度感はこんな感じです。

さらに藪と岩のミックスを登って行くと一旦下りとなり、コルに36番の標柱がある場所で、北コースから登ってきて中尾根を北側から巻いて行く登山道がクロスします。

もちろん、そのまま(恐らく)三番岩のロープに取り付いて中尾根を登ることもできます。
三番岩は急な箇所もありますが、岩が順層でスタンスが多く、ロープに頼るほどではありませんでした。

かなり斜度が落ちてきた岩盤を登り切り、少しの間展望が開けると、一旦少し下りとなって四番岩となります。

四番岩は、岩ではあるもののこれまでのルートと比較するとしがみ付く感じはほとんどなくなります。
但し、中尾根全体で言えることですが、スリップして勢いがつくと止まらずにどこまで落ちるかわからない状況が続きますので、岩場の名前がついている/いないにかかわらず慎重に登ります。

四番岩を過ぎて樹林の尾根を登って行くと、標高460m付近で周囲が少し開けた軍艦岩に到着しました。

軍艦岩の上には背後から容易に立てるので、先端近くで登って来た径を見下ろします。

岩上からの展望はこんな感じでした。

軍艦岩から先もアップダウンしながら尾根を行きます。
標高500m弱の地点で岩場の尾根は一旦おしまいとなり植林の中へと入って行きます。

標高540mの凸で二枚岩への径を右(北)に分けると、北主稜線が近づいてきて主稜線と並走する径が交差するようになってきます。

斑根石山から主稜線を巻く径が交差する頃からは、北主稜線の方向からはおばさんハイカーの大きなおしゃべりの声が聞こえてきて、ロープの岩場を1か所登ると、標高約525mの中尾根最高点に到着しました。

ここからは傾斜もぐっと緩くなり往来の多い北主稜線を、古賀志山主稜線を時折見ながら、古賀志山へと向かいます。

北コース登山道と合流する富士見峠からは最後の急登となり、突き当たった東稜見晴への分岐を右折すると、アンテナ塔が立ちベンチが並ぶ古賀志山に到着です。

展望が開ける範囲が限られていました。
次の御嶽山に期待しましょう。

引き続き古賀志山から先、赤岩山までの記録はこちら


古賀志山全体のコースタイムとトラックログは、後半に記載します。


思い立ったらすぐ行ける。 その他の首都圏近郊ハイキングの記録はこちら


2023年12月29日金曜日

岩山 (ハイキング)

栃木県鹿沼市の市街地のはずれにある標高328mの「岩山」は、一般名詞がそのまま固有名となったまさに岩山。

 交通の便がよく、地元の人たちに愛されている栃木百名山へ行ってきました。


岩山の登山口は東武線新栃木駅から徒歩30分くらいのところにありますが、今回は自家用車で出かけたので、駅よりは少し近い仲町の国道121号線沿いにある「まちの駅 新・鹿沼宿」にクルマを停めて、県道14号線を歩いてアプローチします。
東武線のガードをくぐって西へと行くと、進行方向右手に低い山並みが見えてきて、ハイキングコースの標識を右折すると、保育園の先正面にある日吉神社の境内前を左折したすぐ先に入口があります。

平坦な植林の中を10分ほど歩くと、正面に岩峰が見えてきます。

最初の岩峰を見上げながら左脇を通るハイキングコースには、岩場にちょうどよい足場が削られています。


最初に見えた岩峰の裏の緩いルンゼを登ると、あっという間に岩の頂上付近に到着します。

先ずは、コースを少々外れて一番先端の岩の上に行ってみます。
クライミングのゲレンデとなっているのでしょうか、アンカーボルトが連打されているピークからは、歩いてきた鹿沼の街と、その先に広がる関東平野が一望できました。

右手には特にランドマークの無い足尾山地東端の低い丘が延々連なっています。

そして、背後には屏風のような岩稜が連なります。

先ずは、岩壁の左上に小さく見えるベンチのようなところを目指して岩山ハイキングをスタートします。

急ではあるものの手掛かり/足掛かり豊富な岩場を登って行くと、たちまち先ほど街を眺めていた岩峰を背後に見下ろすようになり、ベンチに到着です。

ここがハイキングコースの看板に書いてある三番岩展望台でしょうか。
ベンチからは、先ほど見下ろしていた街が、一層下に見下ろせました。

ベンチの横にあるあの岩の上からの景色はどうだろう?
右に斜上する細いテラスの上をスリリングに歩いて登るのが楽しいですが、背後からも簡単に上に立つことができます。

ベンチを見下ろすここも想像に違わぬ絶景でした。

岩稜の合間によく整備されたハイキングコースをさらに奥へと進んでいきます。

普通の体力と身体能力があれば特に問題なく整備されており、崖間近に近寄らなければ特に危険なところは見られません。

ハシゴもありますが、これも日常生活の範囲で、登り切ったところを注意すれば済むレベルではあります。

整備された径と崖の見た目のコンビネーションは、公園のアスレチックに近いですね。

最初の岩峰から20分ほど楽しく歩いてくると、右手の山麓はゴルフ場となり、次の凸に向けて稜線は一旦下り基調となります。

下りきったところには「二のタルミ」という標識があり、プチ縦走路で唯一の途中下山コースが分岐します。

次の二番岩を目指して直進していきます。

早速見えてきたあれが二番岩ですね。

二番岩から少しの区間も岩壁を登ったり降りたりするクサリ場がありました。

クサリ場を下り、径が平坦になった先で、最後の一番岩(岩山山頂)に向けて一旦下りとなります。
下る前から猿岩の難路に近付けまいと牽制する標識が設置してあります。

二番岩の下りを過ぎてから一番岩までの区間は、アスレチックな岩場はぐっと減り、分厚く積もった滑りやすい落ち葉以外は、緊張感も低下していきます。
まさに小春日和の陽だまりハイキングですが、もしかして、この緊張感の弛緩がよろしくないのでしょうか?

最後の一番岩(岩山)の手前の岩盤を登ると、一気に山頂となります。

山頂のすぐ下で、猿岩へと抜けるクサリ場への径が分岐しています。
(帰りはここまで戻ってきて右に行くことになります)



正面に日光の山々を見渡す、素晴らしいところです。

麓の里からの高度差200mほどの里山感と、切れ立つ岩壁の上からの高度感の混ざり具合がまさに絶妙で、ちょっと空を漂っている感じすらします。

展望を楽しんだ後は、山頂直下の分岐からクサリ場へと向かいます。

分岐から稜線沿いに5分ほどでクサリ場に到着します。
手前に巻き径の案内標識もありました。

さて、どんな感じでしょうかね?

降り口の表示には「約70mの崖 引き返し・迂回不可」とあり、冷静な判断を促しています。
実際表示は脅しではなく本当です。

見下ろすと、10mちょっとから先が見えなくなっていますが、その先はどん具合なのでしょうか。
実際に行って確かめてみることにします。

上からは先が見えなかったところが見えるようになってくると、

一本目のクサリは、木の根元で終了となります。
終了点は座って休憩ができるくらいの平地がありました。

木の根の平地からは一旦(壁に向かって)左側にあるニ本目のクサリに移って下って行きます。

二本目のクサリは一本目よりも長いですが、斜度が若干緩くなり、乗り移るところも、下ってくるところにも各所にしっかりした足場があり、全体重を手の力に頼ることはなく、所々で完全脱力して体力を回復することができます。
逆に、二本目の区間で手の疲労が増したり、精神的に余裕を感じられなかった場合は極めて危険と思われ、三本目のクサリへと進む前に、大きな足場でしっかりビレーをとり、腕の血流を十分に回復させる必要があると思います。

なぜならば、右側にロープと共に設置してある三本目のクサリが最も厳しいからです。

二本目と比較して順層の足場がぐっと減ることに加えて、

二本並走するクサリのうちの一本が入れ替わった先にある凹状の窪みに吸い込まれてからは、急に傾斜が大きくなり、長島温泉のフリーフォールスライダー張りのU字溝急傾斜となります。

加えてトリッキーなのが、フリーフォールが終わった後の思わせぶりな分岐で、↓この画像の様にまっすぐ下ってしまうと、下を横切るハイキングコースまでクサリが続いていないかもしれません。
下りすぎてからなんかやばいことに気付き、慌てて登り返して左のクサリでU字溝から抜け出して、続くクサリにつかまりながら無事ハイキングコースまで下りてきました。
ちなみに、クサリ場の下はハイキングコースが横切っていますが、滑落した場合はとても止まるような径ではなく、その下の急傾斜の斜面を更に100m近く滑り続けることになると思います。

ですので、筋力・持久力に心配のある方は、信頼できるビレイヤーの確保無しでは下りないことに加えて、確保されている場合でも二本目のクサリまでに十分に体力を回復しておく(もちろんその間の安全確保装備の装着は当然)か、(設置されているロープをどの程度信頼するかは別として)あらかじめ懸垂下降ができる状態で下り始める必要があります。
また、確保手段なしに下降を始めると、最悪の事態となるリスクがあります。

猿岩を下ったあとは、案内とマーキング通りに進むと、鹿沼の街に戻ることができました。

途中の「二のタルミ」からのハイキングコースの分岐にも案内図がありましたので、実際の山並みと比べてみます。


思い立ったらすぐ行ける。 その他の首都圏近郊ハイキングの記録はこちら

●本日の反省
 山頂と途中の1か所に、売り上げが整備費用に充てられるというキーホルダーの箱が設置されていましたが、キーホルダーが入っておらず/支払方法もわからず小銭を持ち合わせていなかったため購入できなかった。
 ウェブサイトを見ても整備費用の募集が見当たらなかったので、整備に協力できていません。

 ルートを間違えるととても危険な岩山が、安全に配慮されながらとてもよく整備されており、安心して楽しめました。
 近所にこのような場所を持つ地元の方々を大変羨ましく思うと共に、整備や安全対策に活動されている皆様に感謝します。

●2023年12月28日(木)
まちの駅 新・鹿沼宿(7:30)→日吉神社(7:50)
→3番岩展望台(8:10)→二のタルミ(8:35)
→2番岩(8:50)→岩山(1番岩;9:10)
→クサリ場(9:20~9:40)→農道(10:00)
→まちの駅 新・鹿沼宿(10:30)



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