2023年10月9日月曜日

柳沢川(沢登り) 後半:黒岩滝から左俣下降

 奥日光の柳沢川の沢登りです。

右俣を黒岩滝まで遡行してきた前半の続きとなります。

右俣のクライマックスを経て尾根の向こう側の左俣を下ります。


たどり着いた黒岩滝は右岸の森の中を巻いて越えて行きます。

下からでも巻き始めることができそうですが、せっかくなので上段を間近に見るここから巻いて行くことにします。

落口のすぐ上くらいで沢に下りることができますが、巻き径から見下ろすと岩盤の傾斜がピンと来ずに、うっかり足を滑らせるとウォータースライダーを滑り落ちて黒岩滝から真っ逆さまに転落しそうに感じます。

用心してロープを使用して沢に戻りましたが、そんなに急傾斜ではありませんでしたね。
ただ、ロープはこの後も活躍するので、せっかく持って来たなら使った方が良いと思います。
ちなみに、行ってないので確かではないのですが、巻き径は更に上へと続いており、恐らくこの先の滑落のリスクを回避することができると思う一方で、最後のフィナーレを逃してしまう可能性があります。

降り立った黒岩滝落口の上流を見ると、すぐ上の木々の間から白い急傾斜の水流が見えます。

これが右俣最後の滝となる、天女滝との別名があると思われるスダレ状15m滝で、倒木が不粋なものの、紅葉となりかかったのか枯れかかっているのか微妙な樹林内で堂々たる様相です。

ここも流れの右側を登ります。

落口の直上に架かる3mほどの滑滝を、流れを渡った左側から越えて、連瀑帯は終了となります。

黒岩滝付近から現れはじめた残雪が、このあたりから徐々に増えてきました。

稜線が近づいて地形が平坦となってくると、雪の上に様々な足跡が行き交うようになります。
このひときわ大きなものはなんだろう?

沢の右岸にある2004m標点西側の平坦なコルを通り抜けて、左俣の源頭に入ります。

コルの最も狭い部分で南側へと入る小さな沢を下りはじめると、すぐに断崖の上で行き止まります。
行き止まった場所の木には捨て縄が残っていましたが、崖下の沢も傾斜が急なことから、すぐに今居るところと同じ高さになるのではと考えて、樹林内を上流(北西)側にトラバースしてみたら、崖下の沢が急上昇してきて歩いて沢に降り立つことができました。
コルからは沢芯ではなく右手の斜面を下っていったほうが良いかもしれません。

ほんの少し下ると、先ほど行き詰った小沢が左岸から落ちてきていました。

そのままガレ気味の急傾斜の沢を下って行きます。

容易にクライムダウンできる滑滝をいくつか降りると、右岸から枝沢を合わせます。
というか、沢床の高さからすると自分が下ってきた方が左岸枝沢ですね。

最初の沢との合流から、左俣の核心部が始まります。

所々にガレが散在するナメを下って行くと...

放り出されるようにナメがスパッと切れました。
左岸すぐの木に残置シュリンゲを見つけたので、そこから懸垂下降することにします。

右壁を懸垂してきたのですが、見た目はなんだか右端をクライムダウンできそうでしたね。

ちょっと損したような気分で下ると...

すぐに問題となる滝が現れます。
たった今そうしなかった心残りからか、よりによってここをクライムダウンしようとして下り始めてしまいました。
滝の左側(上から見ると右)の緩いところを下り、途中から右側へと乗り換えたのですが、ステップが豊富そうな最後の3mくらいを激しいシャワーに潜ることとなりました。

行けないことはないような気もしますが、先ほど積もっていた雪が解けた流れはとても冷たく、水没した途中から手の感覚がなくなってしまい、筋肉が硬直してきました。
動けなくなる直前で思い直して登り返し、右岸から懸垂で降りて来ました。


懸垂下降2連荘の下で右岸からナメの沢を合わせます。

出合直下にもクライムダウンできない滝がありましたが、ここは右岸のヤブから巻くことができました。

あとはナメとクライムダウンできる小滝が交互に続いて行きます。

と思ったら、最後に修業が待っていました。
簡単に降りれるのですが、モロ水流中心を横切らなくてはなりません。

右岸を下れるところまで下り、激シャワーを浴びてきました。
足場は豊富ですが、雪解け水でかじかんだ手ではなかなかスリリングでした。
下の狭くて深い釜にずり落ちなくて本当によかった。

シャワー滝のすぐ下の小滝でまたまた右岸から沢を合わせると、平坦なナメが一気に二俣まで続きます。

3時間半で一周して戻ってきました。

あとは往路を引き返します。
見る向きが反対だと違って見えるところもありますね。

堰堤の渡渉を終えて装備を解除し、弓張峠目指して林道を引き返します。
ちょうど最終バスと同じころに峠に到着。
往復アプローチにバスを使用しても間に合うタイミングでしたが、間違って枝沢に入りタイムロスしたためか、かなりカツカツ。
あと1回ヘマっていたら夜の林道歩きでした。

舗装道路を自転車で一気に下り、日没迫る赤沼茶屋に帰り着きました。

前半(アプローチと右俣遡行)はこちら。

●本日の反省
①間違えて枝沢に入ってしまった。
 ちゃんと地図を見ていれば間違えようもなかったところで、見た目による完全な思い込みでした。
 すぐに気づいて反省し、その後も誘惑する左岸枝沢に騙されなかったという点ではよかったのか? いやダメだな。

②まさか雪とは...
 つい10日ほど前まで首都圏は夏日だったのに、雪が積もっていたとは。
 詰めと下降開始時には、惰性でザックに入ったままだったチェーンスパイクが活躍しました。これがなかったら途中で日没になっていたかも。
 いや、安全面ではむしろ雪中歩行よりも雪解け水の水温の低さの方が問題でした。
 そういえば、紅葉を期待してこの時期にしたのに、そんなのあったっけ?
 ちなみに、この日の関東平野は25℃近い晴天だったそうですが、道中は時折陽が射すもののずっと霧雨がぱらついていました。
 関東平野が好天で上空に寒気が入ると周辺の山はこうなるのね。

●2023年10月7日(土)
赤沼茶屋(6:22)‐(自転車)→弓張峠(6:50)-(徒歩)
→西ノ湖入口バス停(7:25)→林道終点(8:20)
→砂防堰堤渡渉(8:45)→赤岩滝分岐(9:05)
→柳沢川遡行→左岸枝沢迷走(9:50~10:10)
→二俣(10:40)→右俣遡行→スダレ状二段15m滝(10:55)
→黒岩滝(11:15)→スダレ状15m滝(最終滝;11:40)
→2004m標点コル(12:20)→右俣最左沢下降
→1870m二俣(12:45)→1760m二俣(13:45)→二俣(14:00)
→赤岩滝分岐(15:00)→砂防堰堤渡渉(15:15)
→西ノ湖入口バス停(16:15)→弓張峠(17:00)-(自転車)
→赤沼茶屋(17:18)




柳沢川(沢登り) 前半:右俣遡行 黒岩滝まで

 2023年の体育の日(改めスポーツの日)の連休に、紅葉を期待して奥日光へと出かけました。

三連休で唯一天気がよさそうな初日に、中禅寺湖の西側の千手ヶ浜付近に注ぐ柳沢川の水源付近を、定番の右俣遡行・左俣下降で巡ります。
先ずは右俣を遡行して黒岩滝まで。

つづきの黒岩滝上流と左俣下降の記録はこちら。

奥日光戦場ヶ原にある赤沼茶屋(赤沼車庫バス停)の駐車場からスタート。
奥の山が白く見えるのは雲が懸かっているからだと思っていたら、雪だったことがこれからわかってきます。

先ずは千手ヶ浜へと向かう低公害バスが走る舗装道路を進みます。
柳沢川方面へ行くには基本的に途中の西ノ湖入口まで低公害バスを利用しますが、最終便が16:29発なので、途中でへボると復路が完全歩き通しとなります。
また、土日祝日朝6時台始発の早朝便運行は時期が限られることから、途中の弓張峠まではチャリを使用することとしました。
ただ、この日は早朝便が運行されており、かつ帰りは終バス前に西ノ湖入口バス停に到着したので、結果的にバス利用の方が楽だったという結末となりました。

そんなことは知らずに小田代ヶ原を過ぎ、弓張峠のヘアピンカーブ手前に自転車をデポして舗装道路を下ります。

峠から30分少々で到着する西ノ湖入口バス停は、正面の非舗装の道路に入り、アザミ橋を渡って、その先で西ノ湖へと向かう左の分岐も見送り、赤岩滝方面へと直進していきます。

林道が柳沢川沿いとなった少々先の林業作業場から先は徐々に道が荒れてきて、地図上のヘアピンカーブの手前くらいからは車両の通行が困難な状態となります。(もともと一般車は走れないのですが)

林道跡は最終砂防堰堤の手前で柳沢川を渡渉して対岸に渡ります。
赤テープの目印で川原に下りると、ヒューム管の残骸があるところの対岸に赤岩滝を指す古い道標が見えます。
これは対岸から下流を振り返ったところ↑で、錫ヶ岳を目指していたおじさんが渡渉をあきらめて帰って行きました。

赤岩滝を目指す古い登山道は、時折それらしい岩壁を遠くに望みながら、柳沢川の右岸を行きます。

渡渉してから20分ほどで再び柳沢川を渡ったところで、赤岩滝の分岐に到着します。
ここで入渓準備をして、滝への径のマーキングが続く右俣を見送って左俣へと入りました。

赤岩滝分岐を見送った沢には、思わせぶりにナメが登場しますが、それは一時的なフェイントで、基本的には岩がゴロゴロした沢が続いて行きます。

退屈な川原を30分ほど歩くと、二段の滝が見えてきます。
左右どちらからも巻ける最初の滝を登り、二段目を右の流側から登ります。

二段目の滝を登ったところからは、右岸から枝沢にしては少々水量が豊富な沢が見下ろせました。
と思ったのは誤りで、見下ろしている枝沢と勘違いしたこの左俣が本流で、今登った滝が左岸枝沢です。
遡行してきて二段滝と思い込んだことによる初歩的な誤りに気付かぬまま、枝沢を登って行ってしまいました。

この枝沢、これまでの退屈な本流とは少し雰囲気が違った渓流となって、どんどん高度を上げていきます。

そしてこの岩壁を登ったところで、振り返った景色を見て方向がおかしいことに気付きました。
あらら、
慌てて引き返して本流に戻ります。

二段(に見えた)滝からの本流は、すぐにますます荒れてきて、右岸の崩落で右折すると黒い土壁の様なゴルジュに入ります。

土壁を抜けた辺りから徐々に小滝があらわれて、ようやく沢登りらしくなってきました。

そして、この端正な5m滝を左から登ると、一気に様相が転じてナメが続くようになりました。

舗装道路の様なナメを進んだすぐ先が二俣で、左岸から合流する枝沢のような右俣を遡行していきます。

右俣に入ってからもナメが続き、やがて遠く奥の方に白い滝の様なものが見えてきました。

ナメの奥に先ほどからずっと見えていたのは、スダレ状の二段15m滝で、ここからスダレ滝が連続していくことになります。

先ずは右の流れ際を登って行きます。
すぐ右横の林の中にも踏み跡があります。

この辺まで来たら、滝の中を横切って二段目は左側を登ります。

二段目を登る途中からもすぐ先に滝が見えます。

次のスダレ状12m滝は、これまた右の流側を登って行きます。(左側からも登れると思います)

登り終えた次のコーナーを左に曲がると、新たな滝が見えました。
どうやって登ろうかを考えながら近づいて行きます。

ただ、いままで正面に見ていたこの滝は、左岸の枝沢でした。

滝の左側からちょろちょろと流れてくるのが本流です。
また思い込みで危うく左岸枝沢に入ってしまうところでした。
あぶないあぶない。

しょぼそうに見えた左俣(本流)に足を踏み入れた途端、この沢最大となる二段30mの黒岩滝が目に飛び込んできました。

枝沢に見えた出合のイメージとは大きく異なるユニークで堂々たる様相です。

このあと続けて黒岩滝の上流を遡行し、左俣を下っていきます。
後半はこちら。

コースタイムとトラックログは後半の末尾にあります。


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