2025年10月19日日曜日

巳ノ戸谷 (沢登り)

 猛暑の夏も完全に終わり、だいぶ秋らしくなってきたので、秋の行楽の影響を受けにくい奥多摩にでも行ってみましょ。

長らく通行止めだった林道日原線も今年から再開されたみたいなので...



日原鍾乳洞の手前で日原街道(都道204号線)から分岐する林道日原線は、分岐近くの日原渓流釣場を過ぎて1.5kmほどで... と思ったら、渓流釣場の入口で正面の林道にいきなりバリケードが置かれていました。
釣場の職員の方に聞くと、一ヶ月ちょっと前の2025年9月上旬にトラブルがあったことをきっかけに通行止めとなり、通行再開のメドは立っていないとのことでした。
仕方がないので、相談した上でクルマを置かせていただき、ここから歩くことにします。
(諸事情により相談内容は記載しませんが、付近には観光施設利用者専用の駐車場しかなく、路駐スペースも無いため、地元の方に十分配慮して行動しましょう。)

釣場から30分ほどで、当初駐車する予定だった八丁橋に到着。

天祖山登山口先のゲート横を抜けて600mほどのガードケーブル切れ目から日原川の巳ノ戸谷出合に降り立ちました。

右岸に出合う巳ノ戸谷を遡行するとすぐに15m大滝に到着です。

左岸の明瞭な踏み跡で落口へと巻くと、苔生した沢はすぐにガレの谷に変わりました。

ガレは15分ほどで収まり、左カーブした谷が狭くなってくると小滝が登場。
太い流木の上を歩いて登ります。

すぐ先にある2つ目の小滝の右上からその次の滝が落ちてきており、ここがゴルジュ「忌山の悪場」の入口となります。
ゲートの3連滝は普通直登していくのですが、一番上の滝は一人では不安があるので、左隣をチョロチョロ流れている黒い沢型から巻いて行きます。

巻き道の小沢は、ここまで登ったら、

小滝となりますが、本流を直登するよりもずっと低くて簡単でした。

最上段の滝の落口に到着すると、その先にも小滝が続いていて、楽しく登っていけます。
と思ったら、次の二段滝の上段がホールドが乏しくて厳しかった...
もしかすると右の岩のリッジから巻くんだったのかも。

登った先の奥には、悪場の出口となる6m滝が見えました。

かつてあった深い釜が無くなり、左壁を覆っていたコケも剥がれて、取り付きやすく、ホールドが見やすくなっていました。

悪場を出ると3分ほどで、右岸から3連滝で落ちてくる鞘口窪が出合います。

本流は時折小滝があり、これまた時折林業作業の残置物が散らばっていたりします。

右岸の段丘上が開けた造林小屋跡の少し先で、滝場が再開してきます。

トポには左壁直登と書いてある最初の6mは、どこも今一つの様に見えてしまい、最後は右側の大岩に右脇をズリズリ這い上りました。

すぐ上にも簡単な小滝が3つほど。

沢は一旦穏やかとなり、右側面から落ちる滝を二つ登る(巻くのも簡単)と、少し先で最後の難所となる8m直滝が登場しました。

8m直滝は、かつてはY字状の二条滝で、右の水流を被りながら登るところでしたが、その水流が無くなっており、ホールドが丸見えでした。
寒い時期にはありがたい変化です。

ちなみに、もしも水流が二条になっていて絶対濡れたくない場合は、左岸を簡単に巻けます。
(登った後にちょっと巻き径をもどってみました)

残りの区間は、時折小滝が架かる沢となり、標高1077mで右岸から孫七窪の小滝が落ちてきます。

孫七窪出合の本流側は三連の滝でした。
左右どちらでも脇を登れますが、、

ちょっと水流を登ってみたら、寒かった...

徐々に倒木が増えてきて、足下の石も不安定になってきました。

滝らしい最後の滝、樋状二段6mを過ぎると徐々に周囲は開けて、険谷の雰囲気は無くなっていきます。

この小滝の上のカーブを曲がると、奥に五平窪のスダレ滝が見えてきました。

右岸から落ちてくる優美な滝で、ほぼ全ての人がここで遡行を終えます。

自分も慣例に習って左岸の作業径跡で下山することにしますが、作業径がクロスするまでの上流がちょっと藪っぽいですね。
それに、作業径には急ザレのトラバースが2回あり、それをなるべく減らしたいと思い、皆とは逆の下流方向に一旦引き返すことにしました。
標高50m、距離にして200mちょっと戻ると、左岸の斜面は傾斜がぐっと緩くなるので、上へと登って行くと、すぐに薄い踏み跡が横切る(見逃しても次があります)ので、下流(右)方向に辿ると、明瞭な踏み跡に合流。

すぐにザレの急斜面を1回横切り、トラバース気味に続いて行きます。

そして、北へ向かう尾根を横切るところで、スイッチバックで分岐する径を下ると、

転がり落ちるように切り返しながら、788m標点付近の日原川ヘアピンカーブへと下って行きます。
落ち葉で足をツルっと滑らせると、どこまで行くのかという傾斜で、時折誤った方向に導くフェイクも仕掛けられていました。

日原川まで下りてきて一安心。踏み跡に似つかわしくない立派な吊橋を渡って林道へと登り返します。

沢の遡行3時間に対して、ここまでの下りが1時間35分。
どちらが核心だったのか?
木々が秋の色に染まるには一ヶ月はかからないでしょうか。

●本日の反省…林道が通行止めだった。
 ガイドブックなどには「公共交通機関の運行状況、林道の通行状況などは必ず事前に確認してください」と必ず書いてあるが、あれは必ず書いておく必要があるのね。じゃなかった、必ず確認した方がいいのね。
 実際に奥多摩ビジターセンターのサイトを見てみたら、日原林道は9月8日から通行止めだって、ちゃんと書いてあった。トホホ。

 ただ、あらかじめ通行止めを知っていたら、いったいどうしていたのだろう?
 東日原までバスで来たのか、そこから歩くくらいだったらそもそも来なかったのか。
 そのとき過去の自分が判断したであろうことが、現地で通行止めを知り、慌てて実際に林道を歩いて行ってきた経験を持つ自分ではわからない。
 まあ、いずれにせよ来てみたからこそ行けたのだが。重要なのはやはり、クルマで林道を走れなかった分を差し引いても、行って良かったかどうかで、そこは良かった、というよりもむしろ素晴らしかったと感じている。
 あくまで通行止めを知らなかった側の感想だが。

●2025年10月18日(土)
日原渓流釣場(8:30)→八丁橋(8:55)
→巳ノ戸谷出合(遡行開始;9:30)
→大滝(9:35)→忌山の悪場(10:05~10:30)
→鞘口窪出合(10:35)→6m連滝(11:00)
→8m直滝(11:35)→孫七窪出合(11:47)
→五平窪出合(12:15)
→標高1300mまで引き返し(脱渓;12:45)
→左岸トラバース作業径
→日蔭名栗沢との中間尾根下降(13:21)
→日原林道(14:20)→八丁橋(14:40)
→日原渓流釣場(15:05)


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