2023年3月23日木曜日

会津駒ヶ岳(BCスキー;御神楽沢源頭)

 春が訪れる頃に会津の山に行くと、会津駒ヶ岳から北の中門岳へと続く稜線の白さがひときわ印象的です。

駒ヶ岳や大戸沢岳からその大福餅を並べたような稜線を眺めると、いつも一か所シュプールが刻まれている場所があり、ちょっと気になる存在でした。
春が早くやってきた2023年の3月に気になる場所に行ってみることにしました。

ここは福島県南会津郡檜枝岐村の村営グラウンドです。
道の駅「尾瀬桧枝岐」の奥(村役場側)200mほどの国道352号線沿いにあります。
3月下旬のこの日はまだグランドは使えず、除雪された駐車場には他県ナンバーのクルマだけが止まっていますが、その台数も春山ピークシーズンの二割程度でした。

国道を歩いて300mほど先にある林道から登り始めます。
全面雪に埋もれた林道が上ノ沢を渡る橋からは、滝沢登山口の路側駐車場へと沢沿いにショートカットし、登山口の階段を登ります。
恐らくこのくらいの積雪であれば、登山道の左側(路側駐車場の正面)にある冬ルートの沢にも雪がつながっていると思われ、そちらを登ろうかと迷ったのですが、今日は山頂から先へと行きたいため、なるべく手堅く登山道を刻んでいくことにしました。

階段を登ると、陸上トラック一周行くか行かないかのうちに残雪が復活し、以降は右に雪が消えゆく大戸沢岳南東尾根を見ながら、細い尾根上の雪に埋もれた登山道沿いを登って行きます。

標高1400m付近の切り開かれたアンテナ跡からは、ブナ林のメローな尾根を登ります。

ブナの尾根を登ること2時間近く、標高1700mくらいから徐々に周囲の展望が開けてきますが、疲労が徐々に溜まってくるここからがキツくなってくるところです。

標高1900mを越えてほぼ樹林限界を抜け出すと山頂が目前に見えますが、その手前にあるはずの駒の小屋は見えないばかりか、前面にはうねるように微妙な上り下りが登場し、ゴールを目の前にして芽生えた気力を摘み取りに来ます。

上下動をなるべく避けて体力を節約するため、登山道をショートカットして源六郎沢の源頭を山頂方向へと横切ります。

左後方を振り返って小屋が見えるところからは直登一気で山頂に到着。
多くの登山者に踏み固めていただいた立派なトレースを辿る大名登山でしたが、長かった。

山頂に着くと、それまで隠れて見えなかった北側の景色が飛び込んできました。
右手前の三岩岳から坪入山、高幽山、丸山岳、そして只見の山々へと連なって行きます。

振り返ると、左の大戸沢岳からの稜線と、右の大杉岳への稜線との間に登って来た尾根が見下ろせ、その先には黒々とした奥鬼怒の山々を経て、遥か関東平野の雲を堰き止める奥日光の山々が見えました。
首都圏の雨予報からは想像できない好展望です。

その右手には、尾瀬から奥利根、越後にかけて豪雪の山々が連なります。

白根山、燧ヶ岳と至仏山、平ヶ岳、越後三山

そして、越後三山の右側には、北の中門岳へと純白の稜線が伸びています。
この稜線からは、右手の御神楽沢源流の谷に向けて、中門岳とその手前にある2094m標点から一本づつなだらかで真っ白な尾根が伸びており、それぞれの尾根にいくつかの支尾根があります。

その中で、2094m標点から(御神楽沢の1750mの滝付近へと)下る尾根についている矢印の一番太い支尾根には、春の好天の日にシュプールがついていることが多いですが、今日はまだ誰も滑っていないみたいです。
それでは、最初のトレースを刻むべく向かいましょう。

駒ヶ岳山頂から尾根を滑り、最初の2100m凸までのちょっとの間をスキーを担いで登ったら、一つ先の凸から対岸の大戸沢岳・三岩岳の方向に伸びている尾根へと滑り込み、そのまま派生するお目当ての尾根へと滑って行きます。

やってきた会津駒ヶ岳とはしばしお別れです。

御神楽沢の谷底めがけて平均で22°くらいの斜面を滑ると、眼下に見下ろす大戸沢岳山腹の樹林に飛び出すかのような気分です。

その一方で、谷が近づくにつれて傾斜はどんどん急になり、到着する先が見えません。

それはまあ気にせずに対岸の山々を見ながら快適な滑走を続けていくと...。

対岸に這い上がれないような傾斜の谷底が見えてきてびびります。
右手の奥に対岸の傾斜が緩いところが一か所見えますが、そこへと向かう足下は雪庇状に雪が張り出していて、毎年4月上旬頃に地表から雪が崩落する場所なので、行くにはリスクが高すぎます。

左側にある小さな木の列に沿って恐る恐る滑って行くと、真下に平滑な雪面を発見。
できるだけ高速で滑走し、勢いに乗って対岸斜面を滑りあがったらトラバース気味に斜度が緩いところまで移動します。

何とか歩いて登れるところまで滑り着きました。
対岸の目の前は急傾斜で一層深く谷へと落ちて行ってます。

沢の下流側は、徐々に傾斜が緩んでいて、左側の尾根から滑ってきても安全に着地できそうな場所がどんどん増えていように見えます。
一方で、滑り始める尾根の標高も低くなり、標高差も100m前後となって行きますが。

先ずは上に駒ヶ岳稜線の雪庇が連なる沢周辺から一刻も早く脱するべく、大戸沢岳方向に登り始めます。
徐々に視界が広がり、安全圏に入ったところで滑ってきた尾根を振り返ります。

滑っていた後半は緊張しましたが、こうやってのんびり振り返ると、なかなか壮観ですね。

さて、帰るべく駒ヶ岳山頂付近を目指して登り返していきます。
滑った斜面は徐々に樹林の中へと遠退き、背後には丸山岳の白い姿が印象的となってきます。

ただ、この北斜面の樹林内の雪質は粘着性が高く、すぐにシールに張り付いて雪だるまのように膨れ上がります。
のんびりとした風景とは対照的な、足枷を引きずるような我慢の登行が続きます。

あきらめて時間は気にせずに、カメのように登っていると、右側の駒ヶ岳の雪庇が徐々に見えてきて、稜線に到着しました。
山頂から大戸沢岳へと続く稜線上の、すぐ東側にある最初の小さな凸とのコルです。

ここからは、みんなが滑って帰る源六郎沢の源頭へと滑って行きます。

疎林をかわしながら沢へと滑っていくと、右の方からたくさんのシュプールが合流してきます。 じゃなくて、自分が合流していきます。

沢が深くなる手前からは、右岸の斜面をトラバース気味に滑って往路の登山道に合流します。

アンテナ跡を過ぎてからは徐々に狭くなる尾根をキックターンを交えながらズルズル滑走し、一旦スキーを担いで登山口の階段を降りたら再びスキーを着けて国道まで滑って終了しました。

帰着した村営グラウンドの駐車場は空っぽでした。
みんな早いのね。

●本日の反省
 御神楽沢への滑走は、ちょっと判断を誤るとアブナイところかもしれませんが、なにはともあれ、無事に終了できて何よりでした。
 滑っている途中は何が出てくるのか気が気ではなく、滑るのを楽しむどころではない状態でしたが、もしかするとそれが楽しめた核心?

 御神楽沢の左岸には、2094m標点と中門岳の北北東にある1988m三角点からそれぞれ北東に向けて尾根が伸びており、今回は前者から東側へと派生する尾根を滑ったことになりますが、御神楽沢内の1750m標点に向けて少し傾斜が緩くて100mほど標高差の大きなメインの尾根をそのまま行くのもありだと思います。
 中門岳も含めてそれ以上北側を滑ると、登り返す先は大戸沢岳かその北側の1918mコルが自然と感じられ、そこから東側(中ノ沢・桑場小沢・東尾根など)を滑走すると、いつかは行きたい雄大な周回ルートとなります。
 下大戸沢のスノーシェッドから帰る方法を考えておく必要があるかもしれませんが。

●2023年3月21日(祝)
村営グラウンド(7:30)→滝沢登山口(8:00)
→ヘリポート跡(9:00)→会津駒ヶ岳(12:00)
→2094m標点東側の尾根滑走(12:50)
→御神楽沢源頭(13:00)→駒ヶ岳南の片(14:30)
→ヘリポート跡(15:00)→滝沢登山口(15:30)
→村営グラウンド(16:00)




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