2020年4月6日月曜日

白滝沢・石尊沢 (沢登り) 後半

東丹沢の広沢寺温泉より、2つの沢をつないで大山を目指します。
前半の白滝沢遡行に引き続き、石尊沢から大山への道です。


白滝沢を遡行して到着した唐沢峠から、反対側(西側)の斜面を覗くと、すぐ下に唐沢川の川原とコンクリートの堰堤が見えます。


先ずは立入禁止表示のある古い径跡を唐沢川へと下ります。



降り立った唐沢川の堰堤上は、岩石が堆積し、残雪が残る寒々としたところでした。
すぐ上で南大山沢(左)と石尊沢(右)に分かれます。


そして、左岸側にはバリエーションルートとして歩かれている通称「ネクタイ尾根」が伸びてきています。
尾根の末端のフェンス沿いに歩道があったので、利用して上流へと向かいますが、すぐに路肩が崩れてしまいました。


なので、石尊沢の川原へと降りて遡行を開始します。
眼下が石尊沢で、小さな尾根の向こう側が南大山沢、背後の稜線が唐沢峠のある登山道の尾根です。

大山の北側にあるのに何故「南」大山沢なのか不思議です。
また、これから遡行する石尊沢は、大山の神体名称そのものが沢名となっており興味が湧きますが、今はその由来を調べる術もありません。

入ってすぐの石尊沢は、人工物が散見され、いたるところに空き瓶とその破片が散乱しています。
昔何の施設があったのでしょうか。



そして、沢自体は特に変化がなく、ひたすらゴーロが続く緩傾斜の沢です。
時折小滝状の流れが現れますが、登る必要もなく、普通に歩いて通過できます。





そして、もともと少なかった水量は、標高950m二俣付近で完全に枯れてしまいました。


単調でこの先どちらに進んでも目立った展開が無いような気がしたので、大山山頂へ直進するであろう、二俣の中間尾根を登ることにします。
取りつき後しばらくはこの見た目の感じそのままの、立木や根が張り出した急斜面が続きます。


尾根は帰ってからネットで検索すると「裸地尾根」の通称があるそうです。
急斜面にとりつくと、石尊沢があっという間に眼下となります。
山頂までの標高差300mをコンスタントに登っていきます。


山頂が近くなったころに現れるこのザレが裸地尾根の由来でしょうか。


右手には大山北尾根が続きます。


振り返ると、スタートした唐沢峠の先に三峰山がよく見えました。


隣の登山道の尾根から電線が渡ってくると、もう山頂です。
そういえば、電線がやってくるあっちの尾根との間には、バリエーション愛好家が記録を残している石尊沢右岸尾根と呼ばれる尾根があるとのことですが、見えません。
どこにあるのでしょうか? それともまた間違えて、今登って来たところが右岸尾根なのでしょうか?


でも、そんなことはないと思いますよ。
なんせ山頂なので。


さて、山頂のアンテナへ行こうと思ったら、フェンスが邪魔をしてまっすぐいけません。
とりあえず、踏み跡が濃そうな左(東)側へと進んだら、なかなか越えることができず、ザレた窪地を2回くらい横断する羽目になりました。
やっとのことでフェンス下が崩れた地形を発見してくぐり抜け、見晴台方面からの登山道に合流です。


このフェンスのトラバースが本日の核心となりました。
やはり右へ行かなければいけなかったみたいです。

フェンスを潜って1分で山頂に到着。


その昔家族でハイキングで訪れて以来、10年以上が経過しましたが、変わらぬ山頂からの風景です。
ただ、当時は若者主体だった登山客は、家族連れへと変わり、子供たちの元気な声が山頂に響きます。
この変化が年月の経過によるものなのか、ウィルス感染による自粛の影響があるかないのかはわかりません。


帰路は不動尻への登山道をひたすら下ります。
山頂付近で見下ろした電線を反対側から見上げます。



良く整備された登山道が続きます。


登山道の途中の道標に、右へ入ると梅ノ木尾根・弁天御髪尾根への入り口を暗示する表示がありました。
往路で白滝沢の対岸を眺めたルートなのでちょっと興味が湧きましたが、確実な下山を優先して、ひたすら登山道を行きます。


本日二度目の唐沢峠と不動尻です。



春の花が咲く広沢寺温泉に下りてきました。


駐車場の向かい側にある玉酸翠楼の建物。
おつかれさまでした。


前半の白滝沢遡行はこちら

本日の反省
・特にありません。
 


最近偶然「山と渓谷社」から発刊された山田哲哉さん著の「奥多摩 山、谷、峠、そして人」を読む機会があった。
山域は今回の丹沢とは異なるが、同じ首都圏近郊の山々の紹介が、自身が学校をサボって訪れた中学生時代の体験談のエッセーと共に書き綴られている。

世間では自粛で家から出られずにストレスが溜まるといったことが言われているが、広沢寺の駐車場から続く林道を歩いたり、大山山頂で元気に遊ぶ子供たちと出会うことにより、この不幸な環境が、次の世代の新たな価値観を育む転機として作用すれば良いなと感じた一日だった。
本来サボる対象であるはずの学校が、長い間休み続きとなってしまい、本当にみんな、いい加減退屈を持て余してしまったことだろうが、さてそれでは何をするかと言ってみたところで、外出イコールみんなが集まるところへ行くという図式ができあがってしまい、行ける場所も特に無い。

世の中の成熟が進むに従い、普段身の回りにあることや、自分がこれからやることが全てわかり切ってしまい、みんな手堅くまじめになりすぎたような気分になってくるし、世界はどんどん狭くなるといったことも言われて久しい。
その一方で、この日歩いた不動尻から大山山頂までの径のように、誰に出会うこともない世界はどんどん増えていくし、検索サイトからも消えていく。

2020年4月5日(日)
広沢寺温泉駐車場(9:25)→(山神TN)→不動尻(10:30)
→<白滝沢遡行>→不動滝(10:45)→大ナメ滝(11:05)
→白滝(11:20)→670m脱渓(11:45)→支尾根作業径(12:00)
→唐沢峠(12:15)→唐沢川最終堰堤(12:20)→<石尊沢遡行>(12:30)
→950m二俣(13:20)→大山(14:00~14:20)→<登山道>
→唐沢峠(15:05)→不動尻(15:40)→広沢寺温泉駐車場(16:40)




2020年4月5日日曜日

白滝沢・石尊沢 (沢登り) 前半

東丹沢の広沢寺温泉より、2つの沢をつないで大山を目指します。
先ずは前半の白滝沢遡行です。
後半(石尊沢~大山)はこちら。


広沢寺温泉の登山者用駐車場から出発です。
前を通る二ノ足林道の舗装道路を登っていきます。


山ノ神隧道を抜けて林道終点の不動尻を目指します。
なお、二ノ足林道はこのトンネルの手前のヘアピンカーブ下でゲートが閉まっていました。


林道終点の駐車スペースの先で煤ヶ谷からの登山道を合わせます。
その先600mほどで車道の終点となる不動尻です。


不動尻にはまだミツマタが咲いていました。




花の径を左手の白滝沢左岸沿いに少々行くと、この堰堤で径が途切れるので、沢支度をします。


堰堤のすぐ上は三俣となっており、真ん中の沢(写真右側)には次の堰堤があります。


そして、右俣は不動滝7mです。
左岸の踏み跡から小さく巻きます。


不動滝の落ち口のすぐ上には2mの小滝があり、奥の左カーブの先には堰堤が2つ続きます。
どれも簡単に横を通過できます。




堰堤を越えた後に、倒木をかわして先が開けると、遠くに大きな滑滝が見えるようになります。


近寄ってみると、滑滝の手前は標高515m二俣となっており、右俣がこの20mの大ナメ滝となっていました。
ガイドブックには滝の左側から取りつくように記載されていますが、逆相気味で多少ヌメっていることから、傾斜が急ではあるものの順層のスタンスが豊富な水流の中間を登ります。


中断のテラス状から登って来た滝とその下の二俣を見下ろします。


右側の細い水流の向こう側に踏み跡のようにも見える斜面がありますが、極めて薄く、使い物になるかは不明です。


落ち口の上の小滝を登ると、


遠方にさらに大きな滝が見えました。


3mと2条10mの二段の滝です。


上段の2条の滝の上の方には、更に大きな滝がある模様です。


この二段滝は左手の小沢の方に伸びる固定トラロープに沿って巻いていきます。


トラロープは途中で右折して、二段滝の右岸急斜面へと続いていきます。


右岸斜面に取りつくと、二段滝の右奥に、それまで見えていたのとはまた別の、更に大きな滝が見えてきました。


落ち口まで登って奥を見ると、


これはすごい。
2条20mの巨大な滝でした。
これが沢の名前となっている白滝でしょうか。


近づいてみると、美しく、かつ立派な滝です。


白滝は、左隣にある小さな滝の流れを横断して右岸の壁を登っていきます。
ですので、一旦滝の下へと降りてきた斜面を登り返して、この写真の左側の壁の上にでます。


ここをトラバースして、奥にある白滝の左手の崖を目指します。
ちなみにここは、写真に写っている2つの流れの他に、背中側に最初のトラロープで登った沢があり、本流の白滝を右俣とする小さな三俣状となっています。


見上げるとこんな感じの流れを横切ります。


そして、このロープを登って白滝を越えます。


白滝の落ち口を越えたところです。
滝の印象と比較すると流れは意外と細く、すぐ先で枯れてしまいます。


水が枯れたところは、円柱の底のような岩壁のホールで、かすかな沢状の地形が3つ合わさるような形となっています。


ただ、よく見ると、一番左の沢が穴ぐらのようになっているので、のぞいてみます。


穴ぐらに見えたのは5mほどのルンゼの入り口で、これが本流の左俣みたいです。
右岸の岩盤の上を登り、落ち口の細いところに入りこむと、簡単に越えることができました。


枯れたルンゼの上は平坦な沢となっていましたが、奥の方に壁のようなものが見えます。


近寄ると、薄くコケが生えた岩盤の中央がナメ滝状になっています。
仰向けになって開いた股みたいですね。
真ん中の窪みの肛門みたいな穴を足掛かりにちょっと入ってみることにします。


奥はすぐに脆いコケの岩盤で行き止まりとなりました。


これは左手(右岸側)の斜面です。
どこも壁というほど傾斜は急ではないのですが、脆くて滑るのと、登った後の展開が今一つみたいなので、引き返すことにします。


コケの壁の入り口まで下っていきます。


コケの入り口すぐ脇の左岸側にあるこのザレた斜面を登ることにしました。


出だしを過ぎればだんだんと手掛かりが豊富になってきます。
急斜面をひたすら上へずんずんと登っていきます。


標高800mほどで、立派な作業径が横切りますので、左へと進みます。
径は唐沢峠の北にある通称「不動尻三峰分岐」の凸の南側を巻いて唐沢峠へと向かっています。


白滝沢の谷を隔てた左手には梅の木尾根が続いています。
三角形の凸は鍵掛の778mでしょうか。



ベンチのある唐沢峠に到着です。
かつては四阿があったそうですが、なくなっていました。
峠の片隅にシートが被せてある小さい凸地がありましたが、その名残でしょうか。



後半の石尊沢へと続く

2020年4月5日(日)
広沢寺温泉駐車場(9:25)→(山神TN)→不動尻(10:30)
→<白滝沢遡行>→不動滝(10:45)→大ナメ滝(11:05)
→白滝(11:20)→670m脱渓(11:45)→支尾根作業径(12:00)
→唐沢峠(12:15)→唐沢川最終堰堤(12:20)→<石尊沢遡行>(12:30)
→950m二俣(13:20)→大山(14:00~14:20)→<登山道>
→唐沢峠(15:05)→不動尻(15:40)→広沢寺温泉駐車場(16:40)



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