2017年5月5日金曜日

自家用車で登る百名山 ~その11~越後駒ケ岳(積雪期ハイキング)

2017年ゴールデンウイーク前半戦終了後の5月1日は関東に嵐が駆け抜けましたが、翌2日の火曜日からは絶好の好天が続きました。

雪解けが進む越後駒ケ岳へ。

国道352号線大湯手前から奥只見シルバーラインを進み、多くのトンネルを抜けた先。
明神トンネルと白岩トンネルの継ぎ目から銀山平に抜け出て、突き当りを右手に進んだ銀山平森林公園手前の石抱橋が登山口です。

枝折峠への道は除雪作業中で、橋を渡ってすぐに通行止めとなる手前に駐車します。

この小屋からスタート。


新潟からやってきた単独のBCスキーヤーと一緒に、だべりながらスタートです。
・・・この方とは以降抜きつ抜かれつ、結局同じ時刻に戻ってくることになりました。


雪解け水が轟々と流れる北又川の左岸を小一時間くらい進みます。


右から合流する支流の白沢のさらに右股の柳沢右岸の尾根に取りつきます。
柳沢沿いの尾根は何本かありますが、行きは一番手前。帰りは手前から2本目の尾根を使いました。
どちらも似たり寄ったり。地形図から想像した通りの尾根です。

尾根を登り始めて振り返ると、遠くに出発した銀山平が見下ろせます。


先ずは道行山(右上の丸い山)を目指します。左上は途中通過する1,064mの凸。


登るにつれて徐々に雲がとれて、背後に荒沢岳が屛風の様に控えます。
今日はこの山を常に左から後ろに見ながら登ることとなります。


道行山から望む越後駒ケ岳。
距離で半分。疲労度で三分の一(往復だと五分の一)といったところでしょうか。


小倉山の南斜面をトラバースすると、駒ケ岳がぐっと近くに迫ってきます。


雪がない時期だと「百草ノ池」があるあたりでしょうか。
バキバキッという音に驚くと、急斜面を土を削りながら雪のブロックが崩れていきます。


荒沢岳くらいの高さまで登ってきました。
これからぐっと斜度が増します。


1,763mで一瞬平坦になって一息。
小屋までもうひと頑張りです。


数本の割れ目にハマらない様、注意しながら越えると、もうひと登りで肩の小屋です。


小屋前では一緒に出発したのとは別の二人組のBCスキーヤーが、一滑り後の休憩中でした。
あちこちの斜面を登り返して滑っているそうです。
雪庇の下以外はどこでも滑れるバックカントリーにとってはパラダイスです。

「あら、ゴム長靴でこんなとこまで登ってきたの? 慣れてるねえ。地元の人?」

いや、横浜からです。 アックスとクランポンはクルマに置いて、ワカンだけ持ってきたんだけど荷物になっただけでした。
「へえ、今朝そんな遠くから来たんだ。 わざわざ来るんだったらスキーすればいいのに。」

そうなんですけど。。。いろいろ事情もあって。

聞けばハイシーズンは毎週滑ってるそうです。
いいな~。スキーほしいな~。
でも、この時期以外は三国峠越えてやってくるの大変なんですから。ホントに。


小屋から頂上までは10分ほどです。

頂稜の雪庇の先には中ノ岳への稜線。


見下ろすと眼下の小屋の背後には延々と雪を纏った山々が広がります。


頂上からは、今まで視界に入らなかった八海山が見下ろせます。
左先に巻機山。更に奥は苗場山周辺の山々でしょうか。


その左手にはお隣の中ノ岳


そのさらに左は燧ヶ岳と至仏山に左右を挟まれた平ヶ岳。
その奥に小さく見えるのは日光白根山でしょうか。


更に左。八海山と逆の方向には登ってきたルートから望んだ山々が見下ろせます。


その左手に霞んで見える日本海。
海岸沿いと思われるところに微かに見える突起は弥彦山?


360°の展望が満喫できたので、帰ることにします。
スキーを持ってないので、急な斜面をケツ滑りを多用して一気に下ります。

大斜面をどんどん滑り降りるのは楽ちんですが、気付くとケツが冷えて感覚がなくなっています。
ズボンの上からではありますが、アイシングしているのと同じで(というか新鮮な氷が滑る速度で絶え間なく供給されているので余計)どんどん冷えていきます。
やばいな、痔になったらどうしよう。。。

道行山まで戻って振り返ると、午後の日差しを反射して山全体の雪面が銀色に輝いています。
(撮影技術の影響で輝いて見えないかもしれませんが、本当は輝いています)


その輝く大斜面をズタズタに切り裂くシュプールとケツ滑りの跡。


来るときは背にして登った荒沢岳を正面に見ながら、眼下の尾根を下って行きますが、ここからは傾斜が緩くなり、得意の?ケツは使えなくなってしまいました。


北又川出合い手前で振り返る中ノ岳。


登山口に戻る少し手前で、一緒にスタートしたスキーヤーの方が追い付いてきました。
聞けば下山に要した時間は自分の半分だったとか。
やっぱりスキーは早くて便利。
ぼくもほしいなー。でも、奮発して買ってもほとんど使わなくて/置き場所がなくて邪魔者扱いにされて困るんだろなー
登山口への雪面を行くスキーヤー
帰ってきた石抱橋の上から登ってきた駒ケ岳を望みます。



●本日の反省
 単なる百名山ハントにスキーなんか不要さ。
 頂上行って帰ってくるだけなんだから。
 一回登れればそれでいいんだから。。。
 楽しくスキーしてるのを見ちゃったから、ちょっとうらやましく感じただけさ。

 越後三山から奥利根にかけての山々は、この時期スロープが無限に広がっていました。
 駒ケ岳山頂付近ばかりでなく、工夫次第で尾根伝いに相当の距離をスキーで移動できそうです。
 また、登り返しを厭わなければ、山麓近くまでかなりの長距離ルートも、ちょっと目で追っただけでも相当数散見されました。
 いつか許されるなら、この時期の無限にも思える雪稜を旅してみたい。たぶんもう無理だけど。

仕方がないから、スキーで登れない(滑れない/魅力的でない)ところを探すことにしよう。

2017年5月2日(火)
石抱橋(7:30)→道行新道入口(8:10)→道行山(9:30)
→駒ノ小屋(11:45-12:10)→越後駒ケ岳山頂(12:20)
(往路引き返し)→駒ノ小屋(12:30)→道行山(14:00)
→石抱橋(15:30)


小出駅近くの魚野川の橋の上から眺める越後三山。
自分にとっては非日常の雪山も、町の人にとっては通勤、通学、買い物の道で毎日見る日常の風景。


2017年5月1日月曜日

葛葉川本谷 (沢登り)

ついにはじまったゴールデンウイーク。
昭和の日が土曜日の前半戦は、強い日差しが照り付ける週末となりました。

夏に備えて、初心者が最初に行くとされている沢登りコースにでかけます。
本当は、あまり遠出をする気分にもならず近場で安く上げたいんだよね。

小田急線秦野駅の2番バス乗り場で渋沢駅北口行きのバスに乗ると、15分ほどで「菩提」につきます。
ここから三ノ塔の山裾にある「葛葉の泉」に向けて歩き出します。

福祉施設の向こうに見える三ノ塔


銘木の表示がしてあった銀杏の木。
(まだ4月だけど)五月晴れの下、犬の散歩をする人と近所のお宮へお参りする人がのんびり。


舗装された道路を50分ほど登って到着した葛葉の泉で準備し、入渓します。

3人組の登山者がやってきて、同様の沢支度をはじめます。
気になることがあったので、質問してみることにします。

こんちわ~。
あの~、すいません。ここってよく来られますかぁ?

一番年長の人が。。
「あぁ、ヒル? やばいんじゃないかな。
なんかね。気温が10℃くらいから活動はじめるってはなしもあるよ」

ええっ。ヒルなんて、一言も言ってないのに何でわかったんですかぁ?

「だって、ここでその恰好していたら、知りたいことってそれしかないじゃん。
最近はねえ。下の住宅地にもちょくちょく出現するらしいよ。
たぶん、散歩に連れてくる犬に張り付いたのを持ち帰ってるんじゃないかな」

ひょえっ。
おれも家にお持ち帰りしちゃったらいやだなぁ。

「ああ、だからさっさと登ってさっさと降りるのがいいと思うよ。気を付けてね」

よし、じゃあさっさと登ることにしましょう。

入渓してすぐはしょぼい流れですが、5分と経たないうちに小滝が連続してきます。
全て流れの中か、すぐ脇を登ることができます。



この直瀑だけが唯一の例外で、直登には滝修行が必要なので、パスします。
まだまだ寒いしね。


左側の方の流れの中を快適に行けます。(右の流れはたぶんノーハンドで登れます)


メインの流れの左脇をシャワークライムします。


これも中に切り込むと。。。


右の側壁が階段になっていて、流れのすぐ右のリッジを登ります。


適度に深くなった谷を振り返ります。
水量が多い沢ではないのですが、適度にシャワー状の水滴が、夏になれば快適なのでしょう。
こわくて夏には来れませんが。。。


どの滝も緩いところを選べば簡単に巻けますが、あえて中を行きます。


右の細い水流の中を。


だんだん同じ滝を何度も登っているような錯覚に陥ります。

ここも右端の細い水流の中を登りましたが、1つ前の滝とそっくりの感触です。



そうこうしているうちに、前半のメインにしてこの沢の最難「板立ノ滝」がでてきました。


水流のすぐ左の乾いているところを直登します。
写真でみるとハング気味にも見えますが、実際は垂直より緩い傾斜です。
少し間隔が広いものの、要所にしっかりとしたホールドがあり、下にマットが敷いてあるジムの中にあったとすると6級くらいのグレードがつくのでしょうか。


登ったラインを上から見下ろすとこんな感じです。


ちゃんとしたビレイの支点もついていました。


板立の滝から10分ほどで表丹沢林道の橋が見えてきます。


橋の下をくぐってどんどん行きます。


直登するのもだんだん飽きてくるくらい滝が続きます。




このチョックストーンを直に越えようとしなければ脇を緩く越えて行けます。


チョックストーン滝の上は小さなⅤ字谷。


そこを過ぎるとゴーロが現れ、ようやく冗長になってきますが、その先の二股っぽい地形の左側に大きな滝が見えてきました。


後半のメイン富士形ノ滝です。
実物はガイド本などで見るよりも傾斜が急なように感じます。


近寄ってみると二段になっています。


先ずは下の段。
中央のクラックと右側の(左上に斜上する)クラックを強引につかんでクリア。


問題は上の段です。
凸凹が多いのは水流左側ですが、出だしが逆層なのと、若干ヌメっているのとで取り付けません。
右の細かいホールドからスタートしますが、すぐに持つところがなくなってしまい、行き詰ります。

水流の左側にキャラメル状の大きなスタンスがあるので、あそこに立ちたいな。
えいっ。と左足を伸ばすと、何とか届いたのですが、体操選手の様な股裂き状態で、力が入らず、壁と流れのど真ん中で、大の字に状態でセミになりかけます。
何とかしがみついて、左上へ、へっぴり腰でクリア。


ふぅ~。 開脚ムーブなんてどのネットにも書いてなかったけど、みんなどうやって登ってるんだろう。


富士形ノ滝を超えると、源頭の詰めの雰囲気となります。


すぐの二股の左俣にあるこの滝を越え、


黒くヌメった最後の2段滝をテキトーに越えて


少し先のこの小さな二股を右に入るとすぐに脱渓点の目印があります。


左側の枝沢の壁を左から超えたところに支尾根への取りつき口があります。


尾根の傾斜は急ですが、踏み跡は新潟県の登山道よりもしっかり明瞭です。


最初に取りついた支沢を右手に見下ろしながら登って行くと10分ほどで植林となり、


そこから一息で三ノ塔尾根の登山道に到着です。
丸太階段の立派な道が牛首まで続きますが、さっき下をくぐった表丹沢林道からこんなに登ったっけ?と不思議に思うくらい、急傾斜をどんどん下ります。


表丹沢林道とクロスする牛首からは、舗装された萩山林道を下って大倉に到着です。


良く晴れたゴールデンウイーク。
バス停へ向かう吊り橋の上から見下ろす戸川林道は路上駐車がぎっしりです。
もしや....


大倉のバス停も人がぎっしりでした。


みんな取る行動は一緒なのね。
でも、この重装備の人たちはどこからやって来たのかしら?
朝バス停下りてからの5時間半で10人くらいしか見てないんだけど。。。


2017年4月30日(日)
葛葉ノ泉(10:00)→葛葉川本谷遡行→板立ノ滝(10:50)
→表丹沢林道(11:20)→富士形ノ滝(11:50)→遡行終了(12:45)
→三ノ塔尾根(13:00)→大倉(14:30)


●本日の反省
 なし。
 ・葛葉川は楽しい沢だった。
  神奈川県では最初の沢登りがここだったという人が多いと聞いたことがあるが、うらやましいですね。
 ・ヒルの被害にあわなくてよかった。
  足周りに虫よけを執拗に噴霧しまくったのが良かったのか、単に居なかっただけなのかは不明。

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