体育の日の3連休前半は全国的にあいにくの雨模様でした。
最終日の10月10日からは天気が回復したので、思い切って1泊2日で遠出をし、仙台にある名取川の上流に沢登りにでかけました。
東北自動車道の仙台南インターを下りて秋保温泉のさらに奥へと進み、大東岳登山口に午前11時の遅い到着です。
登山口の駐車場は既に満車であったため、手前にある秋保ビジターセンター付近まで戻り、二口バス停隣接の駐車場からスタート。
登山口まで5分ほど歩き、そこから大東岳の裏登山道を進みます。
登山道はすぐに小行沢を渡り、その昔は車道だったと思われる平坦地の中をすすみます。
途中左側に岩屋のある滝を見下ろします。
👆この写真は登山道から沢に下りて撮影したものです。
ほどなく道幅は狭くなり、登山口から40分ほどが過ぎると白滝沢を渡ります。
ここからは登山道を離れて、大行沢沿いに延びる踏み跡をたどります。
踏跡はすぐに沢のほとりで途絶えるので、ここから沢の中を進むことにします。
ボール状の巨岩がひしめく沢の中を行きます。
見上げると左岸には裏磐司と呼ばれる岸壁がそびえます。
ここに転がる岩は、あそこから角を削られながら落ちてきたのかしら?
それにしても巨岩が多いです。
大岩が転がるというよりも、「ひしめく」といった表現に近く、身長の数倍ある岩をよじ登ったり、飛び移ったり、あるときはサルと遭遇しながら釣り人が作ったと思われるロープ付の巻道を辿ったりと、いきなり体力消耗モードに突入です。
ひいこら言いながら一時間くらい進むと、左岸の支流が大きな滝となって落ちています。
恐らく京渕沢にかかる梯子滝ではないでしょうか。
ビジターセンターに置いてあった案内のチラシには、横を通る登山道は梯子滝もめぐれる様な表現がしてあったので、登山道を期待して滝に近寄ってみますが、それらしきものは見当たりません。
仕方がないので、引き続き巨岩の沢を辿ります。
盛夏ならば水中を泳ぎながら進むのでしょうが、この時期は水が冷たく、そんなことをすると死にそうです。
濡れないために岩を超えて行くと、また疲れます。
梯子滝から15分くらいで、本流に二段の滝がありました。
下の段は、左側を斜上する大きな段差を登り、上段の滝壺へ。
上の滝は激しく水が流れており、水の少ない右側は岩がツルツルです。
ここは低体温症を覚悟しなくてはなりませんが、右の横の方を見ると、草が少し生えた岩壁に水平のクラックが数本入っており、そこを足場とすると、大きな梯子の様に登れてしまいました。
滝の上は両岸が立っている深い水路ですが、左岸の壁のちょうどよいところに、まるで人が削ったような間隔で足場がついており、簡単にへつれます。
それにしても、この沢の売りである滑床がなかなか現れてくれません。
白滝沢から沢を辿ること、おおよそ二時間。
標高640m付近から、ようやくそれらしき地形が見え始めました。
そしてすぐに平坦な川底が延々と続くようになります。
右岸からカケス沢が流れ込みます。
樋ノ沢出合から下流の滑の延長は、約1km弱くらいの距離でしょうか。
ところどころに小滝や渕を織り交ぜながら、言葉による説明が不要の光景が続きます。
明るい橅林の中、舗装道路の様な川床を、踝を濡らしながらのんびり歩きます。
樋ノ沢が右から滝となって流れ込んでいます。
ここは右側の岩の斜上する割れ目から簡単に登れます。
登ったところから、ハダカゾウキ沢と名を変える本流の滝を見ます。
👆この写真を撮ったすぐ後ろの林の中に樋ノ沢避難小屋が建っています。
避難小屋から引き続き樋ノ沢を遡行します。
流量はおおよそ半減しますが、こちらも滑床が続きます。
平滑な川床は避難小屋から1kmちょっと続きます。
そこからは流れもだんだんと細くなり、徐々に普通の河原となります。
標高890m付近で二股が約50m間隔で2つ続きます。
最初は左。次の小滝状となったところは右を行きますが、今日はここで泊まることにします。
一夜を過ごす人がそう多くない橅の森は、薪集めに苦労することはなく、温かい焚火で快適な夜を過ごします。
翌朝は890mの二股を右に進み、左手の稜線と平行に東方向へ進みます。
徐々に流れが細くなり、、
この小さな滝の上のすぐに左側にある踏み跡を登って行くと
5分ほどで南面白山から下ってくる登山道にでるので、この道をしばし東側(面白山高原駅方面)に下ります。
美しい橅の林が差し込む朝日に美しく輝きます。
登山道を30分ほど歩いて権現様峠に到着。
ここから大東岳へと登ります。
大東岳への登山道?は、すぐに穴戸沢源流の沢の中を進むようになります。
時々ピンクテープのマークが現れますが、多くは古くて良く見えず、導かれる踏み跡も微かで、ほとんどが流れる沢の中を歩く道です。
それでも、標高1,060mの二股を左に入ってからは水も消え、涸れた沢をぐんぐん登るようになります。
1,210mくらいから尾根に乗り、急登で一気に頂上へ。
頂上に近づくと、面白山や舟形連を望めるようになります。
遥か遠くに望めるのは栗駒山でしょうか。
こちらは西側にある南面白山と小東岳。
その向こうに天童市方面の山形盆地が広がります。
大東岳山頂に到着です。
ここにだけ秋が訪れていました。
2017年10月10日(月)
二口バス停(秋保ビジターセンター11:20)-(大東岳登山道・裏コース)
→白滝沢出合(12:00)→(大行沢入渓12:15)→樋の沢出合い(15:05)
→(樋ノ沢遡行)→標高850m付近(15:50泊)
10月11日(火)
→泊地(7:20)→南面白山登山道(遡行終了:8:00)-(登山道)
→権現様峠(8:30)→大東岳(10:30~11:00)-(表登山道)
→秋保ビジターセンター(13:35)
2016年10月16日日曜日
2016年9月13日火曜日
自家用車で登る百名山 ~その5~巻機山・ヌクビ沢
連続してやってきた台風と秋雨前線の間に、唯一晴れた土曜日。
もう終わってしまった夏を惜しむ趣旨で、久々に上越の山に沢登りにでかけました。
下りてきて気づいたら、危うく(というかほとんど)単なる百名山ハントになっていました。
南魚沼市 清水の奥にある巻機山の登山口。
桜坂駐車場をスタートして徒歩1分のところにあるこの看板を、
左手(駐車場からは直進)のヌクビ沢コースへと進みます。
すぐに別荘地の様な建物が散見されてきますが、右側の山に沿う登山道をひたすら進み、20分ほどであらわれる棒杭状の標識を左に行きます。
道はすぐに下りとなり、沢を渡渉する目印が。
ここで渓流シューズに履き替えて入渓。
すぐに数メートルの滝が連続するゴルジュとなります。
最初の滝は左側の段差の上を進み、、
次の2つは流れの右側からクリア。
これは左側壁の少し高い位置を巻くと、、、
その上では大きな釜を持った滝が豪快に飛沫をまき散らしています。
これが吹上げ滝か?
この滝の岩はつるつるで、上るのに骨が折れそうなので、すぐ左脇を通る登山道を行くことにします。
登山道は(たぶん)その先に続くであろう幾つかの滝を全て巻き、大きな滝が見晴らせる場所に着きます。
白く輝く谷の奥にあるのは、落差が優に10mはある通称ニセアイガメの滝。
登山道は左側を登り続け、今見ている景色を大きく迂回するのですが、ここは踏み跡をたどって沢に下り、滝の横を登ることにします。
踏み跡を下った先にある、水がトレンチ状に谷を横切るところをジャンプして飛び越え、滝に向かいます。
右側の平らな岩盤の上を進みます。
目前に迫るとなかなかの迫力。
右側の段々の岩壁を比較的容易に登って行けます。
落ち口付近で振り返ると眼下には大きく開けた谷の中に、登ってきたルートが見晴せます。
そしてすぐ上流の流れが右に曲るところには、地形図にも滝マークのあるアイガメの滝が。
傾斜が急な部分だけでも優に20m以上の落差があるでしょうか。
先行するパーティーが左側を登っています。
流れを渡って登山道に戻り、後に続きます。
素晴らしいスケール感。
滝の横の登山道を登って行くと、途中に大きな滝壺が見えます。
日差しが強い時はこの滝壺(甕)が藍色になるのでしょうか。
振り返ると歩いてきた登山道が、巨大な岩壁を横切っています。
(草の生えている下端のあたりが登山道です。道といっても岩にペンキで目印をつけてあるのに近いイメージ)
上の写真を写している場所からは、藪の中を明瞭な登山道で滝の最上部まで登り、ここで沢に降ります。
下降する場所は支点が無いと厳しいことろで、「スタッフ」と書いたシャツを着た方と工事業者の様な方が、ドリルで岩にアンカー用の穴を明けていました。(一番左に写っている3名です)
はるばるお疲れ様です。
ここで先行パーティー(2組5名)に追いつきました。
この先は三嵓沢の出会いまで写真の様な大きな岩が転がる川原が続いていきます。
割引沢とヌクビ沢の二股。
正面の大きな岩に赤ペンキで道標が書かれています。
右のヌクビ沢へ。
正面にガレ沢が見えて流れが左折する場所で滝が現れます。
左側の平らなスラブをシューズの摩擦力で登ります。
広い岩盤を登って行くと徐々に傾斜が緩くなります。
この岩の名前は「物干岩」
岩盤が河原に戻る直前で昼食休憩し、汗と滑って転んだときに濡れたシャツを乾かします。
物干岩からすぐで三嵓(みつくら)沢との出会いです。
今日の目的はニセ巻機の下を源流とする三嵓沢で、右股の支流として10mくらいの滝で流入します。
早速この黒い滝の左側を登ります。
が、あれ?
見た目に反して岩はつるつる滑ります。(ちょうど水流が勢いよく宙に浮くあたり)
そうでないところは泥がいやらしく付いており、頼ってつかまるブッシュもすぐに抜けるものばかり。
「簡単に登れる」との前評判とは裏腹に、最後の1段が抜けれないぞぉっ。
状況が変化しているのか、それとも最近の傾向として悪い巻き癖がついてしまったか。
いづれにしても直登する力量が無いみたいです。
こうなったら仕方がない。左側小尾根のブッシュから得意?の高巻きを試みますが、なにせ「簡単に登れる」(はずの)滝なので、巻道などついておらず、猛烈な藪で進むのもままなりません。
(が、一方で間違って落ちるとかなり痛そうです)
疲労困憊の結果敗退。
トホホ
三嵓沢に入れなかったときのエスケープ手段は、本流のヌクビ沢沿いに続く登山道を引き続き進んで、割引岳直下の稜線に出ることです。
こちらのルートも15mの「行者の滝」からはじまります。
下に立っている人と比較すると大きな滝ですが、こちらは少し崩れているものの、登山道を示す赤ペンキマークのところから特に問題なく越えることができます。
不確定要素の少ない登山道ですが、問題は行程の長さです。
三嵓沢を進むことができれば、一時間ほどで尾根の登山道の七~八合目付近に出て、そのまま駐車場まで下ればおしまいだったはずですが、この登山道は巻機山の向こうにある割引岳山頂付近まで登り、そこから引き返して巻機山を越えて帰って来なくてはいけません。
下山道八合目までの登高差は1.5倍以上。距離は2倍をはるかに超え、時間も2時間以上の延長です。
さっそく見た目が厳しいゴルジュが登場しますが、計画未達で落ち込んだのと、暗くなる前に帰りたいのとで、迷わず右岸を高巻く登山道を進みます。
高巻く途中から見える対岸(左岸)には、急な枝沢が水を落としています。
但し、あまり気を取られて見とれてるのはご用心です。
この巻道は、全体的に切り立った崖の途中を通っており、つまずいたりちょっとスリップした場合には、ただではすまないところです。
👆こんな感じのところをよたよたと歩いていく。
(この写真は上流で登山道が対岸に渡った場所から撮影)
登山道はこの滝の下で対岸(左岸)に渡り、再び高巻き始めます。
が、それも束の間。
道は比較的すぐに消滅し、沢の中を歩くようになります。
振り向けば、ずっと進行方向にそびえていた天狗岩が背後になっています。
沢の中にある大きな岩に、登山道を示す赤ペンキマークが続きますが、真剣に探さないためか、登山道の様なものは見当たりません。
大岩の転がる沢を進むと、赤ペンキは標高1,750m付近で、左岸の急な階段状の岩壁を登るように導くので、そこをぐいぐい登ります。
遡行してきた沢がどんどん眼下へ離れていきます。
左側を見ると、先ほどまで歩いていた沢の上流が、崖となって割引(われめき)岳へと続いています。
稜線の登山道に出ると、5分少々で割引岳の頂上です。
誰もいない静かな頂上。
思わずリラックスしておやつにします。
しかし、こんなところでのんびり寄り道している場合ではありません。
隣(右奥)にある丘は日本百名山の巻機山。
帰り道の途中でちょっとはずれると、簡単にゲットできそうです。
登山道は巻機山へと続く尾根の北側をトラバースしていきます。
こちらのだ方だけガスがかかっています。
地形図を見ると、この道はやがて避難小屋方面から登ってくる井戸尾根コースの登山道に合流し、そこから左へ行ったところに山頂があるみたいです。
と思いながら歩いていると、突然巻機山の山頂に出ました。
あまりにあっけなく、なんだか拍子抜け。。
もうちょっと先だと思うんだけどなあ。
でも「山頂」って書いてあるし、この先はもう「牛ヶ岳」みたいだから、まさかもう一個巻機山があるわけではないだろうし。。。
まあ、いいか
登路の沢を拡大してみると
ちょうどヌクビ沢のゴルジュを巻いた右岸の小径が、写真中央のブッシュの中に細く見えます。
この径でパスした沢の中には、いくつかの大きな滝がある模様です。
無難に登山道を選択しておいて良かった。。。。
さらにちょっと下った5合目からは尾根の反対側に、日本を代表する名渓の米子沢が見えます。
こちらには登山道がついてませんが、本日遡った割引沢に匹敵する雄大なスラブに加えて、回廊の様な狭いゴルジュや、長大な滑床を持った素晴らしい谷です。
いつかまた遡行できる日が来ると良いです。
2016年9月10日(土)
清水・桜沢駐車場(8:30)-(登山道ヌクビ沢コース)→割引沢
→ヌクビ沢遡行→登山道(割引岳コル)→割引岳(13:00)
→巻機山(御機屋:13:30)→井戸尾根登山道下山
→桜坂駐車場(16:00)
●本日の反省
1.本当に巻機山に登頂したのだろうか?
家に帰ってガイドブック(「新潟県の山」山と渓谷社)を見ると、「頂標のある御機屋(おはたや)に着く。ここは最高点ではない」「最高点は稜線を牛ヶ岳方面へ10分ほど東進したところにある」とのことであった。
国土地理院の地形図には最高点付近に「巻機山」と印刷されている。
「頂上」や「山頂」という単語がどこにも登場しないのがちょっと引っかからないでもないが、まあいいや。
きっと百名山で人気になって登山客も増えたから、顧客サービスで登りやすい御機屋に山頂って書いたかもしれないし。それはそれでありがたい。何といっても余計に歩かなくて済んだし。
2.計画未達だった
本来の目的だった三嵓沢は、入ることすら叶わなかった。
年齢と肥満に起因すると思われる力量不足が深刻だ。
結果百名山ハントのおまけはついたのだが。。
とはいえ、このルートは沢沿いを進み始めてから稜線に着くまで一貫して、雄大、爽快でワイルド。そして変化に富んでいて素晴らしかった。
途中の巨岩帯や源流部は少し冗長で、ヌクビ沢の巻道は怖いと感じる向きもあるかもしれないが。。。。
あと、下山した井戸尾根は少し臭かった。
もう終わってしまった夏を惜しむ趣旨で、久々に上越の山に沢登りにでかけました。
下りてきて気づいたら、危うく(というかほとんど)単なる百名山ハントになっていました。
南魚沼市 清水の奥にある巻機山の登山口。
桜坂駐車場をスタートして徒歩1分のところにあるこの看板を、
左手(駐車場からは直進)のヌクビ沢コースへと進みます。
すぐに別荘地の様な建物が散見されてきますが、右側の山に沿う登山道をひたすら進み、20分ほどであらわれる棒杭状の標識を左に行きます。
道はすぐに下りとなり、沢を渡渉する目印が。
ここで渓流シューズに履き替えて入渓。
すぐに数メートルの滝が連続するゴルジュとなります。
最初の滝は左側の段差の上を進み、、
次の2つは流れの右側からクリア。
これは左側壁の少し高い位置を巻くと、、、
その上では大きな釜を持った滝が豪快に飛沫をまき散らしています。
これが吹上げ滝か?
この滝の岩はつるつるで、上るのに骨が折れそうなので、すぐ左脇を通る登山道を行くことにします。
登山道は(たぶん)その先に続くであろう幾つかの滝を全て巻き、大きな滝が見晴らせる場所に着きます。
白く輝く谷の奥にあるのは、落差が優に10mはある通称ニセアイガメの滝。
登山道は左側を登り続け、今見ている景色を大きく迂回するのですが、ここは踏み跡をたどって沢に下り、滝の横を登ることにします。
踏み跡を下った先にある、水がトレンチ状に谷を横切るところをジャンプして飛び越え、滝に向かいます。
右側の平らな岩盤の上を進みます。
目前に迫るとなかなかの迫力。
右側の段々の岩壁を比較的容易に登って行けます。
落ち口付近で振り返ると眼下には大きく開けた谷の中に、登ってきたルートが見晴せます。
そしてすぐ上流の流れが右に曲るところには、地形図にも滝マークのあるアイガメの滝が。
傾斜が急な部分だけでも優に20m以上の落差があるでしょうか。
先行するパーティーが左側を登っています。
流れを渡って登山道に戻り、後に続きます。
素晴らしいスケール感。
滝の横の登山道を登って行くと、途中に大きな滝壺が見えます。
日差しが強い時はこの滝壺(甕)が藍色になるのでしょうか。
振り返ると歩いてきた登山道が、巨大な岩壁を横切っています。
(草の生えている下端のあたりが登山道です。道といっても岩にペンキで目印をつけてあるのに近いイメージ)
上の写真を写している場所からは、藪の中を明瞭な登山道で滝の最上部まで登り、ここで沢に降ります。
下降する場所は支点が無いと厳しいことろで、「スタッフ」と書いたシャツを着た方と工事業者の様な方が、ドリルで岩にアンカー用の穴を明けていました。(一番左に写っている3名です)
はるばるお疲れ様です。
ここで先行パーティー(2組5名)に追いつきました。
この先は三嵓沢の出会いまで写真の様な大きな岩が転がる川原が続いていきます。
割引沢とヌクビ沢の二股。
正面の大きな岩に赤ペンキで道標が書かれています。
右のヌクビ沢へ。
正面にガレ沢が見えて流れが左折する場所で滝が現れます。
左側の平らなスラブをシューズの摩擦力で登ります。
広い岩盤を登って行くと徐々に傾斜が緩くなります。
この岩の名前は「物干岩」
岩盤が河原に戻る直前で昼食休憩し、汗と滑って転んだときに濡れたシャツを乾かします。
物干岩からすぐで三嵓(みつくら)沢との出会いです。
今日の目的はニセ巻機の下を源流とする三嵓沢で、右股の支流として10mくらいの滝で流入します。
早速この黒い滝の左側を登ります。
が、あれ?
見た目に反して岩はつるつる滑ります。(ちょうど水流が勢いよく宙に浮くあたり)
そうでないところは泥がいやらしく付いており、頼ってつかまるブッシュもすぐに抜けるものばかり。
「簡単に登れる」との前評判とは裏腹に、最後の1段が抜けれないぞぉっ。
状況が変化しているのか、それとも最近の傾向として悪い巻き癖がついてしまったか。
いづれにしても直登する力量が無いみたいです。
こうなったら仕方がない。左側小尾根のブッシュから得意?の高巻きを試みますが、なにせ「簡単に登れる」(はずの)滝なので、巻道などついておらず、猛烈な藪で進むのもままなりません。
(が、一方で間違って落ちるとかなり痛そうです)
疲労困憊の結果敗退。
トホホ
三嵓沢に入れなかったときのエスケープ手段は、本流のヌクビ沢沿いに続く登山道を引き続き進んで、割引岳直下の稜線に出ることです。
こちらのルートも15mの「行者の滝」からはじまります。
下に立っている人と比較すると大きな滝ですが、こちらは少し崩れているものの、登山道を示す赤ペンキマークのところから特に問題なく越えることができます。
不確定要素の少ない登山道ですが、問題は行程の長さです。
三嵓沢を進むことができれば、一時間ほどで尾根の登山道の七~八合目付近に出て、そのまま駐車場まで下ればおしまいだったはずですが、この登山道は巻機山の向こうにある割引岳山頂付近まで登り、そこから引き返して巻機山を越えて帰って来なくてはいけません。
下山道八合目までの登高差は1.5倍以上。距離は2倍をはるかに超え、時間も2時間以上の延長です。
さっそく見た目が厳しいゴルジュが登場しますが、計画未達で落ち込んだのと、暗くなる前に帰りたいのとで、迷わず右岸を高巻く登山道を進みます。
高巻く途中から見える対岸(左岸)には、急な枝沢が水を落としています。
但し、あまり気を取られて見とれてるのはご用心です。
この巻道は、全体的に切り立った崖の途中を通っており、つまずいたりちょっとスリップした場合には、ただではすまないところです。
👆こんな感じのところをよたよたと歩いていく。
(この写真は上流で登山道が対岸に渡った場所から撮影)
登山道はこの滝の下で対岸(左岸)に渡り、再び高巻き始めます。
が、それも束の間。
道は比較的すぐに消滅し、沢の中を歩くようになります。
振り向けば、ずっと進行方向にそびえていた天狗岩が背後になっています。
沢の中にある大きな岩に、登山道を示す赤ペンキマークが続きますが、真剣に探さないためか、登山道の様なものは見当たりません。
大岩の転がる沢を進むと、赤ペンキは標高1,750m付近で、左岸の急な階段状の岩壁を登るように導くので、そこをぐいぐい登ります。
遡行してきた沢がどんどん眼下へ離れていきます。
左側を見ると、先ほどまで歩いていた沢の上流が、崖となって割引(われめき)岳へと続いています。
稜線の登山道に出ると、5分少々で割引岳の頂上です。
誰もいない静かな頂上。
思わずリラックスしておやつにします。
しかし、こんなところでのんびり寄り道している場合ではありません。
隣(右奥)にある丘は日本百名山の巻機山。
帰り道の途中でちょっとはずれると、簡単にゲットできそうです。
登山道は巻機山へと続く尾根の北側をトラバースしていきます。
こちらのだ方だけガスがかかっています。
地形図を見ると、この道はやがて避難小屋方面から登ってくる井戸尾根コースの登山道に合流し、そこから左へ行ったところに山頂があるみたいです。
と思いながら歩いていると、突然巻機山の山頂に出ました。
あまりにあっけなく、なんだか拍子抜け。。
もうちょっと先だと思うんだけどなあ。
でも「山頂」って書いてあるし、この先はもう「牛ヶ岳」みたいだから、まさかもう一個巻機山があるわけではないだろうし。。。
まあ、いいか
登路の沢を拡大してみると
ちょうどヌクビ沢のゴルジュを巻いた右岸の小径が、写真中央のブッシュの中に細く見えます。
この径でパスした沢の中には、いくつかの大きな滝がある模様です。
無難に登山道を選択しておいて良かった。。。。
さらにちょっと下った5合目からは尾根の反対側に、日本を代表する名渓の米子沢が見えます。
こちらには登山道がついてませんが、本日遡った割引沢に匹敵する雄大なスラブに加えて、回廊の様な狭いゴルジュや、長大な滑床を持った素晴らしい谷です。
いつかまた遡行できる日が来ると良いです。
2016年9月10日(土)
清水・桜沢駐車場(8:30)-(登山道ヌクビ沢コース)→割引沢
→ヌクビ沢遡行→登山道(割引岳コル)→割引岳(13:00)
→巻機山(御機屋:13:30)→井戸尾根登山道下山
→桜坂駐車場(16:00)
●本日の反省
1.本当に巻機山に登頂したのだろうか?
家に帰ってガイドブック(「新潟県の山」山と渓谷社)を見ると、「頂標のある御機屋(おはたや)に着く。ここは最高点ではない」「最高点は稜線を牛ヶ岳方面へ10分ほど東進したところにある」とのことであった。
国土地理院の地形図には最高点付近に「巻機山」と印刷されている。
「頂上」や「山頂」という単語がどこにも登場しないのがちょっと引っかからないでもないが、まあいいや。
きっと百名山で人気になって登山客も増えたから、顧客サービスで登りやすい御機屋に山頂って書いたかもしれないし。それはそれでありがたい。何といっても余計に歩かなくて済んだし。
2.計画未達だった
本来の目的だった三嵓沢は、入ることすら叶わなかった。
年齢と肥満に起因すると思われる力量不足が深刻だ。
結果百名山ハントのおまけはついたのだが。。
とはいえ、このルートは沢沿いを進み始めてから稜線に着くまで一貫して、雄大、爽快でワイルド。そして変化に富んでいて素晴らしかった。
途中の巨岩帯や源流部は少し冗長で、ヌクビ沢の巻道は怖いと感じる向きもあるかもしれないが。。。。
あと、下山した井戸尾根は少し臭かった。
登録:
投稿 (Atom)
ページ
New
北横岳 (ハイキング)
2024年秋分の日の振替休日は、三連休で一番の晴天となったので、北八ヶ岳にでも行ってみようと、朝8時前に麦草峠に到着したら、とっくの間に駐車場は満杯でした。 確実にクルマを停めることができる場所にさっそく転戦です。 冬は「ピラタス蓼科スノーリゾート」となるスキー場のゴンドラは、...
Tips
-
今回遡行する墓場尻川は、霧積温泉の奥にある十六曲峠付近を水源として坂本宿の近くで碓氷川と合流する霧積川の右岸最大支流で、霧積ダムのバック・ウォーターに注いでいます。 古くは雄滝と雌滝という名瀑があることで知られていたそうですが、2010年に沢登りのガイドブックに掲載されて以降は、...
-
伊豆山稜線の近くにある大滝川(仁科川水系)の支流にある”三階滝”は、踊子歩道の旧天城トンネル付近にある”二階滝”と名前の響きが似ているため、今まで天城にあるものだと錯覚していましたが、天城山脈の西側、西伊豆町の猫越岳の南側にありました。 ちなみに、安達太良山を流れる湯川にも同名...
-
梅雨も明けて夏本番となったと思う間もなく8月。 うかうかしていたら夏も終わってしまいます。 そこで、少し遠出をして信越地方の百名山 妙高山へ遠征です。 本サイトは極力自動車を用いて登山する趣旨でタイトルを設定していますが、ここに記載されているのはスカイケーブルから一般登山道を...
-
塩原温泉を流れて那珂川町馬頭で那珂川に合流する箒川。その支流赤川は、途中で流入する冷泉の青色とその泉質が赤く染める岩肌が有名ですが、WEBで検索してもあまり遡行記録が出てこないのと、たまにある記録も結構な強者によるものばかりだったので、興味はあれども長らく敬遠していましたが、思...
-
2019年の梅雨は海の日が近づいても全く明ける気配がありません。 雨の中をでかけるのも億劫だし、人が流されるくらいの水量も怖いので、半日以上天気が持ちそうな日を選んで、水量が少なめの沢を選んででかけることにします。 シダクラ沢は奥多摩の惣岳山の北面を水源とする多摩川の枝沢で...
-
9月に入っても首都圏の猛暑日が続く2023年の夏。 もう一度くらいどこかに泳ぎに行こうかと思っていた矢先、木曜の朝に目が覚めたら腰痛になっていました。 たまには短距離で高低差のない場所へ、のんびり釣りにでも行くことにします。 セブンイレブンあきる野戸倉店で日釣り券を購入。 東京は...
-
秋も本格化してきた10月の最終週に、大菩薩沢の源流に行ってきました。 大菩薩峠付近の石丸峠を水源として、長峰(ながね)を挟んで土室川と並流しながらその南側を流れる大菩薩沢は、葛野川の最源流で、葛野川地下発電所付近でマミエ沢(マシュ沢)と合流してからは小金沢と呼ばれて、2005年...
-
2021年の山の日は、東京2020開催の影響で8月第2週末に移動して3連休となりましたが、台風が接近してきました。 連休初日の土曜日の午前中までは天気が持ちそうなので、半日で終了できる短いコースに行くことにします。 山梨県北杜市のサントリー工場敷地の南際を流れる釜無川の支流神宮川...
-
西伊豆町、仁科川源流にある大滝川の中ノ沢を遡行した記録です。 お隣の三階滝沢を下降した直後に引き続き遡行しました。 ここに来る前に三階滝沢を下降した記録は こちら です。 三階滝沢右岸に沿って続く径跡が登っていく中ノ沢の標高420mくらいの左岸には、その中ノ沢沿いにも歩道の跡と...
-
日本列島に長らく前線が滞留していた2022年の夏も、シルバーウイーク前の週末についに高気圧がやってきました。 湿気が去った高原の爽やかさを体感しに、奥日光へハイキング。 …戦場ヶ原が木道補修中で通り抜けできなかったため、竜頭の滝、小田代ヶ原、戦場ヶ原、湯滝&湯ノ湖の変則行程です。...