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2022年6月7日火曜日

笛吹川 雷沢 (沢登り)

ゴールデンウイークが終わってから、あっという間に一か月が経ち、梅雨入りが近づいてきました。
雨の日が続く前にどこかに行っておいたほうが良いかなと、6月最初の週末の天気が良い方の日におでかけしましたが、帰って来た3日後の6月7日にこの文章を書いていると、ついに関東は梅雨入りしたとのことで、まさに梅雨入り前の最後の好天の記録となりました。

山梨県と埼玉県の県境をまたぐ国道140号線、いわゆる雁坂みちを塩山側から走ると、乾徳山の入口を過ぎたところに山縣館という温泉宿があります。
雷沢の名前の由来となった雷(いかづち)の集落は、その温泉から見て道路の反対側の山の斜面にあり、沢に沿って道路が登って行きます。

集落の最上部で舗装道路は雷沢を渡って林道となりますが、その橋の向こう側に通行止を表示した三角コーンがおいてありました。

本当はもっと奥までクルマで入りたかったのですが、通行止めとなっていた「渡戸川橋」の手前の路肩の空地に駐車して林道を歩くことにします。

30分ほど歩いたところにあるT字路の左側が「つがおはし」という橋で、渡った先を上流側へと進みます。
ちなみに通行止めの理由は崩落のためとのことですが、ここまでは車高の低いクルマでは難しいものの、崩落というほどの場所はありませんでした。

橋から先で一気に荒れてきた林道は、3つある砂防堰堤のうち2つをスイッチバックで巻きながら、沢を渡渉する場所で一旦消滅します。

対岸に渡り河原を少々歩くと、地形図の1117m標点の少し下流に描かれている堰堤のさらに50mほど下流に、地図に描いてない堰堤があり、その脇に半分土砂に埋まったトラックが放置されていました。
ここから先は水の中を歩く必要があるため、沢支度をして入渓します。

目の前の地図に描いてある堰堤を右岸から越えると、すぐに1119mの二俣となり、右俣に2mほどの滝が見えてきます。

最初の滝のすぐ上は5m滝となっており、その上は10mくらいの滑滝で、さっそくこの沢の核心部が始まります。

最初の滝も、滑滝もとてもよく滑るので注意が必要ですが、流れのすぐ左側を歩けるので、無理に中を歩く必要はありません。

10m滑滝の上は、段々状のナメが連続していきます。
平坦な岩の上を水が平滑に流れるタイプのナメではありませんが、岩盤の上を快適に歩いて行けます。

そして30mほどのひときわ大きな滑滝が現れます。

この沢で最も落差のあるこの滝に名前がついているのかはわかりませんが、まさに大滝と呼ぶにふさわしい、見た目のインパクトもある立派な滝です。
右側に偏っている流れの右端を登って行きます。

ただ、最後のこの段差でちょっと急になり、高度感と相まってビビりが入ります。
右の乾いているルンゼにするか、細い水流の方かを迷った末に、水流がある方の凹みに取り付きますが、案の定ヌメリが強く、上部へ行くほど手がかりが乏しくなり手詰まり感が出てきたため、へっぴり腰で戻ってくることになりました。

というわけで、戻ったところから左岸を巻いて滝上に降りてきました。
この左岸の垂壁の上の斜面を登り、大滑滝の落口上にある5m滑滝の上に下りる形で巻きました。

上から見下ろすと、左岸側の端にあるコーナーを登れないことはなさそうですが、登りついた最後の部分が、落ち葉で滑りそうなのと手がかりが少なそうでした。
そんなに難しいところではないのかもしれませんが、通過できて先ずはほっと一息。

大滑滝の上のユルい5m滑滝を登ると、1230mの二俣です。

ここは二俣なのか、三俣なのか、右岸枝沢が二本続けて合流しているのか、どの表現が適切なのかといった地形ですが、真ん中(別の言い方では二本目の枝沢)は水が流れていません。
一番右へと入ると、またしばらく段々状のナメが続きます。

大滝以外は急峻な地形がなく、足下が不安定な転石の川原もほとんどないため、お年寄りに優しい沢ですね。

ナメを歩いていると、1290mで左岸から枝沢が入り、本流の左俣には石積みの堰堤が懸かています。
堰堤はどちらからでも通過できそうですが、左岸から越えました。

堰堤上は一旦倒木が増えますが、流れ近くを行くと藪を漕いだり引っかかったりすることなく通過できました。
ここから1400mの左岸枝沢出合までの区間は倒木や土砂とナメが交互に現れてきて、少し冗長に感じる区間でした。

1400m左岸枝沢出合の本流側は小滝で落ちてきています。

出合の滝を越えた先にはこの沢で最も上流にある堰堤があり、左岸を斜上する明瞭な踏み跡で越えて行きます。

堰堤の上で小さな石滝の右岸枝沢が合わさり、少しで2mの岩の滝となります。

その先にあるコケの斜滝は流れの脇を登りましたが、左側の岩盤の手がかりがありそうなところならどこでも行けそうです。

そしてすぐに標高1470mほどのところにある、すぐ東上の稜線に登って行くであろうルンゼの合流点らしき場所になります。
ただ、写真の奥に写っている様に、沢型なのか単なる沢の斜面なのかの判断がしにくい地形であるため、かなり迷いますがもう少し先へと進んでみることにします。

100mも行かないうちに、明らかに1485m左岸枝沢と思われる沢型が合わさったので、1470mを行きすぎたことが確定します。

引き返すのも面倒なのと、さきほどのルンゼがその先も安全なのかもわからないため、倒木が増えてきたあたりで脱渓して左岸の尾根を登ることにしました。

取り付いた尾根は1490m付近から左岸の稜線へと向かう等高線の間隔が疎らな広い尾根で、快適な疎林の中を登って行きます。

尾根の上から上流側の沢を見下ろすと、結構なザレの急斜面です。
もしかすると今登っている尾根が遡行を終了するラストチャンスだったのかもしれません。

稜線が近づき、下流(右)側の沢型がなくなってくると、踏み跡は木の根の尾根を直登するものと右側の沢を渡って行くものに分かれます。
三窪高原に寄ってみようと思っていたので、そちらに近い尾根上を選択して登って行くと、数分で赤ペンキの境界標が点在する尾根に到着しました。
尾根を登って行くと10分少々で、三窪高原の北端に近くにある藤谷ノ頭に到着です。

さて、ここからは三窪高原の名物、ツツジを見物すべく、高原をハイキングしてみることにします。

緩やかに上り下りする良く整備された遊歩道を南下し、電波塔をすぎていくと、30分ほどで、園地化されたハンゼノ頭に到着します。

眼下に甲府盆地が広がるベンチに腰掛けてのんびりし、引き返すことにします。
静かでとても気持ちの良いハイキングコースでしたが、今世紀の初めころのツツジの季節に、このあたりのどこかで橋幸夫の歌謡ショーが開催されたとはとても想像できません。

道中はミツバツツジがちょうど終わり、ヤマツツジが咲き始めるところでした。
盛花期がいつ頃かはわからないのですが、栃木県矢板の八方ヶ原のように山が深紅に染まるといった咲き方ではなく、緑の高原のところどころに花が咲いている木がたまにあるといった感じです。

一方で足下には、キジムシロなのかミツバツチグリか、それともヘビイチゴなのかの識別が難しいこの時期恒例の黄色い花がずっと点在し続けます。

雷沢から最初に登りついた沢の左岸尾根を引き返し、ずっとそのまま下って行きます。
疎林が続く緩やかで広い尾根は、新緑の季節とも相まって、とても爽快で、いつまでも歩いていたくなりますが、残念ながら30分少々歩いたところで、帰路へと下らなくてはなりません。

尾根が分岐する1410mの凸で稜線から右へと分かれて、入渓した放置トラックめがけて下って行く尾根に入ります。
この尾根は境界標はないものの、しっかりとした踏み跡がついていました。

途中の見晴らしの良いところからは、笛吹川の谷を隔てた正面に乾徳山を望むことができます。
乾徳山直下の地形図で「大平」と書いてあるあたりの山上に擂鉢型の巨大なクレーターが見えるが、あのメガソーラーみたいなものは何だろう?
メガソーラーしかないか...

標高1300m付近でワイヤーが残る伐採ケーブル基点跡のようなところを過ぎると、尾根は岩が多くなり、急傾斜で一気に下って行き、標高200mほど急降下すると、眼下に廃トラックが見えてきました。

トラックへの最後の下りはとても傾斜が急なので、脇にあるヘアピンカーブの林道跡を下り、朝歩いてきた林道に戻って下山しました。

●本日の反省
特にありませんが、三窪高原まで行かなくともよかったかも。
いや、そんなことはないか。
ツツジに期待しすぎなければ、あそはあそこで良いところだったし、行かなければ5時間足らずでちょっと物足りなかったかもしれない。
つがお橋までクルマで行けたとすると、下手すると三時間コースとなり本当に物足りないかもしれない。
でも通行止めで歩いちゃったし、微妙だな~

●2022年6月4日(土)
雷(渡戸川橋;9:30)→つがお橋(10:00)
→雷沢遡行(入渓;10:20)→30m滑滝(10:45)
→1230m三俣(右俣;11:05)
→1290m二俣(左俣(砂防堰堤);11:20)
→最終砂防堰堤(1425m右岸枝沢出合;12:00)
→脱渓(1490m;12:35)→藤谷ノ頭(13:08)
→ハンゼノ頭(13:40)
→藤谷ノ頭西尾根下降(14:30)
→1410m凸分岐より北尾根(15:05)
→遡行開始点(15:50)→渡戸川橋(16:23)




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