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2021年11月7日日曜日

碓氷川本流 (沢登り)

2021年の紅葉は、11月に入り、関東周辺の山々から平野へと下ってきました。


去年の同じ時期(この日の2日後の11月8日)に墓場尻川へ行った帰りに碓氷峠の旧中山道を歩き、そのときちょうど黄葉がピークだったことを参考に、その本流である碓氷川に行くことにしました。
これから木々が色付きはじめる平野から、既に散りはじめた峠までを歩けば、どこかで見頃に行き当たることを期待して、碓氷峠越えの全区間(横川~軽井沢)を歩くことにします。

というわけで、タイトルは沢登りになっていますが、実際に歩いた距離の8割近くが遊歩道やハイキングコースですので、いつにも増して記載が冗長となっています。
ご勘弁ください。
また、沢登りが未経験の方は、ルート中に沢登りしている区間(めがね橋上部の碓氷川渡渉点~人馬施行所跡)は、旧中山道を歩いて下さいね。

JR信越線の終点、横川駅の駅舎を出て左側を見ると、「アプトの道」の看板があるので、表示に従って駅周辺の集落を進みます。

すぐに集落を抜けると、左に「鉄道文化むら」を見下ろしながら、廃線跡を利用した立派な遊歩道がはじまります。
ここから3kmほど先にある「峠の湯」までは、左隣にトロッコ列車が走る本物のレールが並走します。

2kmほど歩くと、右脇にレンガ造りの国の重要文化財「旧丸山変電所」があります。

横川から峠の湯の間には、ずっとイロハモミジの街路樹?が植えられており、登るにしたがってだんだんと色づいてきます。

並走していた線路は、峠の湯の横で1963年まで使われていた左側の旧線と、その後新幹線が開通する1997年まで使用された新線に分岐し、ここから先の遊歩道は旧線の跡を行くこととなります。
遊歩道から離れる「めがね橋」までには、5つのトンネルや碓氷湖などがあり、多くの人々が歩いています。

5つ目のトンネル(第五隧道)を抜けると、周囲の視界がぱっと開け、「めがね橋」(碓氷第三橋梁)の上にでます。
橋の上から見下ろす国道18号線の旧道も多くの行楽客で賑わっています。

右手を見ると、山一面が色づいており、今日の紅葉のピークに差し掛かったみたいです。
目的地の碓氷川入渓点は左遠方に見える新線の橋の下あたりでしょうか。

橋を渡ったところにある6つ目のトンネル手前から橋の下に降り、碓氷川に沿って旧国道とは反対の山の方へと登っていきます。

林道のような登山道を500mほど行くと、道は碓氷川を渡渉するので、すぐ上に見えるコンクリートの堰堤の上に向かって降り立ったところから入渓します。

平凡な川原にある次のコンクリート堰堤を左岸踏み跡から巻くと、すぐに流れが速くなってきます。

流れの上には役に立たないロープが見えますが、ロープを使う必要はありません。

その上にある5m滝は流れの左を登れるそうですが、寒いので右岸を巻きます。(簡単です)

5m滝の上からは、この沢の特徴となるナメが時折小滝を混ぜながら続きます。

穏やかなナメに癒されながら、あっという間に(30分くらいで)710mの右岸枝沢出合に到着しました。

枝沢出合のすぐ先では左岸の高い岩壁と右岸の大岩の間に石が挟まって(チョックストーンとなって)おり、その向こうに滝が見えます。

この滝はチョックストーンの手前でも先からでも右岸から簡単に巻けます。

岩壁を抜けると谷の両側はぐっと傾斜が緩くなり、晩秋の暖かい日差しに満たされるようになります。

ナメや小滝の間に石積みの堰堤や炭焼き跡などが現れてきます。


ここを越えると、標高835m付近のランドマークとなる並んだ滝が右岸から落ちてきます。

これは通り過ぎてから振り返って撮ったものです。

そして、次は謎の大石垣。

次のこれは、右からヘツって流れの右の岩を登るそうですが、寒いので右岸の径から巻きます。

小滝はごく一部の例外を除いて、簡単に直登できるか巻く場所が一目でわかるものばかりです。
小滝とナメ、それに暖かい日差しに癒されながら、遊歩道の延長のような気分でのんびりと歩いて行けます。

向こう側に見えるのが894mの左岸枝沢出合だったかな?

そして、この滝が数少ない例外の一つ。
傾斜は緩いのですが、どこもツルツルなので、左岸のトラロープに思いっきり体重をかけて登ります。

そうこうしているうちに940mの二俣までやってきました。
旧中山道に当たるべく右俣に入ります。
左俣は碓氷川源流の碑に行くそうです。

水量はだいぶ減ってきましたが、まだ滝が出てきます。
めがね橋から標高300m以上登り、木々の葉もほとんど落ち、頭上に青空が広がってきました。

そして最後に登場するのが、この沢の最難関? 5m滝の直滝です。
全体重をかけて左岸のトラロープにすがらないと越えられません??

最難の滝を越えた残りの標高差100mほどは、脇の林縁に交錯する造林の踏み跡を交えながら登ります。
炭焼き跡が気付いただけでも2つ。

この看板がある沢の畔で沢装備を解除し、旧中山道を登って軽井沢を目指すこととします。

先ずは旧碓氷峠にある熊野神社・熊野皇大社に参拝。

次に、近くにある「碓氷峠見晴台」に行ってみます。
熊野神社は3回参拝したことがあるのですが、ここは初めてでした。
周囲も展望も開けていて、とても気持ちがよいところです。
観光客が意外と少なかったのも好印象の一因かもしれないですね。

さて、ここからさらにだらだら歩きますよ。
見晴台入口の近くにあった「旧碓氷峠遊覧歩道」を下り、軽井沢を目指します。

鮮やかな紅葉が目を引きますが、見晴台に近いごく一部のみで、遊覧歩道上部の色づきはおおむね下の写真のような感じです。
個人的にはこのくらいの方が渋さと趣があって好みなのですが、映えが尊重されるご時世ではちょっとそうはいかないみたいです。

予め総括してしまうと、赤色が鮮やかな木が目立つのは、アプトの道沿道、神社境内、見晴台など、全て人の通行が多い場所であるように感じます(ということをこれから最後に実感していくことになります)。

遊覧歩道を下り、別荘地が近づくにつれて、だんだん林の赤味が増してきます。

そして、別荘地との境界となっているこの橋を渡ると...

林が一気に赤く染まり始めました。

遊覧歩道から舗装道路へでて、軽井沢の町へと入って行きます。

旧軽銀座を抜けて駅までの道は、進むにつれて燃え立つような紅葉に覆われていました。

緊急事態宣言が明けてから一か月ほどですが、そんなことはとっくに過去のものとなった賑わいの軽井沢から、満席の新幹線で帰路につきます。

●本日の反省
紅葉を満喫したはずだったのだが...
めがね橋から見る自然林の美しい黄葉、ヒルが眠りについた癒しの碓氷川、原色の紅葉が燃える軽井沢 と、一つ一つを振り返ると、どれも素晴らしいものばかりだった。
が、一方で赤色原色のインパクトだけで言うと人口の多い場所順となり、それらの場所では誰もがもっと色が濃くて鮮やかな木の方へとスマホを向けながら集まってくる。

人の好みはそれぞれ違うということなのだろが、そんな光景を見ながら、中山道沿いに広がる光輝き/時に光を透かしながらビロードのように色調を変えて続いていく自然林の黄葉のことを勝手に思い返した。

ところが、赤く染まった駅への道を駅を歩いているうちに、20年ほど前に静岡県の山間の園地で出合った梅の苗木を黙々と植樹し続けている老人の言葉を、ふと思い出した。
(自分がまだ居るかはわからないが)この木々が成長したときには、「県内のどこにも負けない数の梅の花がこの谷を飾り、皆がここのことを思い出してもらえるようにしたい」と語っていた彼の記憶と、目に焼き付くような街路樹の赤とを重ねながら、雑踏の駅に着いた。

…帰りの新幹線で隣り合わせた二人組のおばちゃんの興奮したおしゃべりが止まらない。
密かに聞いていると、何と1年ぶりの遠出のために当日朝3時に起きて千葉から繰り出してきたみたいだ。
高テンションのあまり、枯れた喉を潤すはずのペットボトルの水を逆噴射...
すごい熱意。というか溜まるだけ溜まってしまった抑鬱... JRと航空会社の株、買っとこか。


●2021年11月6日(土)
横川駅(8:05)→アプトの道→めがね橋(9:30)→旧中山道
→碓氷川堰堤・遡行開始(9:40~10:00)
→710m右岸枝沢出合(10:35)→二俣(12:35)
→遡行終了(人馬施行所跡;13:15~13:35)
→旧中山道→熊野神社 (14:00)→旧碓氷峠遊覧歩道
→二手橋(15:15)→軽井沢駅(15:55)





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