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2021年11月24日水曜日

盆堀川 棡葉窪 (沢登り) +五日市さんぽ

秋も深まり、関東平野まで紅葉が下りてきました。

2021年は11月に入ってから季節の進み方が少々遅れ気味なので、シーズンはとっくに終わってしまいましたが、霜月の終わりに今年最後の沢登りに行くことにしました。

場所は多摩川の支流、秋川のそのまた支流の盆堀川に注ぐ棡葉窪(ゆずりはくぼ)です。
困難なところはなく、一時間足らずで遡行できる初心者向けだそうなので、シューズ以外の特別な装備は持たず、ついでに周辺の紅葉狩りハイキングも楽しもうと軽く考えて出かけたのですが...

ここは武蔵五日市駅から見て秋川の対岸、あきる野市小和田にある古刹、広徳寺です。
山門のそばに立つ黄金色に輝く2本の大銀杏が有名とのことですが、訪れた日の早朝まで雨が降り続いていたためか、残念なことに黄金色に輝いていたのは銀杏の下の地面でした。

盆堀川に行くのに、何故五日市の駅に近いここなのか?
それは、この広い駐車場に無料でクルマを停められるからです。
地域相場の一日最大料金くらいのお賽銭を入れ、今日の無事を祈って出発です。
…お賽銭が効いたのか、安すぎたのかがこれから微妙になってくることにはまだ気付いていません。

先ずは盆堀川沿いの林道への入口にある「沢戸橋」を目指して、秋川右岸を上流方面へ向かいます。
車道の終点にあるコテージ「リバーティオ」から先は山道となり、盆堀川-秋川出合付近にある2つの小橋渡って車道に上がると、すぐ左側に旧戸倉村への入口となる新久保川原橋があります。

新久保川原橋を渡って、舗装された林道を道なりに45分ほど奥へと歩くと、採石場の手前にある「清水橋」(橋の名前の表示はありませんでした)に到着します。
橋を渡る手前の右(上流)側からすぐに川原に降りることができます。

川に降りて上流側をよく見ると、石積堰堤手前の岩の裂け目からちょろちょろ水が流れていますが、これが目的の棡葉窪か?

沢支度をして裂け目のちょろちょろに入ってみると、いきなり小滝が連続しています。
どうやらここで間違いなさそうです。

連続する数個の小滝を登ると、送水パイプが現れ、左岸から取水口メンテ用の作業径もやってきます。

足場のすぐ上にある小滝の釜が取水口となっていたので、以降しばらくは極力水に入らないように遡行していきます。
簡単な小滝とナメが少しの間続きます。


一旦沢がガレで埋まった先で左折すると、この沢の最難といわれる「く」の字状の2段6メートル滝があります。

ぱっと見た瞬間、上段が滑りそうでかつ水に濡れそう。そして、そこに取り付く(恐らく突っ張りで登るであろう)足場には濡れた落ち葉がたくさん張り付いています。
厄介そうなので、すぐに左岸から巻き始めます。
が、ここの左岸巻き。登るほどに傾斜が急になって行き、落口よりも高い位置くらいからは泥だらけとなり、安定した足場もなくなってきます。

というわけで、巻きでさっそく敗退して戻ってきました。
覚悟を決めて上段下の右側に貼り付く落ち葉にジャバジャバ両手で水を掛け、洗い流した後で突っ張りで直登します。


ここからチョックストーン下の段にあるホールドを確保する一歩が踏み出せれば、あとは石を右から越えるだけです。
少しくらい濡れるのを面倒がらずに直登した方が遥かに安全なように感じました。

くの字滝のすぐ上で小滝を2つ越えると、一瞬極度に狭い壁の中に入ります。

そして、壁の奥の突き当り左側に、スダレ状の5m滝があります。

この5mが、自分としてはこの沢の最難関と感じました。
流側左から取り付きましたが、いざ登ってみると出だしが見た目よりも急なのに加えて、安定したスタンスが流れの中にしかないためとても寒く、登るにしたがってホールドがのっぺりしてきます。
というわけで、最後の方はかなりビビりました。
もしかすると、左側面の斜上バンド状から落口に向けて巻いたほうが簡単かもしれません。
ただ、10分前に巻きで失敗した人が感じた印象ですので、信用せずに自己責任でお願いします。

次のこの3mは、アンダーのガバホールドを利用して流側の右からレイバック気味に登って行きますが、登るにつれてバランスが悪くなり、落口に近付くにつれて、最後の手がかりとなるホールドがないことが明らかとなってきます。
困り果ててふと向こう岸を見ると、左側面に立派な残置シュリンゲが連打してあるではありませんか。(ピンぼけの写真にもちゃんと写っているくらいの立派なものです)
なんで最初から気付かなかったのだろう?
まずいな。
無駄な直登は早々にやめて左側から残置を引っ張って越えます。

次の4mは、右の流れの中を快適に登ることができました。
最後だったせいか、取水口以降でまともに登れた印象がこれしか残っていません。
ここに至るまで、無駄な試行錯誤を繰り返しているうちに、当初の触れ込みだったはずの一時間未満のお手軽沢ハイクは、優に一時間を越える悪戦苦闘の沢登りとなってしまいました。
トホホ。

さて、最後の滝のすぐ先で両岸が開ける標高370m付近で、急にマーキングが増えて左岸から作業径が下りてきます。(この作業径が帰路となります)
ちょうど右岸に植林の表示板がある場所です。

そして、沢は倒木とガレで荒れ始めます。

左岸に踏み跡が並走する荒れた沢を登って行くと、すぐに水が枯れて、標高430m付近で本流は左へ曲がり、左岸から岩盤の枝沢が出合います。
恐らくここがトポに記載されている作業径があるはずの430m二俣と思われますが、周囲にそのようなものは見当たらず、先ほどの植林の看板のところまで引き返して左岸作業径を下ることとします。

作業径は自然林の中をトラバースしたあとですぐに植林内を下り、赤テープに導かれて20分も要さずに入渓した清水橋の脇に降りてしまいました。
入渓するまでは、余裕があれば遡行後にグミ尾根まで登り、引き続きハイキングでもしようかなどと思っていましたが、そんなことを考えていたことはすっかり忘れてしまったばかりか、いつ忘れたのかも覚えていません。

というわけで、麗らかな秋晴れの中、往路をとぼとぼ戻ります。

引き返す途中、牛嶽橋の近くで旧戸倉村の中心部方面へと向かう道が分岐していたので、左折して盆堀川を越え、戸倉小学校と浄水場の上にある光厳寺に寄ってみることにします。

丘の上に建つ光厳寺は歴史ある寺院とのことですが、古い建物は特に見当たらず、その代わり古い山桜の木が立っていました。

その山桜とお寺の間の径を奥へと進むと、裏山である城山に登ることができます。
トラバース気味に南東尾根まで移動した径は、尾根の植林を急登一気で岩峰状の山頂に至ります。

ハイカーで賑わう狭い山頂からは、東側の展望が開けており、五日市線沿いの絶景が望めます。

目を凝らすと都心も見えるかな。

城山というだけあって、明瞭ではないものの郭だった平坦地や虎口の様な痕跡も残っています。

城の範囲は西側にあるこの小さな凸くらいまでだったのでしょうか。

大多数の人が利用する北側の尾根の登山道を下ると、神明社の建つ場所で街にでます。

檜原街道沿いに歩いて桂月橋を渡り、出発した廣徳寺に戻ってきました。
まだ午後2時前なので、重い荷物をクルマに戻し、もう少し付近を散策してみることにします。

お寺の総門に向かって左側にある道を、害獣除けの電線をまたいで5分ほど登ると、視界が一気に開けて、五日市の市街地が見下ろせます。
古いベンチが一つあり、静かに寛げる場所です。

この見晴らしの広場から、道はシングルトレイルとなり、更に奥へと進むと、分岐が2つ出てきます。
「金剛の滝」を目指して、2つ目の分岐を右へと降りていきます。

階段で急下降する径を、逆川まで下りたところにある堰堤の上流側の平地を渡って奥へと進むと、

すぐに小滝が見えてくるので、その右側にある狭い穴をクサリにつかまりながら登ると、出口に滝がありました。

ちょうど良い時刻となったので、廣徳寺へと引き返して家路に着きます。

●本日の反省
 準備はちゃんとして行こう

小一時間の沢ハイクのはずが、終わってみれば今シーズン最難とも思える結果に終わった。

高難度と感じた理由は、ヌメりが強くなる時期であることに加えて、近年は加齢により難度の低いナメ沢へ行く頻度が増えたことにより、平凡な場所でも難しいと感じるようになってきたことにあるようにも感じる。
ただ一方で、冷静に評価すると、今年の盛夏期以前に行った場所と比較して、決して難しい場所ではなかった(というかグレード通り実際初心者・初級者向けだった)と思う。

というわけで、困難だったと感じた本当の原因は、事前の準備(情報収集・装備)と現地での注意力やオブザベ等々の不足、一言でいうと軽く考えていた(ナメていた)ことにあるのは明らかだ。
行く先の難度によって対応する準備や注意は当然変化するが、端折ったり最低限度を下回ってはいけないことを改めて実感した。
 
それにしてもここ数年、沢登りシーズン終了時には毎年、予定していなかった何かが起きる。


●2021年11月23日(火・祝)
廣徳寺(7:20)→沢入橋(8:00)→清水橋(8:45)
→棡葉窪遡行→430m二俣(脱渓;10:20)
→仕事径→清水橋(10:45)→光厳寺(11:45)
→城山(12:20~12:50)→神明神社(13:05)
廣徳寺(13:50)→金剛の滝(14:15)→廣徳寺(14:50)



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