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2019年10月21日月曜日

沢上谷 (沢登り)

令和元年の台風19号が猛威を振るった体育の日の週末の一週間後。
週の中盤での雨も多少降ったものの、もうそろそろ川の水嵩も減っても良いころです。
一方で、多い地域では10月1ヶ月分の2倍降ったとのことなので、普段はあまり水が流れていないところを選んで行ってみることにしました。


岐阜県高山市旧上宝村を流れる神通川の支流、高原川に流入する沢上谷(そうれだに)は、県道89号線、別名高山上宝線に概ね沿って流れています。
県道が沢上谷を渡るところに架かるこの橋から入渓します。


橋の高山側に上流沿いの小径があり、少し先に駐車スペースがありますが、かなり荒れていたので、県道脇の空き地にクルマを停めて出発します。
人が流されるほどではありませんが、結構な水量が流れています。


入渓後10分と経たないうちに右岸から滑滝が落ちてきます。
この沢の上流に五郎七郎滝があるはず。


流れのすぐ左脇にある踏み跡を登ります。
使わなくとも大丈夫ですが、一部ロープも設置されています。


滝の上は緩やかなナメが続いています。



進んで行くと、次第に傾斜が増してきました。
この辺りから斜度が緩いところを選ぶ必要がでてきます。
右端の傾斜が緩いところをフリクションを効かせて登ります。


そして、とても直登できない6mの滝となります。


ここはピンクテープに従い左岸の巻き径を行きます。


巻き径を登り終えて落ち口に立つと、すぐ先に五郎七郎滝が登場します。


ここから振り返ると、こんな感じですね。
流れに足をとられて滑り出してしまうと、すぐ下の6m滝から落ちてしまいそうな錯覚に陥ります。















そろりそろりと滝に近寄ります。


なんだか中央部の傾斜が緩いところに立てそうですね。
ちょっと行ってみます。


右側の滝の下を通過しながら…


一段上に登ります。


左側の滝の一番大きな流れが足元に直接落ちてきます。


下を見るとこんな感じで、下の6m滝まで見事なウォータースライダー状となっています。


爽快感と緊張感を交えながら引き返します。


登って来たナメを引き返して本流に戻ります。


本流にはすぐに釜を持った滝があります。


釜の右岸の縁を通って滝を越えます。
振り返ると先ほど入った五郎七郎滝の沢の入り口が見えました。


その先も釜が数個あらわれます。
どれも脇を簡単に通過できます。



沢底の岩盤がだんだん赤色を帯びてきました。



川幅一杯に広がる赤いナメが釜を交えながら続きます。
赤い岩は、大変滑りやすいところがあります。今日は水量が多く、転ぶと全身が濡れてしまうので要注意です。




と、思う間もなく本当に滑って転んでしまいました。
立ち上がって先を見ると、右岸に地味な枝沢が流れ込んでいます。


枝沢は、入るとすぐにキレイなナメとなりますが、このナメは短く、すぐにゴロタ岩の傾斜が急な沢となります。


15分ほど遡ると、奥に岩洞滝が見えてきました。
ダイレクトに落下する、滝らしい立派な滝です。


WEBの情報では、滝の裏側に回れるとのことですが、今日は迂闊に近ると水煙でズブ濡れとなってしまうため、遠くからの見学にとどめることにします。


それでも、ちょっと撮影しようとするだけでレンズが水滴で曇ってしまいました。


豪快な眺めを堪能したので、また本流に戻って遡ります。
時折ナメ床が現れます。


しばらくすると、ナメの左岸側が巨岩となるところに来ました。


奥へ進んで行くと片側の傾斜がきつくなり、流れが激しくなってくるので、右手の岩の間を通り抜けて脇から巻いていきます。


巻き径の上は、この沢のメインである蓑谷大滝でした。


岩盤の幅一杯に流れる姿は、想像していたものよりも遥かに豪快かつ爽快です。
せっかくなのでもうちょっと近寄ってみることにします。


真下に立って見上げると、落ちてくる水の速度で自分が空に飛びあがっていくような錯覚を覚えます。
近寄りすぎると全貌がレンズに収まらないので、10mくらい離れて撮影します。


蓑谷大滝は巻きます。
滝の右下に巻き径の入り口があり、左岸の明瞭な踏み跡をマーキングに導かれながらどんどん登っていきます。



大きな岩壁の下まで登ると、踏み跡は登山道のように立派となり、岩壁の中を左へと斜上していきます。


岩壁の斜上が終わり、径が右に切り返したところの左下に降り口があり、ここから固定ロープで下ります。


やがてロープはこの枝沢に沿って下るようになり、


見下ろすと、木立の合間から大滝の落ち口が見えるようになります。
高速で流れる水が白濁しながら落ちていくあそこめがけて下っていきます。


この写真の左上から落ちてくる枝沢の流れの向こう側の藪から、駆け降りてきました。
ちょうど本流に足を踏み入れるところの流れがヒョングり気味で、あれに出足払いを食らって転倒するような気がしてコワかったです。


転んで流れに持っていかれると、その先は真っ逆さま....


ビビりながら上流の安心できそうなところまで進むと、自分が見事なナメの中に居ることに気づきました。



川幅一杯に広がる岩盤と、これまた全面に流れる水の波紋が美しい。


ナメは一旦T字路の様に突き当たり、両側が滝で出合ってきます。
こちらは左俣の滝。


反対側のこれが登っていく右俣の滝です。
水流の右に垂れているロープのところを登ります。


右俣の滝の落ち口から、振り返って下を見るとこんな感じです。


滝上で左折する流れを行くと、


ほんの少し先でまたナメがはじまります。


標高930mくらいで左岸から枝沢が入ると、本流は左折して、


一枚岩のナメが続くようになります。


最後のこのナメは長いです。1km近く続くのではないでしょうか。



沢がカーブした先もナメ。




そのまた先を曲がっても続いていきます。



広葉樹林と笹の林床は次第に植林へと変わり、徐々に里山の風情となってきます。




やがて左岸の蓑谷方面から枝沢が入ります。




そしてすぐに1050mの二俣となります。
左俣には林道の橋が架かっており、ここで終了してもよさそうですが、最後の余韻に浸るべく、右へと進みます。




ここで終了。


林道を右側に行きます。
すぐに県道89号線に出ます。


古い舗装道路の県道を出発地へと下っていきます。
県道沿いには人の気配がしない民家が数件ありました。


県道が鼠餅の平地から谷沿いに入ってしばらくすると、対岸から轟々と水の流れ落ちる音が聞こえてきます。
木々の間から覗くと、五郎七郎滝の上部が見えました。


少し先へと進むと、今度は岩洞滝が見えます。
ちょうど標高950mくらいで林道が枝沢へと切り込んでいくカーブ付近です。


最後に視界が開けたところからは、一瞬ではありますが、蓑谷大滝も見えました。


●本日の反省
遡行そのものには特に反省点はありませんでした。
ただ、台風の雨量が相当多かった模様で、川の水量がかなりありました。
実際に遡行してみると危険を伴うレベルの水量ではありませんでが、もしも、もう少し多かった場合は、冷静な判断ができたかどうか、怪しいかもしれません。
マイナーな川の水量を事前に予想することは難しく、情報も得られないため、実際に現地に行ってからの判断になると思いますが、わざわざ遠くまで来たのに無駄足となる精神的なバイアスを受ける中で、危険を評価することが果たしてできるでしょうか。
もしかすると、最初から出かけない選択も重要かもしれません。

さて、そうは言っても水量が豊富な沢上谷は瑞々しくかつ豪快で、期待を遥かに上回る素晴らしい体験をさせていただきました。

2019年10月20日(日)
県道89号線沢入谷橋駐車スペース(9:40)→沢入谷遡行
→五郎七郎滝(10:10: 往復)→岩洞滝(11:05 往復)
→沢入谷遡行継続→蓑谷大滝(11:40-巻き-12:10)
→林道橋で遡行終了(12:50)→林道・県道89号線歩行
→駐車スペース(14:10)

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