秩父市の浦山ダムの奥にある浦山大日堂の更に奥を流れる、浦山川の支流冠岩沢は、初級者の遡行記録も多く魅力に富んだ沢だと聞いてはいたものの、二段15m滝の直登が単独ではリスクだと感じており、長らく自分とは無縁の場所だと思っていました。
そんなとき、夏にヤマレコを見ていると、その滝をトラロープが張られた踏み跡から巻いている記録を発見。hareharawaiさんのレポートに従って行ってみることにしました。
県道73(秩父上名栗)線のどん詰まり、彩の国キャンプ場の1km少々手前で冠岩沢に架かる、その名も冠岩橋がスタートです。
橋付近の路肩にクルマを停めて、通行止めとなっている右岸の林道を30分ほど登って行くと、車道跡は小さな橋でおしまいとなりました。
登山道は左岸をさらに登って行きますが、何を勘違いしたのか、橋のすぐ上にある堰堤上から遡行を開始しました。本当は登山道をもっと登って行けたことが帰りにわかります。
荒れている沢の堰堤を、最初のものも含めて4基ほど通過すると、ガレた沢の奥に最初の3m滝が懸かっていました。
この滝は左側の倒木をかき分けて登れそうですが、ガイド本に従い右(左岸)のグズグズ斜面から巻きます。
グズグズを登ると、4条の小滝を見下ろしますが、これはそのまま横からパス。
しばらくは沢登りなのか植林の作業道の残骸を歩いているのかといった様相が続きます。
三段の小滝の奥の方に大きな滝が見えてきました。
三段小滝は登れるかもしれませんが、左下に見下ろしながらしれっと通過。
その上にある最初の難関、二段12m滝に到着しました。
ぱっと見、ホールドは豊富そうで、左の木に向かって直登するのが手っ取り早そうですが、
踏み跡を辿るとすぐに出てくるトラロープに沿って登ります。
左岸の巨岩にしがみつく巨木の脇から流れ出す湧水まで来ると、もう少しで核心部がはじまります。
三段の小滝の奥の方に大きな滝が見えてきました。
今日は出かける前から巻くつもりなので、左側の巻き径ばかり目に入ってしまいます。
ロープが無くとも登って行けそうではありますが、そんなことを言ってはいけません。
先ほどの12m滝だと思いますが、何か形がちがうなと思っていたら、この後で別の滝だということがわかります。
踏み跡は、標高780mで冠岩沢と出会う右岸枝沢の大きな黒い壁の下へと降りていき、
5mの滝が二つ続いていました。
その枝沢を渡って対岸を斜上していくと、
そのまま平凡な冠岩沢に到着してしまいました。
どうやら二段12m滝の上にある5m×二段滝も一緒に巻いてしまったみたいです。
せっかくここまで来たので12m滝の上を見物すべく、さきほどの枝沢と本流の中間尾根を降りると、すぐに12mとは別の滝が見えてきました。
枝沢の左岸の灌木の尾根からここまで下りてきて左下を見ると、
下の滝は右の茶色い斜面から簡単に巻けそうですが、上段の滝は右の岩を登るとすると、落口がいやらしそうですね。
登れない場合は、下の滝の下から枝沢をここまで登ってきて、今下って来たところを逆進していくことになると思います。
二段滝の上を遡行していくと、すぐに左岸上部のワサビ田跡らしきものから細い水流が落ちており、本流の先は小滝が数個続きます。
4~5個目くらいの小滝から、奥に大きな滝が見えてきます。
この沢最大のスダレ状25m大滝。
二段滝の上を遡行していくと、すぐに左岸上部のワサビ田跡らしきものから細い水流が落ちており、本流の先は小滝が数個続きます。
この沢最大のスダレ状25m大滝。
実物は静止画でみるよりもずっと優美で水量も多く感じます。
大滝は左岸のザレから巻いて行きます。
踏み跡は、不明瞭なのか、自由に歩くことができるのか微妙ですが、落口くらいの高さまで登ってから左側の自然に歩けそうなところを行くと、そのまま歩いて沢に戻れました。
大滝の上は、簡単な小滝が断続的に続いたと思うと、それらの上に赤い滝が見えてくるようになります。
大滝を巻き終えてから10分少々で8mの赤滝に到着。
赤い滝も左岸から巻きます。
右俣の本流はすぐに源頭の様相となり、チョロチョロと流れる水を辿ります。
次の二俣(標高1080m)は、三俣ともいえますが、左俣は不明瞭なので、実質二俣を右へ。
水が涸れた谷が急になってきたと思う前に右の尾根に乗り、稜線の低いところを目指して登ると、20分ほどで大持山と横倉山のコルの登山道に出ました。
登って行くと、すぐ左側は急な枯沢状の窪みとなり、本流はその対岸のリッジの裏側(水色↓の下)になります。
斜度が緩くなって窪みを問題なく渡れるところから、簡単に本流に戻れました。
沢に戻ったすぐ上は、右岸の岩壁の上の方の平坦な地形で1000m右岸枝沢が合流しています。
すぐ右側の凸が横倉山です。
登山道をそのまま進みますが、単なる下山路と思っていた稜線は、広葉樹林の美しい登山道でした。
その登山道を下って行くと、ウノタワというところに到着。
なんだか聞いたことがある名前なので、登山道の奥にある平地に寄ってみることにしますが、コケがふかふかで、かといって泥でもなく、とてもいいところではありませんか。
冠岩沢を遡行した後の下山路は同沢の左岸尾根が一般的ですが、急なのと、マシンガンの様に衣類に執拗にくっつく植物が繁茂しているとのウワサなので、敬遠して稜線の美しさを選択することにします。
ちょっと得した気分になって鳥首峠を目指します。
ウノタワから尾根をアップダウンしながら30分くらい歩くと、送電線があったと思われる見晴らしの良い場所を通ります。
鳥首峠からは冠岩方向に下山します。
ここから鳥首峠はもうすぐです。
小さく「20m先を右へ」と書いてあり、
20m進むと、浦山は右上の空を指しています。
が、登山道はまっすぐ明瞭に下って行ってます。
唯一冠岩集落跡の500~600m手前の沢を渡るヘアピンカーブで、崩落に埋まりわかりにくくなっていますが、注意して赤テープを見ながら行くと問題ありません。
集落跡を抜けると往路で遡行した沢が見下ろせました。
下って行くと一か所が少し崩落しており、ここで径が無くなったと早とちりしてしまったみたいです。
途中の沢で装備を洗いながら帰着。
登ってくるときは今歩いている径は無かったように感じたのですが...
●本日の反省
①登山道に気付かず、荒れた沢を登る。
もう少し注意力を払っていれば、登山道を歩いてもっと楽をできたのだが...
②滝を一つも登っていない
これは反省というよりも計画通りですね。
結果、気分は沢登りよりもかなりハイキングに寄った感じです。
③下山ルートは??
尾根のショートカットを嫌って登山道から下山ましたが、距離は3倍。一時間増しといったところでしょうか。
その分のメリットとしては、急下降とひっつき植物が回避できたことと、ハイキングとしてはまあまあ楽しめたといったところです。
帰ってから調べてみると、ウノタワ周辺の尾根は奥武蔵でも人気の風光明媚なルートだそうなので、気持ちを完全に切り替えれば、一時間半のオプションハイキングになるのかしら?
あれ、冠岩沢もハイキングみたいと書いておきながらなんだか話が矛盾しますね。
率直に冠岩沢の感想を書くと、序盤に植林内のボサはあるものの、中流以降は変化に富んだとても美しい沢でした。遡行する人が絶えないのも納得です。
もう少し紅葉が進むと、一層素晴らしいに違いない。
*冠岩沢の遡行はハイキングではなく沢登りです。
滝を直登しない場合でも相応の装備、体力、技術力と判断力が必要ですので、充分な知識や装備を持たず、初心者のみでの入渓は非常に危険ですので、やめましょう。
●2025年9月23日(祝)
冠岩橋(8:10)
→冠岩沢最終堰堤(入渓;8:40)
→二段12m滝(巻き;9:40~10:00)
→大滝(巻き;10:30~10:50)
→赤滝(巻き;11:05~11:15)
→最終二俣(11:35)→登山道(12:00)
→ウノタワ(12:22)→天神山(12:40)
→鳥首峠(13:00)→冠岩集落跡(13:40)
→冠岩橋(14:10)
0 件のコメント:
コメントを投稿