2023年の台風2号とそれに伴う前線がもたらした大雨は、通過した6月3日(土)時点で数十名の人的被害と二百戸近い住宅被害となりました。
被害に遭われた皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
通過した週末は首都圏の主要河川も濁流となり、水辺のレジャーは憚られる状態ですが、普段水があまり流れていない場所ならば大丈夫では? とふと思い立ち、台風一過の好天に誘われて武甲山の下を流れる荒川水系・横瀬川支流の生川源流にある小持沢に出かけてみました。
国道299号線、横瀬町の生川交差点の丁字路を曲がって武甲山の表参道登山口へと走ると、正面の武甲山が見る見る大きく・高くなります。
途中に点在する石灰工場を通り抜けて、週末の登山口駐車場から溢れた路駐が続く武甲山御嶽神社・一ノ鳥居を通り過ぎ、そのままダートに変わった道を登って三本目の沢を渡る橋の手前にクルマを停めて入渓準備です。
橋名標記はありませんが、上の画像の右側の橋が小持沢に架かる小持橋で、左側のバリケードの道から入って行きます。
すぐに堰堤が見えるので二つとも右岸から巻くと、台風の水が大岩の中を轟々と流れる沢が始まります。
シャワーを浴びながら近づいてその穴の中を覗くと、いつ外れるかわからなそうな微妙なチョックストーンが行く手を2方向に分けており、向こう側へと抜けれるみたいなので、早く通過できそうな左側へと潜ると右岸から滝を巻くことができました。
岩潜りの滝から5分少々で二段状の滝がでてきました。
でも、落口に張り出した岩の右奥に隙間がありそうですね。
ちょっと覗いてみましょうか。
あの突っ張り棒につかまった後で更に足場として使えば上に行けるのではないでしょうか?
チョックストーン滝のすぐ上の小滝からは、渓相が突然変わって、広くて緩やかな川床がのんびりと続きます。
小さなインゼルのようなところもあるよ。
体温を取り戻すべく、足を痙攣させながら速足で登って行きます。
815mの三俣までの30分ちょっとの間に、右岸から枝沢を2回ほど合わせます。
さて、体温が上昇してだいぶ落ち着いてきたところで、815mの三俣に到着しました。
冷たいシャワーを我慢しながら、突っ張り棒の下の流れを目を凝らしてずっと見ていると、流れの下に何となくホールドらしきものが見えなくもありません。
あの辺をガバで持てれば、突っ張り棒に届くかも。
というわけで、ボルダームーブいっぱつ。
で、行けるわけがありませんでした。
最大の誤算は、画像を見てお分かりの通り、強烈な水圧でした。
踏み出してはみたもののその場にステイするのがやっとで、とても這い上がるどころではありませんでした。
両方の眼球を冷水で洗浄されながら、落ちまいと耐えながら退路を確保している間にも、容赦なく打ち付ける水がどんどん体温を奪い、たちまち筋肉が硬直。身動きができなるなる寸前に辛うじて撤退です。
脱出は、振り返ってすぐ左に見える根っこの岩からです。
ちなみに、この2つのチョックストーン滝は、どちらも左岸から簡単に巻けると思いますよ。
左岸を巻いてきて、落口から見下ろします。
さぶいよう。
でも、カラダが芯まで冷え切っており、とてものんびり歩いていられません。
地面まではなかなか届かないものの、頭上の樹木には、秩父盆地で30℃に迫る気温となったこの日の日差しが照り付けています。
左俣は小持山山頂の東側に突き上げる沢、右俣は登山道近くにある持山寺跡付近を水源とする枝沢です。
体温低下ですっかり意気消沈してしまった今は、作業径に最も簡単に出ることができるノーリスク・ミニマムワークの中俣以外の選択肢はありません。
キレイな縞模様の地層もでてくるよ。
ちょうどここだけ水流が復活するので、ここで沢装備を洗うことができます。
また、作業径を示すピンクテープは、下の二俣から植林内を見上げても発見することができます。
作業径を右へ行くと3分ほどで持山寺跡の平坦地が見えてきました。
クルマを出発してから二時間。小持山の山頂を目指さないのであれば、お手軽な短時間コースです。
途中の滝で変なことを考えさえしなければ、難所が無い、初心者も安心して遊べる難度でした。
さて、だいぶ気力と体力が回復したので、せっかく来たついでに武甲山に行ってみることにします。
ここから武甲山山頂までは、地図ではすぐ近くなのであまり意識しなかったのですが、麓からここまでとおなじかそれ以上の標高差があります。
整備された登山道でシラジクボを経由して登って行くと、林床にバイケイソウだけが残ったキレイな針葉樹林となります。
持山寺跡を出てから一時間かからずの到着です。
登山道は早いなあ。
かつてここを重機が走り回っていた時代であれば、立派な神社くらい簡単にできるな。
あまりに急激な麓との落差がピンと来ず、国道の脇に見えるUBE三菱セメントの工場(↓画像右下)がそれだとは気づかずに、もっと遠くを探してしまいました。
そして山頂からの展望は、聞いてはいたものの/写真で見たことはあったものの、想像をはるかに超える絶景です。
眼下の横瀬と秩父の町を踏みつぶせそう?なくらいの高度感です。展望を満喫した後は、一ノ鳥居から続く表参道と呼ばれる登山道で下山します。
人気かつ地元の信仰を集めるためなのか、お昼を過ぎても多くの人が登ってきます。
ちょっとオーバーユース的なところもありましたが、丁目石をはじめとする整備が行き届いて、効率よく標高を消化できる便利な登山道で一気に帰着。最後の急傾斜の舗道道路はヒザに来ました。
●本日の反省
増水時の無謀な滝登りに注意
簡単に巻ける滝を無理に登ろうとして危うく低体温症になりかけた。
気温も水温も比較的高く、濡れても寒いだけだろうと思っていたら、大量の水がラジエーターの様に体温を奪い、見る見る筋肉が硬直。力を入れようとしても動かなくなっていくのが実感でき、すぐに歩けはしたものの、その後の回復も思いのほか手間取った。
今回遡行した小持沢は、お隣を流れる大持沢とセットで遡下行されることが多い様だが、台風後の水量と(恐らく)似たような場所だろうというイメージを理由に小持沢の遡行だけにしておいたところまでは正解だったが、そこにヘンな余裕が嚙まされるきっかけがあった様にも感じる。(多分最初から2本の沢を遡下行すると決めていれば滝登りなんてしなかった)
大持沢に行ったことはないので無責任なことは言えないが、小持沢の利点は途中で(持山寺跡へ)脱渓できることと、そこからすぐに短時間で下山できること。それと武甲山に近いことだと思う。
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