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2021年10月25日月曜日

境沢川 (沢登り)

 前年に引き続き夏の終わりが早かった2021年の秋は、10月中旬の寒波到来により東北やアルプスの山々は雪で覆われました。

沢登りのシーズンを終了してしまった人も多い中を、ヒザから上は濡れない条件の下に女々しく初冬の沢登りに出かけます。

ただ、「濡れない」をテーマとしただけあって、内容のほとんどが要所の巻きと帰路のバリエーションハイクの記録となってしまいましたので、あらかじめご了承をお願いします。



群馬県を流れる神流川の支流「境沢川」は、ガイドブック(「新版東京起点沢登ルート100」(宗像兵一著・山と渓谷社))に記載されている通り、西に接する橋倉川と東の東福寺川という比較的有名な川に挟まれて、ひっそりと流れています。

国道299号線の古鉄橋交差点を通り越した神流町中里合同庁舎のすぐ先で、左に曲がる国道へは行かずに直進方向に右折し、道なりに東福寺川を渡ってUターンすると、林道七久保橋倉線は叶山の麓にある神ヶ原集落の上をぐんぐん高度を上げて登って行きます。

尚、七久保橋倉線は、今回訪問した翌日の2021年10月25日から同年12月28日までの期間、法面災害復旧工事のため全面通行止めとなるとのことです。
なので、ぎりぎりセーフ。(もう誰も来ないとは思いますが...)

神ヶ原から林道を走ること5kmくらいで、境沢川を渡る「瓔珞橋」に到着します。
橋付近の路肩に駐車して沢支度し、壊れたガードレールの横から入渓です。

入渓してしばらくはガレと巨石の川原を歩行していきます。

水量はとても少なく、ごく稀にこの山域の特徴である褐色の岩を流れるナメが登場しますが、基本的に流れを楽しむというよりも、垂壁で仕切られた回廊の中を歩くことを味わうルートだと言えます。

すぐに岩壁の中に最初の滝が見えてきます。

この滝は、左側の緩い斜面を登り、

落口で流れの上に戻ります。
枯れた落ち葉を踏むと滑りますが、ホールドは豊富です。

ものすごく高くはないものの/極端に狭くはないものの、ある程度の圧迫感を醸し出す垂壁の間を、時折側壁を見上げながら行きます。

巨岩の川原に数回戻るものの、回廊を進むこと40分ほどで展開が変わっていきます。

この砂防ダムのような岩壁を左側からすり抜けると、眼前に短いゴルジュが現れ、その一番奥に何やら爬虫類状のものが見えます。

それでは、奥の大イグアナの頭?まで近寄ってみましょう。
この川のランドマークである舌状7mチョックストーンは相応の迫力があり、間近で見る価値があると思います。(というか、ここ以外は見どころに乏しいという説もあります...)

チョックストーンの左側壁は巨大なドーム状の岩屋となっています。

そしてそのドームの中に、何故かわかりませんが自動車用のバッテリーが置かれていました。
誰かライトアップでもしたのでしょうか?

さて、チョックストーンはとても登れませんので、巻いて越えて行くことになります。
右岸ドームのすぐ横を見上げると、岩壁の中に落ち葉とザレの堆積がジグザグに登って行っていますが、のんびり沢ハイクとしてここを行くのはちょっと勇気が要りますね。

というわけで、短いゴルジュの入口まで一旦引き返して、右岸にあるこの沢状の地形から巻いていくことにします。

ザレた沢状地形をこの辺りまで登ると、

見上げるこの岩壁の下に、今居る小沢を横断する形で踏み跡が通っています。

明瞭な踏み跡を上流に向けて斜上していくと、先ほどまで居たチョックストーンのゴルジュを見下ろすように進み、すぐ上流側にある二俣の左俣の右岸に沿うように曲がって行き、最後は左俣へと緩やかに下って行きます。

この岩壁の下に沿って左俣へ降りてきました。

さて、降り立った左俣を一旦下り、本流の右俣へ降りることになります。

左俣の左岸から巻き気味に降りていく途中から、岩壁の隙間からチョックストーンへと続く二俣を見下ろします。

このザレ斜面を下って、右俣の小さなナメ状となった場所に戻ります。
チョックストーンの巻きは、終始高いところを通過するのでスリップ厳禁ですが、チェーンスパイクを装着すると、安定して歩くことができます。
その際、チェーンスパイクは右俣に降り立つまで外さない方がよいと感じました。

戻って来たガレの右俣を遡行すると、すぐに滝状の流れが見えてきます。

ナメの小滝を通過すると、ハングかかった4m滝が登場します。
ガイドブックによると、この滝の左端には倒木が掛かっているはずですが...

倒木は左側のルンゼに立てかけてありました。
このルンゼは、ぱっと見ボルダー7級くらい?に見えなくもありません(登っていないので本当かどうかはわかりません)が、倒木の上部付近の岩が脆そうなのと、ルンゼから本流へと移るところのホールドがよく見えない、などとごちゃごちゃ言っている間に...

安易に巻いてしまいました。
滝を見下ろし、ルンゼを登っていたら危なかったかもと、本日ここまで一度も直登していない事実の自己正当化をしながら、寂しく巻いていきます。

4m滝のすぐ上からは、少しの間小滝とナメが連続します。

1030mの二俣状は水流のある左へ。
二俣以降は、最初に巻いた倒木の4m小滝以外は全て快適に直登することができました。

小滝群を通過した標高1040m付近からは、谷が開けて、地形図上でもわかる通り小沢が集合してきます。
基本的にどこを進んでも大きな間違いは起きないと思いますが、最初の変則三俣は一番右にしました。

次の二俣(1060m)は左へ。

すぐに4m滝がでてくるので、ガイドブック通り右のチムニーを登ります。

次の二俣状(1090m)のすぐ先で、水が枯れる直前に沢装備を解除して下山モードとなります。
そしてここから本日の核心がはじまります。

下山すべくガイドブックに書かれている「1130m付近に倒れた道標」を探して周囲を徘徊しますが、それらしきものが発見できず、「道形が不明瞭なので、右岸のスギ植林地にある踏み跡をたどる」ことにするのですが、このスギ林が植林地あるあるで、造林作業に使用したと思われる結構明瞭な踏み跡がたくさんありすぎて、どれにしようか迷います。

お、植林の中に広葉樹の巨木を発見。
きっと山仕事をする人々の崇拝対象となっているに違いないと思い、付近の踏み跡を辿りますが、すぐに「途中で不明瞭」となります。

以降は植林の中の踏み跡を見失うごとに、すぐ近くの割と明瞭に思える踏み跡に乗り換えるということを繰り返しながら、概ね1100m等高線に沿って西へとトラバースしていきます。

左俣を横切るところだけは明瞭な踏み跡がありました。

左俣を過ぎてからは、南小太郎山の南西尾根の東斜面1100mすぐ下の等高線がバンド状に緩くなるゾーンを狙い、薄いのか/あるのかないのかの踏み跡を進みますが、遅々として進まないので、地形図の1191m標点から尾根の標高が急に低くなるあたりに狙いを定め、尾根上の登山道を目指すことにします。

尾根への斜面は、それまでの植林内の踏み跡とは打って変わって快適な自然林でした。

あっという間に南小太郎山の登山道に合流し、下って行きます。
ただ、この登山道。西上州の例外ではないクセの強さを持ち合わせており、何も考えずに歩いていたら、うっかり罠にはまってしまいました。

以下に南小太郎山下山のポイントを記載しておきます。
・標高1160mの尾根分岐点では西側に誘引されやすい。(正解の南尾根への踏み跡は、どこが本当の入口かわかりにくい)
・その南尾根の上に登山道はなく、最初の標高差50mくらいは尾根の数十メートル下の西側を並走している。(尾根上には岩壁があり途中でまっすぐ下れなくなるからだと思われる)
・その後一旦林道跡に降り立ち、これを下るが、登山道はすぐに左側に分岐する。
 (下の写真の突き当り付近に、注意していないと気付かないボロボロの分岐標識がある)

そして、植林の中を標高980mほどまで下ってくると、何とそこには「持倉越え」を示す標識が落ちており、その指す方には、下山してきた径よりも立派な作業歩道が続いていました。
しかしながら、先ほど脱渓したのが持倉越(南小太郎山と栗原山のコル)の200mほど西側であったことを考えると、この先の持倉越えへの道って、さっきまで歩いていた径跡のことではないのか??

そしてすぐに登山道は、現地の道標が「萱の平」と示す標高950mで、トラバースする車道の跡に降り立ちます。
瓔珞橋方向に行くとすぐに御天狗様の祠があります。

出発した瓔珞橋への残る標高差150mほどは、今は使われていなそうな林道を下ります。
路面一杯に積もった枝打ちの残骸を踏むと、体重で微妙に持ち上がった枝が後から踏み出す足に引っかかります。

最後まで足を引っ張る下山路に耐えていると、ようやく眼下に林道が見えてきました。

●本日の反省
登山道を間違えた。
バリエーションルートの進路を間違える従来の悪癖に加えて、登山道も外れるようになってしまった。
南小太郎山の登山道を下っていると、いつの間にか踏み跡がなくなっていたので、GPSを見てみると反対側の尾根を下っていた。
確か尾根を下りはじめるところに結構目立つ道標があったと記憶していたのだが、戻る途中でその道標を目にすることはなかった。
どうしたのだ?

疑い始めるときりがないのだが、こうなってくると登山道に出る前の踏み跡も、ちゃんと作業径を通れていたのかがとても怪しい。
左俣を横断するあたりではちゃんと明瞭な径跡だったし、GPSの記録はそんなに離れていないと思うのだが...

出発地と脱渓地の標高差が300m。歩行距離5㎞未満の短いルートを5時間かかって、しっぽりした初冬の沢ハイクを終了しました。
標高300mって、高尾山のケーブルカーが登るくらいの差じゃないのか?
時速1kmか…

高尾山よりも遥かに疲れたんだけど...
それに、結構真面目に歩いていたと思ったのだが。

西上州の一日。

●2021年10月24日(日)
瓔珞橋(林道七久保橋倉線標高830m・8:35)
→境沢川遡行→CS滝(標高950m二俣手前;9:20)
→巻き終了(9:55)→1040m変則5俣(10:30)
→遡行終了(標高1130m付近10:55)
→作業道→南小太郎山登山道(12:05)
→萱の平・天狗社(12:40)→瓔珞橋(13:30)





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