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2021年6月14日月曜日

根羽沢 大薙沢 (沢登り)

 2021年の梅雨入り宣言がでるのかでないのか、6月中旬の微妙な時期に水量の少ない尾瀬の沢へ。

遡下行ともに沢のルートなので、ちょっと行程が長いようにも感じるが、なんとかなるさ。


ここは尾瀬沼への群馬県側からの登山口、大清水です。
ここから低公害車のシャトルバスが、ゲートの先を一ノ瀬へと登って行きますが、今日はそちらに背を向けて、山小屋が立つ方の分岐路から橋を渡って鬼怒沼への登山道をすすみます。

起伏の少ない林道を30分少々歩くと、「物見橋」に到着します。
橋は林道と並走してきた根羽沢が二俣に分かれる場所で、左俣の湯沢に架かっています。

広場状となっている橋の向こう側の正面には、鉱山の跡と思われる石垣と土塁があり、本日遡行する大薙沢はその右側を流れています。

その石垣の下から沢に入ると、すぐに最初の滝があるので、ここで沢支度をします。
SNSの記録には、この5m滝の流れのすぐ右を登ったと記されているものもありますが、そこに至るには釜の上に平滑な岩盤があり、とても無事には登れそうにありません。
なので、釜の手前の右側の岩を登ります。

スタートからいきなり逆層気味の岩を登って、遡行を開始します。

ただ、滝上からはずっと平凡な沢が続き、以降2時間以上滝を登ることはなくなります。
奥に見える倒木の小滝を簡単に越えると、物見橋前の石垣上から出発する軌道跡が見えてきます。
ちなみに、帰路は最初の滝を降りるのが面倒なので、下の写真の奥のあたりから軌道跡へと登りました。

すぐに、鉱山入口に架かる軌道の下をくぐります。

大薙沢は、時折思わせぶりな小ナメがあるものの、平凡な川原がひたすら続く単調な沢です。
出だしは地形図の記載以上に細かい蛇行を繰り返していくので、帰路にショートカットしやすそうな場所の目星をつけながら遡行していきます。

単なる河岸段丘なのか、林業に使用されていたのか、意味ありげな平地を何ヶ所か見つつ、ちょっとしたナメが現れてくると、まもなく二俣となります。

1390mの二俣は、同水量が出合う明瞭な分岐です。

左俣に入ります。
出合から見る左俣はナメ状の流れなので、一瞬期待しますが、単調な川原はその後もしばらく続きます。

左俣の前半は、平坦な地形の中を緩く、ひたすら単調に流れていきます。
魚は何故か居ません。
帰路の右俣では、途中まで釣り人と思われる足跡があったのですが、その影響なのでしょうか。

そして、いい加減飽きてきた頃に、1500m右岸枝沢が滝で落ちてくるこのあたりから、沢の表情が変わってきます。

倒木や土砂が多いものの、川床が岩盤状となってきます。

そして、左俣最初の滝らしい滝。
スダレ状7mから、核心部が始まります。

スダレ状滝は左岸から簡単に巻けます。

滝を巻いて到着した落口付近の左岸は比較的平坦となっており、何者かの踏み跡が縦横に走っています。
そして、森の中から踏み跡が出てきている左岸尾根は、とても低く、指呼の間に見える稜線には、樹林の隙間から空が見えます。

そこからすぐに左俣の連瀑帯が始まります。

最初は3段20mのナメ滝です。

流れの左側のクラックから取り付いて中段で右に移るそうなので、さっそく行ってみます。

ですが、
最初のクラック沿いに5mほど登ってからは、傾斜は強くないものの岩盤がツルツルで、うっかりしくじると出だしまで一気に滑り落ちそうです。

ビビりながらなんとか右へと横断し、地面が滑らないところまでたどり着いて一息です。
水流と一緒に滝下の岩に叩きつけられずにすみました。

しかしながら、上には2段目だか3段目だかがまだ続いています。
これは、どうしよう… と思いながらしばらく滝を眺めていると、自分が立っている場所の足下が妙に安定しているような気がしてきます。
冷静に、上下を見てみると、どうやら自分は今、巻き径の上に立っているみたいですね。

そうとわかれば一転、気をよくして、更に上まで様子を見に行ってみます。
この倒木の滝が3段目なのかしら?
それともガイドブックに2段10mと書かれているものの下段なのでしょうか?

倒木を利用して登ってみると、まだ上にナメ滝がありますね。
スリップさえしなければ、どんどん登って行けそうに見えますよ。

と思いながら下を振り返ると...
あら、調子こいてずいぶん高いところまで登ってきてしまったみたいですね。
ガイドブックや一般の記録では、このあと300m弱の標高差がある四郎山と燕巣山の稜線まで詰め上げて、四郎峠から同沢の右俣を下ることとなっていますが、スタートが遅く、既にお昼を過ぎていたため、2時間弱を要する稜線までの往復が微妙となっています。

少しの間地図とにらめっこして、先ほどスダレ滝を登った時にちょっと興味を引かれた低い左岸尾根を越えて右俣へ行ってみることにします。

というわけで、巻き径(というか巻かずに流れ沿いに左岸斜面に続く踏み跡)を下って3段20m滝の下まで戻ります。

滝下まで歩いて戻ってきました。
ここから振り返って左岸の下方を見ると、斜面のところどころに、ちょぼちょぼと踏み跡らしきものが見えるように感じます。

網の目状に行き来するその踏み跡をテキトーに登ると、あっという間に稜線に到着します。
どの踏み跡を通ってもだいたい同じで、あまり悩む必要はないと思いますよ。
稜線の反対側は、場所によって植林だったり笹薮だったりしますが、こちらも手掛かりさえあればどこを下りても大差ないような印象を受けました。

私は最初は上流側にある植林の中の踏み跡を下りましたが、植林が上流側へとずれていくので、途中から笹の中をまっすぐ下りました。
笹は数本を掴めば体重を支えることができる太さでした。

10分弱ほど下ると、藪の下の方から水音が聞こえてきて、樹間に舗装道路のような路面が見えてきます。

というわけで、右俣のナメに到着。

下りてきた場所は1540m右岸枝沢のちょうど下で、名物の黄色いナメの真ん中よりも少し下くらいのところでした。

下を見下ろすと、初夏の日差しを反射して金色に輝く岩盤が続いていきます。

さあ、先ずはその黄色い岩盤を上流へと歩いていきましょう。
しかし、光線の加減で逆光だとナメが白く飛んでしまって写らないな。
川床が写るように露出を調整したら、黄土色に変色してしまいました。

お、ナメが木陰に入ると、カメラが目で見るのに近い色調を再現しはじめました。

ナメの岩盤を拡大してみます。
肌色の地にオレンジと茶色のドットがはいったものが、遠目に見ると黄色っぽく見えるみたいです。

ナメは一貫して平坦なわけではなく、たまに凸凹があらわれますが、それでも気分としては、ずっとアスファルトの路面を散歩しているような心境です。

右俣に降り立ったところから遡行すること500m弱で、右岸から1600m枝沢が入ると、そのすぐ先で左岸から崩れてきた土砂が沢を埋めます。

この土砂崩れは、もともと崩れていたものが近年急拡大したと見られ、派手に崩れていて結構コワいです。
この先もナメは続くのかもしれませんが、上流に少しだけ後ろ髪をひかれながらここで引き返すこととします。

登ってきた沢を下り返します。

最初に下りてきた右岸枝沢出合近くまで戻ってきました。
引き続きそのまま右俣を下降していきます。

黄色ナメの下半部は徐々に荒れ気味となり、途中で崩壊地を交えながら、小さく蛇行していきます。

そして最後に岩盤がスパッと切れてなくなりました。

ナメの下側は2段10mの滝で終わります。
これは上段の5mで、流れの右(左岸側)脇をクライムダウンできます。

二段の滝全体はこんな感じです。
下段は傾斜の緩い右側を倒木に向かって問題なく降りることができます。

さて、ここから下流側は、また平凡な川原に戻ります。
ナメ滝が1個だけ出てきます。

単調な川原の脇には、ヘビイチゴの花が点々と続いています。
梅雨明けに訪れたら、花ではなく赤い実が点々と続いているのでしょうか。
もうちょっと遅い時期に来れば良かったか。あまりイチゴの風味はしないんでしょうけどね。

小規模なナメが見えてくると、間もなく二俣です。

二俣からは、往路と同じ場所を逆進していきます。
来るときに目星をつけていたいくつかのショートカットを利用して3割くらいの時短で鉱山跡に到着です。

帰路はここから鉱山の軌道跡へと登ります。
目印の赤テープが色あせて見えないと思いますが、ちょうど川原を歩いて降りていけなくなったところです。

踏み跡はあまり明瞭でありませんが、しっかりした笹が生えており、つかまって登って行くと、すぐに平坦な軌道跡にでます。
ちょうど軌道跡に2つ設置されているバリケードの奥の方の手前(坑口の反対側)に着きます。
最初の滝を登りたくない人は、ここから降りてスタートすることになります。

大清水の方へ帰ろうとすると、もう一つのバリケードが登場。

すぐその先で、トロッコの操車場と荷捌き場であったと思われる平坦地となります。
ここは、来るときに物見橋の先にあった石垣の上にあたる場所で、平地の右側どこからでも降りていけます。


下りた場所にある立ち入り禁止のバリケードの先は、大清水から鬼怒沼への登山道で、反対側にはこっちは登山道ではないとの表示がありました。


あとは橋を渡って、往路の林道を歩いて大清水へと戻ります。


●本日の反省

 出発が遅い。遅すぎる。

 横浜の家を出たのが5:30ころで、道中ふらふらしながら大清水に着いたのは9:00近くと、入山そのものが危ぶまれるペースだった。

 どうせ天気が良くないだろうから気が重かった、というのが出遅れた理由だが、実際の天候は当日朝のSCWと全く同じで、正午前後は一旦快晴となるほどの好天となり、毎度のことだが、気分を根拠とする思い込みよりも、科学的根拠に基づく事実の方が圧倒的に優位な結果となった。

 ただ、その好天が黄金ナメを歩く時間とたまたま一致し、初夏の日差しに照らされて目も眩むように輝く径を歩くこととなった。

 このタイミングを演出したのが、入山遅れだったことを喜んだほうが良いのかどうなのか...


●2021年6月12日(土)

大清水(8:55)→(根羽沢沿いの林道)

→物見橋(9:30:入渓)→(大薙沢遡行)

→二俣(10:45)→左俣遡行→大滝見物(11:50~12:15)

→大滝下から中間尾根乗越して右俣滑部(12:30)

→ナメ上部(12:50)→右俣下降→二俣(13:55)

→物見橋(14:50)→大清水(15:30)




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