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2021年3月8日月曜日

自家用車で登る百名山 ~その31~ 安達太良山(BCスキー)

 2021年3月の最初の週末に、雪面が固くなった安達太良山を、スキー場から往復して振子沢を滑った記録です。


入山地となる「あだたら高原スキー場」は寡雪のため4本あるリフトのうち、2本のみの営業で、最上部まで登る第4リフトが動かないため、その次に高いところまで行ける第3リフトで入山しました。

リフトを2本乗り継いで登りますが、2本目の乗り場までゲレンデを相当下るため、相応の時間を要しました。

ちなみに、スキーを履いていない人はリフトに乗れないため、徒歩の登山者は最初から歩いて登ることになりますが、リフトに乗っても時間的にはそんなに変わらないようにも感じました。(但し、帰りはスキーの方が全然早いですけどね。)


はじめて来たスキー場で、リフトを降りたもののどうしてよいかわからず、降り場の係員の方に尋ねたところ、親切に教えていただきました。
第3リフトを降りて右側に30mほど下ると、使われていないゲレンデが上から降りてきているので、登っていくと、冬は運航していないロープウェイの山頂駅に行けるとのことでした。
というわけで、当座の目標であるロープウェイ駅を見上げながらスタート。

ロープウェイ駅までは約一時間の登りですが、急斜面をぐいぐい登ると、あっという間に視界が開けてきます。
雪があんまり見えないねぇ

人の気配のない山頂駅から、雪に埋もれた登山道を登り始めます。

平たんな登山道を進んでいくと、周囲の木がどんどん低くなり、目指す安達太良山の稜線が見渡せるようになりました。
この辺りで、ボードを抱えて下ってきたボーダーの方とすれ違ったので、稜線の様子を尋ねてみると、「どこも雪はたくさんある」とのことでしたが、雪質についてのコメントは特にありませんでした。

この日は数えなかったものの、最低でも50人の登山者とすれ違いましたが、スキーやボードを持っていたのは、私を除いて各1名でした。

もうすぐ頂上。

リフトを降りてから二時間少々。ロープウェイ駅から1時間半ちょっとで、賑わう山頂に到着です。
乳首の部分の急登のみ、ザックを下にデポして空身で登って登頂です。
大勢の登山者が足場を砕いてくれていたので、スキー靴のままでも簡単に登れました。

南隣は登路で左手にちらちらと見えていた和尚山です。

和尚山の右側は、石筵川源流部の谷を隔てて、真っ白な船明神山が横たわり、その背後には磐梯山。遠く飯豊連峰が望めました。

その右手(北側)は、沼ノ平(噴火口…ここから中は見えませんが…)や矢筈森といった、安達太良連峰の中核部です。

その中にひときわ鋭く突き出た矢筈森の右側に緩やかで広い雪面が広がっていますが、まずはあそこを目指しましょう。
さて、どうやって行けばよいのかしら?

稜線沿いも、谷を横切って峰ノ辻(下の写真中央部の地面が黄色いコル)に向かうルートも、どちらも途中で雪が途切れているので迷うところなんでしょうが....

面倒なので、何も考えずにとりあえずスキーで滑ることにしました。

雪面は結構固く、ガリガリとターンすると、ミミズが暴れたような滑走跡ができてしまいました。


途中で短い距離を板を外して歩き、なるべく篭山近くまで滑ってから、矢筈森との鞍部目指して登り始めます。

さきほどまで居た乳首を背に広い雪面を登ると、すぐに矢筈森と篭山のコルに到着です。

見上げる矢筈森からは古いシュプールが下ってきていますが、今はあそこまで登る元気もなく、目の前に広がる振子沢の滑走へと移ります。

雪面がパリンパリンに固いのがどうかなという気もしますが、広くてとても快適。
名前通りの振子運動のリズムで滑ると、矢筈森が見る見る遠ざかっていきます。

途中になんかでてきたぞ。 と思ったら、登山道でした。
構わずどんどん滑っていきます。
どこまで行っても振子ですねえ。

正面に大岩壁が見えてくると、その先で沢が突き当る地形が見えてきました。
くろがね小屋があるあたりでしょうか。
その手前がちょっと藪っぽいですね。
左岸をトラバース気味に滑って、少し先が見通せるところに登ってみましょう。

左岸尾根の上に滑って出ると、そこはちょうど登山道の下に貯水槽のようなものがある、くろがね小屋への急下降が開始する場所でした。
尾根の反対側は温泉の火口のようなものが見えます。

そして足下にはくろがね小屋が見下ろせます。

そればかりか、雪の消えた道のようなものまで....
うぅ~ん。あの道はおそらく、滑って勢至平経由で下山するのに使うつもりだったもののような気がするのですが…
これはいったいどうしたものか。

迷っていたちょうどそのとき、小屋方面から登山者が一人登って来られたので、ここぞとばかりに勢至平を通って来たかを尋ね、登山道の状態を質問します。
私ではなく、置いてある板を見ながら「滑るのは厳しそう」との回答でした。

いや~助かりました。
危うく地獄に足を踏み入れるところでした。

ありがたくご意見を反映させていただき、滑走してきた振子沢を見下ろしながら登山道を登り、山頂付近を目指します。

山頂への登り返しは、急登もなく、足下の雪は多くの登山者により踏み固められており、快適に進んでゆくことができます。

先ほど横切って滑走した振子沢をトラバースして横断すると、間もなく雪が解けた峰ノ辻に到着です。

峰ノ辻は地面が暖かいのでしょうか、この一帯だけが赤い泥の地面となっていました。
そういえば、さきほどこの下の沢を歩いたときに硫黄臭を感じたような気がしたのですが、あれはいったいどこから発せられるものなのでしょうか。

峰ノ辻からは、歩いていく先のトレースがよく見渡せます。

峰ノ辻から30分ほどで、山頂直下の登山道分岐に到着。
あとはスキー場に向かって滑るのみです。

ここで最後の腹ごしらえと水分補給をしていると、スキーをかついだ方が降りてきて、滑走の準備を始めます。
お話をうかがったところ、地元在住の方で、何と裏(西)側にある船明神山と石筵川の上流を滑ってきたところとのことです。
これはかなりの強者。
…この時に伺った話に感銘を受けて、今から二年後の2023年3月に船明神山と石筵川の源頭を滑ることになります。

ここから楽に戻れる方法を尋ねるといろいろ教えていただき、最後に烏川(左俣)の源頭へのドロップポイントを教えていただける運びとなりました。

というわけで、さっそく後をついて案内していただきました。
烏川はスキー場からの登山道の北側を並走している谷で、山頂東側の直下が左俣の源頭となっています。
ちょうど地形図の標高1600mに扇型に描かれる崖マークがドロップポイントです。
ちなみに、右俣は峰ノ辻の横を通って矢筈森へと上って行く沢です。

先行者はちょうど崖マークの屈曲部、左俣の直進どん詰まりを素晴らしいスピードとテクニックで滑走していきます。

私もさっそく後に続きます。
少し右側が一番急そうなので、このあたりから....

カリカリの斜面を落ちるように滑り、傾斜が少し緩くなったところで振り返りますが、滑った跡が見当たりません。
下の写真右側の薄いシュプールが先に滑った方のものなので、写真の真ん中を降りてきたはずなのですが....
これではまるで、滑ってもいないところを写真だけ撮って来たみたいですね。
エアギターならぬエア滑走?

さて、帰るため登山道になるべく戻れるように、徐々に右へと滑っていきます。

ただ、右へ行って登山道に近付くほど、雪面が固くかつ波打ってきます。
なので、この辺から正直に尾根に乗ればよいところですが、ついつい雪が固くなさそうなところを目指して、下ってしまいます。

調子こいて下っていると、だんだん右手の藪が濃くなってしまい、登山道の尾根になかなか登れなくなってしまいました。

なので、途中から思い切って板を外してツボ足で藪をかき分けながら登山道に復帰します。

振り返ると、滑りだした斜面が遠くに望めました。

拡大して目を凝らすと、中央の黒っぽいところに薄くミミズ状の跡が見えるような気がしますが。。
やっぱり目の錯覚でしょうかね。
振り返ってみると、先行された方のように少し右側の斜面が白い部分からスタートして、自分が許せる限り沢芯の障害物が少ないところをまっすぐ滑走してから、トラバースと割り切って登山道に戻る というメリハリが効いたルートが最もコンディションがよく楽しめるように感じます。

まあ、実際そこを滑ったわけではなく、あくまで近くで見た個人の感想に過ぎないんですけども...

さて、緩やかな尾根上を登山道に沿って、木を避けながら山頂駅まで滑ると、あとはゲレンデ(跡)を通ってリフト乗り場まで戻ることになります。
ご指導いただいた方によると、これが一番苦労せずに帰れる方法とのことで、自分もそう思います。
お疲れさまでした。

2年後の2023年春に付近を再訪した記録はこちら。

●2021年3月7日(日)

あだたら高原スキー場(9:30)→第3リフト終点(9:50)

→ロープウェイ山頂駅(10:25)→表登山口分岐(11:08)

→乳首(12:00)→矢筈森・篭山コル (12:40) 

→振子沢滑走→くろがね小屋上部(12:50) →登り返し

→峰ノ辻(13:30)→山頂下峰ノ辻分岐(14:00)

→烏川源頭滑走→ロープウェイ山頂駅(14:50)

→ゲレンデ滑走→駐車場(15:00)




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